地域想いびと、集う「地域共想プログラム」キックオフイベント開催
2025年10月17日、INTILAQ東北イノベーションセンター(仙台市若林区)で「地域共想プログラム」のキックオフイベントを開催しました。
本プログラムは、東北・新潟の社会課題に挑む社会起業家と共に、持続可能な地域の未来の実現を目指す取り組みとして2025年6月に始動。7月には各地で募集説明会を実施し、52団体の応募の中から8団体を採択しました。
キックオフイベントでは、採択者、メンター、社員伴走者、運営事務局など関係者が一堂に会し、相互理解とネットワーク構築を目的に交流。会場には、地域の未来を共に描こうとする熱い意志と期待が満ちていました。
この記事では、イベント当日の様子をお届けします。
キックオフイベント 開催概要
_主催者挨拶
_運営者挨拶
_採択者による事業概要等のプレゼンテーション
_ゲストからのビデオメッセージ
_伴走メンター・社員伴走者・事務局等紹介
「地域課題の先進地」に光を灯す
冒頭、東北電力 総務・地域共創部門の吉田マネージャーが登壇。
「私たちは『地域社会との共栄』を経営理念に掲げ、これまで歩んできました。しかし東北・新潟はいま、『地域課題の先進地』とも呼ばれています。持続可能で豊かな未来をつくるために、私たちが何をすべきか。考え抜いた答えの一つが、この地域共想プログラムです。皆さまと仲間としてつながり、共に考え、悩み、活動しながら地域の未来をつくっていきたい」と、本プログラムへの意気込みを語りました。
続いて、プログラム運営を担う一般社団法人IMPACT Foundation Japanの竹川氏が登壇。
「このプログラムは、地域に『心のライト』を灯すものです。東北電力は、普段はハード面で光を届けていますが、今回はソフト面でのライトを届けようとしている。社会課題の解決に挑む方々にとって、最高の伴走者だと感じています。私自身も、ここにいる皆さんと一緒に、10年、20年と続く変化を生み出していけることを楽しみにしています」と、採択者へエールを送りました。
8名の挑戦者、地域の未来を語る
続いて採択者が、それぞれの事業内容と本プログラムへの想いを語りました。地域への情熱と信念が凝縮されたプレゼンテーションが続きました。
世界とつながり、地域の逆流をつくる(株式会社Japan Navi青森 飯田さん)
トップバッターはJapan Navi青森の飯田さん。同社は、地域の魅力を世界に届け、持続可能な地域創生に貢献することをビジョンに掲げ、日本の特産品や文化を海外へ発信、世界との架け橋となる事業を展開しています。
「売上と地域貢献を両立する事業をつくり、この地域だけで100名以上の雇用を生み出したいと考えています。若者が地域に残りながら、世界とつながり、面白いことに挑戦できる。そんな『逆の流れ』をつくりたい」と力強く語りました。
三陸椿物語 ― 震災を越えて咲く、力強い花(株式会社バンザイファクトリー 高橋さん)
続いて登壇したのは、岩手県大船渡市を拠点に活動するバンザイファクトリーの高橋さん。震災で生き残った椿の木に希望を見出し、椿茶の製造・販売を通じて地方創生に取り組んでいます。
「椿は地中深く根を張るため、大津波にも耐え抜いたんです。その力強さと、春を告げる日本原産の木としての物語性に心を動かされました。椿茶という新たな価値に可能性を感じ、事業化を決意。福祉施設と連携し、現在は、約100名の方々と共に作業を行っています。将来的には400~500人が働ける仕事に育てていきたいです」と、柔和ながらも凜とした語り口で、会場に熱を届けました。
秋田から始まる、新しい医療搬送のかたち(株式会社VISTA 戸井田さん)
秋田市消防本部で約10年間、救急隊員として勤務していたVISTA代表の戸井田さん。現場で痛感したのは、軽症者の搬送が多く、本当に必要な人への対応が遅れ、救命率が下がってしまうという課題でした。その現実を変えたいという想いが、VISTAの出発点です。
「救急車は公的資源ですが、民間にも介護タクシーや民間救急などの搬送手段があります。公と民が連携し、緊急性に応じて柔軟に搬送できる仕組みを制度化したい。さらにDX化を進め、全国展開を目指しています。まずは行政との実証を通じて、東北・新潟からモデルをつくっていきたい」と、地域発の新しい医療搬送のかたちへの展望を語りました。
人のつながりが、まちをつくる(株式会社未来企画 福井さん)
15期目を迎えた未来企画の代表取締役 福井さんは、「人は、誰かとつながり、暮らしの中で生きていく」をビジョンに掲げ、介護・障がい福祉・保育・飲食・シェア型図書館など、福祉を軸に多彩な事業を展開しています。
「人とのつながりは本当に大切です。福祉を通じたまちづくりを進め、心がほっとできるような、緩やかなコミュニティの構築を目指しています。多世代が集う『地域の縁側』として運営する『アンダンチ』の再現性も見えてきたので、この世界観を他の地域にも広げ、共感の輪を広げていきたい」と穏やかな語り口で、熱い決意を語ってくれました。
