『2022年3月19日、至福の両国国技館 ――4』から続き。

 

▼メインイベント プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合

【王者】山下実優vs【挑戦者】中島翔子

 

…というわけで『2022年3月19日、至福の両国国技館 ――1』で話した通り、東京女子がライブハウスのマットプロレスから10年かけて到達した両国国技館大会、そのメインイベントは正式旗揚げ前からの選手である山下と中島による東京女子最高峰タイトルであるプリンセス・オブ・プリンセス王座戦で、東京女子がやっと辿り着いた両国大会のメインに相応しい試合。

今年1.4後楽園ホール大会で王者の山下が3.19両国メインイベントでのタイトル防衛戦の相手に中島を指名した。10年かけて辿り着いた両国大会のメインを最古参メンバーである自分と中島のタイトルマッチにしたことは東京女子の過去をちゃんと踏まえてヒストリーを大事にしてて素晴らしく、これ以外ないという必然性に満ちたカード。

山下に指名された中島のマイクがまた感動的だった。

「DDTの両国国技館大会の、オマケみたいなタッグマッチでデビューして、その時はずーっともうライブハウスに青いマットひいてここで一生試合してるのかと思う時もあって、みんなで引っ張ってきて、まさか東京女子が両国国技館で大会をするなんていうのは、叶わない目標みたいなふうに思ってて、でもみんなで上がってこれて、そんな東京女子が好きです。山下も、そうだよね…」

感極まりそうになるのをこらえながら話す中島、目を潤ませながら聞いている山下、2人の表情がまた泣けた。

3/17にYouTubeの東京女子公式チャンネルにアップされた動画『中島翔子「山下は凄いし団体の顔。だからこそ勝ちたいし越えたい壁。」 3月19日 山下実優vs中島翔子 両国国技館「GRAND PRINCESS '22」はWRESTLE UNIVERSEで生中継!』での中島のコメント

「東京女子旗揚げで、ガッタガタの状態で運転、ボロボロの車で運転してた時代があったと思うんですけど、その時「絶対いつか両国国技館をやってやるんだ」みたいな、言ってたんです。最終回がこないアニメの…両国国技館に立つというのはたぶん最終回だから、言ってるけど叶わないみたいな感覚だったので」

も印象深かった。

 

ちなみに俺は山下実優も好きである。最初見た時…SNSでアップされてる試合中の山下は怖い顔が多く、試合映像を見ると強烈な蹴りが多い(特にスカルキックは相手の頭部がもげそうなぐらい強烈)。

ところが一方で入場時のいつものキメポーズでコケたり、バラエティ番組で計算や読み書きをやらされて酷いリアクションをしたり(笑)、そのポンコツぶりがリング上の怖さやイケメン度の高さとギャップあり過ぎてとても好感が持てる。

山下は王者である時とない時があり、プリンセスカップトーナメントでも途中で敗退して脱落したりするが、昔も今も東京女子のエースであり、タイトルホルダーの時は“絶対王者”と形容される。

エースであることはプレ旗揚げの時から中心選手であり、絶対王者のイメージは空手のバックボーンがある強さや殺気ある選手としてのパブリックイメージだろう。

伊藤ちゃんとタッグチームで組んでるが(前回エントリでマジラビとか白昼夢とか出てきたが、山下と伊藤ちゃんのチームは121000000(ワントゥーミリオン)という)、伊藤ちゃんと絡むと傍若無人な伊藤ちゃんに従ってる絶対王者山下という姿がまた可笑しい(笑)。

 

中島翔子にも好感持ってて。特にハイパーミサヲと繰り広げる度が過ぎた悪ノリの試合の数々(笑)、可愛げ溢れる別キャラのシン・ウルトラショヲコ(笑)。それでいて小柄(公称身長147cm)なのに鍛え抜いた身体(肩から背中あたりの筋肉がキテる)、ハイスピードな身体能力。

シリアスな試合もおフザケも兼備。

去年のプリンセスカップの決勝では俺は当然伊藤ちゃんを応援してたわけだが、試合後の負けた中島のバックステージでのコメント姿がとても気の毒で俺的に好感度爆上がりしたのだった。

 

中島の入場。感慨と緊張からかステージでしばし直立してたが、やがて笑顔で跳ねるように花道を駆け出す。

 

山下の入場。いつも通り、オフサイドでのポンコツぶりと打って変わってリングへはキリッとキメ顔、殺気すら漂わせてリングインする。

 

試合の方はもう序盤あたりだっけ? 中島の動きが突然失速し、どうしちゃったの!? 何かあったのか?

心配になるぐらいだった。どこか打ちどころが悪かったのか?

