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2025.8/20-8/25 フィンランド日記

8/20
フィンランドに来た。タンペレ郊外の森の中にある、ホームステイ先の部屋から日記を書いてる。不思議な気持ちだ。

飛行機の窓からフィンランドを見下ろした時、懐かしいような、何かがぴたっとはまるような感じがした。
夜明けの空港で列車を待つ時間は特別だった。
独特な静けさがあった。小さな音が響くような、透き通った静けさ。
夜明けだからなのかと思ったけど、昼の街中でも、やっぱり静けさがあった。

第一ミッションは、ホームステイ先のファミリーが住んでいるタンペレに行くこと。
普段から乗り換えが苦手なので自信がなかったけど、案の定乗り換えに失敗した。
ホームがわからず、思い切って現地の人に話しかけてみたけど、まったく会話ができなかった。(でも、とても優しい人だった)
その後、これか?という列車にのり、車内を偶然通りかかった駅員さんに聞いてみたら、目を丸くされた。(全然ちがう列車だったみたい)
正しい行き方を教えてもらい、間違えて買ってしまった切符で通用するように根回ししてくれたようで、無事にタンペレに辿り着けた。
駅員さんが親切で助かった。飴をくれた。
列車の窓から見える景色はひたすら木・木・木・・
駅員さんも、「Tree,Tree,Tree…..」と笑いながら言ってた。雲が、手が届きそうなほど低く、近くにあった。

タンペレについて、ファミリーのパパさんと合流。
教会や公園やマーケットに連れて行ってくれた。
人口が少ないからか、街も静かだった。
風の音や自分の足音が、すっと耳に入ってくる。
フィンランドの木は針葉樹が多くて、おばけみたいにしだれている木がたくさんあって、ムーミンの世界観と合点がいった。
はっきりとしたグリーンというより、モスグリーンの葉っぱ。
自然に品があるように感じた。葉っぱがこまかくゆれていた。

ファミリーの家は森の中にあって、庭にブランコと、まるい形をした露天風呂がある、白い平屋の家。
パパさんがつくってくれた、サーモンスープが美味しかった。
ふたりの兄弟にポケモンのおみやげをあげた。
フィンランドではほとんどの家にサウナがついているらしく、おうちのサウナへ。
21時でも明るくて、お庭にある露天風呂に入っている時間が最高だった。白昼夢みたいだった。
ママさんは、学生時代に日本に留学に来ていたらしく、日本語がとても上手だった。

フィンランドの木々のざわめきや、自分の足音、川の匂い(初めていい匂いだと思った)、木の匂い。
そういうものたちが目の前にあっても、iphoneの中に意識が向いたり、頭の中に余計な考えが浮かぶと、それらが一気に感じられなくなる。
心を静かに透明にすると、自然の本来の姿が現れる。
これはフィンランドにいるからではなく、フィンランドが気づかせてくれたことで、
普段の日本での生活でも、変わらずそうなのだと思う。
あまりにノイズが多いから、感覚が麻痺しているのかもしれない。

小さな音に耳を傾けて、心を透明にして、目の前のものをみて。
素晴らしいものがあるはずだ。

フィンランドの木々がそう教えてくれた気がする。
この静けさを、ずっと覚えていたい。

明日はどんな日になるかな。寝よう。


8/21
朝、最近日課のランニングをしようと森に出た。気持ちよくて、最高だった。
もみの木がたくさん生えている。白樺がたくさん生えているゾーンもあった。湖をみつけたとき、感動した。

古いビデオカメラを持ってくればよかった、と一瞬ひどく後悔したけど、不思議と気持ちが切り替わる。
考えても仕方ないことに気をとられて、自然の声を逃すのがもったいない。
意識はこんなに簡単に狭まるのかと思い知った。
思考や意識ひとつで、今フィンランドにいるという事実が遠くなる。
意識を今この瞬間に戻すと、澄んだ空気も、木の声も風も全部、ちゃんとそこにある。

パパさんが森の中で一緒に火を炊いてくれた。たどたどしい英語の会話でも、一緒にいて落ち着くやさしい人だ。
湖をたくさん見て、展望台にのぼって、ドーナツを食べた。

ピアノが弾けるところ行こう、と連れていってくれたのは、街の小さな図書館の隅にある音楽室。
そこにあったのは、PCに繋がれた、ちいさなMIDI鍵だった。
「いつも何度でも」をリクエストしてもらい、MIDI鍵を弾きながら歌った。
わたしの、ヨーロッパ初ライブになった。

夕方、となりのおじさんの畑を見せてもらった。キュウリやトマトが成っていた。
この旅で、生まれて初めて、きいちごやベリーを摘んで食べた。今までベリーが苦手だったけど、フィンランドを思い出せる味になったかもしれない。
紅茶やジュース、空気中までにも、どこかベリーの香りがする。

畑からの帰り、森できのこを狩った。
黄色い、アンズダケというきのこ。
夕食のポークソテーのソースになった。おいしかった。

食事のあと、ママさんとシナモンロールを作った。
昔お母さんが作ってくれたシナモンロールの味がした。懐かしかった。

夢見たいな空間や暮らしが実在している。
きっと冬は厳しいんだろうけど、こんなところで生きるのって、どんな感じだろう。
ママさんは、「わたしは日本に住みたい。交換しようか」と言っていた。

