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市場の縮小や人手不足により、ビジネス環境が年々厳しくなっていく中で、「1年に1回しか営業するな」と提言されたら、あなたは荒唐無稽だと感じるでしょうか? しかし、「これこそ企業が儲かる体質に変わる秘策だ」と語るのは、展示会営業の専門家で中小企業診断士の清永健一氏。

今回は、アポにつなげて確実な営業成果を上げるための、展示会後の「フォロー術」について、氏の著書『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に「1回」しか営業しない!』から再構成してお届けします。



■初動のワナにはまるな
展示会当日、来場者との商談が盛り上がり、「稟議用の資料が欲しい」「すぐに連絡してほしい」と言われ、営業スタッフが心の中でガッツポーズをする光景はよく見られます。しかし、展示会は一種の「お祭り」であり、来場者はその場の雰囲気で調子よく話をしてしまう傾向があるという事実は、心得ておきたいところです。

展示会が終了した後、勇んでアポイントの電話を入れても、多くの場合、来場者は「展覧会?ああ、先週のやつね。それで、どちらさんでしたっけ?」と、態度を一変させます。これは、来場者が会期中に得た膨大な情報の波に流されて、ブースでの熱狂をすっかり忘れてしまうためです。

このような状況で、展示会後に「がんばってアポを取ろう」と考えるのは、もはや負け戦。強引な電話営業では、相手に「売り込みをされた」と感じさせてしまい、かえって心証を悪くするだけですから、もちろんよい成果は期待できません。重要なのは、来場者から望まれて訪問できるように、あらかじめ次の接点のために「布石」を打っておくことなのです。

■次のアポにつながる「特典」の仕込み方
それでは、来場者から「ぜひ来てください」と望まれて次の機会を得るためにはどうしたらいいのでしょうか。展示会に臨む際には、必ず「次につなげる特典」を事前に用意しておきましょう。ただし、もちろんただ特典をつけるだけでは効果がありません。

この特典設定において、多くの企業が間違いをおかすのは、安易に「通常価格から10%割引」といった、購入前提の割引特典を用意してしまうことです。割引は、アポを取りつけることに成功してから、商談が進み、ついに受注へ移行するという段階では有効ですが、展示会での初接触から後日訪問につなげる段階においては、まだ有効ではありません。

後日訪問のための特典としては、多くの場合、「〇〇診断」や「〇〇点検」、「〇〇調査」といったような、見込み客の抱える問題点を明らかにするための、提案サービスが必要となります。

例えば、私のクライアントである、介護施設向けに清掃サービスを提供する会社の事例では、介護施設経営者の切実な悩みである「ノロウィルスやインフルエンザが本当に怖い」というお困りごとに対応した、「ウィルスチェック診断」を先着数名に限定で無料提供するという特典を打ち出しました。これは非常に次へつなぎやすいアイディアと言えるでしょう。

また、こうした診断や点検のために、新たに工数をかける必要がない特典であることも重要です。新規顧客を初回訪問した際、よく観察してポイントになる要素を洗い出しておき、それを顧客にとってメリットのある表現に言い換えるだけで十分な訴求力があります。例えば、コピー機の「印刷物コスト削減診断」なら、初回訪問時にコピー機を目視で確認したり、利用枚数をヒアリングしたりする、といったことをしておくわけです。

事前にこうした仕込みをしておくことで、後日アポイントを取得するために必要なアピールポイントを考える手間を削減できますし、サービスそのものも提案しやすくなるでしょう。少しの工夫が、成果を大きく変える鍵になるわけです。

■商談では「売らない」
特典によって後日の訪問が実現したら、いよいよ本格的な商談が始まります。この商談で最も重要なことは、「売りたい商材のPRをする」という従来の営業スタンスを捨てる、つまり売ろうとしないことです。

