今回も素敵なFAを頂きました!
本当にありがとうございます!
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XX_ouga様より素敵なFAを頂きました!
ありがとうございます!
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B3様よりLifeのカード裏面デザインを頂きました!
おお、カードゲームっぽい!!
走る。
「はぁ、ひゃあ!」
走る、走る、足を動かす。
少しでも前に進みたくて、手を振り回す。
「ひ、ひぃ」
痛い。
足が痛い、脇腹が痛い、喉が痛い、目が痛い、口も痛い。
なんで、なんでだよ。
なんで自分がこんなことに。
わからない。
「なんだよ!」
後ろを見る。
見えない、いない、居ない?
だけど感じる。
きてる、きてるきてるきてる。
「ぁあああ!」
走る。
なんで誰もいないのか。
なんで町中なのに誰もいないのか。
ここはどこだよ、どこだよ、ここは!
真っ暗だ。
どこもかしこも!
それでも走るしかない。
なんでこうだったのか。
――アイツだ。
電車から降りたんだ。
いつものように、改札を出て、駅から出て。
そしたら。
そしたら?
――9時。右を見た。5人目。男。だからお前。
わけのわからないことをいわれた。
アイツに。
そして、そんで?
「ロス」
そうだ。
この声――こえ?
耳元から聞こえた声に転ぶ。
地面に手を付いたはずなのに、手がすり抜けた。
「ぁあああ!!?」
声が漏れる。
何もわからずにもがきながら、落ちてるのか進んでるのかわからないままで。
「ロス、ロス、ロス」
声がする。
声がする。
気持ち悪い湿った声が、聞こえ、聞こえ。
「あ」
真っ白な影が目の前にいた。
白い、手。
白い、足。
まん丸の頭。
それも全部、しろ、白、白白白の中につぶつぶの黒がある。
どこもかしこも真っ暗な中で、なぜだかそれだけは見える奴が、踊っていた。
くねくねと踊っていた
くるり、くるりと身体をねじらせて。
「ロス♪」
それが
それが、自分の見た――
◆
「若いっていいですよね」
「えっ」
MeeKingでのいつもの業務中、つくづく思った。
この間のジジイによる放置鍛錬によるゲキヤバ筋肉痛がきちんと治っている。
こんなに嬉しいことはない。
対策として豆乳バナナと粉末プロテインを飲んだり、念入りにマッサージはしておいたがそれでも一日二日で抜けるとは思わなかった。
前世の年齢だったら4日ぐらいは引きずってただろうしな。
鍛えても鍛えても、きちんと身につくのは若さの特権だ。
だからといって無茶をしすぎると後でツケになるからしっかりケアはしておかないとマジで泣きを見るんだが。
いやでもそう考えると多少はスポーツとか熱心にやってたほうがよかったかなぁ。
「スポーツ系部活とかやろうかなー」
「えっ。フツオくん、部活やりたいの?」
「それもありかなって」
若い頃からしっかり教育方針、自覚的に動けるってそれだけでアドだろ。
今世の肉体、結構酷使してるけどそこそこ動けるし、推定ホビアニ世界補正のおかげで人間辞めてる動きそこそこ出来るし。まあそれを超える動きするやつちらほらいるけどさ。
前世の学生時代、なにしてたっけかな。
適当に体力つけたくてバスケ部とかやってた気がする。
でもなんで今世はスポーツとかやってなかったんだっけ? カードが楽しかったのはあるし、偽マグラのカスゴミで色々引きずってたんだと思うけど……
あ、思い出した。
「え。うーん、うーん、でもフツオくんがやりたいなら応援するべきかなぁ。あ、店を辞めないよね?」
「あーいや、ちょっと考えましたけどやっぱりやめとくかな」
どう考えてもカードゲームが社会を支配してる世界でスポーツマンとかやってたら、ことが起こったら抵抗出来ずに死ぬだろ。
「え、やめる? お店をやめるの!?」
ん? なんか勘違いされてる?
「あ、違いますよ。部活のほうをやめようって思いまして」
勘違いを訂正すると、店長がまぁるい胸を撫で下ろしてた。
「……そ、そう? よかったぁ」
……店長がつけると普通のエプロンでも湾曲線を描くんだよなあ。
あ、そうだ。
「いやバイトが減るのは困るでしょうけど、最低限引き継ぎとかはしますよ?」
「えっやっぱり辞めるの??」
「辞めませんけど、たとえです、たとえ」
「ほんとぉ?」
「本当ですってば」
最新環境が直でわかる情報源だし、バイト代も上がっていいし、店長はえっちだしで辞める理由は今のところない。
就職の時期まではのんびりやっていくつもりだ……と何を喋ってたんだっけ?
