「権利」はテクノロジーの進歩により新しく生まれたり制限されたりする

ChatGPTの正しい使い方は以下の記事のように「図を作らせる」とかなのですが、「何かを解説してもらう」という使い方では(過去の)学問の解説が正しい使い方です。

これは本当に真面目に言っていて、以前にも書いたように「学問」など形式が決まっているものはコンピュータがimitation game(人間のモノマネ)しやすくなってます。また、「知識」は著作物では無いため、著作権が切れてない本でも発行から数十年経っていて(その分野では)当たり前になっているものを元に文章を生成することは問題ないはずです。

OpenAIはケニア人を憲法違反の劣悪労働させた過去がありますが、アルトマンそしてOpenAIが心を入れ替えて学術書だけをデータセットにしても以下の文章は生成できるはずです。

本題

戦争における「人殺し」の心理学』という本の著者デーヴ・グロスマンはアメリカ合衆国憲法修正第二条「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」の支持者、要するに銃規制反対派ですが、一方でこうも書いています。「もっとも過激な修正第二条の擁護者でさえ……核兵器だのを個人が所有する権利を擁護したりはしないだろう」と。
修正第二条には武装権があると書いてある。「銃はいいが核兵器はダメだ」とは一言も書かれてない。しかしそれでも「憲法で武装権が認められてるのだから核武装する」と主張する人間はいない。
この条文が作られた時は核兵器はもちろん機関銃すら存在せず、そこで想定されていた<武器>とは(マスケット)銃で、起草者達は都市をまるごと蒸発させられるような<武器>など想像すらできませんでした。そもそもこの条文は人民が支配者(当時のイギリスや連邦政府)に抵抗するためには武装する必要があると考えられて作られたものなのだから、人民や世界を巻き込んだ大量破壊を可能にする核武装は理念から外れています(人民が他の人民に乱射できる銃も理念から外れてる気がしますが、法学やアメリカの思想には詳しくないのでそこは一旦おいときます)。
要するにテクノロジーの進歩により修正第二条は「解釈改憲」され、「自由を守る」という崇高な理念のための武装権には制限が加えられた訳です。

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アメリカ合衆国憲法修正第二乗では武装権が保証されています。つまり個人が核武装する権利も保証されているという事ですよね?

他にも「言論の自由・表現の自由」に対して「でもヘイトスピーチはダメじゃないか」とヨーロッパや日本でも規制する法律ができました。言論の自由・表現の自由を端的に表したヴォルテールの名言「あなたの意見には何一つ賛成できないが、あなたがそれを主張する権利だけは命をかけても守るつもりです」は捏造ですが、捏造でなかったとしても「あなたが世界中にデマをばらまいて暴動を誘発したり、ラジオで虐殺のプロパガンダを行なう権利だけは命をかけても守るつもりです」とは言わなかったでしょう。当時はそんなことを可能にする技術はなく、人々を虐殺に駆り立てるために言論の自由や表現の自由が唱えられた訳でも無かったからです。

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ヴォルテールは言論の自由・表現の自由を強く支持しましたが、「世界中にデマをばらまいて暴動を誘発したりラジオで虐殺のプロパガンダを行なう権利」も擁護するでしょうか?

逆のパターンもあります。ロックやルソーは日照権や肖像権を主張しませんでした。では彼らはそれに反対だったのかというとそうではなく、そもそも(具体的に)反対や賛成ができませんでした。なぜなら当時は日光を遮ることができるほど高い建物となると国家的プロジェクトで作られる城や大聖堂ぐらいしかなく、カメラは存在すらしていなかったため「肖像権」という概念は考えることすらできませんでした。しかしテクノロジーの進歩で私企業でも高層ビルを建てられるようになったりカメラの発明で人の姿を「写真」という形に残せるようになると、「勝手に日光を遮ってはいけない」「勝手に人の姿を記録してはいけない」と日照権や肖像権が主張されるようになり、実際判例などで認められるようになりました。
それに対して「ロックやルソーなどの偉人ですら主張していなかったそんな権利認められるか」と主張する人はいないでしょうし、ロックやルソーが現代にタイムスリップして日照権や肖像権について聞かされたらおそらく賛成するでしょう。また、直接聞くことができなくても彼らの思想からそれらの権利は導かれるものでしょう。

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日照権や肖像権をロックやルソーは主張していません。これらの権利が認められるのはおかしくないですか?

「著作権」はなぜ生まれたのか? どうあるべきなのか?

そして「著作権」の概念もテクノロジーの進歩から生まれたものです。昔の人は著作権を主張したりしなかった、そもそも主張する必要がありませんでした。音楽を聴こうと思ったら高い金を払って楽器を買いそれを演奏できる人を雇う必要があり、コピーしようにもできなかったからです。千年以上前の『源氏物語』の原文が今でも残っているのは、それを読んで面白いと思った人達が一文字ずつ長時間かけて手で書き写したからで、その目的も自分の手元に置くため、今で言う私的利用のためだったので「不当な権利の侵害」はほぼ考える必要がありませんでした。
しかし活版印刷などの発明で様々なもののコピーが容易になると、勝手にコピーして売り捌くなど創作者に不利益をもたらす行為が可能になりました。紫式部は貴族だったので『源氏物語』から利益を得られなくても食うに困ったりはしませんでしたが、現代においても著作権が存在しないと貴族や大金持ちで無い限り「創作して生活する」ことができなくなり、創作者はもちろんのこと、創作物が減ることで社会全体が不利益をこうむります。そのため今では著作権が整備されています。

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「著作権」の概念は活版印刷・レコード・インターネットなどコピーを容易にする技術によって誕生したものですか?

さて、このように「著作権」を含めてテクノロジーの進歩により「権利」が新しく生まれたり制限されたりしていった(というより、著作権などの誕生は「他人の著作物をコピーする権利」「自由に写真を撮る権利」の制限なのでこの二つは表裏一体です)ことを考えると、「著作権」という概念もテクノロジーの進歩、つまり「現在の画像生成AI」などにより考え直さなくてはならない可能性があります。

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「著作権」の概念が活版印刷やインターネットなど技術の進歩によって誕生し変容してきたなら今後も画像生成AIのような新しい技術によって変容する可能性がありますか?

武装権を保障した修正第二条を文字通り正しいと考え個人の核武装も許されると考える人が現代ではいないように、ある言葉/思想/概念/法律等をその背景を無視して受け入れ「これと適合しているから正しい、適合してないのは間違ってる」と考えるのは原理主義的態度です。

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「合法であること」は「不当でないこと」を意味しますか?

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