今を生きる力と未来を照らす言葉~東北電力中学生作文コンクール半世紀の歴史とその先へ~
突然ですが、みなさんは「東北電力中学生作文コンクール」をご存知でしょうか。
このコンクールは、今年で第51回を迎え、これまでに約73万編の作品が寄せられてきました。
「学校の課題で書いたかも」、「こどもが応募しました」など、過去に関わっていただいた方もいれば、
「東北電力が作文コンクール?」と、その関係性を意外に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
では、なぜ東北電力が作文コンクールを始め、半世紀にわたって続けてきたのか。今回は、その想いと歩みをお届けします。
はじまりは1975年
「東北の繁栄なくして当社の発展なし」――これは当社創立以来の基本的な価値観であり、どんなに社会が目まぐるしく変化しようとも、東北・新潟への貢献は、私たちが最も大切にしてきたことです。
この価値観のもと、私たちはこのように考えました。
「東北・新潟の将来を担う中学生のみなさんが、郷土についてどんな夢を持ち、どんなことを考えているかを地域の方々にご紹介する。これからの郷土を中学生に考えていただくことが、東北電力という企業の責任ではないか」と。
1975年、この想いを形にするために「東北電力中学生作文コンクール」は誕生しました。
時代とともにテーマは変えつつも、「次世代を担う中学生のみなさんに、作文を通じて未来を見つめる新鮮な目と感動する心を失わず心豊かに成長してほしい」という、大切な軸は変えることなく、地域とともに現在まで歩みを続けてきたのです。
想いのバトンリレー
第1回のテーマは「わたしのまちの未来」。
自分の住んでいる郷土の歴史、伝統、風俗をふまえた未来像、未来への希望など自由な発想の作文が集まり、初開催ながらも6,273編の応募をいただきました。
記念すべき、第1回の最優秀賞は、青森県八戸市立美保野中学校一年の三浦昭子さんの「郷土愛の心で」。
祖父や父親、先輩などの話から、戦後、開拓地として出発した美保野の歴史や当時の移住者の苦労を知ります。
農作業のつらさ、電灯のない不自由さ、家のすき間から吹き込む雪の冷たさ——。
終戦から30年が経過し、高度経済成長期も終わりを迎えた時代背景の中、三浦さんは戦後の暮らしを想像しながら、電気や水道を「当たり前」に使える感謝の気持ちと郷土への誇りを丁寧に綴っています。
その後、時代は昭和から平成に変わります。
1989年、第15回目を迎えた作文コンクールの最優秀賞に選ばれたのは岩手県浄法寺町立浄法寺中学校三年の小坂千鶴子さんの「今、わたしの考えていること」。
バレーボールの選手生活を送る小坂さんは、コーチの気迫あふれる厳しい指導の反面、練習以外で見せる温かな人柄や人生への向き合い方に目を向け、コーチへの尊敬の気持ちを綴っています。
小坂さんはコーチの人間味と人生観に心動かされた経験を、印象的な一文で表現しました。
「―考えてみると、人生に影響を与えてくれるすばらしい人は身近にいることに気づく」
みなさんは、この一文から誰を思い浮かべますか?
これまでの歴史を振り返って
私たちはこう感じています。
「この作文コンクールは、人と人、過去と未来を結ぶ力を持ち、これからの生き方を変えるきっかけになる」と。
「作文を書いたからといって、すぐに未来が変わるわけじゃない」そう思う方もいるかもしれません。
けれど、作文を書くことで、自分自身の体験を見つめ直すことができます。今の僕・私がひねり出した言葉。
暗い過去を抱えながらも、未来への決意を込めた言葉。
それは、誰にも代替できない、自分にしか表現できないかけがえのない言葉です。
そして、それを読んだ誰かが、次の一歩を踏み出すきっかけになる。
さらに、大人になった自分にとっても、その言葉は未来を照らす灯になるはずです。
そんな「想いのバトンリレー」が、この作文コンクールには確かに存在しています。
第51回、テーマは「わたしのチャレンジ」
今年のテーマは「わたしのチャレンジ」。
430校から15,457人の中学生のみなさんにご応募いただきました。
最優秀賞に選ばれたのは、青森県十和田市立四和中学校三年の白川颯人さんの「忘れられないあの日の挑戦」です。
中体連陸上競技の新人戦県大会の経験を描いた白川さんの作文には、まるで私たちもその場にいるようなリアルな情景を感じます。
部活動での挑戦、将来への一歩、誰かを支える勇気——。
どの“チャレンジ”にも、等身大の想いや悩みを抱えながらも、前に進もうとする力が込められていました。
▼今回の受賞作品は、公式サイトにて公開中です。
東北・新潟で育つ中学生のみなさんが、どんな想いを抱き、どんな未来を描いているのか。その言葉に、ぜひ触れてみてください。
あなたの心にも届く、中学生のみなさんの想いがきっとあります。
最後に
東北電力作文コンクールに興味を持ってくださった方、そして実際に作文を書いてくれた中学生のみなさん、ご協力いただきました学校関係者のみなさま、全てのみなさまに心より感謝を申し上げます。
「東北電力の作文コンクールに応募したよ!」「わたしも!」
そんなふとした会話が、思いがけないつながりや共感を生み出すことがあります。
同じテーマに向き合い、言葉を紡いだ経験は、きっと誰かと心を通わせるきっかけになることを信じています。
子どもたちのまっすぐな言葉が地域の未来を照らし、誰かの心にそっと灯をともす――。
東北電力中学生作文コンクールが、そうした場であり続けることを願いながら、私たちは中学生のみなさんの全ての表現する勇気・覚悟を受け止めて、これからも「想いのバトンリレー」を支え、次へつなげていきます。


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