うーん、あ、そうか。
「それはそうとして若いっていいですよね。特に十代は色々自由が利きますし」
「いや、ボクはどっちかというと子供より大人の方がいいと思うよ??」
「そうです? そこそこ若い時代が長いほうが色々いいと思いますけど」
店長の言葉に首を傾げる。
急いで大人になってもいいことなんてあまり多くない。
「ほ、ほら、お酒とか飲めるし?」
「店長、お酒殆ど飲めないって言ってませんでしたっけ?」
「ぅ」
前に贈り物で缶ビールの段ボール一箱貰って困ったとかいってた。
消費とか困ってたから適当に牛肉とか鶏肉のビール煮とかのレシピ教えたら美味しかったっていってくれてよかったけど。
前世でよく見てた料理研究家のレシピで作ってて美味かったやつだから、信じててよかった。
まあ今の俺は購入する事もできないから作れないんだけど。
「で、でも、ほら色々いいことあるよ?」
「いいことですか……」
あと大人になっていいことか。
うーん車の運転免許が取れるだろ? まあバイクとかでいいけど。
あと喫煙? 煙草嫌いなんだよなぁ、というか前世含めて吸ったことがない。ハマったら絶対出費増えるし、カード代削りたくなかったんだよな。
健康にも悪いしっていう前に死んだが。
あと適当にエロゲとか、エロ本とかそういうのを買うのに困るぐらいだが……まあ、うん、ちょっと今の環境でそういうの手を出すとね?
色々と支障があるし、運動とかでいいな、うん。
それぐらいじゃね?
「いや、そんなにない気がする。就労してないと白い目で見られるし」
「なんでフツオくんはそんな視点で見てるのかな、夢がないよ、夢が」
「夢なんてそこそこ生活に困らない程度に稼げる仕事就いて、投資信託で資産管理して、コツコツ趣味を満喫すればいいんで」
「か、枯れてる……」
基本はそれで困らないんで。
いや実際凄い楽しかったんだよなあ、独身社会人生活。
夢はある!
「でもまあ彼女の一人ぐらいは欲しいですね」
「えっ」
前世だとむさい男子校だったし、仕事とかカードで遊んでたからそういうのなかったし。
一度ぐらいは経験をしておきたいもんだ。
婚活サイトにそろそろ登録とかしておくべきだった年齢だったんだが、やらずに死んだからなあ。
――日
……どうやって結婚したんだろう。エニグマ推し同士とか? いや失礼か。
「どうしたんです、店長?」
そんな事を考えていると、なんか挙動不審な動きをしてる店長がいた。
ストレージのカードでひたすらシャッフルしてる。
どうした。
「え、え、いや、なんでもぉ?」
「疲れてるんですか? なら座ってていいですよ」
「だいじょうぶだいじょうぶ」
「大丈夫ってこの流れで言う人で大丈夫だったやつは古今東西いないです、休んで」
というわけで従いそうになかったので 壁際においてあるパイプ椅子を広げて、座らせた。
なんか雑談も多いし、業務量が増えて疲れてるのかな。
慣れてくるまでは身体が追いつかないからな、頭が回らなくなってるのかもしれん。
「いやなんかごめんね」
「今のところ常連客しかいませんから大丈夫ですよ」
こんな堂々としたサボりは客商売を考えるとちょっと眉をひそめるもんなんだが、幸い今のところフリースペースには数人しかいない。
それもいつもの学校帰りのユウキちゃんと、今日は休みなので私服の無駄にカッコいいパーカー羽織ったサレンと――マリカだ。
「フツオくん、マリカちゃんと知り合いなんだっけ?」
「あ、はい」
人刹マリカ。
俺が護身術コースで通っている気門道場の師範の娘で、俺の一応妹弟子? いや年季からすると姉弟子か?
