知っておかなきゃ損する個人ゲーム制作者に求められること
はじめに
本ページで書くことははっきり言って「厳しすぎる」「そんなことしなくてもゲームは作れる」と思う人がいると思います。
そうではなく「ここに書いてあることが出来なかったから炎上した」「ここに書いてあることを理解できていないから病んで個人でのゲーム開発を辞めた」といったことを、つまり「失敗しないために気をつけること」書いていきます。「成功する、売れるために気をつけること」ではない点二注意しましょう。
ですが正直な話をすると、こんな内容は「出来て当たり前なこと」「社会人として働いたことがあるなら知っていて常識」というものばかりといっても過言ではありません。読んでいて納得できないとかあるなら一回サラリーマンとして会社に務めるところから始めてはいかがでしょうか。
また、今回のnoteを執筆するきっかけになった騒動は「Slot & Dungeons」の件ですが、別に今回の件に限らず過去にレビュー晒し上げ騒動があった各種タイトルについても参考にしています。最近は特に個人制作者が炎上する事案が多いこともあり、改めて厳しい内容のnoteを書いておこうという経緯です。
その問題のあったタイトルについての簡単な発生事案と私自身が実際に会社で起きたゲーム開発で6000万のマイナスがでた話は本件とは関係ないですが興味ある人は有料部分に書いておきます。
個人で活動するということは「すべての責任を負う」ということ
(1).「ゲームを作る」という「活動のすべてを一人で行う」ということ
ゲームを作る際に必要となることについて挙げるととんでもない量のタスクがあります。
すべてにおいてちゃんと行う場合、設計、コーディング、キャラクターデザイン、サウンドなどなど…今後グッズ展開なんかもするのであれば権利関係を統括している法務、独自技術を盛り込むなら特許の管理もしなくてはなりません。さらに確定申告などの経理、人を追加するのであれば人事・総務的なタスク、有償ソフトを使うならばソフトウェアライセンス管理も降ってきます。
このように一般的な企業における大量で多種多様な業務をすべて一人でこなす必要が出てきます。「個人でゲームを作る」ということは「本来数十人、数百人規模で回すプロジェクトを一人で行う」ということになります。
こういった「本来は会社という単位で複数人で行うようなこと」を「あなた一人でこなしていかなくてはならない」ということは理解しなくてはなりません。もしこれを外部へ委託するのであれば金が必要になります。
あなたは経営者であり、クリエイターであり、プログラマーであり、監査をする人であり、広報担当です。よほどの気合と根性がなければ本来できないこと、そこでさらに売上を立てるとなると「狂気と言えるレベルの常軌を逸した熱量と体力」が必要になります。まず、あなたにそんな覚悟があるのかという問いを自身に投げかけてみましょう。
(2).「ゲームを売る」ということは「売買に関するありとあらゆる義務、責任」を負うということ
ゲームを売るということ、それは「金銭のやり取りを通じて制作したプログラムを他者にプレイする権利を与える」ということになります。これに対して日本で制作し他人は、日本の法律で定められているようなあれこれはもちろんのこと、国際的なプラットフォームであるSteamでは海外の法律についてもある程度把握しておく必要があり、さらに言えばSteam側が制定した規約、ゲームを制作する業界で「やってはいけないこと」といった業界標準についても把握しておいたほうが良いでしょう。
今回執筆するきっかけとなった「低評価レビュー晒し上げ問題」についてですが、企業所属・個人に問わず「低評価レビューに対してプラットフォームに連携されているSNSや外部のSNSで言及する行為」というものは「是非はどうあれ売上が極端に落ちる行為」として行うことは非推奨という結論が出ています。
また、Steamのクリエイターコミュニティにおいても「高評価レビューについて外部SNSで引用し、販促を行うといった行動は問題ないが、低評価レビューを外部SNSで引用し、言及することは非推奨」といった文言があります。
これを「炎上商法」として知名度を上げるテクニックだと言っている人はいますが「良い知名度」と「悪い知名度」の差については考慮しなくてはならない点です。
