「障害年金」の判定結果を、ひそかに職員が捨てていた…日本年金機構 でも「職員が悪い」では解決しない根本的な原因とは
国の公的年金には、障害のある人が受け取れる「障害年金」という制度がある。障害の重さなどを日本年金機構が審査して、「条件を満たしている」と判定されれば支給される。 【写真】「家でゴロゴロしていても」時給1500円のナゾ 障害者就労支援事業所の「あり得ない」手法
障害の重さを判定するのは、年金機構から委託を受けた医師。ところが、機構職員が一部のケースで医師の判定をひそかに破棄し、別の医師に頼んで審査をやり直していたことが分かった。担当部署で長年、行われていたとみられる。年金機構は「医師が医学的に判定している」と説明していたのに、職員が医師の判定を否定していたことになる。なぜそんなことが起きていたのか。(共同通信=市川亨) ▽全国から東京に書類が集められる きっかけは、年金機構の「障害年金センター」に勤務する職員Aさんの、こんな証言だった。 「医師が『支給』と判定しても、上司の職員が『これは支給じゃない』と差し戻して、別の医師に回すことがあるんです。1人目の医師の判定はなかったことにして、判定結果の記録はシュレッダーにかけて捨てています」 そんな話は聞いたことがなかった。私は障害年金について10年以上取材しているが、初耳だ。ルール上は医師が「支給」と判定すれば、そのまま支給される。年金機構の職員に、医師の判定を覆す権限はない。
ちなみに申請から支給までの流れを簡単に説明すると、こんな感じになる。 ①まず医師に診断書を書いてもらい、他の書類と一緒に全国の市区町村役場や年金事務所で申請する。 ②書類は東京にある「障害年金センター」に集められ、職員が書類に不備がないかなどをチェックする。 ③年金機構が委託する医師が、診断書などを見て支給の可否や等級を判定する。障害の等級は重い順に1~3級に分かれている。 Aさんの話によると、③の後、医師でもない職員が判定のやり直しを判断していることになる。 ▽上層部の指示ではなさそう 本当にそんなことが行われているのか。年金機構広報室に質問を送ってみた。すると、そうした取り扱いを認めた上で「事実関係を確認中」という答えが返ってきた。 すぐに次の疑問が浮かんだ。いつからやっていたのか、年間に何件そういうケースがあったのか。過去の記録は破棄されているため、全容は分からないとみられる。それでも、年金機構と所管の厚生労働省は廃棄されずに書類が残っていた数百件(最近3カ月間分)について調査を始めた。