「それ以上でも、それ以下でもない」の解
皆様、日本語の言葉遣いで気になる点はございませんか?
ら抜き言葉とか、重複を「じゅうふく」と読むか「ちょうふく」と読むか。「弱冠三十歳で社長になった」とか。
なろうでよくあるのは、「こと」ですかね?
「私ことオジョウ・サマナーンデス公爵令嬢は、ザコナ・オウターイシ殿下に婚約破棄されました」とか、たくさん見ますよね?
ここでいう「こと」は「通称や雅号などがある場合と、本名が違う場合」と明確に、辞書的に定義されているので、単純に間違えだと思えばいいので問題ありません。
あ、ごめんなさい、この作品中で、「私さん、婚約破棄されて可哀想!」とか「私さんが悪くないことはわかってますよ!」とか、「私」という、日本語の世界では自称代名詞である言葉が、その作品中ではオジョウ・サマナーンデスを示す通称として成立しているなら問題ないです。そんなわけないでしょうけど。
なので私は今執筆中の作品で、主人公とボスキャラの戦闘前会話でボスが「俺ことゴンベ・ナナシノの力を見よ」的なこと言って主人公が「やぁ、『俺』」と揶揄う場面を用意しているくらいです。
前置きが長くなりましたが今回のテーマは「それ以上でもそれ以下でもない」です。
この言い回し、私が人生で初めて聞いたのはZガンダムのクワトロ・バジーナ大尉の台詞です。
これ、「以上」「以下」の言葉の定義を考えると物申したくなります。
でも、事前に調べてみたら、辞書に載っているんですね!
ガーン、クポ、ガーン、クポ、と思わずモーグリ化しました。
まぁ、言葉は生き物ですからね、そのうち「俺ことゴンベ」という用法も認められる日が来るかもしれません。。。
気を取り直して、国語としては合っていても数学的にもやもやするこの表現、これに新たな光を、私の息子が当ててくれたので紹介させてください。
いきなりですが、(縦読みの方すみません)
マイナス_____0_____プラス
この一本の線が「実数」の線だとしてください。
ゼロからプラスに無限に、マイナスに無限に続く線です。
ゼロだろうと奇数だろうと、偶数だろうと、円周率だろうと、一夜一夜に人見頃(ルート2)だろうと9の9万乗だろうと、この線分上に存在します。
ここで、クワトロ・バジーナがこの線分のどこにいるか考えたいと思います。
クワトロ・バジーナは数ではないので
クワトロ・バジーナ=a、と仮に置いて
a=10、とaに10を代入します。
クワトロ・バジーナを仮に10と定義するわけですね。
別に10でなくても実数であればなんでもいいのですが。
「私はクワトロ・バジーナ、それ以上でもそれ以下でもない」
まず、10以上で無くなります。10自身とそれを超える数字では無い。
では、10未満か?
10以下でもない、と言っているので、10を含むそれ以下の数字でも無くなります。
つまり実数の線分上、クワトロ・バジーナはどこにも存在しなくなります。
「おいおい、そんなカビの生えた話聞き飽きてるよ」
仰る通りです。ここで終わりではありません。
うちの子が言いました。
「虚数なんだよ!」
そうか、虚数ならば!
虚数とは「自乗してマイナス1になる数字」です。「i」で表示されます。
「え? マイナス1だろうと、自乗すればマイナスかけるマイナスでプラスだろう? そんな数存在しないじゃないか」ですって?
言いたいことはわかります。ですので虚数は英語ではイマジナリーナンバーと言います。
(ここで全てを「エヴァのパクリ」を言う諸兄へ、劇場版エヴァのイマジナリーエヴァのパクリだろう、は否です。1545年に発見された記録が残っています)
その虚数を用いて、2次元のグラフを作ります。
ガウス平面・複素数平面などと呼ばれるものがあります、x/yのグラフをイメージしてもらって
実数をx/虚数をyととったものです。(説明が大雑把ですが)
クワトロ・バジーナは10でありながら実数の線分上には存在できなくなってしまいました。
でも実数の線分上でなければ以上、以下の縛りから解き放たれる。複素数平面でx軸y軸という表現が間違っていると思いますが便宜上、x軸が10でy軸がiの点に存在している分には、10であり実数の線分上では存在しないの条件が満たせます。
つまり複素数平面なら10iとして存在できるのです。
ここでガンダムと同じくらい好きな、「スーパーロボット大戦」というゲームのダークヒーローというか、かっこいい敵役というか、最終的に味方になるというか、それどころか作品によっては主人公になるとか、とにかくそんな奴の台詞を引用させていただきます。
彼はブラックホールとかワームホールとか縮退作用とか、よくわからんけど厨二心を擽る武器で攻撃します。
その中の「ブラックホールクラスター」と言う武器を撃つ時のセリフで「収束されたマイクロブラックホールは、特殊な解を持ちます」とかなんかそれっぽいことを言います。
これを引用させていただくと……
「私はクワトロ・バジーナだ、それ以上でもそれ以下でもない」
「その時、クワトロ・バジーナは特殊な解を持つのですね」
「……そうだ、私はクワトロ・バジーナi、またはイマジナリー・クワトロ・バジーナだ」
なんかかっこよくないですか? だめですか?
それ以上それ以下問題の気持ち悪さを絶妙に解決してくれてると思います。
話に微妙にオチがないですが、そんな会話を家でしたので個人的に面白かったので投稿してみました。
悔いはありません。
お読みいただきありがとうございました。