コードを書く仕事がなくなる
今年に入ってから、まだ一度もIDEを開いていない。
仕事はすべてターミナルとGitHub上で完結している。Claude Codeに書かせて、diffを見てレビューする。それで普通にプロダクションの仕事が進んでいる。
ここから見えてきたのは、ソフトウェア開発の重心が確実に動いているという事実だ。
昔は、アイデアからリリースまでの真ん中、つまりコードを書く行為そのものが一番重かった。環境を立ち上げ、IDEを開き、仕様を実装に翻訳する。時間も集中力も、エンジニアの腕前も、ほぼ全部ここに吸われていた。
でも今は違う。エージェントに目的、背景、タスクを渡すだけで、普通に動くコードが出てくる。少なくとも自分にとって、IDEは書く場所というより、確認するためのビューアに近づいている。結果として、意図を実装に落とす真ん中の作業はどんどん薄くなっている。Cursorなど使っているなら話が少し違うと思いますが
だから重要になるのは、何を作るべきか、なぜそれを今作るのか、制約は何でどこを捨てていいのか、完成とはどういう状態か、という部分だ。ここが曖昧なままエージェントに投げると、それっぽいアウトプットが高速で量産されるだけになる。今の設計とは、図やドキュメントを作ることではなく、意図を限界までクリアにする仕事だと思っている。
もう一つ、確実に重要度が上がっているのがテストと検証だ。エージェントが速く大量にコードを書くほど、リリース前に正しさを確認する負荷はむしろ増える。フィードバックループは短いほどいいし、テストは単純なほどいい。できるだけエージェント自身が検証できる構造のほうが、全体はうまく回る。ここを雑にすると、スピードが上がった分だけ事故も増える。
じゃあ結局、コーディングはまだ重要なのか。答えは経験によって変わる。正直に言うと、経験を積めば積むほど、自分でコードを書く重要性は下がっていく。その代わりに重くなるのがレビューする力だ。この実装は本当に意図を満たしているか、将来壊れやすくないか、既存の設計や制約をちゃんと尊重しているか。ここを判断できないと、いくら速くコードが出てきても価値は出ない。経験が短いエンジニアはコードをたくさん読んで理解することをお勧めしてる
最新のモデルを使っていても、まだ弱い部分はある。並行処理の扱いは雑になりがちだし、既存コードを思ったほど再利用してくれないことも多い。ただ、これは致命的な問題というより、プロンプト設計の問題であることがほとんどだ。制約を明示し、既存の実装方針を強く指定し、どこを変えてよくてどこは触るなと書くだけで、結果はかなり改善する。
今の現実として、コーディングは不要にはなっていないが、主役でもなくなりつつある。重要なのは書けることより、直せること、判断できること、そしてアウトプットに責任を持てること。AI時代のソフトウェアエンジニアは、手を動かす人というより、結果を引き受ける人になっていく。そこからは、もう逃げられない。



今までソフトウェア開発が大規模になり、それが工程分解により実現されてきたが、その本質 「だから重要になるのは、何を作るべきか、なぜそれを今作るのか、制約は何でどこを捨てていいのか、完成とはどういう状態か、という部分だ」 が見えなくなってきていたのだろう。生成AIの発展によって…
創造から製造へのシフトだと思います。 「AIというバスに乗り遅れるな」と、躍起になればなるほど、AIの奴隷になっていく。 うっかりすると、気がつくと、自分も交換可能な部品になり、やがてその部分もAIに代替されていく。 そこに飲み込まれる者と、そうでない者とで、格差が起きると予想し…