第1回【巨大樹の迷宮】ローグライクハーフリプレイ
※本作品はローグライクハーフの規定に基づくリプレイ記事です。ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
●物語のはじまり
「ねぇ〜次の町まだぁ? アタイおなかすいちゃった〜」
星空を映したような艶やかな毛並みの子猫が、甘えるように僕の足にすりすりとからみついてくる。
「ニャルラ、あんまりタイガさまを困らせるんじゃないよ」
僕の肩口からひょいと頭をのぞかせた銀毛の子狐が、子猫をたしなめるように小声でなだめた。
「え〜困らせてないよぅ。おなかすいちゃっただけだもん。ね、たいが〜」
「はは。たぶんもうすぐだよ。次のカラメールは大きな町って聞いてるから、おいしいものたくさんあると思うよ」
僕は足もとの子猫ニャルラにそう答える。途端にニャルラの瞳が星くずを散らしたように、キラキラに輝いた。
「ホント?! ナゴールみたいにおっきいかな。たのしみ〜」
「前の村で聞いたんだけど、丸々獣の肉料理が有名なんだって」
「にくりょうりっ!?」
ニャルラは、今まさに目の前にごちそうの皿を並べられたみたいな表情を浮かべた。
「タイガさま、ニャルラをあんまり甘やかさないで」
僕の肩に乗っかっている銀毛の子狐がとがった口をさらにとがらせてプリプリしている。
「いいんだよフォルネ。ニャルラはこれくらいで」
「そうなのだフォルネよ。アタイはこれくらいでいいのだ」
「むー」
フォルネがぷんむくれて、視線をそらした。
と、その表情が変化する。
「タイガさま、あれ」
進行方向を指し示すフォルネに、僕もその光景を見た。
僕たちが歩いているのは、森の脇をかすめるように進む街道。
視線の先にあるのは、少し前に僕たちを追い抜いていった護衛つきの一台の馬車だ。
先を譲ったとき、綺麗なドレスのお姉さんが窓から外を覗いていて、目が合った僕は少し見とれてしまった。
それは、前を行く馬車に向かって、巨大な鳥が今まさに急降下をかける場面に見えた。
緊急事態だ。
「フォルネ、ニャルラ、いくよっ」
「はいっ」「わかった〜」
僕が駆けだすと、フォルネが肩口から飛び降りて先行する。ニャルラもすぐにその後を追った。
巨大な鳥は、太陽の光を反射して、やけにキラキラと輝いているように見えた。
近づくとその理由がわかった。
鳥なのに、頭に王冠みたいなのを載せている。それだけでなく体にも輝く装飾品をいろいろつけているみたい。
巨大鳥の襲撃で、馬がけたたましく叫び、歩みを止めてしまう。
駆け寄る僕が見ている前で馬車の屋根の幌がバリバリっと破られ、巨大鳥の脚が突っ込まれた。
突然の出来事に、馬車の中から男女の怯えた叫び声が響く。
馬車に乗る人も周囲の護衛も、まだ誰も対応できていない。
巨大鳥が飛び立つときには、その鋭い爪に力なくこうべを垂れた人物を、しっかりと捉えていた。
それは、きらびやかなドレスに身を包んだ令嬢に見えた。さっきの、あのお姉さんだ。
「フォルネ! ニャルラ!」
僕の意をくんでいち早く馬車に接近した二匹は、左右から勢いよく馬車の屋根まで駆け上がり、大きくジャンプ。
しかし飛び去る巨大鳥にはわずかに届かず、二匹は互いにクロスするように空を切り、軽やかに地面へと着地した。
巨大鳥は、ゆうゆうと飛び去って行く。
「む、娘を……! 何をしているのだ。追え。追ってくれええ」
馬車の中からパニック状態でわめく男の声が聞こえる。
しかし動揺した馬に、馬車は歩みを止めたままだ。
馬車の左右を固めていた、馬に乗った冒険者風の男女二人が、巨大鳥の進行方向に向かい追跡を始めた。
僕はようやく馬車のところまでやって来た。
「タイガさま、間に合いませんでした」
「あとちょっとだったのに〜」
フォルネは僕の肩の定位置に乗っかる。
「あの……」
僕は帽子を脱ぐと、馬車の中で叫び散らかす男の人に声をかけた。
男は叫ぶのをいったん止めると、僕の方をじっと見つめた。上品な身なりをしているが、その顔は崩れてぐちゃぐちゃだった。
衣装の肩の部分が破れている。きっと、娘が連れ去られるのを防ごうと、鳥の脚に組み付いたに違いない。
「うん? 君は? どうして子どもが……君は魔物調教師かなにかなのか?」
僕のいでたちと連れている動物たちを見て、男は言った。
詳しく説明する必要もないと思い、あいまいにうなずく。
「先ほど後方から駆けつけて、オウカンワシから令嬢を救おうと動いてくださいました」
残る一人の護衛が、僕たちの動きを見ていたみたいだった。
「そうだったのか。助力に感謝する。しかし、間に合わなかった。我が娘コンスタンサは……」
落胆する男。
「こちらコーネリアス商会の当主、ヴァンダービルド様にあらせられます」
コーネリアス商会は、このあたりで大きな商売をしている豪商だという。
カラメールの街で海運を中心に事業を展開している。
僕たちがどう声をかけたものかと思案していると、巨大鳥を追いかけていた冒険者風の男女が戻ってきた。
「申し訳ありません。追いきれず……」
「オウカンワシが、巨大樹の中腹に消えるところまでは確認できました」
「なんと、あの『巨大樹』にか……いや、あれの巣があるのならそこくらいか……」
そこから、ヴァンダービルドさんは素早い立ち直りを見せた。
「オウカンワシなら、目当ては人そのものでなく装飾品だろう。まだ助けられる可能性はある。すぐにカラメールに向かうぞ。救援隊を組織し巨大樹に向かうのだ。お前たちが指揮を執れ」
「はっ」
そうして、ヴァンダービルドさんは僕に向けて言った。
「ありがとう。力及ばずであれ助力に感謝する。後日お礼はさせてもらう。我が商会を訪ねたまえ。この木札を出して取り次いでもらえば良い」
こんな場面でも、こうした細やかな心遣いができるのが、商人として成功する秘訣なのかもしれない。そんな風に思ったりもした。
「少年よ。名を訊いても良いか」
「はい。タイガといいます」
「タイガか。覚えておこう」
コーネリアス商会の人々はたちまち状況を立て直すと、早駆けでその場を去って行った。
僕は、巨大鳥が立ち去った方角を見た。
広がる森の向こうに、雲を突くようにそびえる巨木の影がかすんで浮かんでいた。
森の木々とは明らかに別格だ。
「あれが、巨大樹……」
「たいががなにかんがえてるかわかる〜」
「やっぱり、行くんですよね」
「……うん。ほっとけないかな」
「うぅ〜ごちそう〜〜」
「ごめんね。帰ってからでもいい?」
「もっちろん。やくそくやくそく〜♪」
僕たちは、進行方向を変えた。
目指すは巨大樹。さらわれたお姉さんを助け出すんだ。
■ローグライクハーフとは
「ローグライクハーフ」は、TRPGのように遊ぶこともでき、ゲームブックのように遊ぶこともできるという両者の中間のような位置づけのルールです。
1人でもプレイできますし、3人まででTRPGのように遊ぶこともできます。
その内容はランダムダンジョン。サイコロを振ってイベントを決め、起きた出来事に対処します。
同じイベントに行き当たらないような工夫がされているのもポイント高いですね。
簡単に遊ぶには、とても良くできたシステムなのです。
●作品紹介
ぜろです。
今回挑むのは、ローグライクハーフ「巨大樹の迷宮」になります。
「巨大樹の迷宮」は、その名の通りの巨大樹を高く登りつめ、さらわれた商家の令嬢を救い出す冒険です。
ダンジョンが地下に潜っていくのに対し、高くそびえる巨大樹を上へと進みます。
この設定をもとに、主人公キャラクターを作成し冒険に挑みます。
これまで私は、いろんな主人公を作成し、ローグライクハーフのシナリオに挑んできました。
初めて作り、「黄昏の騎士」に挑んだ戦士シズ。
「混沌迷宮の試練」「あやかし」「秋雨の狐」に登場した女侍、サクラ。
ウサギたちと戯れたウサギの友だち、ウサナギノミコト。
竜鍵諸島を遊び歩いた宇宙忍者ポストん。
正直、どのキャラクターにも愛着があり、いずれも再登場させたくて仕方ありません。
しかし今回また、新たなこころみを思いついてしまったため、新キャラクターの登場となりました。
それは、ローグライクハーフwikiにて「ヒーローオブダークネス」を眺めていた時のことです。
「ヒーローオブダークネス」は、人間以外の様々な種族でローグライクハーフをプレイできる追加ルールになります。
悪の種族や人外のモンスターなども設定されていて、ゲームの世界に、さらなる広がりをもたらすものです。
これを眺めているうちに、瞬間的に、思いついちゃったんですよ。
このルールを使えば、ローグライクハーフの世界で「ポケモン」ができるんじゃないかって!
それは、アランツァ世界の世界観を崩壊させてしまいかねない危険な思いつきかもしれません。
でも、思いついたらやってみたい!
ローグライクハーフは一人で遊べるTRPGなんです。
一人で遊ぶのなら、自分が思いつく限りのアイディアを投入して楽しんじゃってもいいよね。
本来の世界観を少しくらい逸脱したっていいよね。
だったらFT新聞で、これだけハメを外したプレイを公開するのはありかもしれない。
そんな風に思って、このリプレイを書きました。
言語コミュニケーションが取れているから「ポケモン」より「デジモン」寄りかもしれませんが、そこはスルーでお願いします。
そうして生み出されたのが、「物語のはじまり」に登場したキャラクターたちです。
主人公枠の少年と、そのお供の二匹。
でもちょっと待って。
ローグライクハーフは、「主人公2人」か「主人公と従者たち」という組み合わせでできる冒険のはず。
主人公3人ってのはできないんじゃ?
それではルール上、どういう構成になっているのか説明しておきましょう。
ルール上、主人公枠としてデータ作成しているのは、以下の二匹になります。
〈妖狐〉のフォルネ。
〈魔猫〉のニャルラ。
妖狐は、妖力を持った狐のあやかし。
魔猫は、高い知能を持った猫のクリーチャー。
あれ? この物語の主人公のタイガは?
実はタイガは、キャラクター設定上は、フォルネの「戦わない従者」枠の「荷物持ち」なのです。
「あやかし」の時にも、チーム全体の総大将の藤丸は、従者の「ランラン持ち」枠でした。
でもあの時の主人公は、あくまでもサクラでした。
今回はなんと、戦わない従者枠の少年を主人公に据えての冒険です。
今はこれくらいにしておきます。またどこかで詳しく語ることもあるでしょう。
彼らの織りなす冒険を、ぜひ楽しんでください。
さて、私はうっかりさんなので、基本的なところで根本的な勘違いをしたまま、あるいは堂々と間違った解釈をして突き進んでしまうことがあるかもしれません。
だから、私のプレイにとらわれず、みなさんはみなさんのローグライクハーフライフを送ってください。
リプレイの文中では、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。
あるときにはキャラクターの心情になりながら、あるときにはメタ視点から眺めつつ進めていきます。
●アタック01-1 タイガと巨大樹のふもと
巨大樹のふもとは、ものすごく賑わっていた。
そう。根本っていうより、ふもとっていう方が合ってると思う。
あちこちに冒険者がテントを張っているだけでなく、簡易な出店もある。
小さな小屋では武器を扱っているみたい。
まるでひとつの町みたいだ。
「わっわわっ! たいが、あっち、いいにおい〜」
ニャルラがとてとてと離れていく。
「あんまり遠くに行かないでね」
「だいじょ〜ぶ。においでわかるから〜」
「まったくニャルラは。それだと必要なときに呼び戻せないでしょ」
「はは……」
おなじみのやりとりに、僕は小さく苦笑を浮かべるしかない。
ここで少し話を聞いて、食料を調達したら、巨大樹に挑もう。
見る限り、数多くの冒険者がこの巨大樹に挑んでいるみたい。
コーネリアス商会のコンスタンサさんの救援部隊はまだ来ていない。それはそうか。僕らはカラメールに立ち寄らずに直接来たから。
「よお坊主。親父とはぐれたのか?」
いかつい雰囲気のおじさんが、意外にも気さくに声をかけてきた。
僕みたいな子どもは珍しいから、こういう場所ではよくあることだ。
「違うよ。僕も巨大樹に登ろうと思って」
「ははっ。こいつはケッサクだ。じゃあひとつ忠告だ。この巨大樹は、上に行けば行くほど同じ敵でも強くなる。『高度』には常に気をつけな」
おじさんは僕の言葉をまったく信じていないみたいだったけれど、ちゃんと教えてくれた。
意外といい人っぽい。ついでに聞いてみよう。
「オウカンワシって知ってる?」
「ああ。知ってるぜ。頭に王冠かぶった奇妙なでっかい鳥だ。キラキラした装飾品を集めては体につけてる。なんだってそんなことするのかねぇ。ここにも中腹あたりから生息してるみたいだぜ」
どうして体を飾りたてるんだろう。クジャクみたいな、オスの求愛行動とかかな?
「タイガさま、そろそろニャルラを迎えに行っては?」
「そうだね。そうしよっか」
フォルネは、なんだかんだ言ってニャルラのことを気にかけている。
僕は食料品を扱っている出店に向かった。
そこでは星空色の猫が、まるで獲物を狙うみたいな鋭い目つきで、店主とにらめっこをしていた。
「あんたんとこの猫かい。さっさとヨソへやっておくれよ」
「手を出さなかったね。えらいえらい」
「うん。アタイまってた〜」
僕は、巨大樹に挑む用の保存食と、今少し食べておく分を購入した。ニャルラはほくほくだ。
「ねえねえ、丸々獣は? 丸々獣のおにく、ある?」
「丸々獣なら、こっちの干し肉だな。そっちのはボア(猪)のやつだ」
店主は、ニャルラが盗みを働くような猫ではないとわかったためか、猫がしゃべることはそれほど気にせずに答えてくれている。
こんな場所に出店を構えているのだから、もしかしたら、ニャルラと同じ種族「魔猫」に会ったことがあるのかもしれない。
だいたい準備は整ったかな。
それじゃあいよいよ、巨大樹に挑もうか。
巨大樹を登るには、まずはふもとの坂道を上りながら進む。
そして最初の高台に設置された手動の昇降機で、一番下の枝まで運んでもらう。
そこからは、交差する太い枝や、幹を巻くように延びる道を使いながら上へと登っていくのだ。
昇降機は、太いロープと滑車で支えられた大きな箱に乗り込み、力強くハンドルを回して昇降する仕組みになっていた。
かつてこの巨大樹に挑んだ者たちが作り上げた大がかりな装置ということだ。
ところが昇降機の前で、僕たちの足は止められてしまった。
僕に巨大樹のことを教えてくれたおじさんと、連れのもう一人の男が、僕たちの行く手を阻んだからだ。
「まさか本気で子どもひとりで巨大樹に挑む気か。それは止めないわけにはいかないな」
「ひとりじゃないよ」
「かわいらしいお供のことを言ってるんならなおさらだ。俺たち大人は、みすみす死にに行くとわかっている場所に子どもを送り出すことはできないのさ」
まいったな。このおじさん、ホントにいい人だった。
こういう時には、少しだけ実力を見せるしかない。
あんまりやりたくはないけど。
「フォルネ、ニャルラ、いい?」
フォルネは僕の肩から滑るように降り、瞬時に距離を詰めると、おじさんの肩に飛び乗り、鋭い爪を首元にそっと突きつけた。
「お。うお!?」
ニャルラももう一人の男に対し、同様の動きを見せる。
「もういいよ」
冷や汗を浮かべるおじさんたちの元を離れ、フォルネとニャルラは僕のところに戻る。
「驚かせちゃってごめんなさい。危害を加えるつもりでやったんじゃないです」
「お、おう……」
「この子はフォルネ。妖狐というあやかしです。見てのとおり、素早くて強い。妖狐は尻尾が多いほど強くなるっていうから、3本尻尾のフォルネはけっこう強いんじゃないかな」
フォルネが僕の説明に合わせて、愛嬌たっぷりに3本の銀毛の尻尾を振っている。
「人の姿にもなれるけど、なぜか僕の前じゃ、なりたがらないんですよね」
フォルネはそっぽを向いた。
今度はニャルラが僕の前に進み出る。艶やかな星空色の子猫。
「アタイは魔猫のニャルラ。アタイのほうがフォルネより強いの〜」
「魔猫はもっと大きく成長するみたいだけど、この子はまだ子どもだから」
「いいの。たいがだってこども〜」
「はは。そうだね」
あんまり手の内を見せすぎるのはよくないけど、こういう時には必要だ。
僕たちのやりとりを見て、おじさんは言った。
「参ったな。これでも冒険者としてはそこそこと思ってるんだが。不意打ちとはいえ完全にやられた。あんたらの強さは十分わかったよ。子どもだけで旅できるわけもな。ま、心配がなくなるわけじゃないが、他の連中がなんか言ってきたら、口添えしてやるよ」
「やった。ありがとう、おじさん」
「ロイってんだ。よろしくな」
こうして僕たちは、いよいよ巨大樹に挑むことになった。
【フォルネ(妖狐) レベル10 技量点:2 生命点:3 魔術点:3 従者点:8】
【装備】(人間形態でのみ効果あり)
片手武器
木盾(生命点+1)
鎖鎧(生命点+1防御ロール+1)
<スキル>
【変化】人間形態に変化する。
【空蝉】防御ロール振り直し。パーティの誰の時でも可。
【持ち物】
1小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。
2小柄(飛び道具)※人間形態でのみ使用可。
【ニャルラ(魔猫) レベル10 技量点:1 生命点:9 器用点:7 従者点:5】
【装備】なし
<スキル>
【満月のような瞳】全員が暗闇ペナルティを受けない
【素早い反射】防御ロール振り直し。器用点1点消費。
【柔らかい肉球】先攻決め、不意打ち判定が自動成功。器用点1点消費。
【狩りの本能】弱いクリーチャーを倒した時、追加で攻撃ロール。器用点1点消費。
【目も当てられぬ激怒】攻撃ロールの直前に使用し、成功したらクリティカル扱いに。
【タイガ 従者 荷物持ち】
【持ち物】
食料4
金貨10
さあ、ここからが冒険本番だ。
ランダムダンジョンのルールにのっとり、サイコロを振ってイベントを決めていく冒険が始まる。
本リプレイでは、サイコロを振ってイベントが決まったら、イベント番号と簡単な内容を示し、話を進めていくことにする。
●アタック01-2 タイガと猿の軍団
【61 骨鳴り蛇】
昇降機の箱から足を踏み出すと、そこは最初の巨枝だ。いや、枝というより完全な道になっている。
多くの冒険者が行き交ったため、木の皮がめくれ、そこだけ本当の道のように見える。
道の脇には雑草が茂っており、ここが木の上だなんて思えない。
上の方をあおぎ見ると、枝の道だけでなく、幹にも階段や広場があり、木の中の空洞に入れるようになっているところも見える。
そして今の高さで、すでにほかの木々よりもはるかに高い。
遠くに見える都市がきっと、カラメールの町に違いない。
「ふわあ〜すごい〜こんなとこくるのはじめて〜」
ニャルラは瞳を輝かせ、きょどきょどとあたりを見回し、次にくるくると軽快に駆け回り始めた。
「あんまり端に行ったら落っこちるから気をつけて」
フォルネでなくても注意せずにはいられない。ここには手すりも安全柵もないのだから。
十分な幅があるとわかっていても、正直、心もとない気分になる。
ニャルラが道脇の雑草に近づいたとき、「カラカラカラ!」と耳障りな乾いた音が鋭く響き渡った。
瞬間的にとびすさり、毛を逆立てて威嚇の構えを取るニャルラ。
草むらにガサっ飛び込むと、なにやらうねうね動く長い生き物をくわえて出てきた。
それは蛇だった。尻尾のところの骨がむき出しになっている。
骨鳴り蛇は毒蛇だ。尻尾の先の骨を鳴らして威嚇することで知られる。
さっきのカラカラ音は、ニャルラが不用意に縄張りに踏み込んだための、蛇の威嚇音だったに違いない。
【骨鳴り蛇 レベル4 生命点2】
蛇はニャルラの先制攻撃を受けてぶらぶらと揺られており、すでに巻きついて反撃しようという気配すら失っていた。
「離しておあげ」
僕が言うと、ニャルラは蛇をぽーんと放り投げる。
のたうつように地面に着地した蛇は、そのまま茂みに消えていった。
それを見送ったニャルラは、なにを思ったか、もう一度茂みに飛び込んだ。
そして次に、違うものを口にくわえて出てきた。僕の前にそれを置く。
「きらきら、はっけ〜ん」
それは1枚の金貨だった。
[プレイログ]
骨鳴り蛇と戦闘
ニャルラの攻撃 サイコロ6<クリティカル!>
骨鳴り蛇へ1点のダメージ(骨鳴り蛇生命点2→1)
骨鳴り蛇は逃走した
宝物判定 サイコロ3 金貨1枚入手
【43 投猿機】
それからしばらくは、ひたすら木登りの時間になった。
木登りと言ってもよじ登るようなところはない。ただただうねった枝と幹の道を歩いていく。
基本は上り道だけど、たまに下っている枝もあって、「せっかく上ったのに、またやりなおし」って気分にさせられた。
あと、この木登り、とにかくどこでも下がよく見える。
地面がしっかりしているとわかっていても、下を見続けていると目がクラクラしてくる。
高いところが苦手な人は来るのぜったい無理だと思う。
「タイガさま、あぶなっ」
フォルネが僕の服のすそを力まかせにぐいっと引っ張り、僕は体ごと大きくのけぞった。
その僕の目の前を、何かがすさまじい勢いで、びゅんっとかすめ飛んでいく。
その先を目で追うと、小猿が向こうの幹に、びたんっとへばりついた瞬間だった。
猿が、猿が飛んできた?!
次に飛んできた方角を見ると、たくさんの猿たちがわらわらと群れている。
その中に木製の得体の知れない装置が見えた。投石機のような……?
その棒状の『腕』の部分に、小猿がしがみついている。
そして大きな猿が、棒の反対側に勢いよく乗っかると、その反動で小猿が「発射」された!
ひゅん、っと飛んでくる小猿。今回は狙いが少しそれたから何もなかったけれど、猿に出していい速度じゃない。
「いけない。ここは猿たちの縄張りだ」
「でもでもたいがっ。変なキカイ向こうの枝だから、アタイたちいけない〜」
そうなのだ。猿たちも、あの猿を飛ばす装置も、向こうの枝だ。
こちらから接近する手段がない。急いで走り抜けるしかないかな。
「飛び道具には飛び道具……。仕方ないですね」
フォルネが四肢でしっかりと枝の地面を踏みしめ、枝向こうの装置を鋭くにらみすえる。
「タイガさま、あっち向いてて。決して私を見ないで」
「いつ猿飛んでくるかわかんないから、無茶言わないで」
「……仕方ないですね」
フォルネはその姿を変えてゆく。
妖狐特有の力〈変化〉。人間形態になることができるのだ。
フォルネの人間形態は、すらりとした銀髪の少年で、端正な顔立ちが印象的だ。ゆったりとした羽織る衣装に身を委ねている。「和装」というらしい。その姿は、息を呑むほどに美しい。
フォルネは手持ちの小柄を投猿機に向け、しゅっと飛ばした。
それはあやまたず、装置の可動部分のすき間に差し込まれる。
大猿が投猿機の端に飛び乗るが、挟まった小柄のためにガチっと固定され、動かない。
僕はフォルネの美しさと、洗練された正確無比な腕前に、しばし見とれてしまう。
「装置止めたから、もう見ないで」
「あ、ご、ごめん」
「フォルネかおまっか〜」
僕が目をそらしたところで、フォルネはしゅっと、元の狐に戻った。
「さ、今のうちに」
猿たちはこっちに向けてギャッギャとさかんに叫びたてるが、僕たちは意に介さない。
猿たちがこちらに手出しする手段を持たない間に、その場を駆け抜けた。
それが、猿たちの縄張りにより深く入り込むことになるとも知らずに。
[プレイログ]
投猿機を壊せ 難易度2
フォルネ 小柄を投てき サイコロ4(修正-1)→3 命中
小柄1本消費
次回、ボス猿登場!?
