SBI「第4のメガバンク構想」から筑邦銀行が離脱…残った地銀9行の選択は正しいのか?
なぜ、筑邦銀行は「第4のメガバンク構想」から離脱した?
順調に拡大してきた「第4のメガバンク構想」ながら、年の瀬が迫る2025年12月24日に思いもよらぬ発表が届いた。福岡県久留米市に本店を構える筑邦銀行が、SBIHDとの間で2020年1月に締結した資本業務提携契約の終了について、両社間で合意したという。 SBIは保有する約2.91%の筑邦銀行株も売却すると見られる。SBIが推進する「第4のメガバンク構想」から初の離脱となり、参加地銀は10行から9行となった。 なぜ、筑邦銀行は「第4のメガバンク構想」から離脱したのだろうか。 日本経済新聞(2025年12月25日付)によると、SBIは「第4のメガバンク構想」において資本業務提携するものの、出資比率が低く、協業も限定的な清水銀行や筑波銀行など複数の地銀にグループ入りを打診しているという。 「SBIは、(1)出資比率を15%以上に引き上げる、(2)役員を派遣する、(3)SBIグループのシステムを導入する、という3つの条件を通知」しており「SBIは今後、保有する地銀株を再上場したSBI新生銀行へ付け替え、新システムはSBI新生も導入する方針であり、地銀が3つの条件を受け入れれば、SBI新生の持ち分法適用会社となる」(日本経済新聞)という。 SBIによる出資比率が2.91%に留まる筑邦銀行も、出資比率の引き上げなど、さらなる提携強化を求めたSBIとの間で交渉がまとまらなかったと見られる。
これから筑邦銀行はどうする?次の生き残り策とは…
SBI新生銀行を核に「第4のメガバンク構想」を加速化し、地域金融機関とのアライアンス拡大を徹底推進する中で、SBIは、「戦略的資本・業務提携先各行との取り組みは今後、出資比率や提携の進捗度等に鑑みて、濃淡をつけて推進」「十分な協調関係を築くことができるか否かを主眼に判断」と表明している。 銀行に限らず、事業会社においても、「資本業務提携」を締結したとしても、持分法適用会社化や過半数を占めるような資本関係がない限り、出資先の経営の独立性を尊重した上での、当たり障りのない付き合い以上にはならず、業績や株価への効果も限定的なものになってしまうケースが多い。資本コストと株価向上を意識した経営に鑑みれば、SBIHDの出資比率引上げなどの打診は、上場する株式会社として至極全うな行動の1つと言えよう。 SBIの打診によって「第4のメガバンク構想」参加各行は大きな経営判断を迫られることになる。筑邦銀行同様にSBIの出資比率が数パーセントに留まる清水銀行、東和銀行、筑波銀行、大光銀行、東北銀行の5行の動向には注目しておきたい。 SBIからの出資引き上げなどを受け入れれば、直ちに業績や経営が向上したり改善したりする訳ではないものの、仮に「第4のメガバンク構想」からの離脱を決断した場合には、その先の道筋をマーケットに示す必要があろう。自主独立で進むのか、近隣他行などとの合従連衡に進むのか、いずれのケースも決して楽な道ではない。 実際のところ「第4のメガバンク構想」地銀9行の多くは、地域のトップ地銀ではなく、総資産規模も大きくなく、業績不振だったり、公的資金返済など問題を抱えている。「金利ある世界」の到来により業績が上向く地銀が多いなか、不良債権や有価証券の損失処理などにより減益となったり、預金獲得競争の激化により預金が減少していたりする。 公的資金注入行は、筑波銀行(350億円)、きらやか銀行(480億円)、仙台銀行(300億円)、東北銀行(100億円)の4行におよび、合計1,230億円にも上る(図表2)。 人口減少と異業種の金融進出が続く中、返済原資となる利益を積み上げ、かつ自己資本比率を保ちながら、公的資金を完済するのは簡単ではない。