社会保障の持続性向上を公約に掲げながら、自らの負担は回避する。政治家にあるまじき卑劣な振る舞いと言うほかない。
日本維新の会の地方議員4人が一般社団法人の理事に就き、国民健康保険料の支払いを免れていた。党内調査で「国保逃れの脱法的行為」と認定された。
現役世代の保険料引き下げを目指す維新は、高齢者の負担増につながりかねない「応能負担の徹底」を連立合意に盛り込んでいる。そうした方針に反するものだ。党是である「身を切る改革」とも矛盾する。
議員が加入する国保では、議員報酬などを基準に保険料を納める必要がある。だが、兵庫県内の議員が理事として法人の社会保険に加入し、低額な報酬に基づいて保険料を国保より低く抑えていた。
法人業務に実態があったかは疑わしく、制度の趣旨を逸脱している。4人は月2回のアンケートに回答する程度だった。法人名で保険料削減を宣伝する「指南書」の存在も浮かんでいる。
国保や社保は、収入に応じて保険料を支払う「応能負担」が原則だ。国民全体で支え合うことで、制度が維持されている。
そのためのルール作りに携わる公党の議員がルールをないがしろにするなど論外だ。適正に保険料を納めている人たちにしわ寄せが行く恐れもある。社会保障への信頼を揺るがしかねない。
維新は関係者を処分する方針だ。一方で組織ぐるみの関与は否定する。ただ、不審な点も多い。
法人の代表理事は維新国会議員の元秘書だった。「党関係者から勧誘された」との証言もある。別の法人を舞台とした疑惑も浮上している。東京の議員らのLINEグループでも、同様の手法を提案するメッセージが確認された。
調査対象の議員や首長ら約800人のうち、半数近くが社保に加入していた。自己申告によるおざなりな調査で幕引きを急ぐようでは、不信は深まるばかりだ。
維新は与党入り以降も、政治資金の不適切支出などが相次いで発覚している。ガバナンス(組織統治)不全は深刻である。
自分に甘く、他人に厳しい政党だとみなされてしまえば、政策への納得など得られるはずがない。