■登場人物
タイガ 主人公の人間の少年。もうすぐ11歳。フォルネとニャルラの二匹を連れて旅をしている。
フォルネ 銀毛で3本尻尾の妖狐。タイガに心酔している。
ニャルラ 星空色の毛並みの良い魔猫。気まぐれ。
コンスタンサ コーネリアス商会の令嬢。オウカンワシにさらわれた。
ヴァンダービルド コーネリアス商会の当主。目の前で娘をさらわれ、救援隊を編成。
ロイ 巨大樹のふもとで出会った冒険者のおじさん。
オウカンワシ 身体中に装飾品を身につけた巨大鳥。巨大樹の中腹に生息。
■作品情報
作品名:巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
著者:丹野佑
監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
ローグライクハーフ基本ルール及び「黄昏の騎士」本編
https://booth.pm/ja/items/4671946
巨大樹の迷宮「ローグライクハーフ」d66シナリオ
https://ftbooks.booth.pm/items/5361362
本リプレイは、「ローグライクハーフ」製作に関する利用規約に準拠しています。
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/RLH-100.jpg
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2026年1月14日水曜日
2026年1月13日火曜日
ゲームブックにおける死と物語 第3回:『フィンガーセイバーの冒険』における予知能力と死の教訓 FT新聞 No.4738
みなさん、こんにちは。編集部員のくろやなぎです。本日は、連作記事『ゲームブックにおける死と物語』の第3回をお届けします。
第1回(2025/11/18、No.4682)では、主人公が「輪廻」の中で死を繰り返すゲームブック『護国記』(著:波刀風賢治、2018年、幻想迷宮書店刊)をご紹介し、第2回(2025/12/16、No.4711)では、「時の魔法」の使い手を主人公とするゲームブック『狂える魔女のゴルジュ』(著:杉本=ヨハネ、2023年、FT書房刊)について、『護国記』と対比させる形でご紹介しました。
今回は、予知能力者を主人公とするゲームブック『フィンガーセイバーの冒険』(著:杉本=ヨハネ、2015/2022年、詳細は後述)のご紹介を通じて、ゲームブックにおける死と物語について考えていきたいと思います。
『フィンガーセイバーの冒険』は、全部で25パラグラフの短編作品で、当初は『フィンガーセイバーの憂うつ』というタイトルでFT新聞に掲載されました(2015/02/01、No.752)。そして『恋は盲目〜ゲームブック短編集5〜』(2015年、Kindle電子書籍、FT書房刊)に収録された後、さらに改題および一部改稿された形で『ゲームブック短編集 ハンテッド・ガーデンハート』(2022年、FT書房刊)に収録されています。
冒険記録紙やサイコロなどは使用せず、およそ15分〜30分ほどでエンディングに辿り着けますので、未読の方は、ぜひいちどお気軽に(よろしければ、記事本体を読まれる前に)プレイしてみていただければと思います。
以下は、各バージョンを収録した書籍へのリンクです。Kindleで読みたい方は1か2、紙の本で読みたい方は3をどうぞ!
1.『FT新聞 2015年版』(Amazonの商品ページへ)https://www.amazon.co.jp/dp/B0B87J4NPV
2.『恋は盲目〜ゲームブック短編集5〜』(Amazonの商品ページへ)https://www.amazon.co.jp/dp/B00TEWCTA4
3.『ゲームブック短編集 ハンテッド・ガーデンハート』(FT書房公式HPの作品紹介ページへ)https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/huntedgardenheart
なお、記事の中では、『フィンガーセイバーの冒険』のほか、『狂える魔女のゴルジュ』の内容についても言及していますので、未読の方はご注意ください。
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ゲームブックにおける死と物語
第3回:『フィンガーセイバーの冒険』における予知能力と死の教訓
(くろやなぎ)
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■『フィンガーセイバーの冒険』における「君」の予知能力
『フィンガーセイバーの冒険』(以下、『FSの冒険』と略記します)は、『狂える魔女のゴルジュ』(以下、『ゴルジュ』と略記します)と同じく、FT書房の共通世界アランツァを舞台とするゲームブックです。
主人公である「君」は、サン・サレンの名門「ココフ家」の一族で、成人となる15歳を迎えたばかりの青年です。
君は、基本的には「人並みの腕力と人並みの知能を持った、ごくふつうの人間」なのですが、ココフ家にときどき出現する「予言者」のひとりとして、「未来予知」という特別な能力を持っています。
この予知能力がどのようなものかについて、物語の導入となるパラグラフ1には、以下のような描写があります。
「居間の扉を開こうと思った瞬間、部屋のなかに兄と召使いがいること、そのポーズやしゃべっている内容まで、先に読み取ったのだ。」
つまり、君の予知能力は、君が未来に知覚するはずの光景や音を、今ここであらかじめ鮮明に読み取る、という形で発動するようです。
これは、ゲーム的には、これから飛ぼうとする先のパラグラフを「先読み」できるという形でルール化されています。「先読み」した結果は、あくまで予知されたビジョンにすぎないため、その未来を現実として確定させるかどうか(つまり、そのパラグラフへ「実際に」進むかどうか)は、君である読者の意思で自由に決めることができるのです。
ただし、君が先読みできるパラグラフは、「いまいる」パラグラフ1つにつき1つだけです。2つの選択肢があれば、先読みできるのは片方だけで、もう一方の選択肢に進む場合は、先読みなしでその未来を選ばなければなりません。また、先読みしているパラグラフから、さらに先のパラグラフを先読みすることはできないので、2つ先のパラグラフの様子を知りたい場合は、必ずその手前のパラグラフを「現実」として確定させる必要があります。
『FSの冒険』の「予知能力」は、いわゆる「指セーブ」を使いながらパラグラフを行き来するという点で、『ゴルジュ』における「遡行」系の魔法とよく似ていますが、『ゴルジュ』における「悪夢」のような何かを消費する必要はなく、パラグラフを進むたびに毎回使用することも可能です。その一方で、行き来できる範囲は狭く限定されており、『ゴルジュ』の遡行の魔法のようにいくつものパラグラフを同時に先読みしたり、枝分かれするパラグラフ構造の中を何度も行き来するようなことはできません。
『FSの冒険』の予知能力は、確かにとても特別な能力ではあるのですが、『ゴルジュ』の遡行の魔法と比べてみると、多少なりとも「日常」感があるというか、比較的カジュアルな能力だと言ってもよいかもしれません。
■物語としての『フィンガーセイバーの冒険』のテーマ
つぎに、『FSの冒険』の物語の概要について見ていきましょう。
ココフ家には、これまで「数世代に1人の割合」で予言者、すなわち予知能力をもつ者が出現していました。その予知能力は、どうやら特段の前触れなく、成人する頃に突然発現するもののようです。
物語の最初に予言者となったのは、君ではなく、君の兄でした。兄が予言者として成功を収める様子を見て、君は「成人したら家を出よう」と決めます。「兄と比べられながらこの家に残るのは、苦痛でしかない」と考えた君は、「世界を旅して、財宝を求める冒険稼業をやろう」と思ったのでした。
結局、成人を迎えた君にも予知能力が発現するのですが、ココフ家には「2人以上の予言者は不幸を招く」という言い伝えがあったので、君は能力のことを家族に秘密にしたまま、故郷を離れて旅に出ます(そうしなかった場合、君は家族に殺されてしまいます!)。
貿易の街ビストフに辿り着いた君には、大きく分けて3通りの選択肢が提示されます。海で冒険するか、陸で冒険するか、それとも賭博で一儲けするか。
ここで海での冒険や賭博を選ぶと、君はまもなく死んでしまいます。これらの死の選択肢を回避して、陸での冒険を選んだ場合のみ、君は相棒となるサウルとともに、本作品の後半部分となる地下迷宮での冒険パートに入ることができます。
迷宮の中にも、死に至る選択肢が多く待ち受けていますが、予知能力をうまく使えば、君は唯一となる生還エンディングを迎えることができます。そこで財宝を手にした相棒サウルは、「冒険者の宿」をつくるという夢、「冒険者を支援して、交流の場をつくる」というビジョンを語り、君はそれを陰で支えようと決めます。
『FSの冒険』の短い物語はそこで終わりとなりますが、その夢が実現するかどうかは、FT書房作品の読者の方なら、よく知っているかもしれません。
さて、この物語のテーマのひとつは「能力の使いみち」、あるいは「目的の定めかた」だと言えるでしょう。
物語の最初の段階で、君には「冒険者になりたい」という漠然とした希望はありますが、その先に具体的なビジョンはありません。旅先のビストフの酒場では、君は船乗りの話に心を躍らせつつ、鉱山のそばの秘密の洞窟にも興味を示し、サイコロ賭博に手を出すことも考えます。
君は予知能力で死を回避することもできますが、先ほど述べたとおり、予知能力の及ぶ範囲には限界があって、万能ではありません。物語の簡素な描写の中に垣間見える君の心は、予知能力があっても決して確かなものではなく、いくつもの選択肢の前で若者らしく揺れ動く、行先の定まらない不安定なもののように読み取れます。
物語の最後の場面で、夢を語る相棒サウルの言葉を聞きながら、君は以下のような心境に至ります。
「先のことがわかるこの能力は、簡単に堕落へとつながってしまう。それを防ぐには、目的が必要だ。やりがいがあって、他者と心を通わせられる喜びのある目的。結果が分かっていたとしても、実現すれば心がおどるような、そんな目的が。」
おそらく冒険の過程で、短いゲームブックの中では描写しきれないところでも、君は予知能力を使いながら色々なことを学び、そこで得た教訓がサウルの夢とうまく結びついたのでしょう(地下迷宮での君の様子を見る限り、君には冒険者としての適性はあまりないようにも思われます)。これは一種のジュブナイル的な成長譚でもあり、特別な能力を突然与えられた青年が、自らの能力と折り合いをつけ、その目的や使いみちを見つけるまでの物語でもあるのです。
このような『FSの冒険』の物語の構造は、ゲームとしては似たようなギミックをもつ『ゴルジュ』の物語とは、むしろ鮮やかな対照をなしていると言えるかもしれません。
『ゴルジュ』の主人公である少女ミナは、姉たちを取り戻すという、この上なく明確な目的意識をもって冒険者となり、禁忌となる「時の魔法」の力を得ます。そして、『ゴルジュ』におけるミナの物語は、もし志半ばで失敗することがなければ、実際に姉たちを救い、当初の目的を貫徹する形で終わります。
『ゴルジュ』の「あとがき」に書かれているように、ミナは自分の心の弱さをよく知っているからこそ、目的のために「ブレることがない」主人公です。ミナの弱さや動揺は、物語が始まる前の「背景」の中に封じ込められており、「時の魔法」とともに物語を進めるミナは、常に当初の目的だけを見据え続けます。たとえ「時の魔法」の不適切な使用が冒険の失敗を招くときでも、ミナが後悔するのはその技術的な「使いかた」(使う魔法の種類やタイミング)であって、それを何のために使うのか、という意味での「使いかた」に思い悩むことはないでしょう。
『ゴルジュ』の長い物語の終わりが、目的を完遂したという安堵や達成感をもたらすのに対して、『FSの冒険』の短い物語の終わりは、新たな目的を発見したことの驚きや高揚感をもたらすもののように思います。
ゲームとしての側面から見ると、『FSの冒険』の「予知能力」は、「指セーブ」というメタ的行為のルール化という意欲的な試みであり、『ゴルジュ』の「時の魔法」のプロトタイプとして位置づけられるかもしれません。その一方で、物語としての『FSの冒険』は、『ゴルジュ』の物語とはまた異なる指向性をもつ、簡素ながら独特の魅力を備えたものだと言えるでしょう。
■「君」の死と教訓のゆくえ
ここで、『FSの冒険』の最後の場面(生きて迎えることができる、唯一のエンディング)における「君」の言葉を、もういちど見てみましょう。
「先のことがわかるこの能力は、簡単に堕落へとつながってしまう。それを防ぐには、目的が必要だ。やりがいがあって、他者と心を通わせられる喜びのある目的。結果が分かっていたとしても、実現すれば心がおどるような、そんな目的が。」
『FSの冒険』の物語の中で、この言葉と最もわかりやすく関係しているのは、「君」がビストフの酒場で賭博に手を出したときの結末でしょう。
賭博に手を出した君は、予知能力のおかげで大金を稼ぎますが、すぐに「スリルのないギャンブル」に飽きてしまいます。また、君は予知のおかげで先を見通せるため、周囲の人間が愚かに見えてしまい、友人ができることもありません。結局君は、麻薬に溺れて身体を壊し、孤独な中で短い一生を終えることになります。
もし君が、この「堕落と孤独の中での死」という場面を「予知」した上で、別の選択肢を選び直して生還することができたなら。
きっと、「やりがいがあって、他者と心を通わせられる」目的や、「結果が分かっていたとしても、実現すれば心がおどるような」目的をもつことの大切さに、自然と思い至るのではないでしょうか。
ところが、ゲームのルールの中では、「君」が上記のような教訓を得てエンディングに辿り着くことはできません。
君が賭博をするときの選択肢は、
「ギャンブルに手を出す」ことを選ぶ
→「1人で賭博をする」か「2人でする」かを選ぶ
→「1人で賭博をする」を選んだ場合は孤独に死ぬ(前述のパターン)、「2人でする」を選んだ場合は相棒に刺されて死ぬ
という構造になっているのですが、最初に述べたとおり、予知能力で「先読み」できるのは1つ先のパラグラフまで。
つまり、「ギャンブルに手を出す」選択肢から「先読み」できるのは、「1人で賭博をする」か「2人でする」かという選択肢のあるパラグラフまででしかなく、さらにその先の未来を知るためには、「ギャンブルに手を出す」選択肢を、現実として確定させてしまう必要があるのです。
そこからの君の未来は、孤独に死ぬか、相棒に刺されて死ぬか、という二者択一のいずれかであり、片方の死を「先読み」して回避したとしても、残されたもう片方の死が、必ず君を待っています。
『FSの冒険』において、物語の中の主人公としての「君」は、いくつもの死の場面を、予知能力によって回避することができます。
しかし、「君」にとって最も大切な教訓となるはずの、「堕落と孤独の中での死」という光景は、それを見てしまえば生きて帰ることができない、死の袋小路の奥に隠されているのです。
では、エンディングにおける「君」の思いは、一体どこからやってきたものなのでしょうか。
この作品のタイトルは『フィンガーセイバーの冒険』ですが、肝心の「フィンガーセイバー」という言葉が、物語の中に登場することは一度もありません。
ここでいうフィンガーセイバーとは、「指セーブをする者」を指すとみられる造語であり、それは物語の中で「予知能力」を使う「君」というよりは、むしろ、物語の外で「指セーブ」を行う「あなた」に向けられた呼称のように思われます。
この短い物語の核となる、絶望的な死の教訓と、希望に満ちた結末は、物語の中の「君」の「予知能力」だけでは、つなぎ合わせることはできません。
『フィンガーセイバーの冒険』は、その物語を完成させるために、主人公である「君」の死(予知ではなく、現実としての死)を見届けた上でなお、物語を辿り直すことができる者を必要としています。それがすなわち、物語の外の「フィンガーセイバー」たる「あなた」であり、その意味において、この物語はまさに「フィンガーセイバーの冒険」として作られているのです。
■おわりに
どこまで一般化できるかは心もとないですが、それぞれのゲームブック作品の個性を形作る中核的な構成要素の中には、「ゲームとしてのルール」「物語とそのテーマ」「パラグラフの構造」の3点が含まれると考えています(もちろん、これらの3点「だけ」ではありません)。
『フィンガーセイバーの冒険』において、ひときわ目を引くのは「予知能力」というルールですが、それが「能力の使いみち」というテーマと結びつき、さらに「ルール上は主人公が生還できない、それでも物語にとっては重要な意味をもつ死のパラグラフ」が存在することで、このわずか25パラグラフの小品は、ゲームとしても物語としても、どこか忘れがたい印象を残すものとなっているように思います。
FT新聞での掲載時には、「筆記用具もサイコロも不要の本作品は、ミニゲームブックの鑑のようなつくりをしています」という言葉が添えられていましたが、手軽さだけでなく、簡素な中に込められた奥行きの深さにおいても、この作品はミニゲームブックのひとつの鑑だと言えるかもしれません。
【書誌情報】
杉本=ヨハネ『フィンガーセイバーの冒険』(杉本=ヨハネ『ゲームブック短編集 ハンテッド・ガーデンハート』所収、FT書房刊、2022年)
杉本=ヨハネ『フィンガーセイバーの憂うつ』(FT新聞掲載、2015/02/01、および杉本=ヨハネほか『恋は盲目〜ゲームブック短編集5〜』、FT書房刊、2015年所収)
杉本=ヨハネ『狂える魔女のゴルジュ』(FT書房刊、2023年)
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第1回(2025/11/18、No.4682)では、主人公が「輪廻」の中で死を繰り返すゲームブック『護国記』(著:波刀風賢治、2018年、幻想迷宮書店刊)をご紹介し、第2回(2025/12/16、No.4711)では、「時の魔法」の使い手を主人公とするゲームブック『狂える魔女のゴルジュ』(著:杉本=ヨハネ、2023年、FT書房刊)について、『護国記』と対比させる形でご紹介しました。
今回は、予知能力者を主人公とするゲームブック『フィンガーセイバーの冒険』(著:杉本=ヨハネ、2015/2022年、詳細は後述)のご紹介を通じて、ゲームブックにおける死と物語について考えていきたいと思います。
『フィンガーセイバーの冒険』は、全部で25パラグラフの短編作品で、当初は『フィンガーセイバーの憂うつ』というタイトルでFT新聞に掲載されました(2015/02/01、No.752)。そして『恋は盲目〜ゲームブック短編集5〜』(2015年、Kindle電子書籍、FT書房刊)に収録された後、さらに改題および一部改稿された形で『ゲームブック短編集 ハンテッド・ガーデンハート』(2022年、FT書房刊)に収録されています。
冒険記録紙やサイコロなどは使用せず、およそ15分〜30分ほどでエンディングに辿り着けますので、未読の方は、ぜひいちどお気軽に(よろしければ、記事本体を読まれる前に)プレイしてみていただければと思います。
以下は、各バージョンを収録した書籍へのリンクです。Kindleで読みたい方は1か2、紙の本で読みたい方は3をどうぞ!
1.『FT新聞 2015年版』(Amazonの商品ページへ)https://www.amazon.co.jp/dp/B0B87J4NPV
2.『恋は盲目〜ゲームブック短編集5〜』(Amazonの商品ページへ)https://www.amazon.co.jp/dp/B00TEWCTA4
3.『ゲームブック短編集 ハンテッド・ガーデンハート』(FT書房公式HPの作品紹介ページへ)https://ftbooks.xyz/shinkanjyoho/huntedgardenheart
なお、記事の中では、『フィンガーセイバーの冒険』のほか、『狂える魔女のゴルジュ』の内容についても言及していますので、未読の方はご注意ください。
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ゲームブックにおける死と物語
第3回:『フィンガーセイバーの冒険』における予知能力と死の教訓
(くろやなぎ)
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■『フィンガーセイバーの冒険』における「君」の予知能力
『フィンガーセイバーの冒険』(以下、『FSの冒険』と略記します)は、『狂える魔女のゴルジュ』(以下、『ゴルジュ』と略記します)と同じく、FT書房の共通世界アランツァを舞台とするゲームブックです。
主人公である「君」は、サン・サレンの名門「ココフ家」の一族で、成人となる15歳を迎えたばかりの青年です。
君は、基本的には「人並みの腕力と人並みの知能を持った、ごくふつうの人間」なのですが、ココフ家にときどき出現する「予言者」のひとりとして、「未来予知」という特別な能力を持っています。
この予知能力がどのようなものかについて、物語の導入となるパラグラフ1には、以下のような描写があります。
「居間の扉を開こうと思った瞬間、部屋のなかに兄と召使いがいること、そのポーズやしゃべっている内容まで、先に読み取ったのだ。」
つまり、君の予知能力は、君が未来に知覚するはずの光景や音を、今ここであらかじめ鮮明に読み取る、という形で発動するようです。
これは、ゲーム的には、これから飛ぼうとする先のパラグラフを「先読み」できるという形でルール化されています。「先読み」した結果は、あくまで予知されたビジョンにすぎないため、その未来を現実として確定させるかどうか(つまり、そのパラグラフへ「実際に」進むかどうか)は、君である読者の意思で自由に決めることができるのです。
ただし、君が先読みできるパラグラフは、「いまいる」パラグラフ1つにつき1つだけです。2つの選択肢があれば、先読みできるのは片方だけで、もう一方の選択肢に進む場合は、先読みなしでその未来を選ばなければなりません。また、先読みしているパラグラフから、さらに先のパラグラフを先読みすることはできないので、2つ先のパラグラフの様子を知りたい場合は、必ずその手前のパラグラフを「現実」として確定させる必要があります。
『FSの冒険』の「予知能力」は、いわゆる「指セーブ」を使いながらパラグラフを行き来するという点で、『ゴルジュ』における「遡行」系の魔法とよく似ていますが、『ゴルジュ』における「悪夢」のような何かを消費する必要はなく、パラグラフを進むたびに毎回使用することも可能です。その一方で、行き来できる範囲は狭く限定されており、『ゴルジュ』の遡行の魔法のようにいくつものパラグラフを同時に先読みしたり、枝分かれするパラグラフ構造の中を何度も行き来するようなことはできません。
『FSの冒険』の予知能力は、確かにとても特別な能力ではあるのですが、『ゴルジュ』の遡行の魔法と比べてみると、多少なりとも「日常」感があるというか、比較的カジュアルな能力だと言ってもよいかもしれません。
■物語としての『フィンガーセイバーの冒険』のテーマ
つぎに、『FSの冒険』の物語の概要について見ていきましょう。
ココフ家には、これまで「数世代に1人の割合」で予言者、すなわち予知能力をもつ者が出現していました。その予知能力は、どうやら特段の前触れなく、成人する頃に突然発現するもののようです。
物語の最初に予言者となったのは、君ではなく、君の兄でした。兄が予言者として成功を収める様子を見て、君は「成人したら家を出よう」と決めます。「兄と比べられながらこの家に残るのは、苦痛でしかない」と考えた君は、「世界を旅して、財宝を求める冒険稼業をやろう」と思ったのでした。
結局、成人を迎えた君にも予知能力が発現するのですが、ココフ家には「2人以上の予言者は不幸を招く」という言い伝えがあったので、君は能力のことを家族に秘密にしたまま、故郷を離れて旅に出ます(そうしなかった場合、君は家族に殺されてしまいます!)。
貿易の街ビストフに辿り着いた君には、大きく分けて3通りの選択肢が提示されます。海で冒険するか、陸で冒険するか、それとも賭博で一儲けするか。
ここで海での冒険や賭博を選ぶと、君はまもなく死んでしまいます。これらの死の選択肢を回避して、陸での冒険を選んだ場合のみ、君は相棒となるサウルとともに、本作品の後半部分となる地下迷宮での冒険パートに入ることができます。
迷宮の中にも、死に至る選択肢が多く待ち受けていますが、予知能力をうまく使えば、君は唯一となる生還エンディングを迎えることができます。そこで財宝を手にした相棒サウルは、「冒険者の宿」をつくるという夢、「冒険者を支援して、交流の場をつくる」というビジョンを語り、君はそれを陰で支えようと決めます。
『FSの冒険』の短い物語はそこで終わりとなりますが、その夢が実現するかどうかは、FT書房作品の読者の方なら、よく知っているかもしれません。
さて、この物語のテーマのひとつは「能力の使いみち」、あるいは「目的の定めかた」だと言えるでしょう。
物語の最初の段階で、君には「冒険者になりたい」という漠然とした希望はありますが、その先に具体的なビジョンはありません。旅先のビストフの酒場では、君は船乗りの話に心を躍らせつつ、鉱山のそばの秘密の洞窟にも興味を示し、サイコロ賭博に手を出すことも考えます。
君は予知能力で死を回避することもできますが、先ほど述べたとおり、予知能力の及ぶ範囲には限界があって、万能ではありません。物語の簡素な描写の中に垣間見える君の心は、予知能力があっても決して確かなものではなく、いくつもの選択肢の前で若者らしく揺れ動く、行先の定まらない不安定なもののように読み取れます。
物語の最後の場面で、夢を語る相棒サウルの言葉を聞きながら、君は以下のような心境に至ります。
「先のことがわかるこの能力は、簡単に堕落へとつながってしまう。それを防ぐには、目的が必要だ。やりがいがあって、他者と心を通わせられる喜びのある目的。結果が分かっていたとしても、実現すれば心がおどるような、そんな目的が。」
おそらく冒険の過程で、短いゲームブックの中では描写しきれないところでも、君は予知能力を使いながら色々なことを学び、そこで得た教訓がサウルの夢とうまく結びついたのでしょう(地下迷宮での君の様子を見る限り、君には冒険者としての適性はあまりないようにも思われます)。これは一種のジュブナイル的な成長譚でもあり、特別な能力を突然与えられた青年が、自らの能力と折り合いをつけ、その目的や使いみちを見つけるまでの物語でもあるのです。
このような『FSの冒険』の物語の構造は、ゲームとしては似たようなギミックをもつ『ゴルジュ』の物語とは、むしろ鮮やかな対照をなしていると言えるかもしれません。
『ゴルジュ』の主人公である少女ミナは、姉たちを取り戻すという、この上なく明確な目的意識をもって冒険者となり、禁忌となる「時の魔法」の力を得ます。そして、『ゴルジュ』におけるミナの物語は、もし志半ばで失敗することがなければ、実際に姉たちを救い、当初の目的を貫徹する形で終わります。
『ゴルジュ』の「あとがき」に書かれているように、ミナは自分の心の弱さをよく知っているからこそ、目的のために「ブレることがない」主人公です。ミナの弱さや動揺は、物語が始まる前の「背景」の中に封じ込められており、「時の魔法」とともに物語を進めるミナは、常に当初の目的だけを見据え続けます。たとえ「時の魔法」の不適切な使用が冒険の失敗を招くときでも、ミナが後悔するのはその技術的な「使いかた」(使う魔法の種類やタイミング)であって、それを何のために使うのか、という意味での「使いかた」に思い悩むことはないでしょう。
『ゴルジュ』の長い物語の終わりが、目的を完遂したという安堵や達成感をもたらすのに対して、『FSの冒険』の短い物語の終わりは、新たな目的を発見したことの驚きや高揚感をもたらすもののように思います。
ゲームとしての側面から見ると、『FSの冒険』の「予知能力」は、「指セーブ」というメタ的行為のルール化という意欲的な試みであり、『ゴルジュ』の「時の魔法」のプロトタイプとして位置づけられるかもしれません。その一方で、物語としての『FSの冒険』は、『ゴルジュ』の物語とはまた異なる指向性をもつ、簡素ながら独特の魅力を備えたものだと言えるでしょう。
■「君」の死と教訓のゆくえ
ここで、『FSの冒険』の最後の場面(生きて迎えることができる、唯一のエンディング)における「君」の言葉を、もういちど見てみましょう。
「先のことがわかるこの能力は、簡単に堕落へとつながってしまう。それを防ぐには、目的が必要だ。やりがいがあって、他者と心を通わせられる喜びのある目的。結果が分かっていたとしても、実現すれば心がおどるような、そんな目的が。」
『FSの冒険』の物語の中で、この言葉と最もわかりやすく関係しているのは、「君」がビストフの酒場で賭博に手を出したときの結末でしょう。
賭博に手を出した君は、予知能力のおかげで大金を稼ぎますが、すぐに「スリルのないギャンブル」に飽きてしまいます。また、君は予知のおかげで先を見通せるため、周囲の人間が愚かに見えてしまい、友人ができることもありません。結局君は、麻薬に溺れて身体を壊し、孤独な中で短い一生を終えることになります。
もし君が、この「堕落と孤独の中での死」という場面を「予知」した上で、別の選択肢を選び直して生還することができたなら。
きっと、「やりがいがあって、他者と心を通わせられる」目的や、「結果が分かっていたとしても、実現すれば心がおどるような」目的をもつことの大切さに、自然と思い至るのではないでしょうか。
ところが、ゲームのルールの中では、「君」が上記のような教訓を得てエンディングに辿り着くことはできません。
君が賭博をするときの選択肢は、
「ギャンブルに手を出す」ことを選ぶ
→「1人で賭博をする」か「2人でする」かを選ぶ
→「1人で賭博をする」を選んだ場合は孤独に死ぬ(前述のパターン)、「2人でする」を選んだ場合は相棒に刺されて死ぬ
という構造になっているのですが、最初に述べたとおり、予知能力で「先読み」できるのは1つ先のパラグラフまで。
つまり、「ギャンブルに手を出す」選択肢から「先読み」できるのは、「1人で賭博をする」か「2人でする」かという選択肢のあるパラグラフまででしかなく、さらにその先の未来を知るためには、「ギャンブルに手を出す」選択肢を、現実として確定させてしまう必要があるのです。
そこからの君の未来は、孤独に死ぬか、相棒に刺されて死ぬか、という二者択一のいずれかであり、片方の死を「先読み」して回避したとしても、残されたもう片方の死が、必ず君を待っています。
『FSの冒険』において、物語の中の主人公としての「君」は、いくつもの死の場面を、予知能力によって回避することができます。
しかし、「君」にとって最も大切な教訓となるはずの、「堕落と孤独の中での死」という光景は、それを見てしまえば生きて帰ることができない、死の袋小路の奥に隠されているのです。
では、エンディングにおける「君」の思いは、一体どこからやってきたものなのでしょうか。
この作品のタイトルは『フィンガーセイバーの冒険』ですが、肝心の「フィンガーセイバー」という言葉が、物語の中に登場することは一度もありません。
ここでいうフィンガーセイバーとは、「指セーブをする者」を指すとみられる造語であり、それは物語の中で「予知能力」を使う「君」というよりは、むしろ、物語の外で「指セーブ」を行う「あなた」に向けられた呼称のように思われます。
この短い物語の核となる、絶望的な死の教訓と、希望に満ちた結末は、物語の中の「君」の「予知能力」だけでは、つなぎ合わせることはできません。
『フィンガーセイバーの冒険』は、その物語を完成させるために、主人公である「君」の死(予知ではなく、現実としての死)を見届けた上でなお、物語を辿り直すことができる者を必要としています。それがすなわち、物語の外の「フィンガーセイバー」たる「あなた」であり、その意味において、この物語はまさに「フィンガーセイバーの冒険」として作られているのです。
■おわりに
どこまで一般化できるかは心もとないですが、それぞれのゲームブック作品の個性を形作る中核的な構成要素の中には、「ゲームとしてのルール」「物語とそのテーマ」「パラグラフの構造」の3点が含まれると考えています(もちろん、これらの3点「だけ」ではありません)。
『フィンガーセイバーの冒険』において、ひときわ目を引くのは「予知能力」というルールですが、それが「能力の使いみち」というテーマと結びつき、さらに「ルール上は主人公が生還できない、それでも物語にとっては重要な意味をもつ死のパラグラフ」が存在することで、このわずか25パラグラフの小品は、ゲームとしても物語としても、どこか忘れがたい印象を残すものとなっているように思います。
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2026年1月12日月曜日
スティーブ・クロンプトン来日レポート! FT新聞 No.4737
おはようございます、自宅の書斎から杉本です☆
2025年11月28日(金)、大阪にスティーブ・クロンプトンが来日しました!
