※日経エンタテインメント! 2025年11月号の記事を再構成
夏油傑(げとうすぐる)というキャラクターは、非常に複雑な背景を持つキャラクターだ。テレビアニメ第1期では、呪霊を率いる最悪の呪詛師として登場。しかし、その後『劇場版 呪術廻戦 0』では、五条悟の呪術高専時代の同級生で元呪術師だったことが判明したうえ、五条の手によりすでに死亡していたことが描写される。では、現在の夏油傑の姿をした偽夏油は何者なのか――。テレビアニメ第2期第22話で明らかになったその正体は、多くの視聴者を驚かせた。演じる櫻井孝宏は、夏油をどう捉え、演じてきたのか。
シリーズごと芝居に変化
1期のときはどう形作るか自分では決めることができなかったですね。台本ベースで原作と照らし合わせつつイメージを組み上げて、アフレコで披露して朴(性厚)監督や音響監督にディレクションをいただくという感じでした。私が作っていったというより、いくつも人の手が入っています。
最初に偽夏油が出てきたとき(第1期第5話)は、“明らかに人でない者と一緒にいる、人っぽい袈裟を着たおでこに傷のある奴”でしかなく。情報はそれしかないけど、それでもこの人は何かある感はすごい。だから、当初考えていたアプローチはもっと悪い人でしたね。でもそうではなく、意訳すると「気のいいお兄さんみたいな感じで」と。優しい、穏やかなという演出をいただいて1期のあの形になりました。
絶えず微笑をたたえて、どこかタクトを握っているような。そして最悪の呪詛師であると。具体的な狙いがあったというよりは、何だか分からない人という演出の指示でした。だから難しくて。アニメスタッフの方々とコミュニケーションを取り、キャラクターを作り上げました。
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前日譚である『劇場版 呪術廻戦 0』、過去編であるテレビアニメ第2期「懐玉・玉折」は夏油本人。そして「渋谷事変」では再び第1期と同じ夏油の姿をした何者かを演じた。
『0』は楽しかったです。劇場用に作られているフィルムのテンションって、やっぱりテレビシリーズとは少し違うと感じるんですよね。かつ1期の頃より縛りも少なく、監督たちも「もっとやっていい」と。もっと表情を拾ってもらっていいです、もっと高らかにやってください、という感じでした。(夏油が高専でパンダと狗巻棘(いぬまきとげ)と戦うシーンの)「私は猛烈に感動している!」というセリフは、そこまでやると思いませんでしたと言われましたが(笑)。彼がちょっと舞台のような立ち回りをするので、存分に拾って表現しました。そういう意味では、1期のときはレンジがものすごく狭くて黄緑、緑、深緑だったのが、『0』では何色でも使っていいよというふうに変わったイメージです。
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