短大 全国598校 ⇒ 292校へ〝学生募集停止〟相次ぐ「経営状況で判断されてはたまらない」と主張も 修学支援新制度の変更も背景に
▶「残してほしい」との声も
少子化や四年制大学志向で、短期大学の学生募集停止が全国で相次いでいる。九州7県では全35校の短大のうち、少なくとも2割超の計8校が2025~27年度以降に全学科の募集を停止。短大は主に保育や介護現場で働く人材を養成するほか、卒業生の多くが地元に就職しており、地域のエッセンシャルワーカーの確保に影響すると懸念されている。 【写真】学生の募集停止を発表した短大はコチラ 「ただでさえ保育士不足なのに、短大がなくなれば確保がさらに厳しくなる」 熊本県八代市の認可保育園の男性園長(74)は危機感を抱く。市内では25年度、県南地域で唯一の保育士養成校だった中九州短大が募集を停止し、在校生の卒業後に閉校することを決めた。保育実習で受け入れた学生を中心に採用してきたといい、「地域に養成校がないと、実習先に八代市内の保育園を選ぶ学生も減る。都市部への就職がもっと増えるだろう」と話す。 文部科学省の調査では、全国の短大数は1996年度の598校(私立502校、国公立96校)をピークに、昨年5月時点で292校(私立278校、公立14校)に減った。日本私立短期大学協会(私短協)によると、近年の私立の募集停止は年間3~4校だったが、昨年12月時点で少なくとも25年度は23校、26年度が22校。27年度も4校が停止を決めたという。 募集の取りやめは、大学や短大などの学生に対し授業料を減免し、返済不要の奨学金を給付する国の修学支援新制度が変更されたことも背景にある。支援対象は国の要件を満たした学校に通う学生。その学校要件が24年度から見直され、一部で経営の安定性と、定員に対する学生数が直近3年間で1度は8割以上であることが求められるようになった。要件を満たさず対象外になった短大は相次ぐ。 文科省は改定理由を「学生保護の観点で必要な対応。制度が学校経営の救済措置になってはならない」と説明。短大側は「教育の質でなく経営状況で判断されてはたまらない」と主張。制度の枠外になると志願者が減り、さらに経営が悪化する悪循環に陥るという。 保育士を養成する西南女学院大短期大学部(北九州市)も、「志願者の激減」を理由に25年度から募集を停止した。北九州・筑豊地方の保育関係者から「残してほしい」と声が上がった。 影響は介護分野にも及ぶ。富山短大(富山市)は昨年12月、健康福祉学科の募集を27年度から停止すると発表した。卒業生の多くが介護福祉士の資格を取り、地元の高齢者施設で働く。「介護の魅力の発信にも取り組んできたのに」と同大の担当者は話す。 文科省の24年度の調査では、短大への進学者は68%が地元自治体の出身。同年度の私短協の調査によると、短大卒業後に地元に就職する学生も74%に上る。 私短協の麻生隆史会長は「短大は地域に根差し、保育や介護という暮らしに不可欠なサービスを担う人材を養成、輩出してきた。なくなる影響は人口減少が進む地方ほど大きい。
修学支援新制度の条件見直しなど国への要請を続けたい」と訴えた。
西日本新聞