Gaslighting Training
2022年4月に施行されたパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)により、すべての企業にハラスメント防止対策が義務化されました。
この法改正を受け、多くの企業で基本的な対策が整い、いわゆる一発アウトとされるような明確なハラスメント行為は今では珍しくなりました。
一方で、近年は違法行為にあたらないものの、職場での働きにくさや人間関係の不調を生み出すグレーゾーンの言動に注目が集まっています。
こうした背景から、今、ハラスメント対策の新たなテーマとして注目されているのが「ガスライティング」です。
欧米ではすでに、ハラスメント防止や心理的安全性の観点から、このガスライティングへの理解と対応が企業研修に取り入れられはじめています。
本研修では、ガスライティングの構造や特徴を学び、無自覚に誰もが加害者にも被害者にもなりうるリスクへの理解を深めることでより安心して働ける職場づくりを支援します。
ハラスメント対策はしているが、なぜか職場がギスギスしている
メンタル不調者が増えているが、その背景に人間関係の問題が隠れている気がする
管理職が無自覚な加害者になっている可能性があるが、指摘しづらい
ハラスメント研修の
新しいネタに困っている…
誰もが働きやすい職場をつくるためには、
まずガスライティングを正しく理解しましょう!
ガスライティングとは、自覚・無自覚に問わず、相手の記憶や感情、判断に繰り返し疑念を投げかけることで、相手の認識を歪め、心理的にコントロールするコミュニケーション行為のことを指します。ガスライティングを受けた被害者は、徐々に自尊心や自己肯定感、感情の崩されていきます。こうした行為をする人は、比喩的に「ガスライター」と呼ばれます。
この言葉の語源は、1938年にイギリスの劇作家パトリック・ハミルトンが書いた戯曲『Gas Light(ガス燈)』にさかのぼります。
19世紀末のロンドンを舞台にしたこの作品では、夫が妻に対して部屋のガス灯の明るさをわざと暗くし、その変化を「気のせいだ」と誤情報を与え続けることで、妻の認識を揺さぶり、精神的に追いつめていく物語です。
この戯曲は1940年と1944年に映画化され、英語圏で「gaslighting(ガスライティング)」という言葉が広まるきっかけとなりました。
1970~80年代の臨床心理学や精神医学の文献では、当初は家族問題や虐待の文脈で「相手の現実認知をゆがめる操作的な手段」として言及されるようになり、1990年代以降は心理的虐待(psychological abuse)の一種として広く認知されました。特に米国心理学者ロビン・スターン(Robin Stern, 2007)の著書『The Gaslight Effect』などを契機に、ガスライティングは一般向けにも警戒すべき心理的操作技法として定着しました。
職場における三大ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ)では、近年、明らかにアウトとされる言動は減少し、いま求められているのは、グレーゾーンの言動への対応力です。
こうした時代背景の中で、特に注目されているのが、ハラスメントの一種であるガスライティングです。巧妙で陰湿、かつ証拠が残りにくいという特徴を持ち、より複雑で見えづらいハラスメントとして取り上げられています。
明確な暴言や攻撃的な態度とは異なり、ガスライティングは、相手の内面にじわじわと入り込み、記憶や感情、判断を揺さぶりながら、気づかれないうちにコントロールしようとするコミュニケーションです。そのため、外からは気づかれにくく、職場や人間関係のなかで静かに蔓延しやすいのがガスライティングの厄介な点です。
明らかにアウトな行為
ガスライティング
行為の見えやすさ
明確な言動が多く、比較的目に見える
些細な操作や否定の積み重ねで構成されるため、非常に見えにくい
気づきやすさ
誰が見てもNGと判断されやすく、気づきやすい
解釈によっては善意や配慮にも見えるため、気づきにくい
持続性
一時的・断続的で成立する
長期的・継続的に繰り返されることで成立する
目 的
優位な立場から自分の正しさを押しつけ、相手を服従させる
相手の自信・判断力を奪い、内側からコントロールしようとする
被害の影響範囲
業務の停滞や職場環境の悪化など、主に仕事上に限定される
自尊心や自己肯定感、感情の安定に深刻なダメージを与え、私生活を含む心身全体に影響が及ぶ
CASE
登場人物
課長 (40代男性)
人当たりがよく、頭の回転も早いできる上司。これまで安定して成果を出し続け、周囲からの信頼も高い。一方で、プライドが高く、自分の立場や評価が揺らぐことに非常に敏感な一面を持つ。
部下A(30代男性)
営業成績はトップクラス。論理的思考力と安定したパフォーマンスで、同僚やクライアントからの信頼も厚い。チームでも一目置かれる存在。
部下B(30代男性)
ムードメーカー的存在で、お調子者な一面も。人間関係のバランスを取るのが得意で、空気を読むのが上手く、上司の意向にも敏感に反応する。
部下C (20代女性)/ 部下D(30代女性)
いずれも比較的おとなしい性格。自己主張よりも周囲に合わせる傾向があり、課長の発言に無意識に同調する場面が見られる。
背景
チーム内で部下Aの存在感が増すにつれ、課長は彼の活躍に焦りと不安を覚えるようになる。表面上は穏やかに接しているものの、次第にAに対する評価を下げるような発言や厳しい言動が目立つようになっていった。
課長の行為
行為①
課 長
週次会議で「この前の提案、数字の詰め甘かったよな」と言いながら、事実上は問題のない提案資料を「なんとなく雑」と曖昧に否定
与える影響
Aは自分の基準が間違ってるのかもしれないと、少し自信が揺らぐ