本日はその際のレポートを配信いたします☆
◆スティーブ・クロンプトンとは?
世界で2番目に作られたTRPG「トンネルズ&トロールズ」のオリジナルデザイナー、ケン・セント・アンドレ。
彼が作った「モンスター!モンスター!TRPG」を、私たちFT書房が翻訳、出版しています。
そのケンの相棒として仕事を続けるスティーブ・クロンプトンが、船で世界をまわり、日本にも寄港するというのです。
半年ほど前にその報を受けた私たちは、周到にこの日の準備を進めてきました☆
◆お出迎え。
大阪港で待ち合わせたクロンプトンの第一印象は、「テキサスハットをかぶったイケおじ」でした☆
港のそばにあるハンバーガーショップの壁に寄りかかっているその姿は、今までに見たことのない独特のカッコよさです。
老ガンマンというのがいちばん近い言葉なのですが、老いを感じさせる要素はありません。
遠くから挨拶すると、ニカっと笑ってくれて、アメリカなまりの少ない英語で、早口で気さくに話してくれました。
「初めまして! 会えて嬉しいよ、スティーブ!」
「俺もだよ、今日はよろしくね、あきら!」
あきらというのは、私のファーストネームです。
今日の予定を告げがてら、私はここで、先日の記事で扱った「日本のファンたちが個人作品を出す際のルール」について、持ちかけました。
クロンプトンは即決で「面倒の少ないルール」を受け入れてくれて、ケンと相談すると約束してくれました。
仕事のできる男、という第二印象を抱きました……!
◆観光!
ファンの皆と合流して、大阪にある四天王寺の観光へ。
けいねむさん、さくべたのちちさん、たまねぎ須永さんらをはじめとするファンや、中山くんなどFT書房のメンバーを入れて、総勢10名以上の集団となりました。
本当は京都の伏見稲荷を案内したかったのですが、往復で3時間半ほどかかることがわかり、断念しました。
クロンプトンの滞在時間は、7時間しかなかったのです。
四天王寺はまあ、そんなにすごい観光地ではないです。
大阪にありますし、「観光」「昼食」「交流会」のみっつを、7時間でやらなければならないものですから……ここはダウンサイズしました。
それでも、なかなかいい場所でした……ブッダの生涯が描かれた壁絵などがあって、京都のお寺とはまた異なるおもむきがありました。
ブッダというインド人の生涯を、アメリカ人と日本人が見学する状態へ。
◆お昼ごはん。
観光しながらだんだん仲良くなった私たちは、四天王寺から数分の移動を経て難波へ。
大阪南港から一番近い「大阪」が、ここだと思ったからです☆
お昼ご飯には、私の行きつけのお寿司屋さんを選びました。
学生時代からたまに通っているお店です……1,800円でおいしいお寿司の特盛を出してくれる、観光に染まった軟弱な表通りの飲食店とは違った、ちゃんとしたお店です。
おいしかったです!
◆会場へ。
地下鉄で数駅を移動。
借りておいた、和室のレンタルスペースへと移動しました。
そこで私たちは、自由な交流の時間を迎えます☆
そこでクロンプトンは私たちに、アメリカから持ってきたさまざまな「お土産」を贈ってくれました。
クトゥルフデザインのオリジナルサイコロ、モンスターのカード、骨董品レベルのレアな作品。
日本からも、けいねむさんやFT書房などから、プレゼントを渡すことができました。
吉里川べおさんも合流して、場はさらなる盛り上がりへ。
クロンプトンはケン・セント・アンドレからの、日本のファンへのメッセージを持ってきてくれました(これはまた改めて!)。
クロンプトンにしか訊けない質問をしたり、日本の「モンスター!モンスター!TRPG」や「トンネルズ&トロールズ」の話をしたりできました!
◆お見送り。
イベントはこれで終了だったのですが、私はクロンプトンを港に送ることを決めていました。
すると、大半の方が一緒に見送りに来てくれました☆
少し時間が残っていたので、大阪港そばのフードコートで最後の歓談を。
たまねぎ須永さんがたこ焼きをごちそうしてあげたそうで、生まれて初めて食べたと感動してくれました。
中山くんも抹茶アイスをご馳走したそうです……クロンプトンは日本で食べたもっともおいしいものに「抹茶アイス」を挙げたとのこと。
交流はひとしきり盛り上がって、名残惜しい終わりの時を迎えました。
家に帰ると、「最高の日帰り日本旅になった」と、クロンプトンからメールが届いていました。
「本当に楽しかった。皆にお礼を伝えてくれ」
と、クロンプトンからの伝言です☆
◆思い出深い1日でした!
この最高の1日に、私からも感謝を申し上げます。
集まってくれた人すべてに対して……ありがとうございました!
わざわざ大阪にまで集まってくださったほどのファンの熱意が伝わって、心の通い合う稀有な時間になったことを、感じました。
以上で2025年11月28日(金)の「スティーブ・クロンプトン来日レポート」を終わります。
それではまた!
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2025年11月28日(金)、大阪にスティーブ・クロンプトンが来日しました!
本日はその際のレポートを配信いたします☆
◆スティーブ・クロンプトンとは?
世界で2番目に作られたTRPG「トンネルズ&トロールズ」のオリジナルデザイナー、ケン・セント・アンドレ。
彼が作った「モンスター!モンスター!TRPG」を、私たちFT書房が翻訳、出版しています。
そのケンの相棒として仕事を続けるスティーブ・クロンプトンが、船で世界をまわり、日本にも寄港するというのです。
半年ほど前にその報を受けた私たちは、周到にこの日の準備を進めてきました☆
◆お出迎え。
大阪港で待ち合わせたクロンプトンの第一印象は、「テキサスハットをかぶったイケおじ」でした☆
港のそばにあるハンバーガーショップの壁に寄りかかっているその姿は、今までに見たことのない独特のカッコよさです。
老ガンマンというのがいちばん近い言葉なのですが、老いを感じさせる要素はありません。
遠くから挨拶すると、ニカっと笑ってくれて、アメリカなまりの少ない英語で、早口で気さくに話してくれました。
「初めまして! 会えて嬉しいよ、スティーブ!」
「俺もだよ、今日はよろしくね、あきら!」
あきらというのは、私のファーストネームです。
今日の予定を告げがてら、私はここで、先日の記事で扱った「日本のファンたちが個人作品を出す際のルール」について、持ちかけました。
クロンプトンは即決で「面倒の少ないルール」を受け入れてくれて、ケンと相談すると約束してくれました。
仕事のできる男、という第二印象を抱きました……!
◆観光!
ファンの皆と合流して、大阪にある四天王寺の観光へ。
けいねむさん、さくべたのちちさん、たまねぎ須永さんらをはじめとするファンや、中山くんなどFT書房のメンバーを入れて、総勢10名以上の集団となりました。
本当は京都の伏見稲荷を案内したかったのですが、往復で3時間半ほどかかることがわかり、断念しました。
クロンプトンの滞在時間は、7時間しかなかったのです。
四天王寺はまあ、そんなにすごい観光地ではないです。
大阪にありますし、「観光」「昼食」「交流会」のみっつを、7時間でやらなければならないものですから……ここはダウンサイズしました。
それでも、なかなかいい場所でした……ブッダの生涯が描かれた壁絵などがあって、京都のお寺とはまた異なるおもむきがありました。
ブッダというインド人の生涯を、アメリカ人と日本人が見学する状態へ。
◆お昼ごはん。
観光しながらだんだん仲良くなった私たちは、四天王寺から数分の移動を経て難波へ。
大阪南港から一番近い「大阪」が、ここだと思ったからです☆
お昼ご飯には、私の行きつけのお寿司屋さんを選びました。
学生時代からたまに通っているお店です……1,800円でおいしいお寿司の特盛を出してくれる、観光に染まった軟弱な表通りの飲食店とは違った、ちゃんとしたお店です。
おいしかったです!
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中山くんも抹茶アイスをご馳走したそうです……クロンプトンは日本で食べたもっともおいしいものに「抹茶アイス」を挙げたとのこと。
交流はひとしきり盛り上がって、名残惜しい終わりの時を迎えました。
家に帰ると、「最高の日帰り日本旅になった」と、クロンプトンからメールが届いていました。
「本当に楽しかった。皆にお礼を伝えてくれ」
と、クロンプトンからの伝言です☆
◆思い出深い1日でした!
この最高の1日に、私からも感謝を申し上げます。
集まってくれた人すべてに対して……ありがとうございました!
わざわざ大阪にまで集まってくださったほどのファンの熱意が伝わって、心の通い合う稀有な時間になったことを、感じました。
以上で2025年11月28日(金)の「スティーブ・クロンプトン来日レポート」を終わります。
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2026年1月11日日曜日
アランツァクリーチャー事典 Vol.24 FT新聞 No.4736
おはようございます。
FT新聞編集長の水波流です。
本日は日曜日。ローグライクハーフ関連記事をお送りいたします。
杉本=ヨハネから預かりました、アランツァクリーチャー事典の第24回です。
3回に渡ってお送りしてきた『家畜、騎乗生物』ですが、
今回は特別編として、従者としての【騎乗生物】をお送りします。
どの拠点でも購入可能な馬から、金貨135枚の【相棒】グリフォン、そして購入に条件がある騎乗カマキリなどなど……。
どうぞお楽しみ下さいませ。
アランツァクリーチャー事典『従者としての【騎乗生物】』
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/AranciaMonsterEncyclopedia_vol.24.txt
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FT新聞編集長の水波流です。
本日は日曜日。ローグライクハーフ関連記事をお送りいたします。
杉本=ヨハネから預かりました、アランツァクリーチャー事典の第24回です。
3回に渡ってお送りしてきた『家畜、騎乗生物』ですが、
今回は特別編として、従者としての【騎乗生物】をお送りします。
どの拠点でも購入可能な馬から、金貨135枚の【相棒】グリフォン、そして購入に条件がある騎乗カマキリなどなど……。
どうぞお楽しみ下さいませ。
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2026年1月10日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第674号 FT新聞 No.4735
From:水波流
新年に『文章表現のための類語類句辞典』を購入したのですが、なんと昨年の今日も、講談社『類語大辞典』を買っていた模様……笑
結論から言うと、執筆時に紙の類語辞典は思考が中断されて、なかなかパッと引けないので、私には向いていないかもしれません。これ以上買うのはやめようと思います……。
From:葉山海月
ふと気づかずに、先週と同じあいさつネタをやりそうになる罠。
一年どころか、一週間も進歩なき日々を過ごしているの丸わかり!
From:中山将平
僕らFT書房は明日1月11日(日)インテックス大阪で開催の「スーパーコミックシティ関西31」にサークル参加します。配置は【う2a】。コミケで刊行した新刊2冊もお持ちします。
同じイベントに、僕は「ギルド黄金の蛙」としてもサークル参加しています。こちらの配置は【い30b】です。カエル人の本を、このイベントにて刊行します。
その1週間後1月18日(日)、同じインテックス大阪で開催の「こみっくトレジャー47」にもFT書房はサークル参加予定です。こちらのブース配置は【4号館 D06a】です。
同じイベントに、僕は「ギルド黄金の蛙」としてもサークル参加しています。こちらの配置は【4号館 D05b】です。
実は、1月18日(日)にはもう一つ「文学フリマ京都10」にもFT書房は参加予定です。ブース配置は【B-34】です。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(天)=天狗ろむ
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1/4(日)~1/9(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2026年1月4日(日)火呂居美智 FT新聞 No.4729
『失楽園奇譚』ローグライクハーフd33シナリオ
・2026年最初のシナリオは、昨年配信された『蛇禍の悪魔』『幽霊屋敷の果実酒』の作者である火呂居美智氏によるd33シナリオです!
冒険の舞台は、『蛇禍の悪魔』と同じくポロメイア小国家連合…その東に広がるよじれ森。
森の中で出会った人物の探し人を求め、森を彷徨う内に、墜落した楽園エデンベルの伝説に深く関わっていくことになります。
1回の冒険で終わるd33シナリオですが長丁場になる可能性がありますので、しっかりと準備をしてからの開始をオススメ致します。
彼女(または彼)が最愛の人に出会えるかどうかは、主人公の選択次第です……ぜひ冒険に出て確かめてみて下さい。
(天)
2026年1月5日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4730
☆謹賀新年☆
・あけましておめでとうございます!
1年で最初の月曜記事は、FT書房の今年の抱負や計画です!
実現の見込みが十分にあることから、現状では夢のまた夢といえることまで、杉本氏が大いに語りました。
サプリメント『アランツァワールドガイド』(by杉本=ヨハネ)から、新しい雑誌『ファイティングトロールマガジン(仮)』まで!
もちろん、去年FT新聞で話題をさらったゲームブック解説本『SAGBがよくわかる本』も!?
実現のために、歩みをやめないFT書房!
今年もよろしくお願いいたします!
(葉)
2026年1月6日(火)かなでひびき FT新聞 No.4731
『これはゲームブックなのですか!?』vol.127
・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。
今回紹介する作品は『俺に撃たせろ!』(火浦 功著 徳間デュアル文庫)
人生にハードボイルドが足りていない……そんな皆さんに! 探偵アルツ・ハマーが小粋で洒落たセリフと暴力の機関銃を浴びせてくれます。
それでいてこの呆れた探偵は、昼食に何を食べたかも自分の美人秘書の名前も覚えちゃいない。そこへ「降って湧いた」難事件!
減らず口は一丁前のアルツ・ハマー、気の利いたことは言えますが、肝心の事件にろくな「解決」を与えてくれません。
それならば、これをひとつのリドル・ストーリーとしてあなた自身で納得の行く答えを見つけてみてはいかがでしょうか?
ライフにハードボイル度を充填する意味でも、未解決の謎の出題としても広く「遊べる」一冊です。
(明)
2026年1月7日(水)ぜろ FT新聞 No.4732
第3回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
・プレイヤーとキャラクター双方の視点を織り交ぜながら展開される、ぜろ氏のリプレイ第473回です。
『狂える魔女のゴルジュ』の主人公ミナの姉、ニナ・ガーデンハートが雪原で繰り広げる逃走劇。初回の挑戦では大自然の罠でスタミナが尽き、追っ手のダムリスに捕まってしまいましたが、2回目は順調に先へと進み、途中の丸木小屋では暗殺者に襲われていた青年を助けることに成功しました。
距離を詰められた代わりに、ニナが得たのはひとつの好機。イタチ先生から学んだテクニックも活用し、ダムリスへの反撃が始まります!
(く)
2026年1月8日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4733
『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】』の襲来だ!
・もう皆様のお手元には届いているでしょうか?
『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】』!
まず、111種類を越えるモンスターのカタログ! しかも基本は1モンスター1ページというぜいたく仕様!
これまで提供されていた簡易ルールでは、選択可能な種族は8種類ですが、この【モンスター編】の導入によって43種類にまで膨れ上がります。
とんでもなく「厚い」本を、ほどばしる「愛」を込めて、岡和田氏自身が熱く語ります!
百聞は一見に如かず!
まずは本記事を! そしてご興味ございましたら是非お手に取ってください!
(葉)
2026年1月9日(金)休刊日 FT新聞 No.4734
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ジャラル アフサラールさん)
火浦 功さんですか懐かしい。超能力犯罪者が主人公の『高飛びレイク』シリーズ、(当時は珍しい(笑))可愛い女の子のマッドサイエンティストが活躍する『みのりちゃん』シリーズ買いました。ちなみにこの2作はゲームブックにもなっています。もっともシリーズの続きを書かずに放置している作品が多いので佐藤大輔氏(『皇国の守護者』『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』)・田中芳樹氏(『アルスラーン戦記』『タイタニア』)と並んで「日本三大未完放置作家」と呼ぶ方もいます(笑)。田中氏が未完作品を完結され始め、佐藤氏が鬼籍に入られたので火浦氏も仕事して欲しいと思います。
(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます。
『みのりちゃん』シリーズですかー。こいつぁ新年から興味シンシン( ..)φメモメモ
機会があったら、ぜひ手に取りたい!
実は、火浦先生は『お前が悪い』から入ったにわかです!
ハチャメチャな作風が気に入って、ちょこちょこ読んではいますが、いまだに、火浦先生と岬兄悟先生、吉岡平先生の区別がつきません(笑)
しかし、未完な作品も多いとは伺いましたが、やはり完結まで見たいですね!
(忍者福島さん)
アルツ・ハマーとは直接関係ないのですが、作品内容と名前から、俺がハマーだ!という作品を思い出してしまいました。
なんでもかんでも銃を取り出して打ちまくるという、こち亀をアメリカでドタバタコメディにしたような作品でしたが、面白かったなあ。
何しろオープニングからして「動くなよ、弾が外れるから」って名セリフが飛び出してますので、そこだけでも見てほしいですね(笑)
(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます!
おおっ! 同志よ!
こんなところで『俺がハマーだ!』の話題が出てくるとは!
かなでも本作の大ファンで、全話見ようとビデオ屋に行ったら、1巻しか入っていなかった!
その破天荒さかげんが、『俺に撃たせろ!』からぷんぷん漂ってくる!
読まなくても、かなでのゴーストがささやくどころかおらぶのよっ!
って感じで手が本棚に勝手に伸びた状態ですが、手に入れてよかったです!
いつかは『俺がハマーだ!』全話完走したいです!
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FT新聞は休刊日でも「本日は休刊日です」というメールが必ず届きます。
未着の場合は、まず迷惑メールフォルダを一度、ご確認下さい。
もし迷惑メールにも全く届いていない場合は、それは残念ながらお使いのメールとの相性問題などで未着になっている可能性があります。
このところ各社のメールセキュリティ強化のためか未着のケースが複雑化しております。
未着の場合は、下記ページをご参考頂き、個々のアドレスの受信許可設定をお試しください。
https://ftnews-archive.blogspot.com/p/filtering.html
*10回未着が続いた場合、そのメールアドレスはシステムより自動的に登録解除されます。再度登録する事は可能ですので、未着が続いた場合は、お手数ですがご自身で再登録下さい。
また【バックナンバー保管庫】は公開期間が2週間ありますので、その間にご自身でテキストを保存されたり、自分で自分にコピーしてメールを送られたりする等、ご活用お願いいたします。
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僕らFT書房は明日1月11日(日)インテックス大阪で開催の「スーパーコミックシティ関西31」にサークル参加します。配置は【う2a】。コミケで刊行した新刊2冊もお持ちします。
同じイベントに、僕は「ギルド黄金の蛙」としてもサークル参加しています。こちらの配置は【い30b】です。カエル人の本を、このイベントにて刊行します。
その1週間後1月18日(日)、同じインテックス大阪で開催の「こみっくトレジャー47」にもFT書房はサークル参加予定です。こちらのブース配置は【4号館 D06a】です。
同じイベントに、僕は「ギルド黄金の蛙」としてもサークル参加しています。こちらの配置は【4号館 D05b】です。
実は、1月18日(日)にはもう一つ「文学フリマ京都10」にもFT書房は参加予定です。ブース配置は【B-34】です。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(天)=天狗ろむ
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(く)=くろやなぎ
(水)=水波流
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2026年1月4日(日)火呂居美智 FT新聞 No.4729
『失楽園奇譚』ローグライクハーフd33シナリオ
・2026年最初のシナリオは、昨年配信された『蛇禍の悪魔』『幽霊屋敷の果実酒』の作者である火呂居美智氏によるd33シナリオです!
冒険の舞台は、『蛇禍の悪魔』と同じくポロメイア小国家連合…その東に広がるよじれ森。
森の中で出会った人物の探し人を求め、森を彷徨う内に、墜落した楽園エデンベルの伝説に深く関わっていくことになります。
1回の冒険で終わるd33シナリオですが長丁場になる可能性がありますので、しっかりと準備をしてからの開始をオススメ致します。
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(天)
2026年1月5日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4730
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・あけましておめでとうございます!
1年で最初の月曜記事は、FT書房の今年の抱負や計画です!
実現の見込みが十分にあることから、現状では夢のまた夢といえることまで、杉本氏が大いに語りました。
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・バーチャル図書館委員長かなでひびき氏がゲームブックに関係ありそうでなさそうな周辺のよもやま話をしていきます。
今回紹介する作品は『俺に撃たせろ!』(火浦 功著 徳間デュアル文庫)
人生にハードボイルドが足りていない……そんな皆さんに! 探偵アルツ・ハマーが小粋で洒落たセリフと暴力の機関銃を浴びせてくれます。
それでいてこの呆れた探偵は、昼食に何を食べたかも自分の美人秘書の名前も覚えちゃいない。そこへ「降って湧いた」難事件!
