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J/53  作者: 池金啓太
二十九話「跡形もなく残る痕跡」

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変調と提案

「以上がこの近辺に配置されてる部隊の現在位置です、もっともこれは予定配置図であって実際は常に動いているため正確ではないかと思いますが」


ハボック上等兵の説明を聞きながら静希は地形図を見てその索敵範囲を大まかながら割り出そうとしていた


能力にもよるが、索敵手の索敵範囲は大体数百メートル前後、索敵に特化した能力であるなら数キロまでは問題ないはず


周囲に配置されている索敵手の場所と部隊の場所を見比べながら静希は思考を加速させていく


近くの地形からして防衛線を張りにくくなっている個所がいくつかあるのがわかる、湖の上だったり、山の境目だったりと侵入経路は探せばいくらでもありそうだった


「とりあえず移動するか、地図のここに行きたい、案内頼める?」


「了解しました、移動します、ついてきてください」


道から外れて移動するという事もあって基本は徒歩だ、と言っても軍の移動は歩きなどという生易しいものではない


山道にもかかわらず通常の全速力と同じくらいの速度で移動し続ける、以前樹海で行動した時もあの走法は見たことがある、日本のそれとは少し違うが悪路での移動速度を追求した動き方だ


森林地帯での行動はなれている静希に、軍での訓練をひとしきりこなしている大野と小岩はそれに難なくついて行っていた


『シズキ、気づいてる?』


『あぁ・・・見られてるな・・・大方後ろの方からもう二、三人くらい監視役が来てるんだろ?』


悪魔の契約者相手にたった一人の案内役兼監視役を付ける程カールはバカではなかったという事だろう


保険を兼ねて静希にはさらに監視がつけられているようだった


さすがに人数までは不明だが、見られているという感覚がする、こんな周囲に誰もいないはずの森林地帯にもかかわらず


「大野さん、小岩さん、後ろから誰かついてきてますか?」


一旦オルビアの簡易翻訳を切ってから二人に話しかけると、二人はすでに背後の気配を感じ取っているようだった


移動し続けていることもあって詳細な気配の察知には難色を示しているようだったが、どうやら二人にも感じ取ることができているようだった


「あぁ、二人追ってきてる、たぶん軍の人間じゃないかな」


「監視役ってところかしら、わざわざご苦労な事ね」


「こっちとしてはありがたいです、大勢で確認してくれた方が楽ですから」


アリバイが欲しい静希からすれば大勢で確認してくれている方が助かるというのが本音だ、なにせ今これから静希はもう自主的な行動をするつもりはないのだから


すでに静希がとるべき行動はとった、できることやるべきこともした、後は流れに身を任せて様子をうかがうだけである


場合によってはイギリスを経由してでも上層部に話し合いをするべきかもわからない


「それにしても、妙なもんだね、これだけ移動してるのに生き物にまったく遭遇しない」


「あぁ・・・そう言えばお二人は知りませんでしたね、悪魔が出る地域っていうのはだいたいこういう風になるんです、生き物がいなくなって・・・」


そこまで言って静希はあることに気付く


確かに今静希の体の中にはメフィがいる、人外独特の気配を放つことで動物たちに威圧感を与えていることだろう


だがメフィを出す前はどうだったのだろうか


静希の感覚を阻害しているあの歪み、あれがあった時から動物たちはいなかったのだろうか


『ウンディーネ、ここ最近の動物たちの動きってわかるか?』


『動物達・・・ですか?えっと・・・あれが起きる十日ほど前に何やら騒がしくしていたようでしたが』


歪みができる十日ほど前、そのころに騒がしくしていたとなると歪み以外の原因がある


恐らくは静希と同じ、契約者がここにいたのだ、魔素の変化が歪み発生の一週間前、動物たちの変調が十日前、これは恐らく偶然ではない


十日前にここを訪れた、それだけでは情報が少なすぎる、特定までは至らないだろう


だがもし、この付近にもまだいるのであれば


歪みが放つ独特の気配のせいで人外の察知はできない、だが幸か不幸かこちら側には索敵手が何人もいる、人海戦術で探すことも不可能ではない


歪みに巻き込まれて消滅した可能性も否定しきれないが、この辺りに潜伏している可能性もまだ残っている


