第1回研究のため奪われた骨 謝罪なき大学へ、アイヌ民族が問う「人の道」

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大滝哲彰
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 「アイヌモシリ(人間の静かな大地)で生まれ育った俺たちが、アイヌモシリを奪われたうえに先祖の遺骨まで奪われたんだ。素直に謝るってのが人の道だろ。そう思わないか?」

 アイヌ語で「人間の静かな大地」を意味する「アイヌモシリ」。その足跡をたどる連載をシリーズで伝えます。まずは、アイヌ民族の遺骨と研究、そして民族の尊厳の回復をめぐる現場から(全3回)。デジタルで表記できない小書きの文字が一部、含まれています。

 湿った雪がちらつく昨年11月中旬の北海道平取町貫気別。この地に住むアイヌ民族の木村二三夫(76)の自宅を訪ね、言われた言葉だ。

 薪ストーブが焚(た)かれた一室に通されると、「まずはこれを見てみろや」と指さしたのが、両親と祖母の遺影だった。

「アイヌはもういい」母は言った

 祖母は100年以上前、現在の新ひだか町にあった新冠御料牧場で労働を強いられ、牧場整備が終わると、いま住む場所まで強制移住させられたという。

 祖母は日本語ができず、幼い頃からアイヌ民族として育てられた。父は軍隊に入れられ、やはり日本語の読み書きができず、バカにされた。

 小学生の時、母から「アイヌはもういいから」と言われた。日本人に染まって生きていけ、という意味だった。差別を恐れて言ったのだろう。大人になって、その意味がわかった。

 「日本人は加害者なんだ。アイヌを植民地にした、その証しが俺たち先祖の記憶に刻まれている。だから俺はアイヌとして生きて、伝えていく」

    ◇

 昨年10月。東京大学がウェブページ上に一つの文章を掲載した。

 アイヌ民族など国内外の先住…

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