減らず口は一丁前のアルツ・ハマー、気の利いたことは言えますが、肝心の事件にろくな「解決」を与えてくれません。
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ライフにハードボイル度を充填する意味でも、未解決の謎の出題としても広く「遊べる」一冊です。
(明)
2026年1月7日(水)ぜろ FT新聞 No.4732
第3回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
・プレイヤーとキャラクター双方の視点を織り交ぜながら展開される、ぜろ氏のリプレイ第473回です。
『狂える魔女のゴルジュ』の主人公ミナの姉、ニナ・ガーデンハートが雪原で繰り広げる逃走劇。初回の挑戦では大自然の罠でスタミナが尽き、追っ手のダムリスに捕まってしまいましたが、2回目は順調に先へと進み、途中の丸木小屋では暗殺者に襲われていた青年を助けることに成功しました。
距離を詰められた代わりに、ニナが得たのはひとつの好機。イタチ先生から学んだテクニックも活用し、ダムリスへの反撃が始まります!
(く)
2026年1月8日(木) 岡和田晃 FT新聞 No.4733
『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】』の襲来だ!
・もう皆様のお手元には届いているでしょうか?
『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】』!
まず、111種類を越えるモンスターのカタログ! しかも基本は1モンスター1ページというぜいたく仕様!
これまで提供されていた簡易ルールでは、選択可能な種族は8種類ですが、この【モンスター編】の導入によって43種類にまで膨れ上がります。
とんでもなく「厚い」本を、ほどばしる「愛」を込めて、岡和田氏自身が熱く語ります!
百聞は一見に如かず!
まずは本記事を! そしてご興味ございましたら是非お手に取ってください!
(葉)
2026年1月9日(金)休刊日 FT新聞 No.4734
休刊日のお知らせ
・毎週金曜日は、読者から投稿された記事がここに入れるように、空けてある曜日です。
あなたの記事を、お待ちしております!
(葉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(ジャラル アフサラールさん)
火浦 功さんですか懐かしい。超能力犯罪者が主人公の『高飛びレイク』シリーズ、(当時は珍しい(笑))可愛い女の子のマッドサイエンティストが活躍する『みのりちゃん』シリーズ買いました。ちなみにこの2作はゲームブックにもなっています。もっともシリーズの続きを書かずに放置している作品が多いので佐藤大輔氏(『皇国の守護者』『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』)・田中芳樹氏(『アルスラーン戦記』『タイタニア』)と並んで「日本三大未完放置作家」と呼ぶ方もいます(笑)。田中氏が未完作品を完結され始め、佐藤氏が鬼籍に入られたので火浦氏も仕事して欲しいと思います。
(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます。
『みのりちゃん』シリーズですかー。こいつぁ新年から興味シンシン( ..)φメモメモ
機会があったら、ぜひ手に取りたい!
実は、火浦先生は『お前が悪い』から入ったにわかです!
ハチャメチャな作風が気に入って、ちょこちょこ読んではいますが、いまだに、火浦先生と岬兄悟先生、吉岡平先生の区別がつきません(笑)
しかし、未完な作品も多いとは伺いましたが、やはり完結まで見たいですね!
(忍者福島さん)
アルツ・ハマーとは直接関係ないのですが、作品内容と名前から、俺がハマーだ!という作品を思い出してしまいました。
なんでもかんでも銃を取り出して打ちまくるという、こち亀をアメリカでドタバタコメディにしたような作品でしたが、面白かったなあ。
何しろオープニングからして「動くなよ、弾が外れるから」って名セリフが飛び出してますので、そこだけでも見てほしいですね(笑)
(お返事:かなでひびき)
ありがとうございます!
おおっ! 同志よ!
こんなところで『俺がハマーだ!』の話題が出てくるとは!
かなでも本作の大ファンで、全話見ようとビデオ屋に行ったら、1巻しか入っていなかった!
その破天荒さかげんが、『俺に撃たせろ!』からぷんぷん漂ってくる!
読まなくても、かなでのゴーストがささやくどころかおらぶのよっ!
って感じで手が本棚に勝手に伸びた状態ですが、手に入れてよかったです!
いつかは『俺がハマーだ!』全話完走したいです!
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2026年1月9日金曜日
休刊日のお知らせ FT新聞 No.4734
おはようございます。
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2026年1月8日木曜日
ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】の襲来だ! FT新聞 No.4733
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『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】』の襲来だ!
岡和田晃
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すでに年末のイベントに参加された方、あるいは電子書籍版をお求めになった方もいらっしゃると思いますが、『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】』が、予約された方はそろそろお手元に届いていることと思います。
いやはや、これは大変な仕事でした——現物をご覧になれば一目瞭然ですが、その圧倒的な分量において、です。TRPGがらみのマニュアルや資料集においては、これだけの量は珍しくないにしても、おなじみのモンスターがほとんどおらず、突拍子もないクリーチャーのオンパレードという意味では、表面的な分量以上のボリュームになっていること、請け合いです。
すでに姉妹編の【ワールド編】が刊行されており、両者を揃えると、原書の完訳+ボーナス・トラック2本という豪華仕様になりますが、懐に余裕がない方は、この【モンスター編】からご覧になっても問題ないでしょう。なぜならば、本書は『モンスター!モンスター!TRPG』のサプリメントであるとともに、汎用設定資料集ともなっているからです。
目次では確認できないのでわかりづらくて申し訳ありませんが、ルール記法を読み解くのに必要な最低限の情報は日本語版オリジナルのサマリーとして付属してありますので、単独で理解することも可能です。
原題の「モンスターラリー」はMonsterary(モンステラリー)というのは、著者のケン・セント・アンドレ独自の造語です。いまはSNSにも翻訳ソフトが実装されているため、Monster Rally(モンスターの大競走)と勝手に訳されてしまうのですが、それだけの意味のために宛てているのではありません。求道的なイメージのある「僧院(Monastery)」、GMやデザイナーの特権性へのアイロニーたる「専制君主(Monarchy)」、中世の動物寓意集を意味し、TRPGがらみのモンスター寓意集にも使われる「Bestiary」との掛詞になっていますが、日本語にあたっては発音にあたってRとLが区別されず、また躍動感あふれるイメージを殺したくなかったので、原題の音を遺しながら「モンスターラリー」と表記していますが、もし英語ネイティヴの方と、本書を話題にするのであれば、「モンステラリー」と発音するのが適切でしょう。
さて、気になる中身ですが、まず目を惹くのは、111種類を越えるモンスターのカタログです。111種類となると、他のモンスターマニュアルからすると、そこまで多いとも思えないかもしれませんが、基本は1モンスター1ページ。その生態や戦闘スタイル、さらには『モンスター!モンスター!TRPG』以外で使用する際のコンバート案まで添えられているので、少ないとはまず思わないはずです。
これまで提供されていた簡易ルールでは、選択可能な種族は8種類ですが、【モンスター編】の導入によって43種類にまで膨れ上がります。私もさっそく、9歳になる娘と一緒にキャラクターを作成し、スマラク(バビロニアの女神ラマシュトゥに仕える眷属のミュータント)、ムーン・エルフ(ズィムララならではのエルフ)、ウアジー(コブラ女)の3人のヒロインが出来上がりました。公式設定にも、チャーリーズ・エンジェルズならぬクチュールー・エンジェルズというものがあるので、まさにピッタリですね! この3人と、サキュバスのNPCテン=メアを加えた4人で、『猫の女神の冒険』を試してみた次第です。
——その顛末はまた別の機会に語るとしまして、本書には3タイプのクリーチャーがいます。知性的でないクリーチャー(プレイヤーに不向きなもの)と、知性的なクリーチャー(プレイヤー・キャラクターとして使用可能なもの)、それにデーモン勢です。デーモンにも知性的なものと、そうでないものがあります。もっとも、知性的でないクリーチャーのなかにも、ジャングル・トロールのように簡易ルールでPC用種族に採用されているものもいますし、他にもGM次第でいくらでも応用が効くので、あくまでも指針として理解するのが良さそうです。
その他、本書所収の種族を簡単に紹介すると……。
次元界を股にかけて飛び回るエーテル・ドラゴン。
地獄の統治者たるアーチデーモン。
〈トロールワールド〉の例の魔術師を連想させる謎の魔術師ク=カタブの寵児(ミニオン)たち。
鬼才・たまねぎ須永氏がデザイン、色々な意味で恐るべき海たまねぎに至るまで、情報がてんこ盛りなのです。
ミノタウロスに似たブールザーク、虎人間ことタイゲリアン、デーモンとドワーフのハイブリッドたるドウォンなど、比較的演じやすい(扱いやすい)クリーチャーも揃っています。
そうそう、忘れてならないのが、国境や語圏を超えた合作たるボーナス・シナリオ『ラマシュトゥとの戦い』です。本作はなんと、TRPGならではの外交戦メインの話です。これまで紹介されてきたシナリオやソロアドベンチャーが、比較的シンプルなダンジョン探検メインのものだったので、打って変わって毛色の違うものになりました。
ソロアドベンチャーに落とし込むと、200パラグラフ以下では処理できなさそうな複雑な話ですが、私が真っ先に連想したのは、『ウォーハンマーRPG』第2版のキャンペーン・シナリオ『アルトドルフの尖塔』。あるいは、「FT新聞」で紹介されているものなら『モンセギュール1244』にも通じるでしょう。雰囲気たっぷりの巻頭小説「ファースト・ミーティング(初めての遭遇)」も含め、是非ともご堪能ください。
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『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】』の襲来だ!
岡和田晃
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すでに年末のイベントに参加された方、あるいは電子書籍版をお求めになった方もいらっしゃると思いますが、『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【モンスター編】』が、予約された方はそろそろお手元に届いていることと思います。
いやはや、これは大変な仕事でした——現物をご覧になれば一目瞭然ですが、その圧倒的な分量において、です。TRPGがらみのマニュアルや資料集においては、これだけの量は珍しくないにしても、おなじみのモンスターがほとんどおらず、突拍子もないクリーチャーのオンパレードという意味では、表面的な分量以上のボリュームになっていること、請け合いです。
すでに姉妹編の【ワールド編】が刊行されており、両者を揃えると、原書の完訳+ボーナス・トラック2本という豪華仕様になりますが、懐に余裕がない方は、この【モンスター編】からご覧になっても問題ないでしょう。なぜならば、本書は『モンスター!モンスター!TRPG』のサプリメントであるとともに、汎用設定資料集ともなっているからです。
目次では確認できないのでわかりづらくて申し訳ありませんが、ルール記法を読み解くのに必要な最低限の情報は日本語版オリジナルのサマリーとして付属してありますので、単独で理解することも可能です。
原題の「モンスターラリー」はMonsterary(モンステラリー)というのは、著者のケン・セント・アンドレ独自の造語です。いまはSNSにも翻訳ソフトが実装されているため、Monster Rally(モンスターの大競走)と勝手に訳されてしまうのですが、それだけの意味のために宛てているのではありません。求道的なイメージのある「僧院(Monastery)」、GMやデザイナーの特権性へのアイロニーたる「専制君主(Monarchy)」、中世の動物寓意集を意味し、TRPGがらみのモンスター寓意集にも使われる「Bestiary」との掛詞になっていますが、日本語にあたっては発音にあたってRとLが区別されず、また躍動感あふれるイメージを殺したくなかったので、原題の音を遺しながら「モンスターラリー」と表記していますが、もし英語ネイティヴの方と、本書を話題にするのであれば、「モンステラリー」と発音するのが適切でしょう。
さて、気になる中身ですが、まず目を惹くのは、111種類を越えるモンスターのカタログです。111種類となると、他のモンスターマニュアルからすると、そこまで多いとも思えないかもしれませんが、基本は1モンスター1ページ。その生態や戦闘スタイル、さらには『モンスター!モンスター!TRPG』以外で使用する際のコンバート案まで添えられているので、少ないとはまず思わないはずです。
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——その顛末はまた別の機会に語るとしまして、本書には3タイプのクリーチャーがいます。知性的でないクリーチャー(プレイヤーに不向きなもの)と、知性的なクリーチャー(プレイヤー・キャラクターとして使用可能なもの)、それにデーモン勢です。デーモンにも知性的なものと、そうでないものがあります。もっとも、知性的でないクリーチャーのなかにも、ジャングル・トロールのように簡易ルールでPC用種族に採用されているものもいますし、他にもGM次第でいくらでも応用が効くので、あくまでも指針として理解するのが良さそうです。
その他、本書所収の種族を簡単に紹介すると……。
次元界を股にかけて飛び回るエーテル・ドラゴン。
地獄の統治者たるアーチデーモン。
〈トロールワールド〉の例の魔術師を連想させる謎の魔術師ク=カタブの寵児(ミニオン)たち。
鬼才・たまねぎ須永氏がデザイン、色々な意味で恐るべき海たまねぎに至るまで、情報がてんこ盛りなのです。
ミノタウロスに似たブールザーク、虎人間ことタイゲリアン、デーモンとドワーフのハイブリッドたるドウォンなど、比較的演じやすい(扱いやすい)クリーチャーも揃っています。
そうそう、忘れてならないのが、国境や語圏を超えた合作たるボーナス・シナリオ『ラマシュトゥとの戦い』です。本作はなんと、TRPGならではの外交戦メインの話です。これまで紹介されてきたシナリオやソロアドベンチャーが、比較的シンプルなダンジョン探検メインのものだったので、打って変わって毛色の違うものになりました。
ソロアドベンチャーに落とし込むと、200パラグラフ以下では処理できなさそうな複雑な話ですが、私が真っ先に連想したのは、『ウォーハンマーRPG』第2版のキャンペーン・シナリオ『アルトドルフの尖塔』。あるいは、「FT新聞」で紹介されているものなら『モンセギュール1244』にも通じるでしょう。雰囲気たっぷりの巻頭小説「ファースト・ミーティング(初めての遭遇)」も含め、是非ともご堪能ください。
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2026年1月7日水曜日
第3回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ FT新聞 No.4732
第3回【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】ゲームブックリプレイ
※ここから先はゲームブック【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
ぜろです。
ニナ・ガーデンハートの雪深い森の中での逃避行。
その一点に絞ったゲームブック。それがこの「ハンテッドガーデンハート」です。
スタミナと敵との距離を測りながら、最終的に逃げ切るのが目的です。
相手は手練れのハンター、ダムリス。痕跡が残りやすい雪の地で、不利な逃走劇が続きます。
そんな中、森の中の小屋で、青年が暗殺者に襲われる場面に遭遇。青年と協力して暗殺者を倒しました。
これが逆転のきっかけになりますか、どうか。
【ニナ スタミナ:5 距離:1】
●アタック02-4 ニナと主人公
私は、覆いかぶさっている暗殺者の遺体をどけると、荒い息を吐いた。
「助かったよ、ありがとう」
青年が、へたりこむ私のそばに来て、座った。
「ヘマをやらかしてね、追われているんだ」
「そうみたいね。見てわかった。実は私も追われているから」
「そうなのか」
少しの体力も惜しいこの時に、この青年を助けるため、余分な体力を使ってしまった。
もう、へとへとだ。この先、長い逃避行を続けられる余力はない。数値的にはスタミナを消耗していないが、気力の問題だ。
距離も1だというのに、この小屋の中で長時間トラブルに巻き込まれて過ごしている。
ダムリスは視認できる位置にいたのだから、この状況をどのように見て、今どのように策をめぐらせているのか、わかったものではない。
警戒心が強いダムリスのことだ。この青年の存在があるから、小屋の中に踏み込んでこないのだろうけれど。
この暗殺者のように、殺してしまうのならむしろ簡単だ。ダムリスの目的は、私を五体満足で連れ帰ること。彼にとっても、高難度のミッションに違いない。
「あなたはひとまず助かって良かったかもしれないけれど、私の方はもうダメね。ここで力を使い切ってしまった」
「どうして、あきらめるんだ? あんたはまだ、捕まっていないじゃないか」
青年は言った。
「俺は、捕まっても諦めなかったら、森の妖精に助けられたぜ」
森の妖精……私のことか。だいぶ無様だったけれど。
「好機は、訪れる。あんたに運が残っていれば」
青年は、さっきまで首を絞められていたとは思えないほど、力強い瞳をしており、私は息を呑んだ。
この青年は、なってくれるだろうか。私の好機に。
「自分からこんなことを言うのは気がひけるけど、借りを返してもらえない? 今度はあなたが、私を助ける番」
「その言葉を待っていた」
青年は言った。
「俺が、あんたにとっての好機だ」
私は思った。この展開を青年視点で描いたら、そっちが主人公みたいだ、と。
そんなメタな思いをよそに、青年は私に弓矢を渡す。
「これは君が使うといい。俺にはこれがある」
青年は、剣を手にしていた。
「名前くらいは名乗っておくわ。私はニナ。ニナ・ガーデンハート」
「俺は……そうだな。アルスでもイルスでもウルスでも、好きに呼ぶといい」
「なにそれ。偽名?」
「いや、別に秘密にするつもりはないんだが、本編が始まらないと正式な名前は決まらないんだ」
なるほど。この前日譚ではなく、本編の主人公候補というわけね。
こうして、私とアルスの反撃が始まった。
●アタック02-5 ダムリスとの決着
警戒しながら小屋を出る。
こういうタイミングがいちばん狙われやすい。
出るのは、私だけだ。アルスと一緒には出ない。
ダムリスを誘い出すのが目的だから、余分な警戒心は抱かせない。
小屋に向かう足跡は私のものだけではない。
やはりダムリスはここまで来ている。
小屋の死角に潜んでいるのかも。
けれど、足跡を追うような真似はしない。あえて無視して歩き始める。
私は歩く速度を速めるが、ダムリスはなかなか動きを見せなかった。
しかし私が十分に距離を取ったと思う頃に、いよいよ私を追いかけ始めた。
たぶん、小屋の中の青年と私とで挟撃されるリスクを警戒していたんだ。
小屋の方の動きが見えなかったため、その可能性は低いと踏んで、追跡を再開したといったところだろう。
私は焦る気持ちを抑えつつ、雪面に足跡を増やしてゆく。
・弓矢を持っていて、正面から戦う
・弓矢はあるが、逃げてダムリスを誘い込む
・弓矢がない
私の動きを見ればわかるとおり、逃げながらダムリスを誘い込む。
今はまだ、ダムリスとの距離はある。
・今のうちに樹上に隠れる
・白い雪原に足跡をつけて逃げる
この選択肢でピンときた。
イタチ先生から学んだテクニックを、今こそ実行に移すときだと。
私は、雪原に足跡をつけて歩く。
少し歩いたところで、同じ足跡を踏んで戻り、元のパラグラフへ。
そして、樹上に隠れるのだ。
私は樹に素早く登った。
・足跡に関する工夫があるなら、進んだ歩数と同じ数を、この項目番号に加えること
これだ!
私は樹のところから、7歩、歩いた。そして、戻った。
そこで不自然に足跡が途切れているから、ダムリスはすぐに異変に気づくだろう。
けれど、それでいい。わずかでも時間が稼げれば。隙が作れれば。
やがて。
きた。ダムリスだ。
ダムリスは、私の足跡に視線を落としながら、余裕のある態度で歩いている。
足跡の観察のため、頭上はお留守だ。この時点でも隙が見える。
けど、まだだ。
やがて足跡が突如途切れたことで、取り乱す様子を見せた。そこが狙い目だ。
私は樹上から矢を放つ。
それはダムリスの肩に刺さった。ダムリスは弓を取り落とす。
そこにアルスが飛び出し、ダムリスのももに剣を突き立てた。
ダムリスは声を上げて倒れ込む。
アルスは、小屋から離れるダムリスを見送った後、足跡がばれないよう、木々の裏側を通ってここまで来て、待ち伏せしていたのだ。
私は地上に降りた。倒れたままのダムリスに声をかける。
「あなたは私を殺すことが目的じゃなかった。だから、私もあなたを殺さない。私のことは、雪崩に巻き込まれて死んだとでもしておくことね」
それ以上、言うことはなかった。
ダムリスの返事を待たずに、歩き出す。
アルスが隣に並んで歩き始めた。
「これから、どうするんだ?」
「住み慣れた街に戻るわ。慣れない稼ぎ方はするもんじゃない。普段と違うことをするとき、猫は死んじゃうのよ」
「猫のことは知らないが……あんたの街、ネグラレーナの盗賊ギルドに世話になりたいんだ。できるかな?」
そういえばアルスは、何かヘマをやらかしたって言っていたっけ。
「いいわ。頭領に話をしておく。『奇妙な猫の瞳亭』に来てちょうだい」
「ありがとう。……あんたから、春みたいな香りがするよ。新緑の樹から漂うような、目の覚める匂い」
「そう? 私は、眠い」
いきなり何を言い出すんだこの男は。汗臭さしかないと思うのだれど。
そんなことより、私は眠い。
追っ手がいなくなり、自由を手にした途端に、これまで緊張感とともにためこんできたものが、あふれ出てしまったようだ。
彼がどこまで同行するかはわからないけれど、ひとまずこの先休憩できるところまで行ったら、交代で見張りしながら休もう。
なんとなくアルスとは、長いつきあいになる気がした。
■登場人物
ニナ・ガーデンハート ガーデンハート姉妹の長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
ダムリス 非合法な組織の追っ手。ニナを狙っている。
ポリアンナ 森でニナが餌付けしたポルルポルル。空腹。
イタチ先生 ニナに雪上の足跡トラップを伝授してくれる。
アルス(仮名) 小屋にいた青年。ヘマして追われてたところをニナが助けた。
■作品情報
作品名:ハンテッドガーデンハート
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
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ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
●感想
ニナ・ガーデンハートの短編、クリアしました。
スタミナと距離を計算しながら歩く、緊張の逃走劇でした。
この作品のポイントは、なんといっても足跡の罠をしかけるための、特殊なパラグラフジャンプですね。
足跡をつけて戻ったのを表現するために、その知識があれば、元の番号に戻れるという特殊な処理と、その後に続くパラグラフジャンプが、短編のワンアイディアとして輝いていました。
私が先にプレイした『狂える魔女のゴルジュ』とは基本設定が少々異なっていました。
ニナの妹たちが売られていった設定の大雑把なところは合っていましたが、末の妹ミナへの言及はありませんでした。
また、「ゴルジュ」のストーリーである、奴隷狩りにあってさらわれたという文脈ではなく、借金のカタに女郎屋に売られた、という流れなのは大きな違いですね。
ニナは女郎屋から逃げたことになっているので、追っ手がかかる合理的な理由にもなっていました。
奴隷狩りからミナとともに逃亡した展開だと、この話には直接つながらないように思います。
まあ、設定は後から生えてきたり、時とともにいい感じに熟成されていったりするものなので、辻褄が合おうが合うまいが、どっちも正史ってことでいいと思います。
結末はメタ視点も入れて勝手な解釈を加えましたが、きっとアルス(仮名)が『盗賊剣士』の主人公、なんでしょうね。
そんな風に読めたので、そういうこととして話を進めました。『盗賊剣士』は触っていないので、推測です。
そこでふと思ったのですが、ニナが主人公のこの短編に加え、同じ場面に繋がるアルス(仮名)が主人公の短編があっても面白いなって思いました。
2つの短編が、小屋の場面でクロスオーバーするって展開です。
昨今の異世界転生系の小説などでは、同じ場面を他の登場人物視点で描く、というのをよく見ますので、そんな感じで。
ニナとアルス(仮名)が、それぞれどんなトラブルを抱えつつ、人生が交わる点に到達するのか。そんな見方ができたら、面白いかも。
まあ、全部私の妄想ですので、作ってくださいとか要望するわけではありません。
『狂える魔女のゴルジュ』の、ミナ視点から見るニナは、なんでもできるすごいお姉さんでした。
こうしてニナの物語を体験すると、ニナはニナで、苦悩もすれば成長過程でもある、いたって普通のエルフのお姉さんってことがわかります。
ニナが登場する作品はまだありますので、今後彼女が活躍する場面を見る機会を楽しみにしたいと思います。
短編ながらアイディアあふれる作品、ありがとうございました。
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※ここから先はゲームブック【ハンテッドガーデンハート〜盗賊剣士外伝〜】の詳細な内容に踏み込んでおりますのでご了承ください。
ぜろです。
ニナ・ガーデンハートの雪深い森の中での逃避行。
その一点に絞ったゲームブック。それがこの「ハンテッドガーデンハート」です。
スタミナと敵との距離を測りながら、最終的に逃げ切るのが目的です。
相手は手練れのハンター、ダムリス。痕跡が残りやすい雪の地で、不利な逃走劇が続きます。
そんな中、森の中の小屋で、青年が暗殺者に襲われる場面に遭遇。青年と協力して暗殺者を倒しました。
これが逆転のきっかけになりますか、どうか。
【ニナ スタミナ:5 距離:1】
●アタック02-4 ニナと主人公
私は、覆いかぶさっている暗殺者の遺体をどけると、荒い息を吐いた。
「助かったよ、ありがとう」
青年が、へたりこむ私のそばに来て、座った。
「ヘマをやらかしてね、追われているんだ」
「そうみたいね。見てわかった。実は私も追われているから」
「そうなのか」
少しの体力も惜しいこの時に、この青年を助けるため、余分な体力を使ってしまった。
もう、へとへとだ。この先、長い逃避行を続けられる余力はない。数値的にはスタミナを消耗していないが、気力の問題だ。
距離も1だというのに、この小屋の中で長時間トラブルに巻き込まれて過ごしている。
ダムリスは視認できる位置にいたのだから、この状況をどのように見て、今どのように策をめぐらせているのか、わかったものではない。
警戒心が強いダムリスのことだ。この青年の存在があるから、小屋の中に踏み込んでこないのだろうけれど。
この暗殺者のように、殺してしまうのならむしろ簡単だ。ダムリスの目的は、私を五体満足で連れ帰ること。彼にとっても、高難度のミッションに違いない。
「あなたはひとまず助かって良かったかもしれないけれど、私の方はもうダメね。ここで力を使い切ってしまった」
「どうして、あきらめるんだ? あんたはまだ、捕まっていないじゃないか」
青年は言った。
「俺は、捕まっても諦めなかったら、森の妖精に助けられたぜ」
森の妖精……私のことか。だいぶ無様だったけれど。
「好機は、訪れる。あんたに運が残っていれば」
青年は、さっきまで首を絞められていたとは思えないほど、力強い瞳をしており、私は息を呑んだ。
この青年は、なってくれるだろうか。私の好機に。
「自分からこんなことを言うのは気がひけるけど、借りを返してもらえない? 今度はあなたが、私を助ける番」
「その言葉を待っていた」
青年は言った。
「俺が、あんたにとっての好機だ」
私は思った。この展開を青年視点で描いたら、そっちが主人公みたいだ、と。
そんなメタな思いをよそに、青年は私に弓矢を渡す。
「これは君が使うといい。俺にはこれがある」
青年は、剣を手にしていた。
「名前くらいは名乗っておくわ。私はニナ。ニナ・ガーデンハート」
「俺は……そうだな。アルスでもイルスでもウルスでも、好きに呼ぶといい」
「なにそれ。偽名?」
「いや、別に秘密にするつもりはないんだが、本編が始まらないと正式な名前は決まらないんだ」
なるほど。この前日譚ではなく、本編の主人公候補というわけね。
こうして、私とアルスの反撃が始まった。
●アタック02-5 ダムリスとの決着
警戒しながら小屋を出る。
こういうタイミングがいちばん狙われやすい。
出るのは、私だけだ。アルスと一緒には出ない。
ダムリスを誘い出すのが目的だから、余分な警戒心は抱かせない。
小屋に向かう足跡は私のものだけではない。
やはりダムリスはここまで来ている。
小屋の死角に潜んでいるのかも。
けれど、足跡を追うような真似はしない。あえて無視して歩き始める。
私は歩く速度を速めるが、ダムリスはなかなか動きを見せなかった。
しかし私が十分に距離を取ったと思う頃に、いよいよ私を追いかけ始めた。
たぶん、小屋の中の青年と私とで挟撃されるリスクを警戒していたんだ。
小屋の方の動きが見えなかったため、その可能性は低いと踏んで、追跡を再開したといったところだろう。
私は焦る気持ちを抑えつつ、雪面に足跡を増やしてゆく。
・弓矢を持っていて、正面から戦う
・弓矢はあるが、逃げてダムリスを誘い込む
・弓矢がない
私の動きを見ればわかるとおり、逃げながらダムリスを誘い込む。
今はまだ、ダムリスとの距離はある。
・今のうちに樹上に隠れる
・白い雪原に足跡をつけて逃げる
この選択肢でピンときた。
イタチ先生から学んだテクニックを、今こそ実行に移すときだと。
私は、雪原に足跡をつけて歩く。
少し歩いたところで、同じ足跡を踏んで戻り、元のパラグラフへ。
そして、樹上に隠れるのだ。
私は樹に素早く登った。
・足跡に関する工夫があるなら、進んだ歩数と同じ数を、この項目番号に加えること
これだ!