わたしは今、フィンランドにいる。不思議な気持ちだ。
この空気を忘れたくない。
やっぱり、ここにこれてよかった。


8/23
昨日の朝、ステイ先のファミリーとお別れした。
朝早く目が覚めたので、森を散歩した。あの森の空気を忘れない。
うすい雲が出ているのか、太陽が白くまるくぼんやり、やわらかく光っていた。

さよならをするとき、ママさんとハグをした。長く、愛のこもったハグで、少し泣きそうになった。
気持ちがそこに込もっているのが伝わってきた。
きっとそのハグには、ママさんが日本で過ごした時に出会った人たちへの感謝の気持ちや、ママさんが日本を想う気持ちも込められていたのかもしれない。

タンペレ郊外の森の中でのホームステイは特別な時間だった。
時差ボケと白夜も相まって、夢みたいな空気が流れてた。
でもきっと、この家族にもいろいろあるのだろう。
宿題がいやだと駄々をこねる弟と、すぐ部屋にこもってしまうお兄ちゃんと、優しく少し繊細そうなパパさんと、やさしいママさん。
この家族がずっと幸せに暮らしていけることを、心から願った。
森の中には、広い敷地ごとに平屋が建っていた。
素敵な庭があったり、バーベキューの器具があったり。
庭の向こうに見える家に、どんな人が住んでどんな暮らしをしているのか、毎日どんな物語があるのか。
想像すると、いとおしいような気持ちになった。
(ホームステイ初日の朝、庭に野生のウサギがきて、とても弱っていたらしい。兄弟の弟くんが保護しようとしたら、死んでしまっていて、森に埋めに行ったと言っていた。)

そして鉄道に乗りヘルシンキへ。
初めて訪れる国をひとりで歩くのは初めての体験だった。楽しかった。
ヘルシンキ大聖堂で行われるパイプオルガンのコンサートには間に合わなかったけど、広場で行われる兵隊さんたちによるマーチング演奏がみれた。
建物が大きく、造形がヨーロピアンで、右を見ても左を見てもわくわくした。街にはトラムがたくさん走っていた。
ヘルシンキ中央図書館は建築物としても施設としても素晴らしかった。
現地の子どもたちもたくさんいて、ここでもやはり、この国の人たちの生活を想像するとなんともいえない愛おしさがこみあげた。

ヘルシンキももちろんん楽しいけどやっぱり、ホームステイ中の自然が近くにあるタンペレでの時間がいかに特別だったのか、身に沁みた。

ヘルシンキ駅周辺を散歩中に、ミニギターを弾いている男性に出会い、声をかけた。
日本が好きだと言っていた。ベンチで一緒に「わすれものはなんですか」を歌った。

ホテルの部屋はあまり気がよくなくて、急に寂しくなったりした。

そして一晩あけて、今は海辺のカフェレガッタでこの日記を書いている。
本当はポルヴォーにも行きたかったけど、またいつかのお楽しみにする。

前に進むためのインスピレーションを求めた旅だった。
また、充満している呪いや焦りからいっとき逃れたかった。
自分だけの宝物みたいなものを探したかった。

この旅を経て思ったものはとてもシンプルなことだ。
動けば何かを得られるということ。動けば、歩けば、景色が変わり、目の前に何かが現れる。
ものごとの結果は動いた者にしか現れない。あたりまえのこと。
あと、人は特別になりたがるけど、特別とは、それ自体ではなく、その人とその何かの間に宿るものなのかもしれないと思ったり。

そして、心を静かに澄まして、今目の前にあるものに意識をフォーカスすることで視えてくるものがあるということ。
思考も邪念もとりさって。そうすると、目の前にあるもののうつくしさが現れる。表れる。
それを見逃してしまうことは、不幸なことかもしれない。

最後のミッションは、列車にのって空港まで行くこと。飛行機に無事に乗ること。
外にいると、手がかじかむほど涼しいけど、東京はまだ夏。暑いんだろうな。。

動こう。動いた分、風が生まれるし、進めるはずだ。


8/25
東京に帰ってきた。フライトが長いのでフィンランドにいたのはもう2日前…変な感じ。
今頃フィンランドは昼前か。と考えるくせがついてしまいそう。

一昨日、空港に行くまでの鉄道の切符の売り場が分からず、話しかけた夫婦が助けてくれた。
ほとんど何言ってるか分からなかったけど、「ぼくたちも探してるんだ。君をフォローするから一緒にいこう」みたいなこと言ってくれて、一緒に券売機を探してくれた。
そして駅のキオスクで、切符をわたしの分まで買ってきてくれた…涙
紙幣は使い切ってしまい、お礼に、日本で買ってた残り半分の飴しか渡せなかった。
あたたかい気持ちになった。

先日ヘルシンキで会ったギターを弾いていた彼が、インスタでDMをくれた。
わたしの曲を聴いてくれたみたいで、「Keep going」と言ってくれた。
今のわたしに、おまじないみたいに響いた。

そして日常が始まる。
2日後にはライブがある。
余韻が深い。音の感じ方が変わった気がする。
曲がつくれるか分からない。でも、作る。

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