防衛ラインを縮小して内側の安全だけを確認することもできるだろうが、今それをするとテオドールの部下まで発見させかねない


今は大人しくしているしかできない、少なくとも成功の報告を聞き終えるまでは


『メフィ、もし契約者がいた場合、頼むぞ』


『えぇ、任せておきなさい・・・今すごく調子がいいの』


調子がいい、それは魔素の濃度が高いからだろうか


以前石動の家に行ったとき、魔素濃度が高いと精霊が喜ぶというのを聞いたことがあるが、悪魔にも同じようなことがあるのだろうか


樹海のような魔素過密地域とまではいかないが、この周辺の魔素濃度は比較的高い


能力を使う分には全く支障が出ないレベルだ、それが悪魔が使うような大能力であろうと容易に使える程に


この魔素濃度が吉と出るか凶と出るか、未だ判別はできない


考えることが増えてしまったなと静希は小さくため息をついていた








静希が指定したポイントは丁度部隊の編成が甘い場所だった、もし静希が侵入するとしたらここを選ぶという、人員配置を理解したうえでのポイント、索敵手の間が若干空いており、なおかつ起伏が多く隠れやすいポイントである


契約者がいる可能性がある、そうなると静希が警戒するだけの理由にはなる

もしこの惨状をどこかで監視しているのであれば、危険地帯は避けるはず、すでにこの場を離れている可能性が高い、だが探す価値はある


「ハボック上等兵、この辺りにいる部隊と連絡は取れるか?」


「はい、無線連絡ですが可能です、何か確認しますか?」


彼がもっている無線で連絡は可能らしい、オルビアの翻訳はその場にいなければ効果を発揮しないから彼に口頭で伝えてもらうことになるだろう


「今から各員点呼を一定時間以内に行うようにしてくれ、もし少しでも異常があるようなら報告、及び適宜対応・・・今のところそれでいい」


「了解、各員に伝達しておきます」


今のところ索敵の強化までは必要ない、というか強化してはいけない、強化させてこの辺りの安全を確保するのは確認が取れた後だ


「この後はどうするんだい?このまま警護?」


「・・・それもいいんですけどね・・・どうしましょうか・・・」


できることが限られていると考えるだけの余裕が生まれる、静希は今この事件のことを一から考え直していた


時系列的にまとめれば一番手っ取り早いだろう、ウンディーネの話をまとめたうえで静希は思考を始めていた


歪みが発生する十日前、この近辺に悪魔の契約者が現れたと思われる、これは周囲の動物たちの動きから判断したものだ、もしかしたら悪魔ではなく、他の強い圧力を放つ存在の類かもわからない


魔素の変調が起きてから一週間後事件が起き、歪みが発生する少し前には仮面をつけたエルフのような人間が確認されている


歪みが発生した後に何かしらの発見があったことは確認されていない、この歪みの発生源は古い教会で、現在そのあたりのことは調査中


近辺のエルフのことも同じく調査中、そして歪み発生前にいたと思われる契約者は依然として何処にいるかわかっていない


歪みが発生する前に特徴的な魔素濃度の波形を作り出すという事が判明し、現状をオーストリアの上層部に伝えるも情報の提供を渋っているらしい


その為情報を拝借するためテオドールの部下が行動中、現在の状況は不明

イギリスの政治に絡んでいる王室の人間に掛け合ってそのあたりの連携を密にし、さらにその情報をマスコミなどに流さないように徹底して情報規制を行うように伝えてある


後はこの歪みが、あの黒い何かが一体何なのかを上の人間にわからせる必要がある


一度説明会でも開いた方がいいかもしれないなと静希はため息をつく


そんなことを考えていると静希の携帯が震え始める、どうやら着信が来ているようだった


相手はテオドール、恐らくは今回の進捗状況の報告のようなものだろう


「もしもし、そう何度もお前の声とか聞きたくないんだけど」


『あー・・・イガラシ、少々面倒なことになった』


テオドールの声は良いものとは言えない、どうやら状況は芳しくない方向に動いているようだった


これはまずいかもしれないなと静希は内心舌打ちする


「どうした?お前の部下がまた何か面倒でも起こしたのか?」


『いいや、俺の部下は非常によくやってくれた、すでに帰路についてる・・・そうじゃない、問題はそっちじゃないんだ・・・あいつにお前と最近連絡を取り合っているという事がばれた』