私は樹のところから、7歩、歩いた。そして、戻った。
そこで不自然に足跡が途切れているから、ダムリスはすぐに異変に気づくだろう。
けれど、それでいい。わずかでも時間が稼げれば。隙が作れれば。
やがて。
きた。ダムリスだ。
ダムリスは、私の足跡に視線を落としながら、余裕のある態度で歩いている。
足跡の観察のため、頭上はお留守だ。この時点でも隙が見える。
けど、まだだ。
やがて足跡が突如途切れたことで、取り乱す様子を見せた。そこが狙い目だ。
私は樹上から矢を放つ。
それはダムリスの肩に刺さった。ダムリスは弓を取り落とす。
そこにアルスが飛び出し、ダムリスのももに剣を突き立てた。
ダムリスは声を上げて倒れ込む。
アルスは、小屋から離れるダムリスを見送った後、足跡がばれないよう、木々の裏側を通ってここまで来て、待ち伏せしていたのだ。
私は地上に降りた。倒れたままのダムリスに声をかける。
「あなたは私を殺すことが目的じゃなかった。だから、私もあなたを殺さない。私のことは、雪崩に巻き込まれて死んだとでもしておくことね」
それ以上、言うことはなかった。
ダムリスの返事を待たずに、歩き出す。
アルスが隣に並んで歩き始めた。
「これから、どうするんだ?」
「住み慣れた街に戻るわ。慣れない稼ぎ方はするもんじゃない。普段と違うことをするとき、猫は死んじゃうのよ」
「猫のことは知らないが……あんたの街、ネグラレーナの盗賊ギルドに世話になりたいんだ。できるかな?」
そういえばアルスは、何かヘマをやらかしたって言っていたっけ。
「いいわ。頭領に話をしておく。『奇妙な猫の瞳亭』に来てちょうだい」
「ありがとう。……あんたから、春みたいな香りがするよ。新緑の樹から漂うような、目の覚める匂い」
「そう? 私は、眠い」
いきなり何を言い出すんだこの男は。汗臭さしかないと思うのだれど。
そんなことより、私は眠い。
追っ手がいなくなり、自由を手にした途端に、これまで緊張感とともにためこんできたものが、あふれ出てしまったようだ。
彼がどこまで同行するかはわからないけれど、ひとまずこの先休憩できるところまで行ったら、交代で見張りしながら休もう。
なんとなくアルスとは、長いつきあいになる気がした。
■登場人物
ニナ・ガーデンハート ガーデンハート姉妹の長姉。ネグラレーナの盗賊ギルドに所属している。
ダムリス 非合法な組織の追っ手。ニナを狙っている。
ポリアンナ 森でニナが餌付けしたポルルポルル。空腹。
イタチ先生 ニナに雪上の足跡トラップを伝授してくれる。
アルス(仮名) 小屋にいた青年。ヘマして追われてたところをニナが助けた。
■作品情報
作品名:ハンテッドガーデンハート
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
https://booth.pm/ja/items/3998135
ゲームブック短編集「ハンテッドガーデンハート」に収録されています
●感想
ニナ・ガーデンハートの短編、クリアしました。
スタミナと距離を計算しながら歩く、緊張の逃走劇でした。
この作品のポイントは、なんといっても足跡の罠をしかけるための、特殊なパラグラフジャンプですね。
足跡をつけて戻ったのを表現するために、その知識があれば、元の番号に戻れるという特殊な処理と、その後に続くパラグラフジャンプが、短編のワンアイディアとして輝いていました。
私が先にプレイした『狂える魔女のゴルジュ』とは基本設定が少々異なっていました。
ニナの妹たちが売られていった設定の大雑把なところは合っていましたが、末の妹ミナへの言及はありませんでした。
また、「ゴルジュ」のストーリーである、奴隷狩りにあってさらわれたという文脈ではなく、借金のカタに女郎屋に売られた、という流れなのは大きな違いですね。
ニナは女郎屋から逃げたことになっているので、追っ手がかかる合理的な理由にもなっていました。
奴隷狩りからミナとともに逃亡した展開だと、この話には直接つながらないように思います。
まあ、設定は後から生えてきたり、時とともにいい感じに熟成されていったりするものなので、辻褄が合おうが合うまいが、どっちも正史ってことでいいと思います。
結末はメタ視点も入れて勝手な解釈を加えましたが、きっとアルス(仮名)が『盗賊剣士』の主人公、なんでしょうね。
そんな風に読めたので、そういうこととして話を進めました。『盗賊剣士』は触っていないので、推測です。
そこでふと思ったのですが、ニナが主人公のこの短編に加え、同じ場面に繋がるアルス(仮名)が主人公の短編があっても面白いなって思いました。
2つの短編が、小屋の場面でクロスオーバーするって展開です。
昨今の異世界転生系の小説などでは、同じ場面を他の登場人物視点で描く、というのをよく見ますので、そんな感じで。
ニナとアルス(仮名)が、それぞれどんなトラブルを抱えつつ、人生が交わる点に到達するのか。そんな見方ができたら、面白いかも。
まあ、全部私の妄想ですので、作ってくださいとか要望するわけではありません。
『狂える魔女のゴルジュ』の、ミナ視点から見るニナは、なんでもできるすごいお姉さんでした。
こうしてニナの物語を体験すると、ニナはニナで、苦悩もすれば成長過程でもある、いたって普通のエルフのお姉さんってことがわかります。
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短編ながらアイディアあふれる作品、ありがとうございました。
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2026年1月6日火曜日
これはゲームブックなのですか!? vol.127 FT新聞 No.4731
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
『これはゲームブックなのですか!?』vol.127
かなでひびき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
朝起きたら、金髪グラマーが立っていた。
「長年美女の依頼人か秘書が欲しいと思ってたんだが、願いが天に通じたか」
「依頼人も美人秘書も、こんなものをあなたに突きつけると思う?」
彼女の手には、黒光りする拳銃が握られていた。
やれやれだ。真冬なのに熱い一日が送れそうだ。
読者の皆さんのライフ、ハードボイル度足りてますぅ?
ユーモアがかまし出す甘味と、ピリリとした緊張感が織り成す「ワイズクラック」
粋なジョークは、読者を異界に誘う扉であり、一種のファンタジーだと、かなで思ってますっ!
で、今回ご紹介するのは、ハードボイルド最大の醍醐味「ワイズクラック」が充分堪能できる作品よ!
その名も『俺に撃たせろ!』(火浦 功著 徳間デュアル文庫)
「俺の名は、アルツ・ハマー。
この都市の正義と平和を、一手に引き受けている男だ。
多分、そのはずだ。」
(本文より)
いきなり冒頭からこのセリフ!
探偵、いや、漢だったら一度は口にしたいセリフ!
快調に飛ばしてます!
『ここに入るもの、全ての希望を捨てよ』
ラテン語でそう書かれている……本人曰く、「依頼人のほとんどがラテン語は読めないので仕事には差し支えない」とのたまう看板をくぐると、そこはわれらが探偵「アルツ・ハマー」の事務所。
だけど、依頼人……というか、彼に関わる全てのものは、この言葉をすぐに思い知らされることになるわ。
なぜならば、この探偵、昼食に何を食べたか覚えていないわ、自分の美人秘書の名前も覚えていないわ、「アルツハイマー」もとい「アルツ・ハマー」の名は伊達ではないの。
そんな彼を待ち受けている事件は、真夏のプールに浮かんだ死体。
しかも、サンタクロースの衣装を着ている老人と来ている!
やっかいなのは、悲鳴もなしに飛び降りた現場に誰も気づかなかったこと。
さらに不思議なのは、死因は飛び降りと見られるのに、飛び降りた建物からプールは20メートル以上離れている。
走り高跳びの選手でも無理そうな「降って湧いた」死体。
御手洗潔先生が見たら、口笛を鳴らして飛びつきそうな、本格ミステリの香りさえ漂うこの事件。
名探偵ハマーは断言するわ。
「こいつは殺しだ! 犯人の目星もついている」
……
………。
ちょっと推理は割愛させていただくわ。
本格好きなら、ひょっとするとここで激怒して、本を壁に叩きつけるかもしれない。
このノリに付いてこれるかどうかが、この本を楽しめる分水嶺!
でも、それを補って余りある乱闘とドンパチ!
愛銃は、コルトの45オート。
愛車は、V8、8リッターの真っ赤なマーキュリー・クーガ。
古き良き時代の「あぶない」探偵の必須アイコンだし、例えばクーガがホイルスピンさせながら飛び出すシーンは「本当にこの頃のハードボイルドがわかってるなぁ」としびれるくらいかっこいい。銃も同様なところに、愛を感じますぅ!
また、出てくる会話も粒ぞろい!
本文から抜粋すると……
「人間、首が折れると、いくつか不都合なことが起こってきて、そのうちの一つが、死ぬってことだ。こいつは、医学上の定説でね。万一、お前さんの知り合いで、首が折れても生きてる奴がいたとしたら、そいつは、よっぽど運がいいのか、それとも、厚かましいかのどっちかだ。」
こんな小粋で洒落たセリフが、全編ぎっしり詰まってる。
そう、こんなコラム読んでる暇あったら本屋に走るか、ポチれ。っていうくらい「読んでいただきたい」!
これだ! 私に足りなかったのは、この手のハードなゆで卵のセリフなんだ! という方はご一読をどうぞ!
また、「ご自分の創作に、ハードボイルドな会話を出したい」と思っている方にも、絶好の教科書!
この本はワイズクラックの宝箱よ!
で、この小説がどうして「ゲームブック」=「遊べる本」として紹介したのか。
この話、気の利いたセリフと暴力が満載されているのはいいけど、肝心な最初の事件の「解決」がついてない。
というか、すっかり忘れ去られている!
一応、回答編も用意されているけど、これがまっとうな推理小説好きなら、そのまま窓から思い切り投げるぐらいふざけている。
というわけで、あなた自身で納得の行く答えを見つけてみたらいかがでしょうか?
そう言った意味でも、本作は優れたリドル・ストーリーだし、「遊べる」本よ。
見逃せば人生後悔することウケアイ!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『俺に撃たせろ!』
著 火浦 功
出版社:徳間書店 2001/11/30
文庫 505円+税 絶版
Kindle版 770円(税込)
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
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「長年美女の依頼人か秘書が欲しいと思ってたんだが、願いが天に通じたか」
「依頼人も美人秘書も、こんなものをあなたに突きつけると思う?」
彼女の手には、黒光りする拳銃が握られていた。
やれやれだ。真冬なのに熱い一日が送れそうだ。
読者の皆さんのライフ、ハードボイル度足りてますぅ?
ユーモアがかまし出す甘味と、ピリリとした緊張感が織り成す「ワイズクラック」
粋なジョークは、読者を異界に誘う扉であり、一種のファンタジーだと、かなで思ってますっ!
で、今回ご紹介するのは、ハードボイルド最大の醍醐味「ワイズクラック」が充分堪能できる作品よ!
その名も『俺に撃たせろ!』(火浦 功著 徳間デュアル文庫)
「俺の名は、アルツ・ハマー。
この都市の正義と平和を、一手に引き受けている男だ。
多分、そのはずだ。」
(本文より)
いきなり冒頭からこのセリフ!
探偵、いや、漢だったら一度は口にしたいセリフ!
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ラテン語でそう書かれている……本人曰く、「依頼人のほとんどがラテン語は読めないので仕事には差し支えない」とのたまう看板をくぐると、そこはわれらが探偵「アルツ・ハマー」の事務所。
だけど、依頼人……というか、彼に関わる全てのものは、この言葉をすぐに思い知らされることになるわ。
なぜならば、この探偵、昼食に何を食べたか覚えていないわ、自分の美人秘書の名前も覚えていないわ、「アルツハイマー」もとい「アルツ・ハマー」の名は伊達ではないの。
そんな彼を待ち受けている事件は、真夏のプールに浮かんだ死体。
しかも、サンタクロースの衣装を着ている老人と来ている!
やっかいなのは、悲鳴もなしに飛び降りた現場に誰も気づかなかったこと。
さらに不思議なのは、死因は飛び降りと見られるのに、飛び降りた建物からプールは20メートル以上離れている。
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名探偵ハマーは断言するわ。
「こいつは殺しだ! 犯人の目星もついている」
……
………。
ちょっと推理は割愛させていただくわ。
本格好きなら、ひょっとするとここで激怒して、本を壁に叩きつけるかもしれない。
このノリに付いてこれるかどうかが、この本を楽しめる分水嶺!
でも、それを補って余りある乱闘とドンパチ!
愛銃は、コルトの45オート。
愛車は、V8、8リッターの真っ赤なマーキュリー・クーガ。
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本文から抜粋すると……
「人間、首が折れると、いくつか不都合なことが起こってきて、そのうちの一つが、死ぬってことだ。こいつは、医学上の定説でね。万一、お前さんの知り合いで、首が折れても生きてる奴がいたとしたら、そいつは、よっぽど運がいいのか、それとも、厚かましいかのどっちかだ。」
こんな小粋で洒落たセリフが、全編ぎっしり詰まってる。
そう、こんなコラム読んでる暇あったら本屋に走るか、ポチれ。っていうくらい「読んでいただきたい」!
これだ! 私に足りなかったのは、この手のハードなゆで卵のセリフなんだ! という方はご一読をどうぞ!
また、「ご自分の創作に、ハードボイルドな会話を出したい」と思っている方にも、絶好の教科書!
この本はワイズクラックの宝箱よ!
で、この小説がどうして「ゲームブック」=「遊べる本」として紹介したのか。
この話、気の利いたセリフと暴力が満載されているのはいいけど、肝心な最初の事件の「解決」がついてない。
というか、すっかり忘れ去られている!
一応、回答編も用意されているけど、これがまっとうな推理小説好きなら、そのまま窓から思い切り投げるぐらいふざけている。
というわけで、あなた自身で納得の行く答えを見つけてみたらいかがでしょうか?
そう言った意味でも、本作は優れたリドル・ストーリーだし、「遊べる」本よ。
見逃せば人生後悔することウケアイ!
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『俺に撃たせろ!』
著 火浦 功
出版社:徳間書店 2001/11/30
文庫 505円+税 絶版
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2026年1月5日月曜日
☆謹賀新年☆ FT新聞 No.4730
明けましておめでとうございます!
自宅の書斎から杉本です。
蕨之介さんが運営する柿ノ木商会に、「モンスター!モンスター!TRPG」のシナリオが置かれているとの情報を、お寄せいただきました。
どれも無料です。
↓
https://kakinokishokai.booth.pm
「モンスター!モンスター!TRPG」であれ「ローグライクハーフ」であれ、ファン作品が出ました暁にはぜひ、お知らせください。
このようなカタチでご紹介させていただきます。
さて、今日は1年で最初の月曜記事ですので、FT書房の今年の抱負や計画をお伝えしてまいります☆
◆昨年もありがとうございました。
昨年は「モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)」の、実質的なはじまりの年となりました。
最大のサプリメント「ズィムララのモンスターラリー」を刊行することができ、この古くて新しいTRPGが楽しめる環境が整いつつあることを実感しています☆
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ(RLH)」も、モンスター種族で遊べるサプリメント『ヒーローズオブダークネス』をはじめ、4冊のシナリオ/サプリメントを刊行できました。
◆今年のラインナップは……?
2026年の作品候補について、言及してまいります☆
実現可能性が濃厚なものと、そうでないものがあります。
「必ず出る」とは言えないものもありますが、夢を語らせてください。
紙の本を出すというのは私にとって、20年近く活動してきた今なおひとつの「夢」なのです。
・『アランツァワールドガイド』(by杉本=ヨハネ)RLHサプリメント
・『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』モンスター!モンスター!TRPGサプリメント
・『ファイティングトロールマガジン(仮)』創刊号 ムック本
・『昆虫都市』(by杉本=ヨハネ)RLHシナリオサプリメント
・『死霊沼の聖母』(by杉本=ヨハネ)RLHシナリオサプリメント
・『常闇の伴侶』(by水波流)RLHシナリオサプリメント
・『桜森と冬の終わり』RLHシナリオサプリメント
・『蛇禍の悪魔』(by火呂居美智)RLHシナリオサプリメント
・『SAGBがよくわかる本』(by田林洋一)
・『モンスター!モンスター!TRPG 基本ルール』
・『4人の英雄(エース)』(by杉本=ヨハネ)
◆『アランツァワールドガイド』
FT書房が展開するゲームブックの背景世界であり、RLHの共通世界でもある「アランツァ」について、体系的にまとめられた作品です。
私の人生において「最も刊行したい1冊」です。
すでに筆を執っておりますが、大きな作品です……いつ出せるかは時間との戦いになるでしょう。
◆『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』
モンスターの世界に、人間型種族が!
M!M!のコアブックのひとつである、名サプリメントです。
ただ、下読みをしてみて、人間型種族を遊ぶのに必要な最大の重要要素が抜けていると、気づきました。
武器、防具、道具、毒、銃器などの装備品に関する一覧です☆
今回、ケンとクロンプトンから許可をいただき、このサプリメントに付属データをつけさせていただくことが決まりました☆
もしかしたら、他のTRPGで見たことがあるものかもしれません。
今年刊行したい作品の筆頭として、ベストなものを作れるように精進してまいります☆
◆『ファイティングトロールマガジン(仮)』
雑誌は過去に何回か出してきましたが、「TtTマガジン」「ウォーロック・マガジン」の編集長を経験する以前のことです。
今回はRLHやM!M!が遊びやすくなる話や、これまでの作品で描ききれなかったこぼれ話、単体で刊行するには文量が足りない名作品など、心がおどるラインナップにできたらと考えております☆
定期刊行の雑誌ではなく、ムック本として出すことになると思います。
もちろん、ゲームブックに関する何かも載せたいです。
◆『昆虫都市』
アランツァ世界で最も古い街のひとつ、からくり都市チャマイ。
ある日、この街に昆虫の大群が襲い来るという、恐ろしい事態が発生しました。
何が起こっているかは確とは分からず、しかし人々は恐怖に逃げ惑います。
いっぽう、エルフの長たるカセル・ケリスリオン・フィスティリオンは太古の森で、過酷な戦いに身を晒していました……。
「都市サプリメント:からくり都市チャマイ」「新職業【からくり術師】」「アランツァワールドガイド:チャマイ」を同時収録!
こちらの作品はイラストレーターとしてHUGO HALL氏と交渉中です。
◆『死霊沼の聖母』
死霊都市フアナ・ニクロに現れた、1人の男。
新興宗教の教祖たるアスタロスを、女王フアナは街の脅威とみなし、討伐を命じます。
舞台は内紛が起きつつある、不穏な死霊沼にたたずむ館。
「都市サプリメント:死霊都市フアナ・ニクロ」「新職業【呪術師】」「アランツァワールドガイド:フアナ・ニクロ」を同時収録!
◆『常闇の伴侶』
舞台はアランツァ北部に存在する太古の森。
蛮族都市フーウェイを拠点とした冒険です。
水波流が贈る「文化を持った蛮族」は、蛮族たち=劣った種族であるという先入観から解放された、魅力ある世界観を提供してくれます。
この名作を、ぜひカタチにしたい。
「都市サプリメント:蛮族都市フーウェイ」「新職業【獣使い】」「アランツァワールドガイド:フーウェイ」を同時収録!
◆『桜森と冬の終わり』
桜森に訪れるひとつの脅威を前に、樹人たちは動き出す。
読者投稿企画によって誕生したこの作品は、部数限定での書籍化を検討しています。
BOOTHでの通販予約された数+αを刷って、再版はしないというやり方ですね☆
「都市サプリメント:商業都市ナゴール」「新職業【剣闘士】」「アランツァワールドガイド:ナゴール」を同時収録!
◆『蛇禍の悪魔』
ポロメイアには「生きては帰れない砂漠」と呼ばれる、恐ろしい砂漠がある。過酷な環境で生き抜く術と力を持った龍人たちが住むこの砂漠は、悪魔たちが住む世界とつながる「不安定さ」を抱えた土地だ。
悪魔憑きとなった娘を救うために、冒険者はポロメイアを旅し、危険に足を踏み入れる。
『幽霊屋敷の果実酒』に続いて作られた、火呂居美智先生のd66シナリオです!
アランツァ世界の過去の情報をしっかりと取り込んで作られた名シナリオで、「生きては帰れない砂漠」には拙著『殉教者の試練』で登場させた設定が実に上手に編み込まれていて、息を呑みました。
「都市サプリメント:ポロメイア小国家連合」「新職業【悪魔召喚師】」「アランツァワールドガイド:ポロメイア」を同時収録!
◆『SAGBがよくわかる本』
2025年に好評連載だった『SAGBがよくわかる本』ですが、ただいま絶賛、大編集中です!
杉本、水波流、紫隠ねこさん、岡和田晃さんの4人がかりで、記事を大いに進化させております☆
この作品に関しては、どのぐらいの部数が出るのかまったく予測が立ちません。
予約制で注文された部数+αだけ用意する、というやり方を検討しています。
『桜森と冬の終わり』と同じですね。
余談ですが、この作品を刊行するタイミングで、田林洋一先生作のゲームブックである『クレージュ・サーガ』の電子書籍を刊行したいと考えております☆
◆『モンスター!モンスター!TRPG 基本ルール』
「モンスター!モンスター!TRPG」のシリーズも、軌道に乗りつつあると感じます。
ルールがシンプルで、かつ他のTRPGにも似ているため、なんと基本ルールを後まわしにするという戦略でこれまでやってきました。
それで成り立ってしまうのがこのゲームのすごいところです。
しかし、『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』が出せたら、さすがにそろそろ基本ルールを出したいなあと考えております。
そのうえで問題となるだろうことは「バージョン」です。
現在のルールブックはver.2.7ですが、これがver.3.0になるのはいつなのか?
