便秘やガスの変化は「腸年齢」低下のサイン?腸内環境を悪化させる日常習慣を専門家が解説
暴飲暴食や運動不足が続くと腸に負担がかかり、腸の動きが鈍って便秘になりがち。腸内環境が乱れることで免疫力も低下しやすくなります。寒さで体が冷え、体調不良を感じる人も少なくありません。そんな不調を防ぎ、“快腸”な毎日を送りながら「100年腸」を育てるための腸寿術とは。 【画像】自分の今の腸の状態を確認できるチェックシートを見てみる
教えてくれた人
石黒成治さん/消化器外科医、辨野(べんの)義己さん/腸内細菌学者、岩崎真宏さん/医学博士
腸内環境が病気のリスク、健康寿命を左右する
いつまでもイキイキした健康な毎日を過ごすためには、どうすればいいか。その要は「腸」にある。腸内環境が全身の健康や美容に及ぼす影響は大きく、腸年齢を若く保つことが、ひいては健康寿命を延ばすことにつながるのは、いまや常識となりつつある。 加齢で腸内環境が悪くなると、肌荒れやむくみといった外見の変化が起こるばかりか、便秘がひどくなったり、病気のリスクも上がってしまう。こうした「腸の老化」とは、どのような状態を指すのか。消化器外科医の石黒成治さんが言う。 「年齢を重ねると腸内の悪玉菌の比率が上がります。例えばO-157で有名な大腸菌や黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌などです。これによって悪玉菌と善玉菌のバランスが崩れ、腸内環境が悪化してしまう。この状態が“腸が老けている”と言えます」 腸内細菌のバランスが崩れることで、がんのリスクが跳ね上がると指摘するのは、腸内細菌学者の辨野(べんの)義己さんだ。
腸内環境の老化度合いを示す「腸年齢」
「腸内環境の悪化が引き起こす大腸がんは、2003年からずっと日本人女性の死亡原因の1位です。血流の影響で転移しやすいため、結果的にほかの部位のがんで亡くなるかたも多い。腸内で慢性の炎症が起こると、乳がんや肺がんなど、離れた部位のがんのリスクも上がります」 がんのほかにも、健康リスクは全身に及ぶ。医学博士の岩崎真宏さんが語る。 「腸内で悪玉菌が出した有害な腐敗物が、血液の流れに乗って全身を巡り体の至るところで病気の原因をつくってしまいます。肌荒れや乾燥肌、便秘や膀胱炎などの体調不良を引き起こすほか、骨密度が低下したり、血圧の上昇、糖尿病などの生活習慣病、さらには認知症やアルツハイマー病のリスクまで上がる。女性の場合は特に閉経後に、抗炎症作用のあるエストロゲンの保護がなくなり、影響が出やすくなるのです」 腸の老化を防ぐためにも、まずは自分の腸内環境を知っておく必要がある。辨野さんが、自身の考案した「腸年齢」について、こう解説する。 「食事や排便などの生活習慣に関するアンケートから、腸内細菌の状態を類推することで、実年齢に比べて腸内の老化がどれだけ進んでいるのかがわかる指標が『腸年齢』です。現代では、若くても腸の老化が進んでいる人が多い一方で、逆に私のように50代から一念発起して生活習慣を変えたことで実年齢より若い腸年齢を保つ人もいます。腸年齢が若ければ、病気になりにくく、ストレスが低下して質のいい睡眠が取れるようになり、美肌になったり便秘を改善したりと、いいことずくめです」 “腸の老化”に気づくためには、どのようなサインがあるのか。 「便秘は腸の老化に気づくための重要な要素です。これまで2000人以上の日本人女性を調べた結果、20代でも2人に1人、10代でも10人に3人は便秘でした。経験上、女性は便秘を病気じゃないと思いそこまで気にしないかたも多いですが、れっきとした医学用語における病気のひとつです。おならの回数が増えたり、ガスのにおいがきつくなったり、排便に時間がかかるようになると要注意ですね」(辨野さん) 岩崎さんがこう続ける。 「膀胱炎を繰り返したり、陰部の不快感が続く場合は気をつけた方がいいでしょう。近年の研究では、腸は膀胱炎の原因となる菌の『貯蔵庫(リザーバー)』になっていることがわかっています。腸内細菌のバランスが悪いと悪玉菌が悪さをしやすく、腸のバリア機能が低下すると、これらの菌が腸から漏れ出し、尿路へと移動、定着しやすくなることが示唆されています。これらの症状は腸内細菌のバランスが悪化しているサインといえます」