どうやら情報の方はすでに持ち出しは終えたようだが問題が残っているというか問題が起きてしまったという事に静希は首を傾げた


あいつ


そう言われても何も思い当たる節がないのだが、受話器の向こうで甲高い女の子の声がしているのに気付き静希は思い当たる


ついこの間連絡した王室の人間であるアラン、彼の娘のセラだ


何故かは不明だが彼女は静希に懐いている節があった、父親とテオドールに最近しきりに連絡しているという事でまたイギリスに来るのではないかと勘違いしたのかもしれない


「ひょっとして・・・セラか?」


『あぁそうだ、うちのお転婆姫がお前に会わせろとひっきりなしに騒いでいる・・・どうにかしてくれ、このままじゃ俺の安眠はないも同然だ』


子供がわがままを言っているというだけならば特に問題などない、だが良くも悪くもセラはイギリス王室の人間だ、その我儘は大人も巻き込むようなものなのだ


テオドールはセラが苦手なようだが、セラはテオドールのことは嫌いではないのだろう、よく話し相手になっているという事を聞いたことがある


それにしてもこのタイミングでまさか彼女が関わってくるとは思わなかった、いや正確に言えば関わっているわけではないのだがこんなタイミングで名前を聞くことになるとは思わなかったのである


「彼女の父親は?なんて言ってるんだ?」


『会いたいなら会わせてやればいいんじゃないかとか言ってる・・・イガラシ、その面倒事が片付いたらそのままイギリスに足を運んでくれると助かる』


「あぁ?ふざけるなよ、そんなことできるわけ・・・」


そこまで言いかけて静希は言葉を止める


これは丁度いいかもしれない、そう思ったのだ、良くも悪くも王室の人間と会うのだ、多少面倒ではあるができることはするべきだろう、多少期間が延びるかもしれないがそれは仕方ないことだ


「条件がある、俺を彼女とその父親の護衛役として引っ張って来い、ちょっと今回の事件の説明もしなきゃと思ってたところなんだ」


『それは・・・構わないが・・・お姫様のお守りをすることになるぞ』


セラの我儘に振り回される、その苦労をテオドールは身にしみてわかっているのだろう、声からその表情が目に浮かぶようだ


だが今はそんなことを言っているだけの余裕はない、取れる手は何でも取るべきなのだ


「それは何とかする、あともう一つ、俺が護衛をやるときに今回の件の周辺諸国の会議を入れておいてくれ、ついでに俺の参加権限もな、それをクリアしてくれればお姫様のお守りくらいやってやるよ」


『・・・確かに近日中に各国を集めた会議はあるが・・・それは・・・』


「できないなら拒否だ、悪いが我儘お姫様のお守りはできないね」


静希の言葉にテオドールは非常に悩んでいるようだった、こちらもまだまだやることがあるのだ、お姫様の我儘程度に付き合っている暇はない


ただそれを踏まえて面倒だった手順が一つ片付くなら悪い取引ではない、子供の買い物くらいで片付くのなら安いものだ


『・・・少し確認する、少し待っていろ』


テオドールは焦りながら通話を切った、子供が嫌いというのも難儀な話だ、それが災いしてセラに懐かれることになってしまっているのだろうが、そのことにテオドールは気づいているのだろうか


そんな話をしていると近くにいたハボック上等兵が何やら無線連絡を受けながらこちらをちらちらとみている、無線の向こう側が何を言っているのかはわからないが、静希の姿を見ながらここにいます、ずっと監視していましたと報告していた


「ハボック上等兵、何かあったのか?」


「あ・・・いえ、問題ありません、異常なしです」


どうやら軍の内部で問題があったようだ、恐らくはテオドールの部下が首尾よく情報を拝借できたのだろう


そしてそれを静希に知らせるつもりはないようだった、身内の恥をわざわざ晒すようなことはしないという事だろう、ならば知らないふりをするまでである


なにせ静希はこの件に関しては『何も関わっていない』という立場なのだ、その姿勢を崩すわけにはいかない


妙な疑いをかけられるよりは何も知らされず、何も知らないという状態を貫いた方がましである


情報の奪取が成功したのであれば、これからはいるかどうかも分からない契約者の捜索に当たったほうがいいだろう、テオドールが動くのを渋っているのであればそれまでは自由に行動させてもらうことにしよう


