俺、これはYouTubeとかにアップされたブツ切り映像で見たのとニュース記事読んだだけの状態で話すんだけど…。
先日の東京ドームでの武藤敬司の引退試合、武藤敬司vs内藤哲也。
話通りだったね(苦笑)。武藤はいろんな同業者から自分が一番目立つことしか考えてないだの貪欲だの最後は全部持ってっちゃうだの言われてるけど(苦笑)、
まずさぁ、1ヵ月前に両足やっちゃって、どうなるんだろうとさすがに気になってた。もうチケット売り出しちゃってる後だからね、それも後楽園ホールあたりとはワケが違う、東京ドームだもの、さらにPPVだなんだ、今さら中止とか延期とかあり得ない、どんだけの金と人が動いてるかっていう。
だからもう勝ち負けじゃないよな、とにかくリング上がって動けただけでもほんと良かった、安心した。いや俺は他人事なんだけどさ、でもこれ出来ないんじゃないか、いや出来ないじゃ済まされないだろう、どうすんだって心配してたもの。
そんなわけだからもう試合内容じゃない、負けたのも仕方ない。とにかく興行として無事終えられて良かったよ。
そしたら最後のマイクで突然蝶野を名指しして俺と戦え!上がれ!と。なるほどね!というさ。同業者の武藤評通り(苦笑)。だってそうじゃん? もう最後は内藤なんか吹っ飛んだもんな。あれはうまいというかしたたかというか、あれでもう全部持ってっちゃった。内藤戦なんかどうでもよくなったもの。
最初からそういう予定だったんだろうか? 引退試合に蝶野誘ってたけど、蝶野は体がまったくダメな状態だった。日常生活にすら支障がある状態。それでなんだかんだで内藤になったわけだけど、記事読むと武藤はなんもやってなくて蝶野が2つ3つ技やってタップして終わったように見受けられる。“蝶野さぁ、ちゃんとしたシングルマッチは無理でも、それだったら出来ねェか?”って打診が目に浮かぶ。
それとも本番で突発的に言って“これなら断れねェだろう” “俺は何もしないで蝶野が技2つ3つかけるだけなら出来るだろう?”という武藤の独断かつひらめき判断だったのか?
なんにしても上手かったよなぁ。結局最後は蝶野とやったということになる。でもあれだけじゃ引退試合としてもドーム興行としても足りなすぎるから、内藤は前座というか踏み台というかランニングタイム引き延ばすのに使われたというか(苦笑)。
昭和の人間だよなっていう(笑)、俺も昭和世代だからわかるというか、平成以降の人間にはこれは思いつかない。
あの、なんだっけ、オカダと清宮のゴタゴタ、平成以降世代はあんなことしか出来ない。オカダがノアに乱入した時なんかオカダがラリアットで清宮があんなんでダウンしたままで、その間にオカダがマイクで、もう誰がどう見ても清宮がオカダがマイク終わるまで大人しく寝転がって待ってるっていう、打ち合わせ通り感が強すぎて、もうスッケ透けで、安っぽい。
方向性としてはバカヤローコノヤロー路線なわけだけど、迫力がなさすぎ。
こっちは藤原の長州力鉄パイプ襲撃事件とか昭和の新日本の再三に渡る観客ガチ暴動(警察出動!)とか知ってるからね。
今はほんとヘタクソだなっていうか単純で軽いなっていうか。
だから今回の武藤引退試合のクライマックスはあくまで武藤vs蝶野であって、出来ない状態なのに実現した上手さ、その手があったか!っていう。蝶野が試合出来ない状態で武藤vs蝶野が1試合として成立しないから内藤を前座替わりに使い捨てるっていう(苦笑)、内藤にしたらマイナスだらけの試合。食われたとかいう問題じゃなくて、利用されたにすぎないっていう(苦笑)。
これねぇ、武藤、試合中に“コレじゃダメだな”って判断したのか? 「作品」として、いやツアーの中の1試合だったらともかく、東京ドームでの引退試合、キャパはデカいし後はない、当然それ相応のクオリティが要るが、実際内藤とやってやっぱダメだなと判断したのか、それとも端っから見越してたのか。
…あるいは実はもう1つの可能性もある。
あのハムストリングスやっちゃった発言がフェイクであった場合だ。ンなバカな、と思われるかもしれないが、昭和ならあり得る。第1回IWGPの猪木を思い出せ(苦笑)。あれはいまだに真偽が微妙というか…みんなはもう猪木の借金取りからの一時的脱出という線で納得してる? それともやっぱいまだに、んー…という感じ?
