旧統一教会教祖「中曽根の野郎」 安倍晋太郎氏担ぐ思惑裏切られ
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の創始者・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の発言録全615巻(約20万ページ)において、日本の歴代首相で最も多く言及があったのは自民党の中曽根康弘氏だった。韓国語で記された発言録には、文氏が中曽根氏を政界工作に利用しようとした一方で、安倍晋太郎元外相の処遇を巡る中曽根氏への「恨み節」が刻まれていた。【田中裕之、野口麗子、ソウル坂口裕彦、渋江千春】
衆参同日選「60億円以上使った」
発言録173巻226ページの記述によると、文氏は1988年2月18日の説教で「一昨年(86年)の選挙当時に日本のカネで60億円以上使った」と振り返り、次のように語った。
「お金を使わないといけない。これからは尋常ならざる時だ。国会の局面をうまくつかまなければいけないと思って、国会に新しく出てきた人々を私たちが……」
実際に金を使ったかどうかは定かでないが、86年7月に中曽根氏が首相として臨んだ衆参同日選で、政権側の候補を支援したことを強調したとみられる。
この衆参同日選で自民党は大勝。教団系政治団体「国際勝共連合」が発行する機関紙「思想新聞」は、当選した638人のうち130人を「勝共推進議員」と報じた。中曽根氏は自民党を勝利に導いた功績により、党総裁任期が1年延長され、異例の首相続投を果たした。
後継指名、すれ違った思惑
だが、87年総裁選の「中曽根裁定」と呼ばれる中曽根氏の後継指名では、文氏の期待とのすれ違いが起こった。安倍晋太郎氏、竹下登氏、宮沢喜一氏の3候補のうち、中曽根氏が後継に選んだのは文氏と関係が深かった晋太郎氏ではなく、竹下氏だった。
文氏は冒頭の説教で「中曽根の野郎は今回、裏切ったけれども……。韓国の政治的な風土に大きな損失をもたらした。あいつが竹下を推していなかったら、安倍(晋太郎)が首相になったはずだった」と述べた。
さらに214巻239ページの記述によると、…
この記事は有料記事です。
残り2054文字(全文2859文字)