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サムオブ井戸端話 #222『令和8年にSOUL’d OUTの話をしよう』(前編)ゲスト:Hercelot

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

トラックメイカーのHercelotさんをゲストに迎えて「あなたの2000年代を聞かせて」を収録したサムオブメンバー。SOUL'd OUTの話を中心に収録し、終えても話が尽きなかったので「サムオブ井戸端話」としてSOUL'd OUT話の延長戦を収録しました。(前編)では、ヒップホップのエデュケーターとしての面のSOUL'd OUTの話をしました。


カンノ:今回のタイトルは「令和8年にSOUL’d OUTの話をしよう」です。というのも、今回のサムオブ井戸端話、ゲストがいらっしゃいます。トラックメイカーのHercelot君です。
Hercelot:こんばんは。
カンノ:じつは今まで、「あなたの2000年代を聞かせて」をHercelot君をゲストに迎えて収録していました。これは2月に順次アップ予定です。そのときに、SOUL’d OUTを軸にして、日本語ラップの話をたくさんしました。約2時間ほど話をしたんですが、収録を終えてからも止まらなくなっています。
オノウエ:散々話をして、録音を止めてもなおまだ話していましたね(笑)。
カンノ:まだまだ話し足りないので、延長戦でSOUL’d OUTや日本語ラップの話の続きを行おうと思います。収録の最後のほうで、僕らのSOUL’d OUT楽曲のベスト1を話しました。それ自体は是非、公開予定の記事を見てもらえたらと思うんですが、その話をしたあとに、それぞれの2位や3位の話が止まらないという(笑)。
Hercelot:SOUL’d OUTのマイベストアルバムが作れるんですよ(笑)。
カンノ:だから、なんか思いついたSOUL’d OUTの楽曲について語りましょうよ。どの曲が忘れられなかったりする?
Hercelot:さっきまで僕の2000年代話を聞いてもらいましたが、小学生、中学生の多感なときに日本語ラップをたくさん聴いて、そのときに歌詞カードを印刷して歌えるようにするっていうことをやっていたんです。
オノウエ:そうなんだ!
カンノ:当時のレンタルショップって、シングルの1位から50位とかで歌詞カードが取れるやつあったよね。
Hercelot:ありましたね!
カンノ:あれってつまり、カラオケへの目配せなんだよね。
Hercelot:カラオケで歌えるための導線ですね。
カンノ:っていうことを自己的にやっていたと。
Hercelot:歌ネットとかで歌詞を印刷して。本当は買うべきなんだけど、子どもでお金ないのでレンタルばっかりしていたから、歌詞カードを印刷して読み込むというのをずっとやっていて。それでSOUL’d OUTも速くて細々してる曲は攻略しがいがあるんです。で、1stアルバムに入っている「See You @ HOT SPOT」という曲があるんですが。

Hercelot:この曲は暗めで訥々としていて。
カンノ:この曲もいいよね!
Hercelot:Diggyがメインなんだけど、Bro.Hiのビートボックスが延々と流れていて、ほぼそれで1本いくくらいの勢いだから、そういう曲って当時珍しくて。この曲はそういう意味で思い入れが深くて、歌えるようになりたかったですね。僕はカラオケに行くわけじゃないんだけど、部屋で歌えるようになるために覚えたっていうのはありますね。
カンノ:あった、あった。この曲のこと、久しぶりに思い出した。
Hercelot:いい曲ですよね。派手さはないし、シンセもほとんど入ってない意味で、SOUL’d OUTのB面的な楽曲かなと思いますね。逆にテクニックがすごくわかる曲なので。
カンノ:自肩の強さがわかるよね。塩コショウだけで味付けした野菜炒めみたいな。
Hercelot:で、もう1曲話したいんですが、Doug E. Fresh「The Show」っていうヒップホップクラシックのカバーをSOUL’d OUTはやってるんです。
カンノ:えっ?そうだったの?