その日が遠そうであればver.2.7を、間もなくであるならばver.3.0が出てから、日本語版の準備をスタートするのがいいと考えております。
そのあたりの事情を見つつ、計画を進めてまいります☆
◆『4人の英雄(エース)』
ガーデンハート七姉妹に深く関わる物語は、私のなかであと2つ、書きたいものがあります。
そのうちのひとつは『ガルアーダの塔』で、長女であるニナ・ガーデンハートがどうなるのかを書きたいと考えています。
もうひとつは未登場の3人、ノナ、マナ、ドナが登場する作品です。
主人公は「無色透明の君」、あるいはガーデンハート家の次女ノナ。
ノナははっきりとした物言いが印象的な、あっけらかんとした性格の持ち主です。
ガーデンハート家で最も愛される存在である彼女は、アランツァに訪れる大きな危機を前に、ある大きな決断をします。
逃げも隠れもせず、堂々と生きるために。
この物語は何年も前から私の胸にあります。
ノナたち3人は長女であるニナによって助けられるのですが、ノナは「人生を勝ち取るために、危険な冒険に飛び込む」ことを決意します。
物語は冒険都市カラメールからはじまり、商業都市ナゴール、神聖都市ロング・ナリク、城塞都市ドラッツェンへと絡みついていき……。
え? 来年中に出せるのかって?
夢を語る場と言ったはずです!
◆まとめ。
ここに書いたことは実現の見込みが十分にあることから、現状では夢のまた夢といえることまでさまざまです。
なので、あまり多くを期待しすぎずに、こうお考えいただけましたらさいわいです。
今年もFT書房はやる気に溢れています!
それでは、本年もよろしくお願いします!
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ぜひ、ご感想・お叱りなど一言ご意見ください。m(_ _)m
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自宅の書斎から杉本です。
蕨之介さんが運営する柿ノ木商会に、「モンスター!モンスター!TRPG」のシナリオが置かれているとの情報を、お寄せいただきました。
どれも無料です。
↓
https://kakinokishokai.booth.pm
「モンスター!モンスター!TRPG」であれ「ローグライクハーフ」であれ、ファン作品が出ました暁にはぜひ、お知らせください。
このようなカタチでご紹介させていただきます。
さて、今日は1年で最初の月曜記事ですので、FT書房の今年の抱負や計画をお伝えしてまいります☆
◆昨年もありがとうございました。
昨年は「モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)」の、実質的なはじまりの年となりました。
最大のサプリメント「ズィムララのモンスターラリー」を刊行することができ、この古くて新しいTRPGが楽しめる環境が整いつつあることを実感しています☆
「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ(RLH)」も、モンスター種族で遊べるサプリメント『ヒーローズオブダークネス』をはじめ、4冊のシナリオ/サプリメントを刊行できました。
◆今年のラインナップは……?
2026年の作品候補について、言及してまいります☆
実現可能性が濃厚なものと、そうでないものがあります。
「必ず出る」とは言えないものもありますが、夢を語らせてください。
紙の本を出すというのは私にとって、20年近く活動してきた今なおひとつの「夢」なのです。
・『アランツァワールドガイド』(by杉本=ヨハネ)RLHサプリメント
・『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』モンスター!モンスター!TRPGサプリメント
・『ファイティングトロールマガジン(仮)』創刊号 ムック本
・『昆虫都市』(by杉本=ヨハネ)RLHシナリオサプリメント
・『死霊沼の聖母』(by杉本=ヨハネ)RLHシナリオサプリメント
・『常闇の伴侶』(by水波流)RLHシナリオサプリメント
・『桜森と冬の終わり』RLHシナリオサプリメント
・『蛇禍の悪魔』(by火呂居美智)RLHシナリオサプリメント
・『SAGBがよくわかる本』(by田林洋一)
・『モンスター!モンスター!TRPG 基本ルール』
・『4人の英雄(エース)』(by杉本=ヨハネ)
◆『アランツァワールドガイド』
FT書房が展開するゲームブックの背景世界であり、RLHの共通世界でもある「アランツァ」について、体系的にまとめられた作品です。
私の人生において「最も刊行したい1冊」です。
すでに筆を執っておりますが、大きな作品です……いつ出せるかは時間との戦いになるでしょう。
◆『ヒューマンズ!ヒューマンズ!』
モンスターの世界に、人間型種族が!
M!M!のコアブックのひとつである、名サプリメントです。
ただ、下読みをしてみて、人間型種族を遊ぶのに必要な最大の重要要素が抜けていると、気づきました。
武器、防具、道具、毒、銃器などの装備品に関する一覧です☆
今回、ケンとクロンプトンから許可をいただき、このサプリメントに付属データをつけさせていただくことが決まりました☆
もしかしたら、他のTRPGで見たことがあるものかもしれません。
今年刊行したい作品の筆頭として、ベストなものを作れるように精進してまいります☆
◆『ファイティングトロールマガジン(仮)』
雑誌は過去に何回か出してきましたが、「TtTマガジン」「ウォーロック・マガジン」の編集長を経験する以前のことです。
今回はRLHやM!M!が遊びやすくなる話や、これまでの作品で描ききれなかったこぼれ話、単体で刊行するには文量が足りない名作品など、心がおどるラインナップにできたらと考えております☆
定期刊行の雑誌ではなく、ムック本として出すことになると思います。
もちろん、ゲームブックに関する何かも載せたいです。
◆『昆虫都市』
アランツァ世界で最も古い街のひとつ、からくり都市チャマイ。
ある日、この街に昆虫の大群が襲い来るという、恐ろしい事態が発生しました。
何が起こっているかは確とは分からず、しかし人々は恐怖に逃げ惑います。
いっぽう、エルフの長たるカセル・ケリスリオン・フィスティリオンは太古の森で、過酷な戦いに身を晒していました……。
「都市サプリメント:からくり都市チャマイ」「新職業【からくり術師】」「アランツァワールドガイド:チャマイ」を同時収録!
こちらの作品はイラストレーターとしてHUGO HALL氏と交渉中です。
◆『死霊沼の聖母』
死霊都市フアナ・ニクロに現れた、1人の男。
新興宗教の教祖たるアスタロスを、女王フアナは街の脅威とみなし、討伐を命じます。
舞台は内紛が起きつつある、不穏な死霊沼にたたずむ館。
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桜森に訪れるひとつの脅威を前に、樹人たちは動き出す。
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ポロメイアには「生きては帰れない砂漠」と呼ばれる、恐ろしい砂漠がある。過酷な環境で生き抜く術と力を持った龍人たちが住むこの砂漠は、悪魔たちが住む世界とつながる「不安定さ」を抱えた土地だ。
悪魔憑きとなった娘を救うために、冒険者はポロメイアを旅し、危険に足を踏み入れる。
『幽霊屋敷の果実酒』に続いて作られた、火呂居美智先生のd66シナリオです!
アランツァ世界の過去の情報をしっかりと取り込んで作られた名シナリオで、「生きては帰れない砂漠」には拙著『殉教者の試練』で登場させた設定が実に上手に編み込まれていて、息を呑みました。
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2026年1月4日日曜日
『失楽園奇譚』ローグライクハーフd33シナリオ FT新聞 No.4729
明けましておめでとうございます。
火呂居美智です。
2026年最初の日曜日に、d33シナリオを配信させていただくことになりました。
今回は、ポロメイア小国家連合の東に広がるよじれ森が舞台となります。
よじれ森に取り残された主人公は、そこで一人の人物と出会います。
彼(または彼女)の人探しを手伝ううちに、墜落した楽園エデンベルの伝説へと深く関わっていくことになるでしょう。
楽しんでいただければ幸いです。
ローグライクハーフd33シナリオ『失楽園奇譚』
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今回は、ポロメイア小国家連合の東に広がるよじれ森が舞台となります。
よじれ森に取り残された主人公は、そこで一人の人物と出会います。
彼(または彼女)の人探しを手伝ううちに、墜落した楽園エデンベルの伝説へと深く関わっていくことになるでしょう。
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2026年1月3日土曜日
FT新聞1ウィーク! 第673号 FT新聞 No.4728
From:水波流
京都・知恩院の除夜の鐘が有料化&予約制に、とニュースになっていました。
元々巨大な鐘を僧侶17人がかりで撞くのを見学するのですが、3000円でも予約2000人分は札止めのようです。
京都市内はまだふらりと行っても撞けるお寺が沢山ありますが、毎晩9時には寝てしまう小3の娘に「今年こそ除夜の鐘いく?」と聞いたら、「起きていられない」と拒否られました。
自分が小学校の時は、同級生と近所の除夜の鐘を撞いたあと、八坂神社まで歩いて初詣をしたものですが……。
From:葉山海月
充電器にバッテリーぷっさしても、コンセント入れるのを忘れて放置の罠
From:くろやなぎ
いつも冬になると、U・K・ル・グィンのSF作品『闇の左手』を思い出し、今シーズンも寝る前などにじっくりゆっくり読み進めています。
作品の舞台となる惑星ゲセン(または惑星〈冬〉)のカルハイド王国の暦では、常にいまの年を「1の年」として数えるため、新年の元旦になると、きのうまで「1の年」だった年は「昨1の年」に、「昨1の年」だった年は「昨2の年」に…というぐあいに、あらゆる過去や未来の年号が丸1年ずらされます。
実務的にものすごく面倒臭そうな気もしますが、カルハイド人から私たちの暦を見ると、「今年が何年なのかが毎年変わるとは、なんてわかりにくい!」という感想になるのかもしれません。
From:天狗ろむ
昨年から編集部員となって、約半年が経ちました。まだまだ至らぬ部分も沢山あり、色んな方にお世話になりました。支えてくれる皆様、見守って下さる皆様に感謝の日々です。今年も宜しくお願い致します!
From:明日槇悠
「ねーんねーんねんねんよ ◯◯ちゃんはよい子だねんねしな ◯◯ちゃんがねんねをしてるまに おさとうのおもちをついといて ◯◯ちゃんが起きたらあげましょう ねーんねーんねんねんよ……」
母がそのまた母から伝え聞いたという子守唄です! ※お餅の嚥下にはくれぐれも注意しましょう
From:中山将平
あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします。
僕たちFT書房は、1月11日(日)インテックス大阪で開催の「スーパーコミックシティ関西31」にサークル参加します。配置は【う2a】です。コミケで刊行した新刊2冊もお持ちします。
同じイベントに、僕は「ギルド黄金の蛙」としてもサークル参加しています。こちらの配置は【い30b】です。カエル人の本を、このイベントにて刊行します。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(く)=くろやなぎ
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
(水)=水波流
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■12/28(日)~1/2(金)の記事一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2025年12月28日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4722
Re:ローグライクハーフ・都市サプリメント【ポロメイア小国家連合】&新職業【悪魔召喚師】
・火呂居美智氏による1月の新シナリオ『失楽園奇譚』の舞台となるのは、ポロメイア小国家連合。ラドリド大陸の南東部に位置しており、独自の文化が栄えています。この地域にまつわる「都市サプリメント」と【悪魔召喚師】のデータを再配信しました。
都市サプリメントでは、装備品等の価格や性能だけでなく、フレーバーテキストにもご注目。〈影縫いの矢〉のテキストを読むと、【悪魔】が出てくるシナリオで使ってみたくなりませんか?
【悪魔召喚師】が使う【悪魔召喚術】もバラエティ豊かで、どれを覚えてどんな戦略を立てるか、考えるだけでもワクワクしますね!
(く)
2025年12月29日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4723
☆「モンスター!モンスター!TRPG」のファン作品について☆
・本日は『モンスター!モンスター!TRPG』に関するお知らせです。
「ファンが作品を出すときは、どうしたらいいの?」について……。
具体的には「ロイヤリティ」についてのお話です。
これを踏まえ、どうぞより良き二次創作を!
(葉)
2025年12月30日(火)中山将平 FT新聞 No.4724
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回
・『カエルの勇者ケロナイツ』の作者である中山氏が、新サークル「ギルド黄金の蛙」を立ち上げられました!
今回のテーマは、FT書房とギルド黄金の蛙から発表される「二冊の新刊」について。
『クトゥウルウの聖なる邪神殿』は、クトゥルフ神話×ファンタジーなジャンルの「30分で遊ぶ1人用TRPGローグライクハーフ」シナリオ本です。
現実的には手も足も出ないような上位存在と武力をもって対峙できる物語を、迫力あるイラストレーションと共にお届けします。
『創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て 魔法と儀式編』は、タイトルにもある中山氏が描く異種族「カエル人」の設定資料です。
様々なファンタジー創作のインスピレーションを得られるようにという願いの込められたこの本では、「ケロナイツ」についても24人中12人を紹介しております。
残りの12人については、実は続刊として「身体と生態編」が予定されています。1月中の即売イベントについて、ぜひチェックしてみてください!
(明)
2025年12月31日(水)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4725
FT新聞1year!
・本日は大晦日なので、FT書房の1年間を振り返る「FT新聞1year!」をお届けします。
今年は「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ(RLH)」と「モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)」のサプリメントを中心に展開する1年となりました。
また、FT新聞のほうも、第1日曜日に配信してきたRLHのシナリオ数。なんと12本!
それらローグライクハーフ作品群の詳細を中心に振り返りつつ、2025年、FT書房の拡大と成長を見てまいります。
今年もよろしくお願いします!
(葉)
2026年1月1日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4726
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.39『汝、獣となれ人となれ』 その3
・2026年最初のFT新聞は、児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカは、昼の間ミソサザイになる呪いをかけられたコビットの冒険者クリスティと共に、彼女の呪いを解くカギを探しに〈太古の森〉に眠る遺跡を目指して探索中!
中間イベントを迎え、ここからは【夜】の時間帯…闇の帳の降りた森という危険に満ちた場所ではありますが、クリスティが元の姿に戻り、賑やかなやりとりが更に増えたクワニャウマたちの応援を今年も宜しくお願いします!
(天)
2026年1月2日(金)ぜろ FT新聞 No.4727
第1回 水曜ゲームブックリプレイの思い出
・FT新聞にて驚異の連載回数を誇る、ぜろ氏のゲームブック(+ローグライクハーフ)リプレイ。最初に『宝石島の脱出』のリプレイ第1回が掲載されたのは、創刊直後の第5号、2013年1月のことでした。当時の記事には、
「あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!『俺は、FT書房のメルマガに申し込み読者になったと思ったら、いつの間にか執筆者になっていた』」
と書かれていましたが、そんな連載開始までの経緯や、『宝石島の脱出』について、ぜろ氏が改めてたっぷりと語っています。
不定期のシリーズのため、次回がいつになるかは未定です。金曜日にはまだまだ空きがありますので、読者の皆さんからの投稿記事も引き続きお待ちしています。みんなで埋めよう金曜日!
(く)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(おたより:?さん)
今回の記事でふと思ったのですが、boothで販売されているゲームブックで
元々は自家製本だったものを製本で作成しなおしたものはあるのでしょうか。
製本版を買いなおすことも考えていますので、自家製本か製本かの記載があると助かります。
(お返事:杉本=ヨハネ)
おたよりありがとうございます☆
実はですね、自家製本作品は、現在のBOOTHには『T&Tサプリメント 未知への羅針盤』しかないんです。
私の記憶が確かなら、ゲームブックではもともと『宝石島の脱出』『ミラー・ドール』『混沌の迷宮』『殉教者の試練』『盗賊剣士』『大魔導城のワナ』『水上都市の祭日』『ガルアーダの塔 第1巻』『魔の王の少年』『魔の国の王女』が自家製本です。
そのうち、印刷所バージョンが出ているのが『宝石島の脱出』『混沌の迷宮』『盗賊剣士』『水上都市の祭日』『ガルアーダの塔 第1巻』『魔の王の少年』『魔の国の王女』です。
今もBOOTHに在庫があろうかと思いますが、すべて印刷所バージョンです。
絶版になったのが『ミラー・ドール』『殉教者の試練』『大魔導城のワナ』です。
これらに関しては、少しずつ電子書籍版を出す準備を続けています。
逆に言いますと、自家製本版のそれらは、将来的に価値が出る可能性が存在します……私たちがこのまま躍進を続けることができましたら☆
参考になりましたらさいわいです。
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京都・知恩院の除夜の鐘が有料化&予約制に、とニュースになっていました。
元々巨大な鐘を僧侶17人がかりで撞くのを見学するのですが、3000円でも予約2000人分は札止めのようです。
京都市内はまだふらりと行っても撞けるお寺が沢山ありますが、毎晩9時には寝てしまう小3の娘に「今年こそ除夜の鐘いく?」と聞いたら、「起きていられない」と拒否られました。
自分が小学校の時は、同級生と近所の除夜の鐘を撞いたあと、八坂神社まで歩いて初詣をしたものですが……。
From:葉山海月
充電器にバッテリーぷっさしても、コンセント入れるのを忘れて放置の罠
From:くろやなぎ
いつも冬になると、U・K・ル・グィンのSF作品『闇の左手』を思い出し、今シーズンも寝る前などにじっくりゆっくり読み進めています。
作品の舞台となる惑星ゲセン(または惑星〈冬〉)のカルハイド王国の暦では、常にいまの年を「1の年」として数えるため、新年の元旦になると、きのうまで「1の年」だった年は「昨1の年」に、「昨1の年」だった年は「昨2の年」に…というぐあいに、あらゆる過去や未来の年号が丸1年ずらされます。
実務的にものすごく面倒臭そうな気もしますが、カルハイド人から私たちの暦を見ると、「今年が何年なのかが毎年変わるとは、なんてわかりにくい!」という感想になるのかもしれません。
From:天狗ろむ
昨年から編集部員となって、約半年が経ちました。まだまだ至らぬ部分も沢山あり、色んな方にお世話になりました。支えてくれる皆様、見守って下さる皆様に感謝の日々です。今年も宜しくお願い致します!
From:明日槇悠
「ねーんねーんねんねんよ ◯◯ちゃんはよい子だねんねしな ◯◯ちゃんがねんねをしてるまに おさとうのおもちをついといて ◯◯ちゃんが起きたらあげましょう ねーんねーんねんねんよ……」
母がそのまた母から伝え聞いたという子守唄です! ※お餅の嚥下にはくれぐれも注意しましょう
From:中山将平
あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします。
僕たちFT書房は、1月11日(日)インテックス大阪で開催の「スーパーコミックシティ関西31」にサークル参加します。配置は【う2a】です。コミケで刊行した新刊2冊もお持ちします。
同じイベントに、僕は「ギルド黄金の蛙」としてもサークル参加しています。こちらの配置は【い30b】です。カエル人の本を、このイベントにて刊行します。
さて土曜日は一週間を振り返るまとめの日なので、今週の記事をご紹介します。
紹介文の執筆者は、以下の通りです。
(く)=くろやなぎ
(葉)=葉山海月
(明)=明日槇悠
(天)=天狗ろむ
(水)=水波流
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■12/28(日)~1/2(金)の記事一覧
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2025年12月28日(日)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4722
Re:ローグライクハーフ・都市サプリメント【ポロメイア小国家連合】&新職業【悪魔召喚師】
・火呂居美智氏による1月の新シナリオ『失楽園奇譚』の舞台となるのは、ポロメイア小国家連合。ラドリド大陸の南東部に位置しており、独自の文化が栄えています。この地域にまつわる「都市サプリメント」と【悪魔召喚師】のデータを再配信しました。
都市サプリメントでは、装備品等の価格や性能だけでなく、フレーバーテキストにもご注目。〈影縫いの矢〉のテキストを読むと、【悪魔】が出てくるシナリオで使ってみたくなりませんか?
【悪魔召喚師】が使う【悪魔召喚術】もバラエティ豊かで、どれを覚えてどんな戦略を立てるか、考えるだけでもワクワクしますね!
(く)
2025年12月29日(月)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4723
☆「モンスター!モンスター!TRPG」のファン作品について☆
・本日は『モンスター!モンスター!TRPG』に関するお知らせです。
「ファンが作品を出すときは、どうしたらいいの?」について……。
具体的には「ロイヤリティ」についてのお話です。
これを踏まえ、どうぞより良き二次創作を!
(葉)
2025年12月30日(火)中山将平 FT新聞 No.4724
カエル人が教えてくれたファンタジー創作 第49回
・『カエルの勇者ケロナイツ』の作者である中山氏が、新サークル「ギルド黄金の蛙」を立ち上げられました!
今回のテーマは、FT書房とギルド黄金の蛙から発表される「二冊の新刊」について。
『クトゥウルウの聖なる邪神殿』は、クトゥルフ神話×ファンタジーなジャンルの「30分で遊ぶ1人用TRPGローグライクハーフ」シナリオ本です。
現実的には手も足も出ないような上位存在と武力をもって対峙できる物語を、迫力あるイラストレーションと共にお届けします。
『創作・RPG・ファンタジー汎用異種族設定集 カエル人の全て 魔法と儀式編』は、タイトルにもある中山氏が描く異種族「カエル人」の設定資料です。
様々なファンタジー創作のインスピレーションを得られるようにという願いの込められたこの本では、「ケロナイツ」についても24人中12人を紹介しております。
残りの12人については、実は続刊として「身体と生態編」が予定されています。1月中の即売イベントについて、ぜひチェックしてみてください!
(明)
2025年12月31日(水)杉本=ヨハネ FT新聞 No.4725
FT新聞1year!
・本日は大晦日なので、FT書房の1年間を振り返る「FT新聞1year!」をお届けします。
今年は「30分で遊ぶ1人用TRPG ローグライクハーフ(RLH)」と「モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)」のサプリメントを中心に展開する1年となりました。
また、FT新聞のほうも、第1日曜日に配信してきたRLHのシナリオ数。なんと12本!
それらローグライクハーフ作品群の詳細を中心に振り返りつつ、2025年、FT書房の拡大と成長を見てまいります。
今年もよろしくお願いします!
(葉)
2026年1月1日(木)齊藤飛鳥 FT新聞 No.4726
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.39『汝、獣となれ人となれ』 その3
・2026年最初のFT新聞は、児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによるTRPG小説リプレイをお届けしました。
冒険家乙女のクワニャウマとその相棒のエルフの少女イェシカは、昼の間ミソサザイになる呪いをかけられたコビットの冒険者クリスティと共に、彼女の呪いを解くカギを探しに〈太古の森〉に眠る遺跡を目指して探索中!
中間イベントを迎え、ここからは【夜】の時間帯…闇の帳の降りた森という危険に満ちた場所ではありますが、クリスティが元の姿に戻り、賑やかなやりとりが更に増えたクワニャウマたちの応援を今年も宜しくお願いします!
(天)
2026年1月2日(金)ぜろ FT新聞 No.4727
第1回 水曜ゲームブックリプレイの思い出
・FT新聞にて驚異の連載回数を誇る、ぜろ氏のゲームブック(+ローグライクハーフ)リプレイ。最初に『宝石島の脱出』のリプレイ第1回が掲載されたのは、創刊直後の第5号、2013年1月のことでした。当時の記事には、
「あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!『俺は、FT書房のメルマガに申し込み読者になったと思ったら、いつの間にか執筆者になっていた』」
と書かれていましたが、そんな連載開始までの経緯や、『宝石島の脱出』について、ぜろ氏が改めてたっぷりと語っています。
不定期のシリーズのため、次回がいつになるかは未定です。金曜日にはまだまだ空きがありますので、読者の皆さんからの投稿記事も引き続きお待ちしています。みんなで埋めよう金曜日!
(く)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■今週の読者様の声のご紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとことアンケートへのご意見をご紹介します。
紙面の都合で、一部省略させていただくかも知れませんが何とぞご了承くださいませ。
すべてのお便りは編集部が目を通し、執筆者に転送しておりますので、いろんなご意見やご感想をぜひお送り下さい。
↓↓
(おたより:?さん)
今回の記事でふと思ったのですが、boothで販売されているゲームブックで
元々は自家製本だったものを製本で作成しなおしたものはあるのでしょうか。
製本版を買いなおすことも考えていますので、自家製本か製本かの記載があると助かります。
(お返事:杉本=ヨハネ)
おたよりありがとうございます☆
実はですね、自家製本作品は、現在のBOOTHには『T&Tサプリメント 未知への羅針盤』しかないんです。
私の記憶が確かなら、ゲームブックではもともと『宝石島の脱出』『ミラー・ドール』『混沌の迷宮』『殉教者の試練』『盗賊剣士』『大魔導城のワナ』『水上都市の祭日』『ガルアーダの塔 第1巻』『魔の王の少年』『魔の国の王女』が自家製本です。
そのうち、印刷所バージョンが出ているのが『宝石島の脱出』『混沌の迷宮』『盗賊剣士』『水上都市の祭日』『ガルアーダの塔 第1巻』『魔の王の少年』『魔の国の王女』です。
今もBOOTHに在庫があろうかと思いますが、すべて印刷所バージョンです。
絶版になったのが『ミラー・ドール』『殉教者の試練』『大魔導城のワナ』です。
これらに関しては、少しずつ電子書籍版を出す準備を続けています。
逆に言いますと、自家製本版のそれらは、将来的に価値が出る可能性が存在します……私たちがこのまま躍進を続けることができましたら☆
参考になりましたらさいわいです。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
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2026年1月2日金曜日
第1回 水曜ゲームブックリプレイの思い出 FT新聞 No.4727
第1回 水曜ゲームブックリプレイの思い出
FT新聞、水曜ゲームブックリプレイ担当のぜろです。
金曜日枠が空いているので、ふらふらっとたまに来ては記事を置いていこうかと思っております。
●この記事の目的
毎週土曜日に、「FT新聞1ウィーク!」がありますよね。
あそこで、私のゲームブックリプレイの連載の通算の回数を数えてくださっているんですよ。
私は各作品の回数しか手元で記録していなかったので、通算で数えてくださっているのに気づいた時に驚きました。
そしてその回数にまた驚き。
なんと、いつの間にか連載回数が450回を軽く超え、500回に届こうとしています!