行為②
課 長
「前にも同じ話したよね? え、覚えてないの?」と言って責める口調で話す
与える影響
Aは自分が成長していないのではないかと不安になり、自責の念を強める
行為③
課 長
別のミーティングで「Aの提案は勢いがあるんだけど、ちょっと浅いこともあるよな」と一言添える
与える影響
Aはさらに自信が揺らぐ。また、他のメンバーの中にAは完璧ではないという認識が芽生えはじめ、課長の見立てに同調し始める
行為④
課 長
ミーティング後にBへ「Aって最近、ちょっと空回ってない?」とさりげなく話す
与える影響
Aに対する疑念がチーム内に広がり、課長側への同調は進む
行為⑤
課 長
案件終了後に「今回の案件は、Bのアシストが良かったからAも動きやすかったよね」と発言
与える影響
Aは自分の貢献が正当に評価されないと感じ、無力感を抱くようになる
課長の心理的背景(ガスライティングに至る内面)
Aの急成長や注目度の高まりにより、自分の立場や価値が脅かされるのではという不安を抱くようになる
チームの主導権を維持するために、見えない形でAの認識や、周囲のAに対する印象を操作しようとする
表面的な自信とは裏腹に、自己肯定感が低く、常に優位性を保とうとする言動に執着するようになる
Aは徐々に自己効力感を失い、発言や主体性が減少していく
チームの空気は一見穏やかに見えるが、実際には課長の意向に沿った沈黙と同調の関係性に変化し、働きにくさや人間関係の不調が徐々に広がる
明確な暴言や不当な言動が見られないため、外部からは健全なチームと誤認されやすく、組織的な対処が遅れる
このまま放置するとどうなるか?
ガスライティングは、放置すればするほど、本人だけでなく周囲にも静かにダメージを広げていく行為です。
職場のガスライティングは、明らかな悪意による陰湿ないじめに限りません。
組織構造や評価制度のなかで自分の立場や評価を守ろうとすること自体は自然なことですが、その防衛反応が無意識のうちに作動し、本人も気づかないうちにじわじわと相手をコントロールする言動につながることも少なくありません。
特に、こうした無自覚なガスライティングは、表面上は穏やかに見えるため発見が遅れがちですが、その分チームの信頼関係や心理的安全性を徐々に損ない、働きにくさや人間関係の不調を生み出してしまいます。
誰もがガスライター(行為者)にも被害にもなりえるからこそ、これは「ガスライティングかもしれない」と早い段階で気づける力を職場全体で育むことが大切です。
その結果として、
ガスライティングが共通言語となり、グレーな言動に「それ、ガスライターかも」と指摘しやすくなる
深刻化する前に「今の気持ち」を率直に伝え、「ごめんね」と謝れる対話が生まれる
本人同士のコミュニケーションで解決しやすくなる
こうした関係性を育むことが、働きやすい職場づくりの土台になります。
こうしたリスクを減らし、誰もが働きやすい職場をつくるためには、まずガスライティングを正しく理解し、
早期に気づき、対話を通じて解決する力を育むことが大切です。
本研修では、ガスライティングの本質や具体的な対策を学び、
職場で指摘と対話が生まれるきっかけをつくります。
実証に裏付けられた心理学的理論をベースとした解説
簡易版EQテスト(自己認識、自己制御、他者理解、状況対応力について自分の強い領域、弱い領域を把握する)
実際の職場やチーム内で起こり得る事例をもとに、言動の意図と影響を分析
ペア・グループディスカッションで受講者間での気づきの共有と、多様な視点からの学び合い
講師によるオールイングリッシュでの対応・講義も可能です
本研修では、ガスライティングの仕組みや影響を理解し、個人・組織での予防と対処法を学ぶことで、職場の信頼とチーム力を強化します。
対応形式
対面
ハイブリッド
オンライン
講演会
推奨時間
3時間~半日
研修カリキュラム・1日版
研修カリキュラム・3時間版
時間
コンテンツ
内容補足
9:00
9:40
10:20
10:40
11:20
12:00
このプログラムは、ある企業で実施した研修のカリキュラム例です。
本研修は企業のニーズや参加者の状況に応じてカスタマイズ可能です。また他研修の中に、一部の要素を取り込むこともできます。
Ph.D
蔵本 真紀子(MAKIKO KURAMOTO)
ザ・アカデミージャパン プロフェッショナルトレーナー
心理学博士
フミコンサルティング合同会社 代表
TWI (Training Within Industry) 認定トレーナー
大学講師(青山学院大学・慶應義塾大学)
経歴
組織心理学・発達心理学・文化心理学を専門とする心理学者であり、フミコンサルティングの創設者兼代表。日系企業にて海外営業および海外駐在を経験した後、仏系Tier1自動車部品メーカーにてグローバルプロジェクトマネージャーを務め、新車用部品の開発プロジェクトを欧州・北米・アジアの拠点と連携して推進した。現在は、心理学の理論と実務経験を組み合わせた研修・コーチング・コンサルティングを、企業に対して提供している。在日フランス商工会議所では、会員企業向けにテイラーメイドのプログラムを企画・実施しており、継続的な依頼を通じて高い評価を得ている。加えて、慶應義塾大学および青山学院大学にて非常勤講師として心理学教育にも従事している。
主な著書
こちらでは、ガスライティング研修についてよくいただくご質問にお答えしています。
内容や実施方法について気になることがある方は、参考にご覧ください。ご不明な点があれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。
導入のご相談やご質問など
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