キャラクターが動かす、地域の創造力(SSS合同会社 小田さん)
「東北ずん子」や「ずんだもん」などのキャラクターを運営するSSS合同会社の小田さんは、地域の人々が自由にキャラクターを使える環境づくりを進めています。自治体や住民が自らの手でプロジェクトを立ち上げ、地域を盛り上げる仕組みです。
「東北の人たちは、無料でキャラクターを使えるようにしています。例えば、白石市では、住民が自主的にクラウドファンディングを立ち上げ、スタンプラリー企画で600万円を集めました。こうした動きによって、地域が『勝手に』盛り上がる土台ができています。そして今、東北はクリエイティブの聖地になりつつあります。キャラクターを軸に、もっと地域を楽しく、面白くしていきたいです」と、ユーモアを交えた軽快なトークで会場を笑顔にしました。
はまぐり浜から広がる、ネイチャーポジティブの実践(一般社団法人はまのね 亀山さん)
牡鹿半島の蛤浜で、3世帯7人の限界集落に暮らす「はまのね」の亀山さんは、漁師としての営みに加え、山林再生、海産物への付加価値づけ、企業とのフィールドワークなど、多彩な活動を展開しています。
「脱炭素やネイチャーポジティブに賛同する企業は多いですが、何をすればいいのか分かりづらい。だからこそ、現地で語り合い、行動に落とし込むことが大切です。そこから新しい事例も生まれています。1人でできることは小さいですが、仲間を増やし、変化を加速させたい」そう語る眼差しには、海と共に生きる人の強さと覚悟がにじんでいました。
2,000人のまちから、世界へ香りを届ける(株式会社Kokage 大島さん)
福島県川内村で蒸溜所を営む大島さん。東日本大震災の影響で、一度人口がゼロになったまちに、豊かな地下水と土地の固有の植物を活かしたクラフトジン製造を軸に、再生の火を灯しています。
「戻ってきた人、新たに移住した人たちは、みんな驚くほど熱量が高い。でも、世界から見た福島の印象は、まだ十分に変わっていない。だからこそ、自分の手でそのイメージを塗り替えたい。『人口2,000人のまちから世界へ』をキーワードに、地域の文化が息づく持続可能なブランドを育てていきます。」率直な言葉でこう語り、福島の、川内村の明日をまっすぐに見据えました。
医療の未来は、地方から始まる(株式会社コルシー 堀口さん)
地域の医師不足に、テクノロジーで挑むのがコルシーの堀口さん。医療機関や健診センターの心電図データを専門医とつなぎ、どの地域でも高精度な検査を提供できる仕組みを構築しています。
「我々はITベンチャーですが、あえて地方に拠点を置いています。現地にいないとその地方の医療の現実は見えない。だからこそ、地域に根ざした私たちが医療を変えていく必要があると思っています。地域発のテクノロジーで、東北・新潟の医療をアップデートしていきたい。このプログラムをその出発点にしたいです」その言葉に、地方から医療の未来を切り拓こうとする確かな意志が感じられました。
共想を通じて新しい価値を、共に
イベント後半では、アドバイザーを務める宮城大学教授の佐々木先生からのビデオメッセージを紹介しました。
「これからの東北・新潟は、東京との関係にとどまらず、世界を意識する時代になります。ぜひこの機会を生かし、地域から世界に通用するビジネスモデルを築いてください」
続いて、メンターを代表して、ハバタク株式会社代表取締役の丑田さんからもメッセージが届けられました。
「東北・新潟には多くの課題がありますが、その分、解決しがいのある余白と可能性にあふれています。本プログラムが、起業家・民間企業・行政・地域の方々など垣根を越えてつながり、共に解決していくコミュニティとして育っていくことを期待しています」
会場は、地域の可能性を信じる前向きな言葉が重なり、温かな共感と希望に包まれました。さらに、参加者の熱い想いに触れることで,未来へとつながる新たな連携の可能性も感じられました。その熱気を引き継ぐように、その後行われたリーダーシップ講義では、参加者同士が互いの想いを交わしながら、学びを深めていきました。
今後、採択者は専門家による講義やワークショップを通じて学びながら、伴走メンターと共に事業を磨き上げ、社会的インパクトの最大化に挑んでいきます。また、当社社員も伴走者として参画し、採択者と共に地域課題に向き合うことで、企業としての「共創力」も育んでいきます。
そして、 2026年3月6日(金)には、その集大成となる最終成果発表会を予定しています。この発表会では、採択者が約半年間の取り組みを通じて得た成果や学び、今後の展望などをプレゼンテーション形式で発表し、地域の新たな可能性を切り拓きます。
東北・新潟の未来をつくる取り組みが、いよいよ本格的に動き出しました。
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社会課題への挑戦がここから加速します。
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