陸上自衛隊と韓国陸軍が1月、幹部候補生向けの交流事業を計画しているという。防衛交流・協力は、航空自衛隊基地で予定されていた韓国空軍機への給油支援を日本側が中止し、昨年10月以降停滞していた。今後の防衛協力の行方はどうか。

 日本の周辺は中国、ロシア、北朝鮮と核保有国が北西を取り囲んでいる。韓国も同じ事情で北朝鮮とは軍事境界ラインを接している。

 こうした状況で、中国は9月に北京天安門広場周辺で軍事パレードを行い、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記を招待、習近平主席とのそろい踏みを世界に見せた。しかも、韓国は大陸国家でもある中国、ロシア、北朝鮮と直面する地政学上半島国家だ。

 半島国家は、大陸と海洋の間にあり、大陸国家(ランドパワー)と海洋国家(シーパワー)のどちらの影響も受けやすい。そのため、外交方針に一貫したものはなく、その時々で大陸国家である中国・ロシアに近くなったり、海洋国家である日米に近くなったりする。

 今の国際情勢では、中国、ロシア、北朝鮮と近い関係になりにくいので、日韓関係を改善・強化する絶好の機会だ。また、日韓で文政権時に火器管制レーダー照射問題や軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄などの問題はあったものの、これらにこだわり、いまだに分断があるのは、中国、ロシア、北朝鮮を利するだけだろう。

 9日付の本コラムで紹介した米国の「国家安全保障戦略」では、従来のアジア重視、中国脅威から方向を転換し、アジアでの関与を少なくし、それぞれの国が自国の防衛に努めるように、とも読めるように書かれている。韓国では、米国で原潜の建造に乗り出すという動きもある。

 これらが日韓の国防協力を加速する背景だ。

 高市早苗首相は、「シャトル外交」の一環で韓国の李在明(イジェミョン)大統領と1月中旬に地元の奈良で会談する方向で調整に入った。原潜建造について、筆者は日本が米韓の動きに便乗してもいいのではないかと考える。

 陸上自衛隊と韓国陸軍の動きは、1月の日韓首脳会談と呼応している。ただし、李在明大統領は1月4日に国賓として訪中した。韓国はまたしても、股さきだ。いずれにしても、日韓は、ともに民主主義国として、中国、ロシア、北朝鮮という専制国家に対峙(たいじ)していく必要がある。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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