「ハボック上等兵、周辺に散開しているチームに連絡してくれ、一時的に索敵網を縮めたい、防衛ラインの内側を徹底的に調査する」


「え?な、何故ですか?そのようなことは・・・」


「ちょっと面倒なことがあってな、俺の杞憂であればいいんだが・・・承認が下りないのなら少尉に直接掛け合う、繋いで伝達してくれ」


ハボックは一旦無線を別の周波数に切り替えたのか、カールと連絡してくれているようだった


「ミスターイガラシ、やはり理由もなく防衛ラインを下げるのは承認できないと・・・」


「そうか、ならこう伝えてくれ、すでに防衛ラインの内側に契約者がいる可能性が高い、一度誰もいないという事を確認しておきたいと」


ハボックがその言葉をそのまま伝えると、恐らく無線の向こう側のカールは現在起きていることと比べてこちらの動きに若干ではあるものの不信感を抱いたはずだ


タイミングが良すぎるというのも考え物ではあるだろう、なにせ情報が奪われたという事実が発覚した途端に静希が内側の安全性の確認をしようとしているのだから


「それでも渋るならこう伝えてくれ、何があったのかは知らないがこれは最優先事項だ、危険因子をすでに内包している防衛ラインに意味はないと」


静希はあくまで何も知らない、静希は契約者の危険性を説いているだけだ


先程の一撃を見て悪魔の力が絶大であることは周知の事実、その契約者がこの近辺にいるとなるとその危険性はかなり上昇することになる


「・・・ミスター、一度戻って報告をするようにとのことです」


「・・・了解した、んじゃ急いで戻るか、走って戻るのか?」


「いえ、その必要はありません」


ハボックが合図をすると静希達の背後からずっと追っていた二名の隊員が姿を現した


追跡するという事の意味がなくなったからだろうか、それとも別の役割を与えられたという事だろうか


「なんだ、もう追いかけっこはいいのか?」


「・・・今から少尉の下へお連れします、どうか動かないでください」


軍人の一人が静希と大野、そして小岩の体に触れると短く集中する


そして気が付くと静希達は歪みのすぐ近くの仮設テントにやってきていた


転移能力者、こんな能力者がいるならさっさと使わせてくれればいいものをと静希は内心悪態をつくが、今はそんなことはどうでもいい


「ミスターイガラシ、報告してくれるか、何故防衛ラインの中を調べようなどと」


仮設テントの中にはカールが待っていた、その表情は浮かない、先程あった軍内部でのごたごたもそうだが、静希の言っていることに強い不安を覚えているのがわかる


ここで焚き付ければ多少動かしやすくなるだろうが、変に不審がられても面倒だ、ここは事実だけを話すことにしようと静希は口を開く


「俺が契約者であることはすでに周知の事実だと思うが、もう一つちょっとした力があってな、さっき森を移動している時に精霊の一種と話ができた」


「・・・精霊・・・?」


嘘は言っていない、静希は確かに精霊であるウンディーネと話をして情報を得た


悪魔の契約者であるために人外の存在には慣れている、そのくらいのことはしても不思議はないと認識されたのだろう、その点に関しては特に気にされることはなかった


「これが出てくる十日ほど前、この近辺の動物たちが急に移動を始めたそうだ・・・これは悪魔がいる時などの現象でな、生き物たちは圧倒的な存在感を感じ取って逃げ出したと考えられる」


静希が今まで関わってきた人外の事件や、メフィ自身がもつ気配、これによって動物たちが逃げ出すというのはすでに分かっていることだ、それに逆らう個体もいるが、ただの動物であるなら普通は逃げ出すのである


それを利用したこともあったが、今回は少々事情が違う


「・・・ふむ・・・それで?なぜ内側に契約者がいると?」


「わからないか?俺がここに来たのは昨日だ、それまでずっと動物を見た奴がいない、精霊も動物を見なかったと言っていた・・・この辺りに悪魔の契約者が潜伏している可能性が高い」


実際は静希が悪魔であるメフィを出したのは今朝のことだ、だがほかの人間にはそんなことはわかりようがない、静希が直接宿していようと収納の力で収めていようとそんなものは些細な違いなのだ


