「障害年金」の判定結果を、ひそかに職員が捨てていた…日本年金機構 でも「職員が悪い」では解決しない根本的な原因とは
その結果、年金機構には「不正に受け取ろうとする障害者や社労士がいる」という認識が広がっているとみられる。社労士の間でも「受給者の中には、本当に障害年金が必要なのか首をかしげる人もいる」という声が聞かれる。 ▽課題を放置してきた国にも責任が 相互不信を招いている根本的な原因は、判定の仕組みにあると言えそうだ。 障害者の日常生活の様子を見ていない医師が診察室でのやりとりだけで診断書を書き、年金機構の判定医が書類だけ見て1人で審査する。もともと診断書の書き方や医師の個人差で左右されやすい構造だ。 そのため、障害者や社労士の側では「診断書を有利に書いてもらおう」となり、年金機構の側では「この判定はおかしい」ということが起きる。 障害者の生活実態をもう少し丁寧に調べ、複数の医師や福祉職が合議で審査する仕組みにすれば、こうしたことは起こらないだろう。 判定方法をそのように変えるべきだという声は以前からあるが、制度設計を担う厚労省は「手間と費用がかかりすぎる」として、応じてこなかった。
判定結果の破棄は「年金機構の職員が悪い」という単純な話ではなく、課題を認識しながら放置してきた厚労省の責任も重い。機構と厚労省は調査と説明を尽くし、より納得感の得られる判定方法に変えることが求められそうだ。 【用語解説:障害年金とは】 病気やけがで障害があり、条件を満たせば現役世代でも受け取れる公的年金。障害基礎年金と障害厚生年金の2種類がある。自治体が交付する障害者手帳とは別の制度。障害の重い順に1~3級に分かれ、支給額は基礎年金の1級で月約8万6千円、2級で約6万9千円。「基礎」の場合は、3級と判定されると支給されない。2024年3月末時点で受給者は約242万人。精神・発達・知的障害者が7割を占める。