高市早苗首相が23日召集の通常国会冒頭に衆院を解散する意向を自民党関係者に伝えたという。ただ、政権内には3月末までの予算成立を優先させるべきとの慎重論もある。

 冒頭解散は過去4例ある。1966年12月佐藤政権、1986年6月中曽根政権、1996年9月橋本政権、2017年9月安倍政権だ。いずれも自民は勝っている。

 政治部記者にとって解散報道は1丁目1番地。ある記者は、通常国会召集日が1月23日となったことから、予算を年度内に成立させるためには23日での冒頭解散はないとの見方が年末年始に広がり油断していたという。

 しかし、責任ある積極財政への懸念が党内外でくすぶっている。加えて、トランプ米大統領が「ドンロー主義」を掲げ西半球での覇権を主張する中、3月に予定する日米首脳会談にどう臨むかなど国難が山積しており、政権基盤を強化する必要性があった。つまり、強い経済と外交という解散大義名分はあった。

 野党から、国会で議論しないまま選挙でいいのかという批判がある。

 国会の予算委員会での与野党質疑より選挙のほうがはるかに国民には分かりやすい。しかも衆院選なので政権選択に直結し、国民の意思を伝えやすい。選挙は最良の民主主義手段だ。

 26年度予算が年度内成立しないと空白になるという意見もある。しかし、もう冒頭解散では、最短で1月27日公示、投開票が2月8日、もしくは2月3日公示、15日投開票になる。

 おそらく2週間程度の暫定予算になる。その後本予算が成立すれば、すぐに選挙結果を受けた大型補正予算を組めばいい。

 筆者は、あるテレビ番組で「今の26年度予算は石破政権で作ったから、やりたくないはず」と発言した。その意味は、石破政権の予算を国会予算委員会でディフェンスするくらいなら、冒頭解散して選挙で政策論議し、高市カラーで新しい予算にしたいはずということだ。

 この期に及んで、やっぱり解散はやめたという可能性はあるのか。ないとは言えないが、やめると求心力が落ちてしまうので、もはや止まらないレベルには来ている。

 解散は首相の専権事項であるので、聞いていないという人は多い。専権事項を軽々しくいろいろな人に話すはずがない。解散となれば誰もあらがうことはできない。恨み節を言う人は準備ができていなかった人だ。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

無断転載・複製を禁じます