発明のきっかけは、祖母のけが 京葉工業高の3人、人工筋肉で関節補助するサポーター開発 軽量で低コスト、特許も取得
千葉県立京葉工業高校(千葉市稲毛区)の建設科の生徒3人が、膝関節などに不安を抱える人に役立つ「人工筋肉型関節サポータ」を開発し、特許登録された。この発明品は、サポーターに内蔵されたパッド型人工筋肉が、空気圧の変化に応じて屈曲方向への補助力を発揮する。3人の生徒は放課後の探求活動として試行錯誤を繰り返し、発明に至った。開発のストーリーや開発を通じた生徒3人の成長物語にも迫る。 (宮嶋優) 開発に携わったのは、いずれも2年生の那倉聖陽さん(16)と寺門優弥さん(17)、高山竜之介さん(17)。そして指導教員の森下広幸さん(48)。 「人工筋肉型関節サポータ」は、サポーターに内蔵された弾性のシリコンで作った人工筋肉の内部に、手を握って操作するポンプ状の器具で空気を送入することで、人工筋肉が変形し装着者の関節の動きに合わせて収縮・伸長する。この構造により、膝関節などの動きを自然に補助することができる。 この発明品は、従来の関節補助器具に比べて軽量、低コストで、操作性も手軽なため、日常生活での使用が見込まれる。文部科学省と特許庁が主催し、高校生や大学生の優秀な発明品を表彰する「パテントコンテスト」で特別賞も受賞した。特許庁の担当者によると、高校生による特許取得は全国的にも珍しいという。
◆膝痛めた祖母きっかけ 「少しでも役に立てば」
この発明のきっかけは、那倉さんの祖母の膝のけが。昨年夏ごろ、外出時に階段で転んでしまった祖母は、それ以降膝の痛みから「家を出たくない」と言うようになった。これを見かねた那倉さんは「祖母のために膝関節のサポーターを作る」と心に決め、普段から仲が良い寺門さんと高山さんに声をかけ、部活動「建設研究部」の顧問を務める森下先生の指導のもと、開発に取りかかった。 始めに彼らは先行研究を調べた。昨年秋にかけて論文を読みあさり、課題解決には人工筋肉が適切だという考えにたどり着いたが、先行研究にあったものは高価で重い器具。予算や着用対象者を考慮しても、低コストで今までにないものを作る必要があった。 昨年冬には設計の段階に進み、試作品ができたのは今年の3月。この過程で彼らは多くの試行錯誤を重ねた。人工筋肉の素材のシリコンを流し込む型枠の選定では、木や塩ビパイプなど数種類を試した。型に流して固まった人工筋肉の作動実験で、うまく作動しなければ設計から見直す必要も生じた。さらに、特許申請のための資料作成も自分たちで行った。特許は今年9月に登録された。 森下先生は「3人とも得意とする分野がそれぞれ異なり、うまい具合にそれが融合して一つのものができた」と振り返る。物作りが得意な高山さんとアイデア出しが得意な寺門さん、文章が得意な那倉さん。 発明品が完成した頃には既に、那倉さんの祖母の膝のけがは治っていたが、3人は「高齢者に限らず関節にけがや障害を抱えている人たちに少しでも役立てば」と口をそろえる。