展示会後の見込み客は、通常の引き合い客に比べると、ニーズがまだ顕在化していないケースが少なくありません。具体的にどんなサービスでなにをしてほしいというイメージを持っているというよりは、「問題解決を支援してほしい」という期待を持ち、提案してほしいと思っている状態です。

ここで商品を売り込んだところで成果は出ませんから、問題解決を支援するスタンスに徹する必要があります。

そもそも「問題」とは、「現状と理想の間にあるギャップ」のことです。これは展示会営業に限りませんが、多くの見込み客は、自社の現状や理想を正確に把握できていませんし、ギャップが見えていなければ、解決を支援することは不可能です。そのため、見込み客が「困っています」「問題だと感じています」と発言した際、慌てて自社商材を提案するのではなく、一言こう問いかけてみてください。

「それでは、どうなれば嬉しいと思われますか?」

この質問を投げかけることで、相手が理想の状態について考え、語り始めますから、現状と理想のギャップが明確になり、初めて問題解決の支援が可能になるのです。

■50%を占める「そのうち客」を育成する
実のところ、展示会が終わってすぐに購入を検討する「今すぐ客」は、約25%に過ぎません。そして、全体のうち約50%は「そのうち客」、つまり「今はまだ購入のタイミングではないが、いずれは検討しようと考えている見込み客」です。

注意したいのは、この「そのうち客」に対してしつこく面談を迫ってしまうと、彼らは「売り込みが激しい」と感じてしまい、自社が将来の検討候補から外されてしまうという点。しかし、もちろん何も手を打たないというわけにはいきません。

せっかくの「そのうち客」をムダにしない方法は、継続的に情報提供を続けることです。これには、メールマガジンを送るという手段が非常に有効ですから、最低でも月に1回、できれば2回は送るように努めましょう。

メールマガジンの目的は、「そのうち客」に自社を忘れさせず、「この会社は自分の悩みに寄り添おうとしている」という印象を与えて、良好な関係を築くことです。

したがって、メルマガの内容は、商品の特長や割引価格情報といった「売り込み」の要素を避け、出展コンセプトで特定した見込み客の困りごとに対する解決策や、悩みに寄り添ったお役立ち情報を提供する必要があります。これにより、見込み客は「この会社は自分の悩みを分かってくれている」と感じてくれるでしょう。

さらに提供する情報の質を高めるためには、動画の活用がおすすめです。動画による情報伝達力は、文字による伝達よりも4,500倍も高いと言われていますから、メルマガにYouTube動画のURLを添付することで、訴求力を高めましょう。表情やトーン、現場の雰囲気などを視覚情報としてプラスすることは、見込み客との関係性構築に大きく貢献します。

こうした展示会後のフォローは、出展を単発のイベントとして終わらせず、長期的な売上構築のエンジンに変えるための必須戦略です。展示会を活用することで、中小企業は従来の「売り込む」営業から脱却し、「望まれて訪問する」営業スタイルへと変革して、確実な成果を手に入れることができますので、ぜひ参考にしていただければと思います。


清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント


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【プロフィール 清永健一 株式会社展示会営業マーケティング代表取締役 中小企業診断士 展示会営業(R)コンサルタント】
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神戸大学経営学部卒。展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。支援先企業からは、集客・受注・売上が大幅に増加したと好評の声が多数あがる。「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」など取材多数。支援実績は1300社超。ほぼ毎週東京ビッグサイトに出没している。
NHKラジオ総合第一で展示会の未来について言及するなど、展示会業界活性化にも尽力。展示会活用に関してテレビ等出演のほか、行政、公益法人、金融機関などで講演多数。
著書『最新版 飛び込みなしで新規顧客がドンドン押し寄せる展示会営業術』、『展示会のプロが発見!儲かっている会社は1年に1回しか営業しない』など合計7作はいずれもamazon部門1位を獲得。奈良生まれ、東京在住。

公式サイト https://tenjikaieigyo.com
X:https://x.com/tenzikai @tenzikai



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