実際に大企業・中小企業・同人サークルといった複数人でゲーム制作を行っている場合、このような「炎上リスク」については必ずと行っていいほど対策・行わないように社内研修を数千万円単位で行っています。
こういった「炎上リスクはなぜ避けるのか」についてはもはや現代社会における常識ですが「新規客層を取り込むに当たり信用・評判といった評価が最初の障壁」ということ、つまり「会社やクリエイターのファンはともかく何も知らない人が買う時、その会社・クリエイターの評価、実際に遊んだ人の評価が影響する」ということです。
売上を上げたいならゲームの出来ではなく、あなた自身の評判も考慮の対象になるということ。だから皆炎上するというリスクを避け、ブランディング活動を行っています。
ほとんどの場合、制作者自身に興味がない
(3).購入者の大半は「あなたのゲームだから買う」のではなく「興味があるから買う」ということ
よくゲームを制作する側が勘違いしていることとして度々話題になっていますが「私が作った」という箔が売上に影響してるという人がいますが大抵の場合そんなものはありません。特に個人でゲームを作るような人は反発するかもしれませんが、実態は「このゲーム面白そうだな」というファーストインプレッションが売上に影響しています。
特にSteamというプラットフォームでゲームを販売する場合、超大型タイトルや往年の名作、最新の超話題作が並ぶ中であなたのゲームがなぜ売れているのかについて正確に分析する必要があります。
本で例えるなら海外の名著、芥川賞受賞作、本屋大賞受賞作、映画化された話題作の原作が並んでいるような本屋で名前も知らない作家が書いた薄い同人誌が並んでいるような状態。
購入者層の中には活動している中で知り、ファンが買ったという層の割合がいるでしょう、しかし大抵の場合「ファンが購入した層」というのは上記のようなビッグネームタイトルと比べて割合に有意的な差はありません。
母数が違うだけで割合的にはだいたい同じということです。
(4).別にあなたがゲームを作らなくてもゲームという市場は回る
かなり残酷な言い方をしますが、あなた自身がゲームを作り大して売れなくても、あなたが売れないことで鬱になってもほとんどの人は気にも止めません。
続々と新しいタイトルがバンバン出ている現代で個人活動している人が一人活動をやめたとしてなんにも影響はありません。毎日どんどん新しいタイトルが出て、AAA級タイトルが話題をすべてかっさらって一週間もすればあなたがゲームを作っていたということは忘れ去られます。どれだけ個人制作者として有名であっても一年に一回気にかける人が数人いる程度で大半の人は名前すら覚えていない、今はまさにそんな状態です。
さらに言えば炎上や不祥事といった悪い側面で有名になってしまえば、今後起きる不祥事のたびに「過去にこんなことをやらかしたやつがいる」と悪い方で人々の記憶に残り拡散されます。場合によっては企業に就職したり、メディア露出なんかをする際にお断りされるというデメリットがあり、日常生活に支障をきたすリスクすらつきまといます。そんなことで人々の記憶に残りたくないのであればありとあらゆる炎上リスクは避けるべきでしょう。
(5).ファンは別にあなたを助けない
更に残酷な言い方をしますが、あなたについている固定ファンは別にあなたの助けになりません。これは「制作時の励みにならない」とか「応援は無駄」という話ではなく「あなたがなにかやらかすかもしれないという状況で止める人はいない」ということです。
「恋は盲目」という言葉があるようにあなたのことを応援しているファンというのは「あなたのやっていることを全肯定し、何かあれば擁護をする」といった行動を取ります。制作者自身や取り巻くファンからすれば良い行いのように見えるでしょうが、実際は「不祥事を起こした人物とそれを擁護するカルト教団」のように受け止められます。
特に今回の件で擁護しているような人々についても「個人制作者だから大目に見ろ」「この程度で叩くな」とかなり見当違いな意見が散見されます。
こういった人は論点がかなりズレているため、口を出してもノイズにしかならないのですが「そもそもなぜ今擁護している人は誰も炎上を止めなかったのか」「なぜファン層は炎上する行動をこぞって焚き付けたのか」を本来は議論されるべきでしょう。
結局のところ、具体的に何をすれば良いのか
ここまで色々書きましたが結局のところ「どうすれば炎上を止められるのか」について実際にこうするべきという話をします。