まあ実年齢は俺が上だからフツ兄って慕ってくれてるんだけど。
彼女もMeeKingに通うようになった、それも学校帰りとかに。
師範の指示で来たらしいが、ユウキちゃんたちとも仲良くやってくれてるようで安心する。
「店長、師範と知り合いだったんですね」
「うん。びっくりしたよ、まさかフツオくんがあそこの道場に通ってるなんて全然知らなかったし」
この間行った時は見かけなかったのになーなんて首をかしげるが、僕は苦笑する。
「まあ週一で通ってるだけの護身術コースなんで、いないほうが多いですよ」
「あそこ結構流行ってるみたいだね~」
「健康体操っていうだけでもそこそこ通ってる人いますよ。コースの内容より昇り降りのほうがきついっていう話もたまに出ますけど」
やっぱりきついんだという目を細める店長に、苦笑しながら頷く。
多分店長も昇った時に苦労したんだろうな。
僕も最初の頃はひーひーいいながら登ったもんだ。
今では三段飛ばしぐらいでひょいひょい登ってられるけど、成長したもんだよなぁ。
そんなことを思いながら、フリースペースのテーブルでファイトをしているマリカを見る。
学校帰りにこの店に立ち寄ったマリカは学校指定の学生服、つまりセーラー服だった。
そのへそが出ている。
へそ出しのファッションをしているわけじゃない、
――伸びた上背と突き出た胸のせいで、セーラー服がちょっとしたカーテンみたいになってる。
……また少し上背か、胸がでかくなったか?
マリカは小学生までは平均的な身長だった。
だけど、気雲流の鍛錬のせいか、ガブガブ飲んでた牛乳のせいか、中学生になってから凄い勢いで背が伸びた。
胸もでかくなったり、それを支えるためか肩もやや広めにがっしりしてる、姿勢もいつだって背筋が伸びてる。
そのせいで服の裾が足りない。
師範たちだって貧乏性じゃないから背が伸びる度に制服の発注とかはしてるんだが、学生服なんてのは頻繁に交換出来るもんじゃない。
なもんでどうしたって寒い冬は大きめので頼んでるが、夏のセーラー服はちょっとだけ裾が足りていない感じになる。
こう、なんていうか、遠回りするとこんな感じに本来届くはずの裾にならないんだなって思う。
週一という間隔空けとはいえ、ずっと見て慣れていてよかった。
そうじゃなかったら多分おそらく間違いなく、思春期真っ盛りであれこれこじらせているだろうマリカと同じ学校の男子学生たちのようにしげしげと凝視しない自信がない。
マリカ曰く、ちょこちょこ手紙を貰ったり告白を受けたりしてるらしいが、大体全部断ってるらしい。
いい感じのはいないのか? と聞いたことはあるけど「みんな子供っぽいからやだー」 とのこと。
あとジロジロ見られるのはなんか気分が悪いとか。
まあ賢明だと思う。
十代の半ばなんて男はみんな感情と衝動と理性が切り離せないお猿さん手前ですよ、だから思い悩むもんなんだが。
こんな美少女になったマリカと付き合うなんて間違いなく暴走する、我慢しろっていうほうが無茶振りだからやめたほうがいい。
そしてそんなひどい目に合う男の子のためにも、マリカのためにも、お兄さんは許しませんよ。
せめて師範の前座に俺をファイトで倒していけ、5戦マッチで、あ、デッキは全部変えるけどな!!
「ディアホーンの召喚したね? なら<過ぎたる走狗の鍋>を発動するよ。これはパワーが一番大きいクリーチャーを一体生贄にしないといけない! 打ち消させなくても、生贄は出来る!」
「それにスタック~~。カードを一枚捨ててぇ、気を払ってーディアホーンを”功”状態にするよー。なんで残ったクリーチャーの<地脈の整備士>を捧げるねー」
「え!? これもだめなの?」
「”功”はクリーチャーじゃないもーん」
「クリーチャー指定の除去はだめだね。オブジェクト指定じゃないと一発で倒せない、めんどくさい」
「わは~」
そんな妹分が楽しくテーブルでファイトをしていた。
嬉しくなる。
「楽しくファイトが出来てるな、ヨシ」
「友達が増えたみたいでよかったよかった」
店長も嬉しそうに笑ってる。
ああ、まったく良い光景だ。
学生は学生らしく勉強をして、学校に通って、空いてる時間に遊んだり、部活をしてたりをして、あるいはバイトに勤しんだりして。
まったくもって青春だなぁ。
こんな平和がずっと続くべきだと思う。
そんな時だった、ベルが鳴ったのは。
「はい? いらっしゃいませー」