武藤については少なくともやりたくても引退する他ない、身体が限界超えてるのはもう間違いなかった。その点については事実だろう。娘さんのインタビュー動画見たけど(とても好感持てる喋りだったなぁ)、あと奥さんの手記だっけ? それも読んだけど、もうまったくその通りでしょう。
ただ、それと引退試合をどう組み立てるかは話が別だ。そこから先の思考は武藤本人のみぞ知るといったところかもしれないが、
…これあくまでね、世の中の物事ってのは額面通りじゃないことが多い、いろんな場、出来事、人、発言、行動――表と裏があったりするわけだ、さすがに40~50年も生きてると、いろんな角度・いろんな可能性で考える。で、実はフェイクだったら?という場合も可能性の1つとして考えるわけだ。
武藤が無事に全部終えてホッとしたんだけど、後から考えると、ちょっと待てよ!?と思ったんだよ。よく無事に全部終えられたなぁと。翌日以降もハムストリングスは爆発しなかったようだし。
それでちょっと思ったわけ、ハムストリングス云々がもし、仮に、万が一フェイクであった場合だよ? それは保険としてだったのか、ハードルを下げといたのか、心理戦を仕掛けてたのか、あるいは内藤では(ほとんど他の誰でもだけど)50~60パーのクリア度だろう、それでは足りない、だから試合の要素というか構造というか、をもう一層足そうみたいなことだったのか…それは外野にはわからないけど、仕掛けとして言った可能性もあり得る。
もしそうであった場合、プロレスラー武藤敬司は単層でなく複層の人物ということだ。直線的でなく立体的。単純でなく高度。
じゃ直線的ってなんだというと、例えばオカダと清宮のゴタゴタ展開だよ。あれはシンプル。戦前に仕掛けを設けたけど、あぁいうのは簡単。
じゃ、これまた真偽がイマイチはっきりしないやつだがタイガー・ジェット・シンの猪木夫妻新宿伊勢丹前襲撃事件はどうなのか? あれはオカダと清宮のゴタゴタとはレベルが違ってて、複層と言えなくもない。だって本当に警察沙汰になったからね(笑)。警察が介入したんだからその意味においてはガチ事件だよ。プロレスの枠を超えてる。
ハムストリングス発言がフェイクだったなら、武藤はもう一層仕込んだことになる。単に武藤vs内藤に収まらず、このビッグバジェットの興行自体が実現するのか否かという切迫したドラマ。俺が大丈夫なのか!?と本気で心配したように。
それで興行は無事開催されたけど、今度は武藤vs内藤がクライマックスではなく、動けない蝶野を引っ張り出しての、一見ボーナストラックに見えなくもないがこれこそがクライマックスだったのは明らかで、この2層3層とクロワッサンのように積み重ねられた引退興行において内藤は介錯したのではなく実は本当の引退試合『武藤vs蝶野』に昇り詰めるまでのパーツの1つに過ぎないという。
…であるなら、武藤は猪木的といえなくもない。武藤は猪木とは対極にいるような印象があったけど、猪木といえばまぁいろいろ仕掛けたよな、それを猪木流と言うなら、今回の武藤を見てると、武藤もまた猪木の後継者だったといえる。
あるいは、武藤は猪木とは対極だったけど、この引退試合で橋本の技を出し、三沢の技も出してみせたが、そして猪木もやってみせたのか。蝶野もリングに上げ、関係者席には長州もいて、リタイアしてる人間から亡くなった人間まで集結させてしまった。それは不可能に挑んだともいえる。この意味においても複層。単にハイ引退試合です、武藤vs内藤です、では済んでない。
身体的にハイレベルな試合が出来ないのなら、構成も要素も構造も二重三重に組み上げた頭を使った興行及び試合をやった。これが武藤の最後の「作品」。
…というのは うがった見方なのだろうか? 俺はそうは思わない。
現代プロレスに対するアンチテーゼ。
試合の展開・構成をないがしろにし、ずーっとバタバタした内容、軽業大会や痩せ我慢大会に終始、試合の展開・構成で魅せられず大技・危険な技の連発でどうだ!っていう、どうだじゃないよ、そんなのはヘタクソなプロレス、三流。
武藤は最後に上手いプロレスを見せた。それは自分の最後の「作品」であると同時に、今そしてこれからのレスラーとプロレスファンに対する“そうじゃねェんだよ”っていう最後に残したメッセージだったんじゃないかな?
言えるのは、昭和のプロレスはこれでホントに終わったな…ってこと。こういうこと出来る選手はもう基本的に出てこないだろう。スマホ・SNS人種は単純で軽いから。軽い奴にこういうセンスや凝ったマネは出来ない。
昭和のプロレス、かつてのプロレスがなんだったか、どういうものだったか、その最後の人材といっていい、ここまでやってきた武藤が遂にこうして引退して(一応藤波はまだ現役ではあるんだけど、今の藤波に何かしらのメッセージ性やインパクトは感じないんだよね…)
…新日本が、時代の流れだから仕方なかったとはいえ、人気が落ちてテイストというか舵を切り替えてく2000年代、その変わった新日本の現在の代表格が内藤なりオカダだったりで、なんかねぇ、浅い。
そんな中でかつてのプロレスの最後の後継が闘魂三銃士とか全日本の四天王世代で(それ以降の世代はどうもダメ)、その最後の砦が武藤だったわけで、三沢・橋本は亡くなっちゃったし、小橋は引退しちゃったし、蝶野と川田は正式に引退はしてないけどリタイア状態だし、もう武藤しか残ってなかった。
その武藤が引退試合っていう、かつてのプロレスの終焉。だから橋本の技を出し、三沢の技を出し、蝶野を引っ張り出し、猪木も亡くなったしね、今回の東京ドーム武藤敬司引退試合は、もはや1レスラーの引退試合の範疇じゃなくて、昭和プロレスの盛大な幕引き興行だったともいえる。
あと事前にYouTubeの動画で“武藤の引退試合?見にいかないよ”っつってた長州が、武藤が即席レフェリーにタイガー服部呼び込んだ時に大ウケして手叩いてたのが微笑ましかった。ちゃんと来てくれてる(笑)。で結構楽しんでたようで。また長州の隣りに座ってるのが藤波で。
だからなおさら昭和プロレスの盛大な幕引き興行だったよなぁ。