【採択者インタビューvol.6】地域の魅力を再構築し、世界への懸け橋に‐Japan Navi Groupが青森から広げる挑戦の輪‐
- 社会課題に挑む採択者8団体のストーリーを、シリーズでお届けする「採択者インタビュー」。事業の背景、描く未来、そしてプログラムコンセプトである「Think,Our Social」への想い―それぞれの挑戦のかたちをお届けしていきます-
第6弾は、青森を起点に「地域と世界をつなぐ」挑戦です。Japan Navi Group代表の飯田広助(いいだ こうすけ)さんは海外赴任を通じ、地域には世界に通用する魅力が沢山ある一方で、それらを十分に届けられていない現状に気づき、起業を決意します。シンガポールで立ち上げたメディア事業の成功を経て、地元・青森に拠点を開設。海外に向けた地域PRや特産品の販路拡大、インバウンド誘致、教育の国際化促進事業など、地域の可能性を広げる取り組みを進めてきました。現在は、青森発のモデルを東北・新潟、そして全国の地域へと広げていくフェーズへ。人口減少が進む中でも、地域が持続的に豊かさを生み出せるよう、経済と雇用の拡大に挑んでいます。
海外赴任で気づいた「地域の可能性」
青森出身の飯田さんは、銀行員時代に経験したインドネシアへの海外赴任が起業の大きなきっかけになりました。当時のインドネシアはアジアでも特に経済成長の勢いが強く、街全体が前向きなエネルギーに満ちていました。現地で多くの人と交流する中で、日本への関心の高さを再認識する場面も多かったといいます。
「インドネシアの方々は本当に日本が好きで、技術も製品も素晴らしいと褒めてくれました。ただ、日本で知っている地域は東京などの大都市が中心で、私の故郷である青森を知っている方は誰もいませんでした」
しかし、青森の自然や文化、祭りなどの魅力について語ると、現地の同僚たちは「とても素敵だ」「行ってみたい」と、皆一様に興味を示したのです。
この経験を通して飯田さんは、日本の地域には確かな魅力がありながら、海外へ十分届けられていない現状を強く意識するようになります。もし地域と海外と直接つながり、価値を交換できるようになれば、国内の人口が減少する中でも地域の可能性は大きく広がるのではないか―その想いが、新たな挑戦を後押ししました。
地域と世界をつなぐ挑戦―シンガポールで起業
2015年末に30歳で銀行を退職し、翌2016年にはシンガポールでメディア企業を設立。シンガポール在住の日本人向けライフスタイルメディア『SingaLife』を創刊します。現地の生活に密着した情報を丁寧に届けることで評価を高め、創業からわずか3年で同分野のシェアNo.1を獲得しました。
シンガポールで起業した理由は、「世界への広がりをつくるのに適した場所」と感じたから。「赴任していたインドネシアも候補でしたが、シンガポールは国際的な物流や情報のハブになると、より魅力を感じたんです。」
さらに飯田さんはシンガポールでのメディア事業と並行し、日本でも「地域と世界をつなぐ」事業を広げていきます。2022年に株式会社Japan Naviを立ち上げ、海外に向けた地域PRや地域特産品の販路拡大、インバウンドツアーの企画、自治体・企業の海外向けブランディング支援など、地域がグローバル市場と接点を持つための仕組みづくりに取り組んできました。
例えば、2022年には、シンガポールで「浜松フェア」を開催し、鰻やみかんジュースが好評となったほか、2024年には長野県安曇野市や大分県大分市の特産品を使用した試食会を複数回実施し、試食会後の商談で取引に至った商品も生まれました。
地域の未来へ、学生が世界と触れる機会の創出
2024 年1⽉、地元・⻘森に「Japan Navi ⻘森」を設立し、地域と世界をつなぐ事業を さらに発展させます。その象徴的な取り組みの一つが、むつ市と共同で立ち上げた「Aomori Global Advance Project」です。アジアでトップクラスのシンガポール国立大学の学生がむつ市をはじめとして⻘森県内に3週間短期留学し、ホ ームステイや地域事業者の視察、地域産品の加⼯などを体験。帰国後は⻘森の魅力を アジアに向けて発信するインターンシップを⾏うプロジェクトです。本プロジェクトの参加をきっかけに むつ市で働く道を選んだシンガポール国立大卒業生も生まれています。
