誤訳され起訴の女性「元の生活は戻らない」 司法通訳、乏しい担い手
平川仁
一つの言葉が、人生を変える。その重みを背負う人たちがいる。
2021年11月中旬、三重県松阪市の朝は肌寒かった。フィリピン国籍のオクイ・ローズメリー・アロチャさん(45)が、息子(当時11)に朝食を作り、出勤しようとアパートのドアを開けると、突然、10人ほどの警察官に囲まれた。
「覚醒剤」「営利目的譲渡」。実家を支えるために17歳で来日し、ダンサーや工場作業員として働いてきた身に、聞き慣れない言葉が続く。覚醒剤を知人に売ったという、身に覚えのない容疑で逮捕され、2024年3月に無罪判決が言い渡される直前まで、勾留は続いた。
検察の取調室。オクイさんが無実を訴えると、前方で検察官と座る通訳人は笑った。取り調べ後には、こう話しかけてきたという。「本当のことを言ったら、もっと早く終わるのに」。犯人と決めつけられているように感じた。
「ブラザー」が「アイコ」になって証拠に
犯罪の「証拠」とされたのは…