しかし試合は続行してゆく。

たぶん中島は混濁した意識の中で、現実認識(やっと辿り着いた両国大会)だけは強く在って、その一念のみで切り抜け続けたのではないか?

一方の山下は当然対戦相手だから中島の異常事態は中島本人に次いでわかってたはずで、でもプロ意識(チャンピオンであること、東京女子のエースであること)と、やはり中島同様の現実認識で、ハンパなマネは許されない、凡戦にしては絶対にいけないと、非情に試合を続けたのだろう。

 

山下の強烈なヒジ打ち。(最初にすでにお断りしておいたけど、ホント俺のカメラは画質が酷い… あと白く飛んだり。あとピントが合わねぇ合わねぇ・怒)

異常事態を戦い抜き続ける中島の精神力と、中島同様の現実認識に加え この両国大会をしっかり締めなければならない責任感という山下の抱える重圧…

山下の鬼のような猛攻。

 

しかし中島も一歩も退かずにすぐさま飛び蹴りで返す凄まじい攻防。泣けてくる…

 

中島は場外の山下にトペ(真っすぐ飛んで突っ込んでく技)を敢行するが、すぐさまリング内に戻ると再び今度はトペコンヒーロ(1回転して飛んで突っ込んでく技)をぶっカマす! さっきの不調を吹っ切るすさまじい攻勢――

だが大丈夫なわけがない。さっきの様子は明らかに異常だったもの。

中島の精神力とエナジーのほとばしりに感動を禁じ得ない!

 

中島のダイビングセントーン。

戦前、中島が勝つと予想してた。これは理屈というよりも強い予感。ただ予想が外れることもあるので(タッグトーナメントの爆裂シスターズみたいなね)、

それになんつっても中島の異常事態…

だから中島のセントーンでスリーカウント入った瞬間思わず「おーっ!」って声あげてた。何回か思わず声あげた時あったんだけど(東京女子はコロナ対策で声をあげての声援はNGだけど思わず出る声はOKとなっている)、この時の「おーっ!」は結構デカい声出しちゃったもん。

今回の戴冠は純粋に良かったねと温かい気持ちになりましたよ…

いやー頑張った、中島。山下もハプニングの中でなんとか成立させて、さすがエースですよ。

 

中島がマイクを持つ。

自分は怖がりだと語った後、「昔は山下のこと考え方が合わないとか、強いけど認めることができないとか、そういうふうに思ってたけど、でも何年も東京女子で一緒に戦ってきて、どんなに大きな所でも怖い顔ひとつせず、強くて、勝ち続けて、みんなの真ん中でみんなのことずっと引っ張っている山下の姿は本当にカッコよくて、嫌いだと思ってた時期もあったけど、私は、いつの間にか山下のことをすごく尊敬していたし、山下に憧れていたし、だから今日は勝って、私も山下みたいになりたかった(←ここで声がうわずるのが泣ける)。これからも東京女子で一緒に、戦っていこう? それから今日、私と戦ってくれてありがとう」

 

そして抱き合う。

中島いわく、去年10.9大田区で両国大会が発表された時に思わず山下と抱き合って喜んだが、これまで山下とハグすることなどなかったとのこと。一番付き合いの長い2人であるからこそ、時に乖離もあったけど、辿り着いた両国への思いの強さで2人は共通していた。今いる選手の中で3番目に長い坂崎ですらもデビュー戦は正式旗揚げのリングだった。それ以前のプレ興行でリング無しでマットでやってた時代を体験してきてるのは今や山下と中島だけなのだ。この2人にしかわからない原風景と10年の時の流れ、感慨深さがある…。

 

121000000のパートナー伊藤ちゃんが肩を貸し、退場してゆく敗者山下…

リング上に残った中島はこれまで支えてくれた関係者やファンに感謝の言葉を述べ、「これからも東京女子プロレスを見ていてください。これからもよろしくお願いします。ありがとうございました!」と大会を締めた。

 

拍手の中、中島が花道を退場すると、ステージでは東京女子の仲間がみんな待っていて中島を迎え入れた。

大団円。

 

と、特効で銀テープ射出! 後ろの方の席ではないのでじゃんじゃんテープ降ってきた!

ハッピー感が炸裂する真っ只中。

東京女子プロレスはやっぱり多幸感――

この場に居合わせることが出来て、本当に良かった。

降ってくるテープを手でキャッチし、さらに自分のマス席内に落ちてるのもちょっと拾って10本ぐらい持って帰ってきた。

中島と山下のサイン&メッセージ入り銀テープ。本大会を観に行った思い出の品。

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