さらにこのプロジェクトは、地元の学生にとっても多様な価値観や異文化に触れる貴重な機会となっています。県内の高校生とのディスカッションなど、学生同士の国際交流は必ず取り入れており、同社が力を入れる教育の国際化促進事業にもつながります。
飯田さん自身、青森で育ちながら海外赴任を契機に起業へとつながった経験があるからこそ、地域の未来を考えるうえで「世界に触れる経験」が非常に重要だと感じているのです。
「青森や東北には新しい挑戦に慎重な文化があり、若い世代が企画やプロダクトづくりに挑戦する機会は決して多くないように思います。生まれた地域によって視野の広さや挑戦の選択肢が変わってしまうのは、本当にもったいないと感じています」
こうした考えから、Aomori Global Advance Projectなどの活動を通じて、青森の若い世代がより広い視野で未来を描けるよう、地域と世界との懸け橋になることを目指しています。
故郷で夢を叶える道をつくる
これまでJapan Navi Groupは、行政や地域事業者と連携しながら、地域へのインバウンド誘致や地域特産品の海外販路拡大など経済的な成果を生み出してきました。
飯田さんは、こうした事業の拡大が、地域事業者の売上向上につながるだけでなく、地域の雇用を生み出し、若い世代が「地元に残る」という選択肢を持てるようになると考えています。
「私自身、青森から東京に出て、多くのことを学びました。そのため都会に出ること自体が悪いとは全く思いません。しかし、もし本当は地元で働きたいのに“選択肢”がなくて離れてしまうとすれば、それは本人と地域の双方にとってあまりにもったいないと感じます。弊社の事業や活動を通じて、若い世代が地域の中にいても志を持ち、自己実現できる道をつくりたいと強く思っています」
そんな想いから、今回の地域共想プログラムへの参加を決めました。
創業当初は一人で始めたJapan Navi Groupの活動も、現在は日本の他、海外4カ国(シンガポール、アメリカ、台湾、オーストラリア)に拠点を構え、約50名の仲間を抱える企業へと成長。飯田さんは、地域共想プログラムを通じて、自社の認知度向上や、自治体・地域産品の取扱事業者とのネットワーク構築を進め、将来的に東北・新潟地域だけで100名以上の雇用を生む事業づくりを目指しています。
さらに飯田さんは、こう続けます。
「青森で形になりつつある地域活性化と雇用拡大のモデルを、日本全国の地域にも幅広く展開し、人口減少下にあっても、より多くの地域にプラスのインパクトと未来への希望を生み出していきたいです」
あなたにとっての「Think, Our Social…」とは?
飯田さんにとっての「Our Social」は、地域と世界をつなぎ、新たな産業と働く場を創出することで、若い世代が地元で挑戦できる社会。その先には、人口減少下でも一人当たりGDPを増やし、経済と雇用を拡大できる未来を描きます。
そのために、青森のモデルを東北・新潟、ひいては日本全国の地域へ広げることに加え、農業やスポーツ事業、学校や街づくりなど、地域に新しい産業や学びの場を生み出すことにも挑戦したいと考えています。
「生まれ育った地域に誇りを持ち、挑戦したいと思ったときに、地元を離れなくても実現でき、そうした一人一人の想いと挑戦が地域の発展に繋がる社会を目指したい。私たちはそのために、地域と世界をつなぐ架け橋となり、一つひとつの事業で成果を積み重ね、日本のあらゆる地域をより良くしていくお手伝いをしたいと思っています。弊社は“地域創生を代表する会社になり、日本中を元気にし続ける”というビジョンを掲げており、ぜひそうしたコンセプトに共感してくださる方は一緒に挑戦しましょう」
あなたなら、生まれ育った地域と世界を、どうつなぎますか?
Profile
株式会社Japan Navi青森(Japan Navi Group) 代表取締役
飯田 広助
活動拠点:青森県青森市(グループでは日本各地および海外4カ国に拠点を有する)
実現したい未来
地域と世界を繋ぐことで人口減少下でも一人当たりGDPを増やし、経済と雇用を拡大
事業概要
シンガポールや米国など海外拠点を活かし、地域と海外を直結。地域産品の海外販路拡大やインバウンド誘客を進め、地域が海外需要を積極的に取り込む仕組みを築く。
※本インタビューは、2025年11月に行いました。
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