敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に向け、長射程ミサイルの自衛隊基地への配備が順次始まる。だが、配備先周辺の住民への十分な説明はほとんど行われていない。配備先周辺は有事の際に標的とされ、周辺の市街地に被害が及ぶ懸念も。各地の住民から不安の声が上がる。(佐藤裕介)
◆「まるで住民を『盾』にして戦うようなものだ」
「近くに小学校や病院、ショッピングセンターもある場所に長距離ミサイルを配備するなんて」
3月末までに地上から発射する地発型の「12式地対艦誘導弾能力向上型」が配備される予定の陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本市)。車で10分ほどの距離に住む海北由希子さん(57)=同市=は一般市民が巻き添えになる危惧を口にする。
駐屯地は市街地に位置する。海北さんは近くのショッピングセンターや病院を訪れるといい、「まるで住民を『盾』にして戦うようなものだ」と憤る。
防衛省は2025年8月、熊本を含む5道県に同年度以降、長射程ミサイルを配備する計画を公表。射程は1000キロ以上とされ、有事の際には発射地点周辺が攻撃される懸念がある。
◆配備先の3市2町で住民向け説明会の予定なし
「一体、どういった運用がされるのか」。海北さんは防衛省九州防衛局や県などに住民向け説明会の開催を繰り返し求めてきたが、「やらない」(同局担当者)、「国の専管事項だから」(県担当者)などと拒否されたという。
九州防衛局はサイト上に、住民生活への影響は「大きくない」とするQ&Aなどを掲載して「説明」しているが、海北さんは「説明会が荒れて反対運動が強まるのが嫌なのでは」といぶかる。
「こちら特報部」が、配備先となる5道県の3市2町に確認したところ、防衛省が地元住民向け説明会を開催したとの情報を把握している自治体はなかった。
防衛省は取材...
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