Hercelot:もうほぼ完コピです。元のブレイクやスクラッチ、二枚使い的なことを重ねて、DiggyとBro.Hiが再演する。こういうのって教養の面がありますよね。もちろん好きだからやってるだけなのかもしれないが、それが教えることにもなっている。だから、この曲はSOUL’d OUTには珍しく音程感のあるパートは少なくて、ほぼビートとスクラッチだけなんです。
カンノ:さっき2000年代の話をしたときにも散々話したけど、2000年代の日本語ラップはエデュケーター(教育者)として面が表に立つ人にはあって、それはKREVAがすごくやっていたという話をしましたが、Diggy-MO’にもその側面があったんですね。それで、KREVAやDiggy的な人もそこから出てきていない印象です。
Hercelot:今は誘惑があり過ぎる気がしていて、いろんなものがおもしろく思えてしまう時代において、なかなか「この人だけについていく」と決められないんじゃないか。ほかの誘惑を我慢して、じつはいろんな側面から深いことを教えてもらえるかもしれないんですけど、その我慢ができないというのは多くの消費者なのかもしれない。
カンノ:でも、やっぱりHercelot君がすごいのは、SOUL’d OUTからエデュケーターの目線を得たことだよ。そんな人、いないよ。KREVAはわかるんだけど。
Hercelot:そうですか?だって、多感な時期にSOUL’d OUTは聴くじゃないですか。
カンノ:たとえば、SOUL’d OUTの上の存在としてm-floがいるじゃん。そこはどうなの?
YOU:m-floはチャラい。
オノウエ・Hercelot:アハハハハッ!

カンノ:それはいろんな女性をとっかえひっかえボーリストにして(笑)。
YOU:いや、俺は全然m-floも好きだし、VERBALが参加したTERIYAKI BOYZも好きだったんだけど(笑)、それはSOUL’d OUTが好きだったからこそ聴けた部分だから、ついでなんだよね。
Hercelot:SOUL’d OUTが好きだったから、その関連で聴けたと。
カンノ:m-floとSOUL’d OUTの功績って、ヒップホップの世界に転調をもたらしたことだと思うんだよ。
YOU:それはマジでそうだね。
Hercelot:RIP SLYMEもブレイクとかでスクラッチを見せて、そこは転調っぽかったんだけど、それはスポットでしかないから。息継ぎみたいなところだから、歌としてちゃんと転調するっていうのはなかったですよね。
カンノ:場面転換の意味合いを入れ込んだのは大きいよね。後半になるとKREVAも取り入れたけど。ちょっとKREVAの話をするんだけど、『新人クレバ』の個人的に思う一番大きい曲って「DAN DA DAN feat. CUEZERO」で。
Hercelot:あれは当時の最先端でしたね~。

カンノ:あんなに上物が乗っていないビート、「リズムを聴け」と言わんばかりのやつ。その真骨頂だと思うの。で、CUEZEROが参加してる曲ってこれと「WAR WAR ZONE」という曲なんだけど(ちなみにこの曲はThe Moments「Girls」のまんまサンプリング使い!)。

カンノ:2人のテンションがこの2曲で真逆なんだよね。「DAN DA DAN」はCUEZEROがテンション高くて、KREVAは低い。「WAR WAR ZONE」はCUEZEROがテンション低くて、KREVAが高い。で、「DAN DA DAN」のビートの無骨さに比べて、「WAR WAR ZONE」の上物の煌びやかさがむしろいやらしいくらいに思ってて。
Hercelot:それは原曲側のものをそのまま引っ張ってきたからな部分が大きいと思いますね。
カンノ:このビートへの愚直さと、一方の上物そのまんま使う感じの対比を、CUEZEROを用いてより対比に描くというのがおもしろいとずっと思ってたの。
Hercelot:座組は一緒でね。
カンノ:「座組は一緒だけど、聴こえ方は全然違うんだぜ」っていう啓蒙だよね。
Hercelot:『新人クレバ』のあのビート感って当時だとMissy Elliottっぽいんですよね。後追いで聴くと、「あの上物のなさを速攻で取り入れてやってみよう」っていう感じでやったと思っていますね。

オノウエ:今までの話を聞いてて思ったのは、日本語ラップをやってきた人ってエデュケーターの側面ってどうしてもあると思うの。「どうやってみんなに聴いてもらうか?」から始めてるから。そのなかで、SOUL’d OUTにもその側面があるっていう話は初めて知ったの。
YOU:俺もそうだね。
オノウエ:どちらかというと、J-POPの流れからかっこいいラップがあるという意味合いでSOUL’d OUTを知ったから、ちゃんとそういう正統性に乗ってるグループっていうことを今日初めて知りましたね。
Hercelot:これは結果的にそうなったことを我々はそう解釈しているという可能性も無きにしも非ず。
カンノ:ただ、日本語ラップの人たちには横の連帯があるはずなんだよ。
オノウエ:そう!本当にそれは不思議。
YOU:SOUL’d OUTにはないんだよね。
オノウエ:仲がいいグループが全然見えてこない。
YOU:上にはm-flo、下にはTeddyloid、それしかいないよね。


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