トップ国際イランの王政復古は中国の野望を砕き日本の国益になる

イランの王政復古は中国の野望を砕き日本の国益になる

戦争学研究家 上岡龍次

イランの首都テヘランで、イランの抗議者たちが政府支持の集会に参加。(2026年1月12日/UPI)
イランの首都テヘランで、イランの抗議者たちが政府支持の集会に参加。(2026年1月12日/UPI)

ベネズエラに続きイランの反体制派デモ

 2026年の年始はアメリカ軍がベネズエラを攻撃し電撃的にベネズエラ大統領を拘束するニュースで始まった。ベネズエラ軍には中国から購入したステルス機すら探知できるとされたレーダーは機能せずアメリカ軍の攻撃に対応できなかった。このことから中国製兵器のレベルが世界に宣伝されると同時に、アメリカ軍は中国製兵器を入手して分析できることになる。この事実は政治・軍事で中国に打撃を与える事態になった。

 そんな時にイランで反体制派デモが発生しイラン全土に拡大。イランはイスラム教教団が革命を起こして政権を奪い恐怖政治を行っていた。イスラム教教団の独裁と恐怖政治を拒み民主主義を求めるデモが続いている。アメリカのトランプ大統領はイラン政権が反体制派デモ参加者らを殺害するならイランを攻撃すると公言しイラン情勢は革命前夜の状況に至っている。

トランプ大統領の介入は石油ではなく中国とロシア潰し

 トランプ大統領は石油目的でベネズエラに介入していない。結論から言えば、中国・ロシアとベネズエラの関係を政治・経済・軍事で遮断することが目的。ベネズエラの石油は複数の国に輸出されているが、ベネズエラの石油は中国にも輸出されておりロシアのタンカーが輸出に使われている。この流れでアメリカは軍隊を用いて中国とロシアが関係するタンカーを拿捕した。

■米、ベネズエラ攻撃の狙いは中露排除 原油販売を「無期限」管理 露タンカー拿捕も
https://www.sankei.com/article/20260108-ZN4M4LBZVZM4ZBO4MPWR5QPHFM/

 これでトランプ大統領は中国とロシアの経済を直接潰すことができた。同時にトランプ大統領はベネズエラに対して麻薬組織を潰す目的で軍隊を投入した。こうなると国家との戦争ではないから、トランプ大統領は中国に対してもアメリカに輸出するフェンタニルを根拠に習近平国家主席を拘束する可能性がある。

 さらにトランプ大統領がベネズエラ大統領を拘束したことで中国とロシアは外交上の味方を減らされた。国際社会は仲間を多く集めることで有利になるから、トランプ大統領は中国とロシアに対して政治的に打撃を与えている。

 しかもトランプ大統領は中国の習近平国家主席に政治・経済・軍事で致命的な打撃を与えている。習近平国家主席は世界規模の一帯一路構想を推進しており、ベネズエラは一帯一路構想に組み込まれた国だった。そのベネズエラが中国陣営からアメリカ陣営に変わると、これまでベネズエラに投資した一帯一路構想が一夜で破壊されたのだ。

 さらに習近平国家主席には悪夢が続く。中国はステルス機すら探知すると豪語したレーダーをベネズエラに売ったが、アメリカ軍がベネズエラを攻撃したら中国製レーダーは機能しなかった。これは中国が台湾侵攻・日本侵攻を想定しているから悪夢になる。さらにアメリカ軍がベネズエラで中国製レーダーを分析したら?

 アメリカ軍は中国製レーダーの無力化を知っているから、台湾・日本に情報を提供すると中国軍は防御に弱い立場になる。中国軍は短期間で自国製レーダー技術を変更しなければ簡単に無力化される立場。トランプ大統領は中国の外堀であるベネズエラ・イランを埋めているから、中国製レーダーを無力化したことで間接的に中国の内堀である台湾・日本を埋めたことになる。これこそが中国には致命的な打撃になる。

イランの王政復古は中国とロシア潰し

 今のイランはイスラム教シーア派の法学者がパフラヴィー朝に対して革命(1978-1979)を起こして国を奪った。パフラヴィー朝のイランは親米であり民主主義が両立する穏健派のイスラム教徒だったが、過激派の法学者が革命を起こしたことで独裁と恐怖政治で国民を支配していた。

 イランはイスラム教シーア派の総本山であり、イスラム革命防衛隊を用いて国内で反体制派を弾圧。国外ではシーア派を支援してテロ行為を行っていた。そんなイランだが宗教組織の独裁と恐怖政治も弱体化していた。イラン国民は1979年から続く独裁と恐怖政治に耐えかねて2026年に反体制派デモを開始。イランの反体制派デモはイラン全土に拡大し、政府施設・モスクを放火している。これは革命とも言える状況となり、イランの宗教組織は反体制デモに参加する者を処刑すると公言。このため既に2000人が殺害されたとも言われている。

■トランプ氏、「助ける準備できている」と発言 イラン抗議デモ激化で
https://www.afpbb.com/articles/-/3617505

■Reza Pahlavi

 トランプ大統領はイランを攻撃することを示唆しており、さらにアメリカに亡命したクロシュ・レザー・パフラヴィー皇太子はイランへの帰国を準備しているとコメントしている。皇太子の帰国の準備とは? それはイランの王政復古を意味する。

 仮にイランが革命により王政復古すると中国は一帯一路構想を破壊される。何故ならイランは一帯一路構想の中継地点だからヨーロッパ・アフリカとのネットワークを遮断する。中国は一帯一路構想を破砕されイランから石油を輸入できない。ロシアはウクライナとの戦争に必要な武器をイランから輸入できなくなるし外交上の味方を失うことになる。こうなると中国とロシアはベネズエラに続きイランまで失えば政治・経済・軍事で打撃になる。

 中国は国内に有力な油田があると言いながら外国に依存しているのは何故だ? 中国国内の油田は規模が小さいか品質が悪い。だから石油をベネズエラとイランからの輸入に頼るのではないのか。さらにイランは一帯一路構想の中継地点だから、イランまで失えば習近平国家主席の面子が潰れる。このためイランの王政復古は習近平国家主席の運命を決めるから中国共産党の権力闘争の運命を決めることを意味する。

イランの王政復古は日本の国益に繋がる

 左翼はトランプ大統領のベネズエラ介入を批判するが日本の国防には好都合。さらにトランプ大統領がイランを攻撃し王政復古させると日本の国防に好都合。何故なら中国とロシアは政治・経済・軍事で味方を失い戦争継続が難しい立場になるからだ。

 中国は台湾侵攻・日本侵攻が想定されている。そんな時にベネズエラで中国製レーダーは無意味であり性能が丸裸にされる。アメリカが台湾と日本に中国製レーダーの技術を提供すると中国軍には打撃。さらにベネズエラ・イランから石油を輸入できないと戦争継続も難しい。

 ロシアもイランから武器を輸入してウクライナと戦争しているし、ロシアも日本侵攻を想定する国防上の仮想敵国。イランが王政復古で親米派に戻ればロシアは武器を輸入できなくなりウクライナとの戦争継続が難しい。

 このため日本がトランプ大統領を支持することは中国とロシアを間接的に弱体化させることになる。日本は直接戦争しなくてもトランプ大統領と連携するだけで中国とロシアを弱体化できる間接的な戦争ができるのだ。これほど美味しい間接的な戦争は日本の国益になる。だからベネズエラの民主化とイランの王政復古は日本の国益になる。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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