おらがぐるめ

横浜「泉平」のいなりずし 変わらぬ老舗の味

細長い形が印象的な横浜随一の老舗「泉平」のいなりずし
細長い形が印象的な横浜随一の老舗「泉平」のいなりずし

創業した天保10(1839)年といえば、米国の黒船が浦賀沖に現れる14年前ということになる。当初は江戸前で取れる魚を使ったすしを出していたが、2代目が高野山をお参りした際、いなりずしに出合って感銘を受け、ラインアップに加えられた。

他店では見かけない細長い形が印象的だ。7代目社長を務めた松本東明さん(75)によると、油揚げは7×14センチで、もともと関東ではこのサイズが主流だったという。「昔は一般的だったものをずっと使っているうちに、逆にウチの方が珍しくなったのでしょうね」と松本さん。

温度管理ができなかった当時の製法を受け継ぎ、油揚げはしょうゆ、砂糖、ザラメを材料に約30分煮込んだ後、20時間ほど煮汁に浸される。味はかなり濃いめだ。松本さんは「時代に合わせて、薄めの味付けにしようと考えた時期もあったが、お客さまから『それでは泉平のいなりずしではなくなってしまう。のれんを守ってくれ』と、お声がかかりました。極力、昔と同じものを、と努力しています」と明かす。

ご年配が親しんだ味が、今度は子や孫へ。老舗中の老舗には今日も老若男女の利用客が訪れる。

メモ

泉平の馬車道本店は横浜市中区尾上町5の62。問い合わせは045・681・1514。売れ筋の「まぜパック」(いなり4個、かんぴょう巻き4切れ)は950円。いなりにカラシをつけて食べてもおいしいという。

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