はっきり言ってこれをすべて守っていては「個人で制作する意味がない」と思うような事があるかもしれません。ですが勘違いしないでほしいのは「ここに書かれていることをやっている人は余計なことをしている」「個人制作することのメリットを履き違えている」ということといっても過言ではありません。遅かれ早かれ炎上するというリスクを孕んで活動しているということです。
ゲームを売るということであなたは「一個人」でなく「制作者」という偶像となるということを理解する
いわゆる制作者という存在は一個人として捉えられることはありません。そもそもの話をすると「ゲームを購入した人」というものは多くの場合あなた自身に興味はなく「ゲームを作った存在」としか捉えていません。
個人で作ったかどうか、チームで作ったかどうかについて興味がないです。
ただ買ったゲームが面白いかどうか、好きかどうかだけを評価する人がほとんどで、そのゲームを開発した思想・理由・目的すら興味がない人も少なくないです。承認欲求が根源な人がゲーム作りするというのをよく見かけますが、正直なところゲームづくりで承認欲求を得るのは難しいです。
絵の練習したほうがよっぽど注目されます。
SNSでの発言をする際は「ゲーム公式アカウント」と「制作者個人のアカウント」を分離する
作ったゲームの情報を発信するアカウントとそれ以外の発言をするアカウントに分離させましょう。
基本的に制作者のことを知りたいという層は「ゲームを購入した層」と「ゲームに興味がある層」のうち一部分のみです。
基本的に皆が知りたいのは「ゲーム」や「ゲーム周辺のグッズ情報」の部分のみで制作者自身について興味のある層は大して多くありません。
発言内容は徹底的にマニュアル化し、不用意な発言は一切合切排除する
上記で言ったゲーム公式アカウントでは以下のような話だけをしましょう。
ゲームのアップデート・不具合情報
ゲームに関する設定
メディアに取り上げられた際の引用紹介
また、制作者個人のアカウントでも以下のような話だけに絞りしょう。
開発進捗
進捗が止まってしまうような事態の事前連絡
交流のあるゲーム制作者の「ゲーム発売のお知らせ」
冠婚葬祭などライフイベントに関わるような事項
弁護士などの士業の指示で発信しても良いとされた内容
まかり間違っても両方のアカウントで以下のような発言は一切しないように心がけましょう
開発や販売の際に思った愚痴
ゲームに関する名指しでの批判・不満
仄めかしているように見せかけた特定可能な批判
政治・スポーツ・ポリコレの話
また、上記のような「発信して良いこと」「発信してはいけないこと」に書かれていないような内容ですが基本的に迷ったら「発信しない」という選択を取ったほうが良いでしょう。
やっていることは「クリエイティブ活動」ではなく「ビジネス」として捉える
作っているゲームの内容がどうあれ、金銭が発生する時点でそれは「ビジネス」としての行動と捉えるべきです。
あなたの認識が「同人活動」であれ「インディーズゲーム開発」であれ、金銭でのやり取りが発生すればそれは「ビジネス活動」です。金銭のやり取りが発生し、利益が出ようが損失が出ようが法律に遵守する義務が発生します。ありとあらゆる金銭トラブルを避けたいなら税金に関するあれこれ・金銭を伴う取引についてもある程度勉強しておくべきでしょう。
あなた自身がゲームを作る理由を明確化する
結局のところ「あなたがゲームを作る理由」についてを明確に定める必要があります。
ゲームを作ることで「どうしたいのか」を定めないことにはやるべきことが定まりません。
「金を稼ぎたい」のであれば稼ぐためにどのようなゲーム開発を行うべきか、どう話題になるべきかを考えながら作る必要があります。金を稼げるようなゲームを作るとなれば他の人がやらないようなアイデアを盛り込む必要があるかもしれないし、本来作りたかったゲームを作ることを諦める必要があるかもしれません。
「ゲームを通じて有名になりたい」のであれば配信者に取り上げられるような配信映えするゲームを作るようになるでしょう。こちらについても作りたいものを作ることができなくなるかもしれませんし、そもそも普通に遊ぶには内容が不十分な一発屋のようなゲームを作る必要があるかもしれません。
「あなた自身が作りたいゲーム」を作りたいのであれば売上は伸びないかもしれませんし、話題にもならないかもしれません。