問題は動物たちの変調が見られてからずっと、今に至るまで動物たちの姿が見えないという事である


「もちろん確証があって言ってるわけじゃない、あくまでその可能性があるってことだ、だけど防衛ライン内の安全を確保、そして確実なものにしておくためにもこの確認は必要な事じゃないか?」


静希の言葉にカールは腕を組んで悩み始める


確かに静希の言っていることは理に適っている、いくら防衛ラインで外からの侵入をシャットアウトしたところですでに内側に入り込まれているのでは意味がないのだ


そしてカールは同時にこうも考えていた、もし外部からの侵入者がいるのであれば、そいつが情報を奪取したのではないかと


ここで静希が狙ったのは二つ、まず一つは先に述べたように悪魔の契約者の有無を確認する事、そしてもう一つは情報を持ち出したのが外部犯であるという可能性を排斥することである


防衛ラインを作っているのだから外からの侵入者がいる可能性は低い、そして既に内部に何者かがいたのであればその何者かが犯人である可能性が高いと考えるのは当然だ


そして内部を徹底的に調べることで、侵入者でも、先に潜り込んでいた人間でもないという可能性を消すことで軍内部、あるいは包囲網の内側の人間の犯行であるという思考を生み出す


そうなればアリバイのある静希はまず容疑者からは外れる、さらに内輪もめをしていればテオドールの部下はもはや完全に安全区域に逃げることだろう

保身と時間稼ぎ、そして自らの疑念の解消、これが今回静希が狙っていることでもあった


カール自身何者かが情報を奪取したという事実を静希に知らせていない以上、自分で思考するしかない、だがこうして内部を調べる口実を静希が与えてくれたのだ、それに乗らない手はない


だが内部の調査をするという事は一時的にこの歪みの周囲の警戒と研究者たちの護衛が疎かになることを示唆している、それは部隊を統括しているものとしては容認しがたい


「君の言うことは道理に適っている、だが少し待ってはくれないか、せめて応援が来ないと人員が足りない・・・まだ時間がかかる」


「ん・・・まぁ研究者も守らないといけないからな・・・なら俺がその護衛を引き受けようか?この辺りの確認だけなら早ければ一時間くらいで終わるだろう?」


周囲の索敵と敵対人物の有無の確認、それだけに徹すれば索敵手を駆使すれば一時間もあれば問題はないように思える


ただ範囲が広いのと地形がネックだ


この歪みだけで町一つを覆い隠すのに余りある広さを持っている、いくら全力で索敵を行ったとしても一時間で済むかは不明である


「最短で一時間・・・いや二時間はかかるだろう、その間防御を担当してくれると?」


「研究者を一カ所に集めてくれるならな、さすがの俺もバラバラになってる研究者全員を守ることは無理だ」


いくら悪魔が突出した戦闘能力を持っていると言っても、広大な土地で広がる作戦すべてをカバーできるほどの汎用性はない


こういう時には高性能の人間一人ではなく、汎用性の高い人間が大勢必要になってくるのだ


たった一人だけ強いものがいても戦局は変わらない、戦争や作戦は基本数が多い方が有利なのである


カールも静希の提案に乗るか乗らないかを迷っているようだった、悪い話ではない、悪魔の契約者である静希を研究者の近くにおいておけば研究者は多少は大人しくなるだろう


その間に軍の八割以上を使って防衛ラインの内側を徹底的に調べ上げる、もし何かあった場合は対応すればいい


悪くない案だ、カールはそう感じていた


そして静希もそれを見抜いていた、軍人としてとるべき行動の順序を考えた時、カールがやろうとしているのが正しいとは言い難いだろう、だがただ一人の人間として考えた時、彼は今保身と安全を優先して考えている


重要情報を何者かに奪取され、非常にあせっているのだ、いち早く犯人を見つけ出したいと考えているだろう、その中で最適とは言えないが現状では最良の案を静希が出した


この状況でどう対応するか、どう判断するか、すでに秒読み段階になっていると言っても過言ではない


誤字報告を五件分、そして累計pvが18,000,000突破したのでお祝い含めて2回分(旧ルールで4回分)投稿


今だいたい334万字、小説一巻がだいたい10~15万くらいだから・・・22巻分くらいの文量なのか・・・案外少ないな・・・


これからもお楽しみいただければ幸いです

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