【30代漫画家の初めて記録】同人大好き漫画家がZINEフェス東京に一般参加した
2026年1月10日(土)、浅草の東京都立産業貿易センター台東館で開催された『ZINEフェス 東京』に一般参加した。
かれこれ15年以上、書き手としても買い手としても「同人誌」文化に親しんできたが、「ZINE」に触れるのはこれが生まれて初めてである。
同人誌の作家・読者という二つの視点から、ZINEフェス初参加の記録を綴ってみる。
※文中で何回か同人イベントと比較する場面があるが、優劣をつけたいわけではない。 できるだけフラットな目線で、感じたありのままを伝えていきたいと思う。
ZINEフェスとは?
ZINEフェスとは、作り手(クリエイター)と読者が直接出会い、個性豊かな自作の冊子「ZINE(ジン)」を交換・販売するイベントである。
そしてZINEとは、「自分の思いや表現を自由にまとめた個人制作の小冊子のこと」。
同人誌との違いはZINEフェス参加を経た今でもよくわからないのだが、作者が同人誌と言ったら同人誌、ZINEと言ったらZINEが良いんじゃないかと思う。同人誌とZINEには、わざわざ区別しなくても重なる所がたくさんあるのが創作の豊かさなのかも…。
ZINEフェスに参加する前までの「ZINE」への印象
正直に言うと、行く前は偏見を持っていた。 Xの自分のタイムラインに流れてくるのは、写真集や日記が多く、そういう大手ジャンルがある程度決まっているのかと思っていた。そしてスペースにはポツンと本が置かれているような、硬派な一本勝負の世界なんだろうかと勝手に身構えていた。 しかし、ZINEフェスは私の想像よりずっと自由で、カオスで、何倍も楽しげなエネルギーに満ちていたのだ。
浅草にて、会場に着くまでの話
開場(12:00)の1時間前に浅草駅に到着。スーツケースを引く旅行客や、往来する人力車で大変賑わっていた。お腹が減っていたので、駅近くの「喫茶店 とうよう」でブランチを食べた(ハンバーグステーキ美味しすぎる…)。国際展示場と比べると、繁華街のど真ん中での開催だと食や観光が同時に楽しめてお得だなと思った。
5分程歩いて会場に到着。普段の同人イベントと同じ心構えでいたので、あり得ない長さの行列を覚悟していたのだが、到着したタイミングが良かったのか、階段に沿って並び、開場後5分も経たずに入場することが出来た。ともすれば何時間も立ちっぱなしになる待機列を思い出すと、これだけサクッと入場できることはありがたい。
そして会場が広い!調べたところ1フロアあたりの面積は1,479㎡で、大規模な体育館と同じくらいの広さらしい。今回のZINEフェス東京は、それが2フロア分ある。
パッと遠目に見た感じ、会場の雰囲気は同人イベントとかけ離れていないが…。とりあえず飛び込んでみる。
私が感じた、いつもの同人イベントとの違い
①第一印象、出展者からの声かけが盛ん
入場早々、最初に私が驚いたのが、出展者からの声かけが非常に盛んなことだった。よく耳にした声かけとしては、私が聞いた限りでは「よかったらお手に取って見てください」「立ち読みだけでもいかがですか」「こちら無料配布です。どうぞ(丁寧に手渡ししてくれる)」「○○(作品名)、売れてます!」といった感じで、どれもわかりやすく親身である。
同人イベントにおいてはほぼ見かけたことがないのだが、多くの出展者が積極的に声かけをしているので衝撃的だった。この能動的な声かけについては、後述の⑦で伏線回収(?)されることになる。
②「会場の地図」「目的地」を手放して、偶然の出会いを楽しむ喜び
ZINEフェスには、いわゆる「サークル一覧表」や「会場配置図」といった物はない。スペース番号自体はあるので、しいて言えば事前にSNSで自力で収集した出展情報が頼りになるが、個人的にはよっぽど目当ての作品が山ほどあるとかでない限りは、会場を隅々まで見て回ることが一番楽しいんじゃないかと感じた。
今回私は、一冊だけ明確に目当ての本があったのだが、途中その本の存在を忘れてしまうほど会場を端から端まで見る事が楽しかった。結果的に、その本は手に入ったし、開場時間中に余裕をもって全スペース・全フロアを見て回ることもできた。
いつもの同人イベントでは事前のサークルチェックは必須、買って回る順番も決めて…売り切れる前に絶対買わないとな…などと、もはや「戦場の攻略」と化していたのだが、ZINEフェス会場にはゆったりと一期一会を楽しむ時間が流れていた。
③スペースの机は奥行があって広く感じる
これは東京会場だけかもしれないが、スペースが一般的な同人イベントのそれと比べて広かった。調べてみると1スペース横幅90㎝×奥行90㎝とスクエア型なのだが、私が普段参加している同人イベントのスペースは奥行が45cmなので、なんと2倍の広さである。これは設営の工夫のしがいがありそう。
④本のサイズはA6~B6が多い気がする
A6サイズ(文庫版)は小説系の同人誌で見かけることがあるが、全体的に持ち運びに適したサイズ感の作品が多かったように思う。外で読みやすいのはうれしい。
