「ウクライナが代償を払った」結果、勝利できた独ソ戦 #エキスパートトピ
日本では中国共産党や毛沢東に関する作品『中国の赤い星』により知られる米国のジャーナリストのエドガー・スノーは、独ソ戦も現地で取材して、1945年1月に出された記事で次のように書いています。「この壮絶な闘い自体は、一部の人々が〈ロシアの栄光〉と軽んじがちだが、真実を言えば、多くの犠牲を伴いながらも、何よりもまずウクライナの戦争であった… 通常の帳簿では計り知れないものは、人命の損失である… いかなる欧州国家も、これほど深く都市と産業と農地と人間性に傷を負わされたことはない。」
ココがポイント
プーチン政権は独ソ戦の勝利という国民的な記憶を、ウクライナに対する最終的な勝利と重ね合わせて士気高揚を図っている。
出典:共同通信 2026/1/12(月)
ウクライナのゼレンスキー大統領は11日の声明で、ロシアの侵攻が独ソ戦の日数に並ぶ1418日間に到達したことに言及
出典:共同通信 2026/1/12(月)
エキスパートの補足・見解
今やプーチン大統領だけではなく、ロシア人の多くでも「ロシア(のみ)の栄光」と歴史改変された「大祖国戦争」ですが、ソ連国民約2700万人に上る犠牲のうちでウクライナ人の犠牲は、その数が大きすぎていまだ確定できていません。ウクライナ国立科学アカデミーウクライナ史研究所によると、赤軍部隊で350万~400万人、パルチザン部隊で4万~6万人、そして当初はナチス側だったもののヒトラーに裏切られドイツとソ連両者と戦うことになったウクライナ民族主義者組織OUNと蜂起軍UPAの部隊で 10万人以上のウクライナ人が死亡し、ウクライナ人の直接的な人的損失は800万~1000万人とされています。さらに詳しくみればウクライナの地では、ドイツ軍は250あまりの村とその住民を焼き払うなど約550万人が死亡、前線でも約250万人が死亡したとも言われています。また、その他にもナチスがソ連占領地域からドイツ本国に強引に移送し、工場や農業に従事させた280万人のうち約240万人はウクライナ出身でした。ウクライナ人の損失は、ソ連全体の損失の40~44%に相当し、最大の被害国と言えます。独ソ戦はまさに「ウクライナの戦争」だったのです。