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パルコの元・宣伝部長だった對馬壽雄(つしまひさお)さんの葬儀ミサ・告別式@カトリック百合ヶ丘教会へ。かねてより病気療養中だったそうで、4月23日に亡くなった。77歳。 對馬さんは伝説の宣伝マンで、70年代後半から90年代のパルコの主なキャンペーン、特に石岡瑛子さん、井上嗣也さんなどと世界の広告史に残るものを多数手がけた。 僕がパルコと関わるようになったのも對馬さんがきっかけだ。ロッキングオンで渋谷陽一さんの下で『CUT』を創刊している頃、雑誌のアートディレクターは清水正巳さんとその下に中島英樹さんがいた頃、對馬さんから編集部にいきなり電話があって、どこかで僕の評判を聞いたらしく、「菅付さん、いきなりですが、パルコの広告コピーを書いてみませんか?」との話だった。びっくりして、もちろんと返事したのだが「時間がないので、すぐに会いませんか?」というので、翌日くらいにパルコの事務所を訪れて初対面・初打ち合わせをしたところ、「これこれこういうキャンペーンをやるのですが、広告コピーを書いて欲しい」と。締め切りは?と聞くと「明日です」と言われたので、では今日ここで書きましょうと返事して、その場でマジックペンで10分で書いたものが、そのまま採用された。それがオルタナティブUKキャンペーンでロンドンのダンサー/演出家のマイケル・クラークを起用した広告で、コピーは「新しければ、全てよし。」というもの。実はその場で英語コピーも考えついてそれも出してその場でOKもらったのだが、それは使われなかった。それは「Nothing Compares 2 New」というもの。プリンス/シンニード・オコナーへのオマージュだ。CMのナレーションは僕の希望が通り、伊武雅刀さんにお願いできた。 その後も、パルコのスーパーバザール、クリスマス・キャンペーン、また「ASIAN CONTEMPORARY」というアジアのポップ・ミュージシャンを起用したキャンペーンの英語のスローガンなどでご一緒できた。 さらに、広告から始まったパルコとの付き合いは、当時はパルコ・ギャラリー、今はパルコ・ミュージアムとなったギャラリー展示企画へと繋がり、様々な展示企画をやることができた。小スペースを入れると10本の企画/キュレーションを行えた。 すべては、對馬さんからの連絡がきっかけだった。 對馬さんは、ぶっとんだ広告を創っている人でありながら、実に温和でニコニコしている人なのだが、「すごいものを創るんだ」という鋼の精神の持ち主だった。パルコの広告コピーで書き直しを命じられたこともあったが、「もっと行きましょう!」とおっしゃって、高い地平を目指しているのがよく伝わった。 最後に彼に会ったのが、2023年の渋谷パルコ・ミュージアムでの「パルコを広告する」展のレセプション。僕はその展示の80年代広告のキュレーターとして参加しており、レセプションで久々に對馬さんにお会いして結構立ち話が出来た。元気そうでいつもの温和な風貌で、以前は彼にお酒を奢ってもらっていたので、對馬さんに「今度は僕が奢りますので飲みましょう」と語ったのが、最後の会話となった。そしてそれは叶わなくなってしまった。 パルコの広告は、様々なスタークリエイターが参加し、その成果は世界に伝播したいったわけだが、その影には彼のような傑出した宣伝マンがいたのだ。広告系メディアでもほとんど出ることのなかった對馬さんだが、僕はその偉大な業績を少しでも伝えたいと思う。對馬さんのアンテナと懐の深さがなければ、それらの名キャンペーンは絶対に生まれなかったはずだ。 對馬さん、本当にありがとうございました。對馬さんは広告のステージを一段上に上げた方だと思います。ゆっくりお休みください。
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