⑤グッと心つかまれる装丁のアイデア
製本の仕様や装丁が自由だと感じる作品が沢山あった。折本は読む側も気楽に楽しめるし、収集すれば広げてクリアファイルでコレクションできるから良いなとか、紐で製本している本は見た目も楽しいから読まないときは飾りたいなとか、ここの紙変えがリッチだなとか、「読む」以外の楽しみも感じることができた。
⑥企画や販売物が自由で面白い
前の項目で、「ZINE=写真集や日記?」という印象について触れたが、実際に見て回るとすぐさまその偏見は打ち砕かれた。もちろん写真集や日記も沢山あるのだが、とにかく「自分が思うように書いた(描いた)作品」で満ちていた。
写真、日記、記事などを全て収録したZINE、一つの主張を一冊の本にまとめたZINE、ある土地を紹介するためのZINE、思いついた事を書き溜めたZINEと、「自由」で「様々」としか言いようがない。
販売物も多種多様で、衣類や文房具から、原画や一点ものの作品を売っている方もいたのが印象的だった。
⑦作者の方と交流する楽しみ
出展者からの声かけについては①で述べたが、ただスペースに立ち止まらせて終わり・作品を購入して終わりではなく、作品を通して作者と読者として充分な交流ができるのがZINEフェスの最大の魅力のひとつなんじゃないかと思った。
私は人付き合いが得意とはとても言えないが、そんな自分でも作品を立ち読みして「なんでこのことについて書こうと思ったんだろう?」などと好奇心が湧き、目の前にいる作者に聞いてみる。そういう静かな勇気が湧く環境と、臆せず交流できる時間がZINEフェスにはあると感じた。
⑧そのほか、こまごまと感じたところ
・同人イベントと違って、ジャンル(例えば写真、日記、漫画など)で島が分かれていないのが本当に凄く良いなと思った。
・私が普段手に取る同人誌よりも値段の相場は少し高めに感じた。少部数発行、装丁の凝り具合など様々な理由があるのか、私が見た作品がたまたまそうだったのか、それともZINE界にはZINE界の値段設定に関する通例があるのか…ちょっと気になる。
・スペースを見るのが面白すぎて周りのお客さんにまで目を配れてなかったけど、幅広い年齢層の方がいて、その上で若者が多かった気がする。が、本当に気のせいかもしれないので、次回以降じっくり確かめたい。
手に入れたZINEたちに共通する「購入のきっかけ・決め手」
会場で使えるお小遣いの上限は事前にある程度決めていたのだが、最終的にそれをぶっちぎる形でかなりの量のZINEを購入した。どれも興味深すぎて…。
初めて触れるZINEの面白さを考えると何ら不思議ではないが、しかしあまりにも買い過ぎたので、そして作家としても大いに学ぶ事があると感じたため、「ZINEを購入するに至るきっかけ、決め手となった要素」を洗い出してみた。
・作者の方の声かけがきっかけで、スペースに立ち寄り本を手に取った
・ポスターなどの掲示物が目立ち、なおかつ気になる内容だった
・ZINEにわかりやすい目次と奥付がある
・他にはあまり見られない企画だった
・他にはあまり見られない装丁、本の仕様だった
・タイトルや表紙が面白かった、企画が伝わってきた
・ストレートに内容が面白そうすぎた
・値札にくっつけるなどの形で、「パッと見で読める文字数で」その作品の要点が解りやすくアピールされていた
・作者の方が自信をもって作品をオススメしてくれた
・作者の方とお話していて、「この人の事がもっと知りたい」と思った
結論:私もZINEを作りたい!ZINEフェスに出たい!
今思えば、同人誌作りが好きな私がZINEフェスに行けばどうなるか火を見るよりも明らかなのだが、ZINEを作りたくなってきた。そしてZINEフェスに出てみたい!
イラストや漫画はもちろんのこと、文章を書くことも写真を撮ることも大好きなので、「読者の皆さんに見て欲しい全て」を盛り込んだ最強の本を作りたい…。予定は未定だが、とにかく雑誌的な何かを作りたいなと思った。そしてZINEを作るとしたらDTPデザイン、IllusutratorやInDesignの勉強をしたいなとか、いろんな夢が一気に広がった。ワクワクする。
ちなみに、ZINEを作る夢を同行者に話したら、私のペンネームにちなんで「ZINEべえ」というタイトルを提案されたので白目を剥いた(今冷静に考えると悪くないけど、な、悩ましい…)。
さいごに
ZINEフェス東京は私にとって最高に刺激的で、居心地が良くて、それでいて創作の楽しみの根っこの部分を思い出させてくれた。行って本当に良かった。
次は出展側を目指したいと思う。noteでもいずれ良い報告が出来るよう、頑張ります。
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じんべえさんのセンスで作られるZINEは、趣味趣向がZINE向きだと思うのでかなり楽しみです。
実は私もそう思っているのです、、、>趣味趣向がZINE向き ありがとう!感性を爆発させたZINEを作りたい!