それだけの回数を、ほぼほぼ休載なしで続けてるんですよ。すごくないですか。
自分で言うのもなんですが、けっこう毎週密度の高いリプレイをお届けしていると思っていますので、これだけ続いていることに私自身がびっくりです。
それで思ったんですよ。
自分のリプレイ連載を振り返って、作品の感想とその頃の思い出を合わせたような記事を書いてみるのはどうかなって。
FT新聞さんには新規の読者さんも多いですし、私のリプレイは単行本化される予定もないので、過去のリプレイを読みたいと思っても簡単には読めないのです。
なので、これまでどんな作品をプレイして、どんな感想を持ったかというのを改めて振り返ってみるのも良いのではないかと。
ちなみに、そう言いながらも過去のリプレイを、すべてではないですが、読む方法はあります。
kindle書籍にて、「FT新聞20○○版」という毎年のバックナンバーが出ております。
そちらを確認していただければ、過去のリプレイを読むことができます。
ただし、FT書房作品以外のものはカットされているようですので、すべてではありません。
ところで、私、仕事がめちゃくちゃ忙しい人なんですよ。「ライフワークバランスって何だっけ」といつもぼやいているレベルに。
しかも通勤時間も長いんですよ。片道1時間以上かかります。
平日は日が変わるかどうかのタイミングで自宅に帰り、朝7時に出勤しています。
私、わりといろいろ隠さない方なので、職場にも私が週一連載記事を書いているのを知っている人は何人もいます。
皆さん口をそろえて、「いつ書いてるの」と言ってきます。それくらいにプライベートな時間が少ないと思われていて、わりと事実ではあります。
なのにゲームブックのリプレイなどという、ひとつの作品に対して恐ろしく時間のかかる楽しみ方をしているわけです。
となるとどういうことが起きるか。
そう。私がFT新聞を初めてからのゲームブックのプレイ履歴は、掲載されているゲームブックリプレイとほぼ等しいという事態に!
ほかの!
作品を!
プレイしている時間が!
ない!!
あれもしたいこれもしたいもっとしたいもっともっとしたい!
つまり、FT新聞のリプレイの歴史というのは、そのまんま私がゲームブックをプレイしてきた歴史そのものと言えるのです。
なんだか私、リプレイを書いているおかげでゲームブックの第一人者面をしておりますが、積んでる勢を除いて新作を追い続けているみなさんの方が、実は私よりも多くの作品をプレイしていると思いますよ。
そんなわけで、この記事では、私のゲームブックリプレイ掲載の歴史を振り返りながら、思い出語りをしていきます。
●その1 宝石島の脱出
現在のFT新聞水曜日のリプレイは、2016年11月30日の、「ミラー・ドール」のリプレイから始まっています。
私の通算の連載回数も、そこから始まっています。
でも実は、私のリプレイ連載は、さらにそのずっと前から始まっていたのです。
それを含めたら、連載回数はいったいどうなってしまうのか。
私も数えていませんが、少なくとも100回分近くはあるように思います。
もともと私は、2008年頃からmixiで、ファイティングファンタジーシリーズを中心にリプレイを書いていました。
今もリプレイはそのまま残っているのですけれど、現在のような体裁になってはおらず、本当に好きなように書き散らかしているような感じです。
ちょっと今読むとむずがゆくて、とてもひとさまにお出しできるようなものではないのです。普通にお出ししていますが。
一応こちらになります。今はmixiは登録なしでも見られるようになっております。
ぜろのゲームブックリプレイ目次
https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=7076225&id=1943798744
そんな時に、たまたま見つけてしまったんですよ。
FT書房が発行しているゲームブック「宝石島の脱出」を!
その頃は、ファイティングファンタジーのシリーズはもう日本での展開は終了して久しいし、新作は期待できないのかなと思っている時でした。
まさか日本人で、ファイティングファンタジーのシステムを踏襲して作品を作っている方がいる?!
喜んで取り寄せて、勢いよくリプレイを書かせていただきました。
そうしたら、まさかのFT書房の代表、杉本=ヨハネさんに発見されてしまいましてねぇ。
今でこそ、この業界の規模を考えると、わりと発見されやすかったんだろうな、って思うのですが、当時はそれほどSNSに精通しているわけでもなく、発見されたことに本当にびっくりしました。
そこからゲームブックに関連した楽しいやりとりをさせていただいておりましたが、次に来たお誘いでさらにびっくり。
「毎日配信のメールマガジンをやるから、それに記事書いてくれない?」と。
そう。私のゲームブックリプレイは、FT新聞の配信開始当時から、始まっていたのです!
最初に連載を開始したのは、杉本=ヨハネ著「宝石島の脱出」でした。FT新聞第0005号になります。
これは、もともとmixiにアップしてあった記事を、軽く修正した程度の形で連載版としておりました。
毎日配信のFT新聞始めるよ! 登録したらリプレイも読めるよ!
って登録してみたら、まさか読者ではなく執筆者の方になっていて、読めるリプレイは私のリプレイでした。
この当時はですね、FT新聞がこんなにも長寿の化け物コンテンツになるなんて、思ってもみませんでした。
なのでリプレイ連載も、今を思えば1回が短めで、だらだらと、のんびり長期連載で続けておりました。
「宝石島の脱出」リプレイ当時の記事を見ると、第31回とか書いてあります。
半年以上かけてじっくり連載していたのですね。
今も長編ものをプレイする時には、じっくり取り組んで回数もかけますが、密度が違いますからね。
今「宝石島の脱出」リプレイを書いていたら、たぶん10〜15回程度の記事にしていると思います。
そんなわけで「宝石島の脱出」は、私にとっては非常に思い出深い作品になりました。
この作品、ファイティングファンタジールール版と、トンネルズ&トロールズ版の、2つのルールで刊行されていたんですよ。
それで、私が反応したのはファイティングファンタジー版でした。
トンネルズ&トロールズも以前から知ってはいて、持ってもいたのですが、いかんせんあまりTRPGになじみがなく、ソロアドベンチャーだけだったんですね。
当時の私のトンネルズ&トロールズの印象は、「時間をかけてキャラクターを作成して、ソロアドベンチャーを始めたらすぐ死ぬ」だったのです。
今ではその印象は変化していまして、トンネルズ&トロールズ関係の書籍も集めてはおりますが、いかんせんプレイする優先順位の関係で、どうしても手つかずになってしまっております。
いつかそちらにも手を広げたいものです。
なので以下の感想は、ファイティングファンタジー版準拠のものになります。
「宝石島の脱出」は、その名の通り、宝石島に漂着した主人公が、島から脱出するまでを描いた作品です。
島は各地を自由に行き来できるような構造になっています。
今コンピュータRPGでいうところの「オープンフィールド」をゲームブックでやっているような感じです。
最初は武器も何も持っていない状態からゲームスタートという、過酷な状況です。
この作品の面白いところは、脱出するだけなら、運さえよければすぐに達成できることですね。
運試しに5回くらい連続成功すれば、泳いで脱出することさえできてしまうのですから。
宝石島という名のとおりに、この島に隠された財宝の秘密。
途中で明かされていく島の秘密。
そういったものを読み解きながら、脱出を目指します。
脱出の方法は複数ありますし、島の秘密も段階的に明かされるようになっておりますので、隠されたパラグラフに進めた時の驚きと喜びはかなりのものです。
それが幾重にも重なっており、まだこの先があるのか! という気持ちにさせられたことを覚えています。
この作品に、どれだけのアイディアと愛情を詰め込んだんだ、って思いました。
なにより、ファイティングファンタジー的なシステムの作品に触れられるのがうれしかったのです。
それに、シリーズが進むにしたがって、解けないレベルの難解さになってしまった本家と異なり、こちらはきちんと、弱いキャラクターになっても生き残れるような配慮もありました。
きちんと普通にプレイしてクリアできるファイティングファンタジーをプレイさせてもらえて、喜びしかありませんでした。
この作品、欠点も少しあって、最たるものはシステム面の重さです。
プレイヤーに管理させるには少々重い部分があり、それがプレイしやすさの足を引っ張っているところはありました。
1パラグラフを進むたびに10分が経過しているという計算で、60分ごとに空腹で体力点が1点ずつ失われていくというルールがあったのです。
プレイヤーに何パラグラフ進むにつき体力点を1点失う、と管理させるのは、今思えばかなりのシステム面の重さだと思います。
それはそれとしてこのルールだと、体力点18点のキャラクターが何も食べなければ、18時間後に餓死してしまうんですよ。
こういうの、ゲーム的な処理に割り切った感じがあって、私は逆に大好きです。
ちなみに仲間になる可能性があるキャラクターに、くいしんぼキャラがおりまして、そのキャラクターは計算上、何も食べないでいると3時間で餓死します。ひどい。(ほめ言葉)
FT書房の作品って当時から、リアルな質感の部分と、ゲームとして割り切った処理をするところのギャップがたまらなく萌えでした。
そのあたりは、今にも繋がっていると思っています。
たとえば「かえる沼を抜けて」では、装備をつけることで体力点などが加算されるルールになっています。
その結果どうなるか。なんと、体力点2点の時に、体力点に2点加算される防具を脱ぐと……その瞬間に体力点0点で死にます。
それが最初のルール説明に明記されているんですよ。面白すぎます。
「宝石島の脱出」は、そんなふうに、私の脳天を直撃した作品でした。
また、この後の展開で、短編ゲームブック「マドレーンの海域」にて、宝石島は再登場します。
多くの島の中のひとつという形で、サイコロの出目によって、たまに流れつくことがありました。
たまに、と言いましたが、サイコロの出目によっては意外としょっちゅう行くことにもなります。
なので、もしかして宝石島、意外と助け船が来ることもあるんじゃない? などと思ったりもしました。
こうした作品間の繋がりは、ちょっぴりうれしい気分になりますね。
「宝石島の脱出」リプレイは、FT新聞2013年版で読むことができます。
FT新聞2013年版
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B354RFVS
連載期間
2013年1月25日から2013年7月31日(全30回)
また、私のmixiでも読むことができます。
ゲームブックリプレイ【宝石島の脱出】目次
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1941198424&owner_id=7076225
■作品情報
作品名:宝石島の脱出
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
ゲームブック版(在庫なし)
https://ftbooks.booth.pm/items/361724
T&Tソロアドベンチャー版
https://ftbooks.booth.pm/items/361773
●おわりに
さて、最初のリプレイ作品だけにボリュームが多くなってしまったので、今回はこれだけでおしまいです。
次回は、この次に連載していた「断頭台の迷宮」と「大魔導城のワナ」リプレイについてお話させていただけたらと思います。
不定期なので次はいつになるかはわかりませんが、たまに金曜記事を埋めに来ますので、よろしくお願いします。
みなさま方も、軽い気持ちで金曜日に記事を置いてくださいますと、私がうれしい気持ちになります。みんなで埋めよう金曜日。
それではまた、次回は水曜のリプレイ記事で会いましょう。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
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金曜日枠が空いているので、ふらふらっとたまに来ては記事を置いていこうかと思っております。
●この記事の目的
毎週土曜日に、「FT新聞1ウィーク!」がありますよね。
あそこで、私のゲームブックリプレイの連載の通算の回数を数えてくださっているんですよ。
私は各作品の回数しか手元で記録していなかったので、通算で数えてくださっているのに気づいた時に驚きました。
そしてその回数にまた驚き。
なんと、いつの間にか連載回数が450回を軽く超え、500回に届こうとしています!
それだけの回数を、ほぼほぼ休載なしで続けてるんですよ。すごくないですか。
自分で言うのもなんですが、けっこう毎週密度の高いリプレイをお届けしていると思っていますので、これだけ続いていることに私自身がびっくりです。
それで思ったんですよ。
自分のリプレイ連載を振り返って、作品の感想とその頃の思い出を合わせたような記事を書いてみるのはどうかなって。
FT新聞さんには新規の読者さんも多いですし、私のリプレイは単行本化される予定もないので、過去のリプレイを読みたいと思っても簡単には読めないのです。
なので、これまでどんな作品をプレイして、どんな感想を持ったかというのを改めて振り返ってみるのも良いのではないかと。
ちなみに、そう言いながらも過去のリプレイを、すべてではないですが、読む方法はあります。
kindle書籍にて、「FT新聞20○○版」という毎年のバックナンバーが出ております。
そちらを確認していただければ、過去のリプレイを読むことができます。
ただし、FT書房作品以外のものはカットされているようですので、すべてではありません。
ところで、私、仕事がめちゃくちゃ忙しい人なんですよ。「ライフワークバランスって何だっけ」といつもぼやいているレベルに。
しかも通勤時間も長いんですよ。片道1時間以上かかります。
平日は日が変わるかどうかのタイミングで自宅に帰り、朝7時に出勤しています。
私、わりといろいろ隠さない方なので、職場にも私が週一連載記事を書いているのを知っている人は何人もいます。
皆さん口をそろえて、「いつ書いてるの」と言ってきます。それくらいにプライベートな時間が少ないと思われていて、わりと事実ではあります。
なのにゲームブックのリプレイなどという、ひとつの作品に対して恐ろしく時間のかかる楽しみ方をしているわけです。
となるとどういうことが起きるか。
そう。私がFT新聞を初めてからのゲームブックのプレイ履歴は、掲載されているゲームブックリプレイとほぼ等しいという事態に!
ほかの!
作品を!
プレイしている時間が!
ない!!
あれもしたいこれもしたいもっとしたいもっともっとしたい!
つまり、FT新聞のリプレイの歴史というのは、そのまんま私がゲームブックをプレイしてきた歴史そのものと言えるのです。
なんだか私、リプレイを書いているおかげでゲームブックの第一人者面をしておりますが、積んでる勢を除いて新作を追い続けているみなさんの方が、実は私よりも多くの作品をプレイしていると思いますよ。
そんなわけで、この記事では、私のゲームブックリプレイ掲載の歴史を振り返りながら、思い出語りをしていきます。
●その1 宝石島の脱出
現在のFT新聞水曜日のリプレイは、2016年11月30日の、「ミラー・ドール」のリプレイから始まっています。
私の通算の連載回数も、そこから始まっています。
でも実は、私のリプレイ連載は、さらにそのずっと前から始まっていたのです。
それを含めたら、連載回数はいったいどうなってしまうのか。
私も数えていませんが、少なくとも100回分近くはあるように思います。
もともと私は、2008年頃からmixiで、ファイティングファンタジーシリーズを中心にリプレイを書いていました。
今もリプレイはそのまま残っているのですけれど、現在のような体裁になってはおらず、本当に好きなように書き散らかしているような感じです。
ちょっと今読むとむずがゆくて、とてもひとさまにお出しできるようなものではないのです。普通にお出ししていますが。
一応こちらになります。今はmixiは登録なしでも見られるようになっております。
ぜろのゲームブックリプレイ目次
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そんな時に、たまたま見つけてしまったんですよ。
FT書房が発行しているゲームブック「宝石島の脱出」を!
その頃は、ファイティングファンタジーのシリーズはもう日本での展開は終了して久しいし、新作は期待できないのかなと思っている時でした。
まさか日本人で、ファイティングファンタジーのシステムを踏襲して作品を作っている方がいる?!
喜んで取り寄せて、勢いよくリプレイを書かせていただきました。
そうしたら、まさかのFT書房の代表、杉本=ヨハネさんに発見されてしまいましてねぇ。
今でこそ、この業界の規模を考えると、わりと発見されやすかったんだろうな、って思うのですが、当時はそれほどSNSに精通しているわけでもなく、発見されたことに本当にびっくりしました。
そこからゲームブックに関連した楽しいやりとりをさせていただいておりましたが、次に来たお誘いでさらにびっくり。
「毎日配信のメールマガジンをやるから、それに記事書いてくれない?」と。
そう。私のゲームブックリプレイは、FT新聞の配信開始当時から、始まっていたのです!
最初に連載を開始したのは、杉本=ヨハネ著「宝石島の脱出」でした。FT新聞第0005号になります。
これは、もともとmixiにアップしてあった記事を、軽く修正した程度の形で連載版としておりました。
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この当時はですね、FT新聞がこんなにも長寿の化け物コンテンツになるなんて、思ってもみませんでした。
なのでリプレイ連載も、今を思えば1回が短めで、だらだらと、のんびり長期連載で続けておりました。
「宝石島の脱出」リプレイ当時の記事を見ると、第31回とか書いてあります。
半年以上かけてじっくり連載していたのですね。
今も長編ものをプレイする時には、じっくり取り組んで回数もかけますが、密度が違いますからね。
今「宝石島の脱出」リプレイを書いていたら、たぶん10〜15回程度の記事にしていると思います。
そんなわけで「宝石島の脱出」は、私にとっては非常に思い出深い作品になりました。
この作品、ファイティングファンタジールール版と、トンネルズ&トロールズ版の、2つのルールで刊行されていたんですよ。
それで、私が反応したのはファイティングファンタジー版でした。
トンネルズ&トロールズも以前から知ってはいて、持ってもいたのですが、いかんせんあまりTRPGになじみがなく、ソロアドベンチャーだけだったんですね。
当時の私のトンネルズ&トロールズの印象は、「時間をかけてキャラクターを作成して、ソロアドベンチャーを始めたらすぐ死ぬ」だったのです。
今ではその印象は変化していまして、トンネルズ&トロールズ関係の書籍も集めてはおりますが、いかんせんプレイする優先順位の関係で、どうしても手つかずになってしまっております。
いつかそちらにも手を広げたいものです。
なので以下の感想は、ファイティングファンタジー版準拠のものになります。
「宝石島の脱出」は、その名の通り、宝石島に漂着した主人公が、島から脱出するまでを描いた作品です。
島は各地を自由に行き来できるような構造になっています。
今コンピュータRPGでいうところの「オープンフィールド」をゲームブックでやっているような感じです。
最初は武器も何も持っていない状態からゲームスタートという、過酷な状況です。
この作品の面白いところは、脱出するだけなら、運さえよければすぐに達成できることですね。
運試しに5回くらい連続成功すれば、泳いで脱出することさえできてしまうのですから。
宝石島という名のとおりに、この島に隠された財宝の秘密。
途中で明かされていく島の秘密。
そういったものを読み解きながら、脱出を目指します。
脱出の方法は複数ありますし、島の秘密も段階的に明かされるようになっておりますので、隠されたパラグラフに進めた時の驚きと喜びはかなりのものです。
それが幾重にも重なっており、まだこの先があるのか! という気持ちにさせられたことを覚えています。
この作品に、どれだけのアイディアと愛情を詰め込んだんだ、って思いました。
なにより、ファイティングファンタジー的なシステムの作品に触れられるのがうれしかったのです。
それに、シリーズが進むにしたがって、解けないレベルの難解さになってしまった本家と異なり、こちらはきちんと、弱いキャラクターになっても生き残れるような配慮もありました。
きちんと普通にプレイしてクリアできるファイティングファンタジーをプレイさせてもらえて、喜びしかありませんでした。
この作品、欠点も少しあって、最たるものはシステム面の重さです。
プレイヤーに管理させるには少々重い部分があり、それがプレイしやすさの足を引っ張っているところはありました。
1パラグラフを進むたびに10分が経過しているという計算で、60分ごとに空腹で体力点が1点ずつ失われていくというルールがあったのです。
プレイヤーに何パラグラフ進むにつき体力点を1点失う、と管理させるのは、今思えばかなりのシステム面の重さだと思います。
それはそれとしてこのルールだと、体力点18点のキャラクターが何も食べなければ、18時間後に餓死してしまうんですよ。
こういうの、ゲーム的な処理に割り切った感じがあって、私は逆に大好きです。
ちなみに仲間になる可能性があるキャラクターに、くいしんぼキャラがおりまして、そのキャラクターは計算上、何も食べないでいると3時間で餓死します。ひどい。(ほめ言葉)
FT書房の作品って当時から、リアルな質感の部分と、ゲームとして割り切った処理をするところのギャップがたまらなく萌えでした。
そのあたりは、今にも繋がっていると思っています。
たとえば「かえる沼を抜けて」では、装備をつけることで体力点などが加算されるルールになっています。
その結果どうなるか。なんと、体力点2点の時に、体力点に2点加算される防具を脱ぐと……その瞬間に体力点0点で死にます。
それが最初のルール説明に明記されているんですよ。面白すぎます。
「宝石島の脱出」は、そんなふうに、私の脳天を直撃した作品でした。
また、この後の展開で、短編ゲームブック「マドレーンの海域」にて、宝石島は再登場します。
多くの島の中のひとつという形で、サイコロの出目によって、たまに流れつくことがありました。
たまに、と言いましたが、サイコロの出目によっては意外としょっちゅう行くことにもなります。
なので、もしかして宝石島、意外と助け船が来ることもあるんじゃない? などと思ったりもしました。
こうした作品間の繋がりは、ちょっぴりうれしい気分になりますね。
「宝石島の脱出」リプレイは、FT新聞2013年版で読むことができます。
FT新聞2013年版
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B354RFVS
連載期間
2013年1月25日から2013年7月31日(全30回)
また、私のmixiでも読むことができます。
ゲームブックリプレイ【宝石島の脱出】目次
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1941198424&owner_id=7076225
■作品情報
作品名:宝石島の脱出
著者:杉本=ヨハネ
発行所・発行元:FT書房
購入はこちら
ゲームブック版(在庫なし)
https://ftbooks.booth.pm/items/361724
T&Tソロアドベンチャー版
https://ftbooks.booth.pm/items/361773
●おわりに
さて、最初のリプレイ作品だけにボリュームが多くなってしまったので、今回はこれだけでおしまいです。
次回は、この次に連載していた「断頭台の迷宮」と「大魔導城のワナ」リプレイについてお話させていただけたらと思います。
不定期なので次はいつになるかはわかりませんが、たまに金曜記事を埋めに来ますので、よろしくお願いします。
みなさま方も、軽い気持ちで金曜日に記事を置いてくださいますと、私がうれしい気持ちになります。みんなで埋めよう金曜日。
それではまた、次回は水曜のリプレイ記事で会いましょう。
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2026年1月1日木曜日
齊藤飛鳥・小説リプレイvol.39『汝、獣となれ人となれ』その3 FT新聞 No.4726
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる
TRPG小説リプレイ
Vol.39
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
〜前回までのあらすじ、あるいはイェシカの日記より抜粋〜
深夜、闇の賢人の仲立ちで、呪いをかけられた冒険者と出会った。
今朝、気まぐれな雨で足止めを食らい、束の間の安らぎを得る。
午前、穢れなき泉のほとりの神の樹が、古代の神槍をもたらす。
正午、廃墟で目覚めた鎧騎士と長剣が、いにしえの使命を守るべく刃を振るう。
〈ヴィンドランダ遺跡群〉は、〈太古の森〉という名の箱の中の猫。
クワニャウマは、〈太古の森〉の蝶のはばたき。思いがけない竜巻を巻き起こす。
蓋を開けようが開けまいが、生死は混然一体紙一重。
午後、そんな先のことはわからない——。
皆様、新年あけましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いいたしますm(__)m
前回までのあらすじに遊び心を込めようと、今回は某最低野郎アニメ風にしてみました。何はともあれ、『汝、獣となれ人となれ』リプレイその3です。
前回、〈ヴィンドランダ遺跡群〉に到着したクワニャウマ一行は、今回から本格的に遺跡群の探索に入ります。
さらに、ここからクリスティが正式参戦してきます^^ 関西弁の盗賊娘という想像のし甲斐がある魅力の塊のようなキャラクターなので、クワニャウマとのやりとりがはかどりました♪
ただ一つ、気になるのは、私が関東出身者なので、クリスティの言葉遣いが怪しいことです。これはアランツァ世界ということで、どうか御容赦下さいませf^^;
戦闘では、不意打ちをする敵とまたもや遭遇。【不意打ち】を阻止できる猟犬たちを従者にしていたおかげで、大いに助かりました!
一方、斬撃の武器と相性の悪い敵相手に苦戦しました。すると、たまたま拝読したFT新聞のローグライクハーフの遊び方に、「従者に太刀持ちがいれば、戦闘中に武器を交換できる」とあり、自分の戦略のたりなさに気がつけました。毎度のことながら、この遊び方シリーズはたいへん勉強になり、助かりますm(__)m
それにしても、アランツァ世界は冒険をすればするほど謎が増え、「この世界の真実を知りたい!」という気分にさせてくれるので面白いです^^b
最後になりますが、このたび『歌人探偵定家』の2巻がこの春発売予定となりました!
ここまでたどり着けたのは、皆様のおかげです。厚く御礼申し上げますm(__)m♪
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
ローグライクハーフ
『汝、獣となれ人となれ』リプレイ
その3
齊藤(羽生)飛鳥
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
6:かえる人の旅商人
廃墟の外へ出ると、かえる人の旅商人の一団と鉢合わせをした。
「やぁやぁ、コンニチハ! それともグッドイブニング?」
ひどく陽気な挨拶が遙か頭上から投げかけられる。大がえるの背に跨がっているのは、商人風のかえる人の一団だ。後ろには、荷物を満載にした大がえるがのっそりと何匹も続いている。
「こんな荒れ果てた遺跡の中でも、ワタクシドモはお客様に便利なものをたーくさんご提供デキマスヨ!」
「ありがたいわ! じゃあ、治療のポーションを一つお願い!」
「まいどあり! ところで、〈エール酒の大瓶〉や〈フィザック〉とか持っている? それなら、1回分あたり金貨10枚で買い取るよ」
〈エール酒の大瓶〉かぁ……。
黄昏の騎士退治の冒険で買ったけど、その冒険中に全部使いきったから、持ち合わせがないんだよね……。
もしも、今ここで持っていたら治療のポーションを金貨10枚分安く上がったのに、何たる痛恨のミス!
