だから山田久志監督とは決別した 「殴って辞めたろうかな」妻に相談すると…【山﨑武司 これが俺の生きる道】#64
日刊ゲンダイDIGITAL / 2026年1月14日 11時0分
蜜月の時間は短かった(山田久志監督)/(C)日刊ゲンダイ
【山﨑武司 これが俺の生きる道】#64
2001年オフ、FA権を行使した上で、中日残留を決めた。しかし、オープン戦から調子が上向かない。開幕後も復調できずにいると、開幕6試合目でスタメン落ち。そして4月29日、二軍行きを告げられた。
FA交渉中は「一緒に頑張ろう」と引き留めてくれた山田久志監督だが、見切りの早さには驚いた。起用方法を決めるのは監督。それ自体に文句はなかった。「まだここから調子を上げられる」と思っていただけに、モヤモヤは募った。
二軍暮らしが2カ月以上続き、7月に入ってようやく一軍に昇格。16日のヤクルト戦で左腕の藤井秀悟からシーズン2号を打った。その後もスタメンと代打を行き来する日々が続き、26日の阪神戦(甲子園)で“事件”が起きた。
この日スタメンだった俺は、3タコと結果を残せずにいた。試合が3対3の同点で迎えた九回表、1死満塁のチャンスで4打席目が回ってきたが、空振り三振に終わった。その裏、蔵本英智のエラーでサヨナラ負け。翌朝、中日スポーツをめくると、こんな山田監督のコメントが載っていた。
「みんな必死になってつなごうとチャンスを作るのに、どこかでブツッと切ってしまう。使う俺が悪いんだけど、チームを奈落の底へ落としてしまう選手がいる。まるで、お通夜みたいだ」
俺を名指しにしたわけではない。でも、間違いなく俺のことを言っている。エラーをした英智じゃない。俺が打っていればエラーもなかったのだから。
「監督を殴って辞めたろうかな」
妻にそう言うと、「子供のことも考えてよ」と一蹴された。おっしゃる通りだけど、モヤモヤした気持ちは消えなかった。
試合前、練習中のグラウンドで山田監督に直接「あれは自分のことですよね?俺だってハッキリ名指しで言ってくださいよ」とお願いした。ワガママだということは分かっていた。でも、山田監督はシレッとこう言った。
「いや、おまえとは限らんぞ」
ああ、もうこの人とは無理だ、信頼関係を築くことはできない。そう悟った。打てない自分が悪いが、言いたいことがあるなら面と向かって言ってほしい。なのにメディアを通して批判したうえ、直接問いただしたら言葉を濁すなんて……。星野仙一監督だったらきっと俺のワガママを受け止めてくれたはずだ。その後、再び二軍落ち。山田監督とはこのとき以来、言葉をかわすことはなかった。
二軍では「4番・一塁」でスタメン出場しても、打席に立つのは1度だけ。
「どうせ一軍に上げないんだから、俺なんか使ったって意味ないでしょう。やることもないんで、好きなようにやらせてもらいますから」
二軍監督だった大橋穣さん(故人)にそう宣言して、打とうが凡退しようが関係なく「はい、じゃあどうも」と言って、さっさと帰った。
大橋さんには毎日なだめられていたが、まったく聞く耳を持てなかった。自暴自棄になっていた俺を周囲は誰も止められなかった。
(山﨑武司/元プロ野球選手)
◇ ◇ ◇
日刊ゲンダイDIGITALではこの続きを公開中。それから山崎氏はどうなったのか。プロ野球ファンは要チェックだ。
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