“若者の○○離れ”が叫ばれる中で、よく挙げられるのが“恋愛離れ”だ。本当に若者は恋愛から離れているのか。今回は、博報堂生活総合研究所の酒井崇匡氏が、金沢大学融合研究域教授の金間大介氏との共著『仕事に「生きがい」はいりません 30年の調査データが明かすZ世代のリアル』の内容を基に、若者の恋愛離れの真偽と本質、さらには恋愛における世代間の溝について解説する。

若者の恋愛事情をデータからひもとく(画像/Rudzhan/stock.adobe.com)
若者の恋愛事情をデータからひもとく(画像/Rudzhan/stock.adobe.com)

そもそも、昔の若者は恋人がいたのか?

 「今の若者は恋愛離れしている」という言説は、2010年前後から様々な場所で語られてきました。今ではすっかり若者像を語る上での前提となった感すらあり、データを見てみると確かに異性との交際率などは以前に比べ低下傾向となっています。

 ただ、「今の若者は恋愛離れしている」と聞くと、その裏返しとして何となく「上の世代は若い頃、みんな恋人がいたんだ」と思い込みがちです。果たしてそれは正しいのでしょうか?

 国立社会保障・人口問題研究所が約5年おきに実施している「出生動向基本調査」では、1987年の第9回調査以降、18~34歳の未婚男女に対して現在の異性との交際状況を聴取しています。

■異性との交際状況(男性)
■異性との交際状況(男性) 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」より作成
国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」より作成
■異性との交際状況(女性)
■異性との交際状況(女性) 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」より作成
国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」より作成

 男女別の結果を見てみると、最新の調査年である21年調査の「恋人として交際している異性または婚約者がいる率」は男性で21.1%でした。ピークは05年調査の27.2%なので、確かに恋人/婚約者のいる率は漸減しているように見えます。

 女性も、ピークは02年調査の37.0%、それが21年調査では27.8%まで減少しているので傾向としては同様です。

 ただし、裏を返せば男女ともにピーク時であっても18~34歳未婚者の6~7割は恋人や婚約者がいなかった、ということでもあります。

 上の世代はみんな恋人がいた、というのは誤りで、そんな人は2000年代前半のピーク時でもだいたい3人に1人程度が関の山、7割くらいの人は恋人がいなかったのです。さらに言えば、1987年調査の男性の恋人/婚約者のいる率は22.3%で、2021年調査の21.1%とほとんど差がありません。

 こうしたデータを踏まえると、「若者の恋愛離れ」という言説の背景にある、「昔の若者は恋人がいて当たり前だった」という大前提に重大な疑義が生じます。今の若者の多くに交際している恋人がいないことを根拠に「恋愛離れ」しているというのなら、1980年代の若者も大して変わらない状態だったわけです。

 87年時点の調査対象者は現在の50代後半~60代の人が中心ですが、少なくともその世代の男性陣が「俺たちが若い頃は女の子をこうやって口説いたもんだ……」みたいな自慢(?)話を今の若者にする資格はあまりなさそうです。

“恋愛離れ”というより、“友達以上恋人未満”離れ

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