〈クワニャウマ、すごい顔になってる〉
ふと見ると、イェシカが石板にそう書いていた。周りをよく見れば、かえる人たちが、愛想笑いを保ちながらもおびえが見え隠れした表情になっていた。
「お酒は持ってないから、治療のポーションは通常のお値段で買うわ」
「通常の値段で買えるのに、なんでこの世の終わりを迎えたような顔で買い物されルンデスカ……」
かえる人の旅商人は、おびえた顔をしたものの、ちゃんと治療のポーションを売ってくれた。プロだ。
7:蕃神の領域
「しまった! よくよく考えたら、斧は置いていかないで、かえる人の旅商人たちに下取りしてもらえば、もっとお得だったわ!」
かえる人の旅商人の一団と別れた後、わたしはハッとする。
〈下取りしないタイプの旅商人かもしれないから、損はしてないと思う〉
イェシカが、石板にそうメッセージを書く。
「そっか。イェシカは冷静ね」
すると、静謐な空気を湛えた一帯に出た。たちまち、ミソサザイ姿のクリスティがうるさく囀る。
「どうしたの? 見覚えがあるの?」
その時、視界の端にある石像が身じろぎをしたように思えた。
「ワンッ!!」
またも猟犬がわたしに体当たりをしてきた。
よろけたところで、石像の拳が空を切る!
「こいつは、ガーゴイル! 助けてくれてありがとう、月光!」
〈その子は、飛燕〉
「見分けがつくとは、さすがイェシカ! でも、言い直すのは後にさせてね!」
わたしは、ガーゴイルへ古代の神槍で斬りかかる。
しかし、斬撃ではなかなかダメージを与えられない!
こんなことなら、打撃系の武器だった斧を置いていくんじゃなかった!
泥仕合の様相を呈してきたところで、猟犬の1頭がガーゴイルに殴り飛ばされた。
「キャウンッ!!」
「しっかりして、飛燕! 今すぐ〈身代わりの依代〉を使うから!」
〈その子は雷電だけど〈身代わりの依代〉は使って〉
イェシカの石板を横目にわたしが〈身代わりの依代〉で猟犬の手当てをしている間、残り2頭の猟犬がガーゴイルと戦う。
2頭が決死の突進攻撃をすると、ガーゴイルが砕け散る。
「やった!」
わたしは大声で喜ぶ。
が、それもつかの間、ガーゴイルの欠片が小さなガーゴイルたちになっていく。その数、3体!!
「なんて厄介な……!!」
「グルルル……」
苛立つわたしに同意するように、猟犬たちも不満気にうなり声を上げる。
「仕切り直して、戦闘継続よ!」
「ワンッ!!」
「もしかして、これが効くかも……」
わたしは、分裂後の小さなガーゴイルへ聖フランチェスコ市で購入した聖水をかける。
「グガガガ……!!」
小さなガーゴイルのうち、2体が消えていく。
残り1体は、猟犬たちが倒す。
「よかった……死者を出さずに勝てた……」
わたしは、テュルニを食べて自分の体力を回復させてから、ガーゴイルの欠片の中にお宝がないか、目を皿のようにして探し始める。
あんなに苦戦させられたのに、金貨1枚見つからない。
ため息一つついてから、わたしは周囲を見回す。
すると、少し離れた所に古びた石碑や彫像が建ち並び、古代語と文様が一面に描かれている巨大な石壁があることに気づいた。
「何らかの神に関する宗教画みたいだけど……これ、今回の冒険の〈手がかり〉になりそう?」
ミソサザイに訊ねてはみたものの、返事は囀りだけだった。
これは、本腰入れて見てみるか。
8:中間イベント
わたしは、目の前に広がる巨大な壁画を埋め尽くす古代語と異様な文様の判読に取りかかった。
意味ありげに石碑が鎮座していることと言い、絶対に何か重要なことが書かれているはず!
わたしが首を捻っている間、イェシカが手際よく野営の支度を始める。石壁の傍らには都合よく泉が湧いているので、野営にもってこいと判断したらしい。イェシカ、つくづくできる子だ。こんないい子に育ててくれたイェシカのお兄さん、ありがとう。
今夜は野営とわかると、いくら長丁場になってもいい安心感が出てきた。
わたしは、冷静さを取り戻して判読を続けた。
壁画は、何となく絵からして、たくさんの少数種族に崇拝されているのでおなじみの獣神セリオンに関する宗教画というのは見て取れた。
問題は、古代語の方だ。
「んーと、石碑には《いだいなるあたらしきおうへのきとう》とあるのかな?」
ようやく意味が通る文章が読み解けた。
イェシカと会話できるように、古代語の勉強をしていたことが、思いがけないところで役に立った。ありがとう、イェシカ。
これを基準にして、ほかの単語を見ていけば判読できそうだ!
わたしは、そこら辺に落ちていた小枝を拾って、読み解けた古代語を地面に書き出していく。
《けもののなまがわをいきながらはぎ、それをまとうことでけもののちからをみにやどせる》
《みずからのにくをじゅうしんにささげることでえいえんのけもののちからをえるぎしき》
……地面には、猟犬たちが文字を読めたらあっという間に地の果てまで逃げていきそうな内容と、著しく特定の人物が思い当たる内容が書き上がっていた。
あれ? あれれ? ヴィド、あなた、もしかして???
困惑するわたしのそばで、日が暮れる。すると、わたしの肩に止まっていたミソサザイが元の女コビットのクリスティの姿に戻った。
「よかった! クリスティ、ようやく会話できるわ! この遺跡のことを教えて! お宝について書かれているところはない?」
「ウチは、ここと同じような壁画を何度も見たけど、今あんたが解読した内容以外のことは書かれてなかったよ」
「そんな……」
クリスティが肩を落としたけど、私はその二倍は落とした。
イェシカが、そんなわたしたちを励ますように夕食を持って来てくれた。天使か!!
〈……忌まわしき祭祀が再び行われたか〉
「誰!?」
わたしたちは弾かれたように立ち上がって、辺りを見回す。
〈彼奴は贄を欲しておるのだ〉
微かな水音にクリスティが反応し、わたしたちも遅れて振り返る。
水辺に奇妙な影が頭を覗かせている。
つるりとした頭に長い首。巨大な甲羅。大亀だ。しかしどうやら人語を解するらしい。
亀の声は、不思議なことにわたしたちの頭の中に直接響きわたる。
年古りた亀は焚き火の灯りに照らされた壁画をまじろぎもせず見つめながら、静かに語り始めた。
それは遠い昔の、よくある悲劇。
信仰していた神が、ケツを拭く紙ほどにも役に立たないと絶望したくせに、新たに依存する神を求めた人間どもがもたらした悲劇だった。
異形の神像を新たな神として迎えた連中は、血生臭い儀式を執り行なって獣の力を見に宿していった。反対者は獣に姿を変えていく。もはや、彼らを止める者はいなかった。
そして、彼らを虐げた敵との戦いに身を投じていき、散り散りとなった。
老いた亀は、悲劇を語り終えると静かにすすり泣く。
「神に依存しすぎたがゆえの悲劇ね。神様は、どんなに大変な時もただで見守ってくれているだけで、すでに十二分にお得な存在なんだから、さらに自分の都合を押しつけるのは贅沢ってものよ。『神様! 俺達の戦いを見守っていてくれよな!』のスタンスで、侵略者を効果的に血祭りに上げる計画を練っていけば、一族散り散りの大損をせずにすんだのに」
〈その通り。愚かなことだ。だが儂ごときが今更何を言えるだろうか。若者たちを諫めることも咎めることもできず、ましてや我が身可愛さに彼らの言いなりに異形の力をこの身に宿した儂に。このように醜い身体を晒して、今でも生き長らえておるこの儂に、何の資格があるだろうか〉
「大丈夫。こちらにお得な話をしてくれたんで、あなたの醜さなんて眼中にないわ。むしろ、今まで会って来た中で最高のイケガメに見える」
〈やっぱり、儂は亀なのか……〉
老いた亀は、恥じ入ったようにゆっくりと泉の中に沈み込んでゆく。思ったより、繊細か!
〈我らが獣の王と呼んでいた"あれ"は、果たして本当は"なに"であったのだろうか……〉
それは、衝撃以外の何物でもなかった。
「えっ!? わたし、てっきり獣神セリオンの別解釈による信仰だから、獣神セリオンの別の側面程度に理解していたんだけど、まったくの別神の可能性があるの!? もうちょっと情報をちょうだい!! ねえってば!!」
わたしは、亀が沈んでいった水面めがけて叫んだけど、返事はあぶく一つだけだった。
「もう堪忍してやりぃや。それより、ウチが元の姿に戻っているうちに探索しよう」
クリスティは、口の周りにイェシカが用意した夕食のカスをつけたまま、わたしの肩に手を置く。イケガメの話を聞きながら、夕食を食べていたのは明白だ。
「ちゃっかりさんか。嫌いじゃないわ。では、食休みを終えたら出発しましょう。イェシカ、無理をさせてしまってごめんね」
イェシカは、健気にも頷く。天使だ。
この天使に甘えすぎないよう、この冒険が終わったらイェシカが楽しめるように、イェシカ強化月間にしよう。
9:泥棒カササギ
そう思いながら、夕食を取ろうとしたのが迂闊だった。
上空から獲物を狙って急降下してきたカササギが、目ざとく夕食のおかずを見つけ出し、嘴でくわえて飛び去ろうとする。
「貴様ごときに、イェシカの手料理をただで食わせてやるものか!!」
わたしはそこら辺に転がっていた石を投げつける。見事にカササギに命中し、奴は咥えていたおかずを落として飛び去って行く。
わたしは、すかさずお皿でそれを受け止める。
「ちっ……あのカササギを始末して夕食のおかずに追加しようと思ったけど、仕損じたか……」
「泥棒カササギを食うつもりだったんか!?」
クリスティが、ツッコミを入れる。元の姿の方が動きのキレがいい。
「食料を盗むのは、自分が食料になってもいい覚悟がある者がやることよ。少なくとも、わたしの故郷の村ではそうだったわ」
「……あんたの故郷の村、食料泥棒は一人もおらんかったやろ? そうやろ?」
「うーん、どうだったかなぁ。あれは、三年前……」
「頼むから、おらんかったと言ってー! 」
そんな雑談を交わしながら、わたしたちは夕食をすませたのだった。
(続く)
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
2025年現在、『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を6巻まで刊行中。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行決定。同年春には『歌人探偵定家 弐』(仮)が刊行予定。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『汝、獣となれ人となれ』
著 水波流
2025年9月7日FT新聞配信
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
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Vol.39
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〜前回までのあらすじ、あるいはイェシカの日記より抜粋〜
深夜、闇の賢人の仲立ちで、呪いをかけられた冒険者と出会った。
今朝、気まぐれな雨で足止めを食らい、束の間の安らぎを得る。
午前、穢れなき泉のほとりの神の樹が、古代の神槍をもたらす。
正午、廃墟で目覚めた鎧騎士と長剣が、いにしえの使命を守るべく刃を振るう。
〈ヴィンドランダ遺跡群〉は、〈太古の森〉という名の箱の中の猫。
クワニャウマは、〈太古の森〉の蝶のはばたき。思いがけない竜巻を巻き起こす。
蓋を開けようが開けまいが、生死は混然一体紙一重。
午後、そんな先のことはわからない——。
皆様、新年あけましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いいたしますm(__)m
前回までのあらすじに遊び心を込めようと、今回は某最低野郎アニメ風にしてみました。何はともあれ、『汝、獣となれ人となれ』リプレイその3です。
前回、〈ヴィンドランダ遺跡群〉に到着したクワニャウマ一行は、今回から本格的に遺跡群の探索に入ります。
さらに、ここからクリスティが正式参戦してきます^^ 関西弁の盗賊娘という想像のし甲斐がある魅力の塊のようなキャラクターなので、クワニャウマとのやりとりがはかどりました♪
ただ一つ、気になるのは、私が関東出身者なので、クリスティの言葉遣いが怪しいことです。これはアランツァ世界ということで、どうか御容赦下さいませf^^;
戦闘では、不意打ちをする敵とまたもや遭遇。【不意打ち】を阻止できる猟犬たちを従者にしていたおかげで、大いに助かりました!
一方、斬撃の武器と相性の悪い敵相手に苦戦しました。すると、たまたま拝読したFT新聞のローグライクハーフの遊び方に、「従者に太刀持ちがいれば、戦闘中に武器を交換できる」とあり、自分の戦略のたりなさに気がつけました。毎度のことながら、この遊び方シリーズはたいへん勉強になり、助かりますm(__)m
それにしても、アランツァ世界は冒険をすればするほど謎が増え、「この世界の真実を知りたい!」という気分にさせてくれるので面白いです^^b
最後になりますが、このたび『歌人探偵定家』の2巻がこの春発売予定となりました!
ここまでたどり着けたのは、皆様のおかげです。厚く御礼申し上げますm(__)m♪
※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意下さい。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
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『汝、獣となれ人となれ』リプレイ
その3
齊藤(羽生)飛鳥
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6:かえる人の旅商人
廃墟の外へ出ると、かえる人の旅商人の一団と鉢合わせをした。
「やぁやぁ、コンニチハ! それともグッドイブニング?」
ひどく陽気な挨拶が遙か頭上から投げかけられる。大がえるの背に跨がっているのは、商人風のかえる人の一団だ。後ろには、荷物を満載にした大がえるがのっそりと何匹も続いている。
「こんな荒れ果てた遺跡の中でも、ワタクシドモはお客様に便利なものをたーくさんご提供デキマスヨ!」
「ありがたいわ! じゃあ、治療のポーションを一つお願い!」
「まいどあり! ところで、〈エール酒の大瓶〉や〈フィザック〉とか持っている? それなら、1回分あたり金貨10枚で買い取るよ」
〈エール酒の大瓶〉かぁ……。
黄昏の騎士退治の冒険で買ったけど、その冒険中に全部使いきったから、持ち合わせがないんだよね……。
もしも、今ここで持っていたら治療のポーションを金貨10枚分安く上がったのに、何たる痛恨のミス!
〈クワニャウマ、すごい顔になってる〉
ふと見ると、イェシカが石板にそう書いていた。周りをよく見れば、かえる人たちが、愛想笑いを保ちながらもおびえが見え隠れした表情になっていた。
「お酒は持ってないから、治療のポーションは通常のお値段で買うわ」
「通常の値段で買えるのに、なんでこの世の終わりを迎えたような顔で買い物されルンデスカ……」
かえる人の旅商人は、おびえた顔をしたものの、ちゃんと治療のポーションを売ってくれた。プロだ。
7:蕃神の領域
「しまった! よくよく考えたら、斧は置いていかないで、かえる人の旅商人たちに下取りしてもらえば、もっとお得だったわ!」
かえる人の旅商人の一団と別れた後、わたしはハッとする。
〈下取りしないタイプの旅商人かもしれないから、損はしてないと思う〉
イェシカが、石板にそうメッセージを書く。
「そっか。イェシカは冷静ね」
すると、静謐な空気を湛えた一帯に出た。たちまち、ミソサザイ姿のクリスティがうるさく囀る。
「どうしたの? 見覚えがあるの?」
その時、視界の端にある石像が身じろぎをしたように思えた。
「ワンッ!!」
またも猟犬がわたしに体当たりをしてきた。
よろけたところで、石像の拳が空を切る!
「こいつは、ガーゴイル! 助けてくれてありがとう、月光!」
〈その子は、飛燕〉
「見分けがつくとは、さすがイェシカ! でも、言い直すのは後にさせてね!」
わたしは、ガーゴイルへ古代の神槍で斬りかかる。
しかし、斬撃ではなかなかダメージを与えられない!
こんなことなら、打撃系の武器だった斧を置いていくんじゃなかった!
泥仕合の様相を呈してきたところで、猟犬の1頭がガーゴイルに殴り飛ばされた。
「キャウンッ!!」
「しっかりして、飛燕! 今すぐ〈身代わりの依代〉を使うから!」
〈その子は雷電だけど〈身代わりの依代〉は使って〉
イェシカの石板を横目にわたしが〈身代わりの依代〉で猟犬の手当てをしている間、残り2頭の猟犬がガーゴイルと戦う。
2頭が決死の突進攻撃をすると、ガーゴイルが砕け散る。
「やった!」
わたしは大声で喜ぶ。
が、それもつかの間、ガーゴイルの欠片が小さなガーゴイルたちになっていく。その数、3体!!
「なんて厄介な……!!」
「グルルル……」
苛立つわたしに同意するように、猟犬たちも不満気にうなり声を上げる。
「仕切り直して、戦闘継続よ!」
「ワンッ!!」
「もしかして、これが効くかも……」
わたしは、分裂後の小さなガーゴイルへ聖フランチェスコ市で購入した聖水をかける。
「グガガガ……!!」
小さなガーゴイルのうち、2体が消えていく。
残り1体は、猟犬たちが倒す。
「よかった……死者を出さずに勝てた……」
わたしは、テュルニを食べて自分の体力を回復させてから、ガーゴイルの欠片の中にお宝がないか、目を皿のようにして探し始める。
あんなに苦戦させられたのに、金貨1枚見つからない。
ため息一つついてから、わたしは周囲を見回す。
すると、少し離れた所に古びた石碑や彫像が建ち並び、古代語と文様が一面に描かれている巨大な石壁があることに気づいた。
「何らかの神に関する宗教画みたいだけど……これ、今回の冒険の〈手がかり〉になりそう?」
ミソサザイに訊ねてはみたものの、返事は囀りだけだった。
これは、本腰入れて見てみるか。
8:中間イベント
わたしは、目の前に広がる巨大な壁画を埋め尽くす古代語と異様な文様の判読に取りかかった。
意味ありげに石碑が鎮座していることと言い、絶対に何か重要なことが書かれているはず!
わたしが首を捻っている間、イェシカが手際よく野営の支度を始める。石壁の傍らには都合よく泉が湧いているので、野営にもってこいと判断したらしい。イェシカ、つくづくできる子だ。こんないい子に育ててくれたイェシカのお兄さん、ありがとう。
今夜は野営とわかると、いくら長丁場になってもいい安心感が出てきた。
わたしは、冷静さを取り戻して判読を続けた。
壁画は、何となく絵からして、たくさんの少数種族に崇拝されているのでおなじみの獣神セリオンに関する宗教画というのは見て取れた。
問題は、古代語の方だ。
「んーと、石碑には《いだいなるあたらしきおうへのきとう》とあるのかな?」
ようやく意味が通る文章が読み解けた。
イェシカと会話できるように、古代語の勉強をしていたことが、思いがけないところで役に立った。ありがとう、イェシカ。
これを基準にして、ほかの単語を見ていけば判読できそうだ!
わたしは、そこら辺に落ちていた小枝を拾って、読み解けた古代語を地面に書き出していく。
《けもののなまがわをいきながらはぎ、それをまとうことでけもののちからをみにやどせる》
《みずからのにくをじゅうしんにささげることでえいえんのけもののちからをえるぎしき》
……地面には、猟犬たちが文字を読めたらあっという間に地の果てまで逃げていきそうな内容と、著しく特定の人物が思い当たる内容が書き上がっていた。
あれ? あれれ? ヴィド、あなた、もしかして???
困惑するわたしのそばで、日が暮れる。すると、わたしの肩に止まっていたミソサザイが元の女コビットのクリスティの姿に戻った。
「よかった! クリスティ、ようやく会話できるわ! この遺跡のことを教えて! お宝について書かれているところはない?」
「ウチは、ここと同じような壁画を何度も見たけど、今あんたが解読した内容以外のことは書かれてなかったよ」
「そんな……」
クリスティが肩を落としたけど、私はその二倍は落とした。
イェシカが、そんなわたしたちを励ますように夕食を持って来てくれた。天使か!!
〈……忌まわしき祭祀が再び行われたか〉
「誰!?」
わたしたちは弾かれたように立ち上がって、辺りを見回す。
〈彼奴は贄を欲しておるのだ〉
微かな水音にクリスティが反応し、わたしたちも遅れて振り返る。
水辺に奇妙な影が頭を覗かせている。
つるりとした頭に長い首。巨大な甲羅。大亀だ。しかしどうやら人語を解するらしい。
亀の声は、不思議なことにわたしたちの頭の中に直接響きわたる。
年古りた亀は焚き火の灯りに照らされた壁画をまじろぎもせず見つめながら、静かに語り始めた。
それは遠い昔の、よくある悲劇。
信仰していた神が、ケツを拭く紙ほどにも役に立たないと絶望したくせに、新たに依存する神を求めた人間どもがもたらした悲劇だった。
異形の神像を新たな神として迎えた連中は、血生臭い儀式を執り行なって獣の力を見に宿していった。反対者は獣に姿を変えていく。もはや、彼らを止める者はいなかった。
そして、彼らを虐げた敵との戦いに身を投じていき、散り散りとなった。
老いた亀は、悲劇を語り終えると静かにすすり泣く。
「神に依存しすぎたがゆえの悲劇ね。神様は、どんなに大変な時もただで見守ってくれているだけで、すでに十二分にお得な存在なんだから、さらに自分の都合を押しつけるのは贅沢ってものよ。『神様! 俺達の戦いを見守っていてくれよな!』のスタンスで、侵略者を効果的に血祭りに上げる計画を練っていけば、一族散り散りの大損をせずにすんだのに」
〈その通り。愚かなことだ。だが儂ごときが今更何を言えるだろうか。若者たちを諫めることも咎めることもできず、ましてや我が身可愛さに彼らの言いなりに異形の力をこの身に宿した儂に。このように醜い身体を晒して、今でも生き長らえておるこの儂に、何の資格があるだろうか〉
「大丈夫。こちらにお得な話をしてくれたんで、あなたの醜さなんて眼中にないわ。むしろ、今まで会って来た中で最高のイケガメに見える」
〈やっぱり、儂は亀なのか……〉
老いた亀は、恥じ入ったようにゆっくりと泉の中に沈み込んでゆく。思ったより、繊細か!
〈我らが獣の王と呼んでいた"あれ"は、果たして本当は"なに"であったのだろうか……〉
それは、衝撃以外の何物でもなかった。
「えっ!? わたし、てっきり獣神セリオンの別解釈による信仰だから、獣神セリオンの別の側面程度に理解していたんだけど、まったくの別神の可能性があるの!? もうちょっと情報をちょうだい!! ねえってば!!」
わたしは、亀が沈んでいった水面めがけて叫んだけど、返事はあぶく一つだけだった。
「もう堪忍してやりぃや。それより、ウチが元の姿に戻っているうちに探索しよう」
クリスティは、口の周りにイェシカが用意した夕食のカスをつけたまま、わたしの肩に手を置く。イケガメの話を聞きながら、夕食を食べていたのは明白だ。
「ちゃっかりさんか。嫌いじゃないわ。では、食休みを終えたら出発しましょう。イェシカ、無理をさせてしまってごめんね」
イェシカは、健気にも頷く。天使だ。
この天使に甘えすぎないよう、この冒険が終わったらイェシカが楽しめるように、イェシカ強化月間にしよう。
9:泥棒カササギ
そう思いながら、夕食を取ろうとしたのが迂闊だった。
上空から獲物を狙って急降下してきたカササギが、目ざとく夕食のおかずを見つけ出し、嘴でくわえて飛び去ろうとする。
「貴様ごときに、イェシカの手料理をただで食わせてやるものか!!」
わたしはそこら辺に転がっていた石を投げつける。見事にカササギに命中し、奴は咥えていたおかずを落として飛び去って行く。
わたしは、すかさずお皿でそれを受け止める。
「ちっ……あのカササギを始末して夕食のおかずに追加しようと思ったけど、仕損じたか……」
「泥棒カササギを食うつもりだったんか!?」
クリスティが、ツッコミを入れる。元の姿の方が動きのキレがいい。
「食料を盗むのは、自分が食料になってもいい覚悟がある者がやることよ。少なくとも、わたしの故郷の村ではそうだったわ」
「……あんたの故郷の村、食料泥棒は一人もおらんかったやろ? そうやろ?」
「うーん、どうだったかなぁ。あれは、三年前……」
「頼むから、おらんかったと言ってー! 」
そんな雑談を交わしながら、わたしたちは夕食をすませたのだった。
(続く)
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齊藤飛鳥:
児童文学作家。推理作家。TRPG初心者。ゲームブックは児童向けの読書経験しかなかったところへ、『ブラマタリの供物』『傭兵剣士』などの大人向けのゲームブックと出会い、啓蒙され、その奥深さに絶賛ハマり中。最近は、そこにローグライクハーフが加わった。
2025年現在、『シニカル探偵安土真』シリーズ(国土社)を6巻まで刊行中。
大人向けの作品の際には、ペンネームの羽生(はにゅう)飛鳥名義で発表し、2026年1月上旬に文庫版『歌人探偵定家』(東京創元社)が刊行決定。同年春には『歌人探偵定家 弐』(仮)が刊行予定。
初出:
本リプレイはFT新聞が初出の書き下ろしです。
■書誌情報
ローグライクハーフd33シナリオ
『汝、獣となれ人となれ』
著 水波流
2025年9月7日FT新聞配信
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