すべてを満たすようなゲームを作るにはより高い志を持って開発に取り組まないといけないのは火を見るよりも明らかでしょう。あっちが立てばこっちが立たずといった状況に追い込まれるかもしれないということを理解しましょう。
ファン・同業者とは適切な距離を保つ
あなたのことを応援してくれるファンとは適切な距離感を保ちましょう。
突き放しすぎればファンを辞めてしまうかもしれないし、近づきすぎればゲーム開発に支障が出るような別の問題が発生するリスクがあります。
前述したとおり、日々の応援等をしてくれる存在ではありますが、何かしらのトラブルに巻き込まれたり炎上などが発生した際はあなたの事を守ってくれる存在でもありません。冷たいことを言えば「肝心な時は実利ではなく感情論でしか擁護してくれない」という存在です。
また、同業者である別の制作者についてもあれこれアドバイスしてくれる人が現れることがあります。(実態としてはアドバイスしたがりの大した実績がない厄介な人であることもある)
実際に役に立つ知識を提供してくれることもあるでしょうが、今回の場合「炎上芸」なんていう人を貶めるためにあるような知識を提供されているようなやり取りがありました。
このように糞の役にも立たないような知識をひけらかしているような不届き者があなたに近づいてくることがあります。
巻き込まれたくないのであれば常に適切な距離感というものについて考えて接しましょう。
自分の機嫌は自分で取る
開発しているときの不満、思い通りに行かないときのイライラ、低評価レビューを見た時の納得行かない感、そういったマイナスな感情を持つ場面はたくさんあるでしょう。ですが前述した通り、このようなマイナスな感情は出すべきではないし、ましてや直接的に批判するべきではありません。
そのような行動をしたらあなたに対する評価が下がり、あなたが作ったゲームの売上に影響します。
ゲーム開発に限らず日々の生活でもそうですが「自分の機嫌くらいは自分で取る」を心がけましょう。
規約上問題なければそれは正当なレビュー、問題があるなら正規の手順を踏む
今回の件で問題となった低評価レビューですが、内容的にSteamの規約に抵触するような内容ではありません。つまりそれはどのような内容であれ掲載されても問題のないレビューということになります。
もし人種差別、人権侵害といった規約上問題のあるレビューについては正当なSteamの規約に則った対応を取るべきであり、そのような対応を行ったことについても外部SNSでの言及は避けるのが常識でしょう。
また、こういった低評価レビューについて確認するのは制作者側からすればかなりのストレスに感じることでしょうが、こういった低評価レビューの中にも改善すべき点を列挙しているレビューがあったりします。
よほど「作ったらそのまま」というスタンスの制作者でもない限り作ったゲームについて改善していく人たちが殆どだと思いますので、こういった低評価レビューを解析して具体的に何を改善すれば良いのか洗い出していきましょう。
常に誠実であることを心がける
結局のところ何をしても炎上するときは炎上します。そういったときあなた自身に非の打ち所がない状態であれば完璧に問題を対処できます。
しかしそんなに非の打ち所がない状態を長い事維持できる人はいません。であれば「ちゃんと謝る」「ちゃんと報告する」といった誠実なところを見せるのが次善策です。あくまで誠実であることは次善策であることを忘れてはいけません。できるなら非の打ち所がない状態を維持するのが最善です。
誠実であることは何よりも重要な武器であることを忘れてはいけません。
結局のところ、常に『もしもの事態』に備える
最終的に何を伝えたいのかというと「もしもの事態」について常に考える必要があります。
もしもしも炎上したら
もしも作ったゲームの評価が悪かったら
もしも開発ができない状況になったら
つねにもしもの事態に対策を行う必要があります。
そういった「もしもの事態」についても企業・サークル・個人で対策しているのが常識です。そのもしもに対策できていないほうが悪いのが現代社会とされます。
ましてや本業ではない趣味で作っているような人ほど疎かにしがちですが「趣味だから」で通る理由なんてものは無いと思ったほうが良いです。
余談:過去に似たような問題を起こしたゲームについて
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