高校生の女の子Aから「お父さんが(入管の)部屋から出てこない。捕まるかもしれない」と泣きながら電話があった。かなり興奮してる状態で、突然の出来事に私も混乱した。
Aは幼少の時に日本へ来ていて、日本の文化しかわからない。母国語はまあまあ喋れても、読み書きはできない。日本が大好きで、優しい先生や同級生に囲まれている。日本で生きていくことしか考えておらず、ビザが出る日を今か今かと待ちわびていた。
家族は東京入管に呼ばれた。この時は難民申請の結果だけだと思っていたので、さほど心配していたわけではなかった。私自身も忙しかったので付き添うことはできなかった。
急遽、母親と子供たちにビザが出た。しかしお父さんだけ部屋に残され、家族は部屋の外に出されてしまった。
これは収容だと気づき、家族は泣きながらお父さんを出してほしいと職員に訴え、何時間も父親が出てくるのを待った。この日、ついには出てくることはなかった。
立ち上がれないほど泣き崩れ、その日は家に帰るのがやっとだった。夢だったはずのビザが出たのに、お父さんが強制送還されるかもしれないと絶望は深く、家に帰ってもAは何度も吐き続け、その後病院では胃腸炎だと診断された。学校も休み続けている。
この家族はもともと退去強制令書が出ていなかった。昨年は令書が出ていない家族には次々にビザが出たので、私はこの家族もいずれはビザをもらえるものだと思っていた。
難民申請は却下されてもいないのに、この日に退去強制が出て収容された。知り合いの弁護士に聞くとこのケースは珍しいみたいだ。
後日、父親の面会に入ったら、
「家族にビザを出すことを引き換えに、あなたを収容すると言われた・・・」
と証言していた。お父さんもかなりやつれている様子だったが、「帰ったら危険だから」と帰国の意思はない。
難民申請が続いている状態であれば、送還はできないので監理措置に切り替えて外に出るほかない。
しかしこれ本当に収容する必要があったのだろうか?家族にビザを出しといて、同じ日に父親を収容。子供たちを無駄に突き落として、諦めさせるように振るいをかけたとしか思えないのだけど・・・。
本当に入管のやっていることは理解できない。