「熱海のクマ」後世へ 捕殺 左手届く ガイドの会室伏さん「危機感高めて」―熱海
熱海市熱海の県道熱海函南線(通称=熱函道路)沿い、鷹ノ巣山の山麓で昨年末に捕殺されたツキノワグマの左手が14日までに、熱海まち歩きガイドの会名誉顧問を務める室伏友三さん(77)=泉=の元に届いた。元環境省自然公園指導員で、野生動物に詳しい室伏さんは「『熱海のクマ』としては第1号になる。きちんとした形で後世に残さないといけない」と語り、今後は市の公共施設などで保存展示すべきだと提言する。 捕殺に立ち会った熱海猟友会(山崎恒夫会長)から関係者を通じ、市議の一人として再三にわたって「熱海でのクマ対策の徹底」を唱え続けている室伏さんの手に渡った。12月に開かれた市議会の定例会一般質問では、隣接する神奈川県湯河原町のクマ目撃情報資料を提示した上で「全国的に出没頻度は過去最高を更新している。現状を踏まえ、移動経路や人との住み分け環境など、危機意識を高く持って具体策を講じるべきだ」と市の姿勢をただした。 これに対し市は神奈川・丹沢山地に生息するツキノワグマを引き合いに、同町で4件の目撃情報があった点に触れた上で「(クマの)移動経路として箱根から伊豆スカイラインを南下する可能性が高い」と説明する一方、「地形的に山間部と市街地が隣接する市では、人とのすみ分けが難しい状況」といった答弁に終始。だが今回の捕殺事例を受け、改めて市内でも危機感を持った早急な対応が求められる状況となった。 ■室伏さん警鐘「ごみの出し方注意を」 室伏さんはここ数年、鹿ケ谷公園や姫の沢公園でクマとおぼしき足跡や木への爪とぎ跡を見つけ、県に報告するなど以前から警鐘を鳴らしてきた。「生物多様性に富んだ熱海は、学校や市民の居住区の多くが自然に囲まれている。観光地という特性もある」と指摘した上で「住宅地を中心に、ごみの出し方と管理手法にさらなる工夫、対策が必要」との見解を示す。 クマが近寄りやすい環境をつくらない意識づくりと一人一人の対策が重要と強調し、さらなる対策法として▽児童生徒の登下校時には防犯ブザーなどの必携と活用▽一般向けには「クマベル」、山歩きガイドらはクマ忌避剤(撃退スプレーなど)の持参と活用徹底▽使用頻度の少ない空き別荘、廃屋、空き家などの床下は越冬、冬眠の場になりうる―と、改めて注意喚起する。
伊豆新聞デジタル