入店のベルに、ドアへと身体ごと顔を向けた。
――黒い影が立っていた。
「ッ」
否、人間だった。
手足はある。
服は着ている。
だが……黒かった。
分厚い黒革のコートを羽織っている、その内側にはまた黒いアンダーシャツを着ていた。
下に履いているのは分厚いカーゴパンツだった。それも幾重にもベルト、それも銀色の鎖を交えたベルトで巻き付けられていた。
靴は大きく太かった。まるで鉛の塊のような漆黒で、足首まで覆うようなタクティカルブーツ。
ドアを押し開けた手には指先だけ露出したフィンガーレスの手袋、それも黒。
それら全てが太かった。
太ってるとかじゃなく、半端なく鍛え上げられている太さ。
生物的な圧力のある力強さとしての四肢と胴体の巨躯。
骨も分厚く、見上げれば真っ黒な髪から丸まった耳が出ていて、目元を覆うように付けられたのは黒いサングラス。
そこまで観察して、気付く。
その黒い男の肩には大きな似つかわしくないギターケースの袋……
「――お客様ですか?」
意識は既に切り替わっている。
重心を切り替えて、わずかに間合いを取る。
ギターケースはおそらく――武器が入っている。
なぜわかるかって? 推測が出来るから。
黒い男が口を開いた。
片手を上げて。
「……失礼。店主はいるか?」
そう訪ねた。
後ろを伺う。
サレンは既にこちらに踏み出してる、店長は僕の後ろに隠せている。
なにかあっても数秒稼げばサレンがなんとかするだろう。
「どちら様ですか?」
後ろから店長の声。
ああもう任せておけばよかったのに。
「地柩セトだな。荒立てるつもりはない」
「お客様ならば歓迎します、そうではないならば警察に頼らせてもらいます。どちら様ですか」
「己は――
黒い男がサングラスを外した。
その顔には横一文字に、抉れた古傷があった。
唇の左端には千切れたような跡、よくみると顎にも小さな傷。
大きな背丈からして年季の入った大人かと一瞬考えたが、傷跡にばかり目立つが……その風貌はどこか若い感じがした。
30はおそらくいっていないな。
20……それも前半ぐらいの齢かもしれない、そんな気がした。
「――
「ッ?」
予想してなかった言葉に、後ろの店長が震えた気配がした。
このあからさまに真っ黒い格好、闇のカード使いだろ。
なにかするならすぐに殴るか。
「そうだとしたら?」
「その腕を確かめさせて貰いたい」
「荒事は苦手です」
「無論、荒事ではない。ファイトでだ」
いつもの流れだ。
後ろの店長と目を合う。
「店長、ここは」
「いいよ。ボクがやる」
自分が出るといおうとした時、店長がそれを制した。
エプロンを外して、その下に付けていたデッキポーチを掴んでいる。
メガバベルの一件の後からずっと持ち歩いていて、
「ここはボクの店だ。ボクと戦いたいというのならばボクがやる」
青色のバトルボードの腕輪を装着し、店長がそういった。
「どこでファイトをする? 外か、バトルフィールドか、それともテーブルか。店の中ではやめてくれよ」
黒い男がコートの内側に手を入れた。
「無論」
そして、パチンという音と共に取り出されたのは――
「テーブルでやらせてもらう」
頑丈そうな金属で作られたデッキケースだった。
「え゛っ」
馬鹿な。
この流れでボードファイトじゃない!?
「テーブルの使用料はこれでいいか?」
「あ、はい。大丈夫です」
スタスタと移動するスカーと名乗った男。
スゴスゴとその後ろについていって、フリースペースの使用料を受け取る店長。
ソワソワとよくわからないままテーブルからどいたユウキちゃんとサレンとマリカ。
そして、何故か邪魔にならないところに置いてくれと渡されたギターケースを持って運んでる俺。
なんだこれは。
「ここでいいか。先行と後攻はダイスか、じゃんけんでいいか?」
「あ、ならダイスで。うちは12面ダイスです、貸しますか?」
「問題ない、自前のがある……ぬ、3だ」
「9です。後攻で」
「わかった、己が先行で始めさせてもらう」
そういってシャカシャカとシャッフルを始めるスカー。
店長も自分のデッキを取り出してシャッフルを始める。
どちらも丁寧なシャッフルだ。
特に店長は年季の入っている動きで流れるようで、逆にスカーは几帳面に傷つけないような動きで少し遅い。
しかもなんだ、珍しくスリーブを付けている。
カードのめくり具合からしてソフトスリーブの上にハードを一枚、いや二枚ぐらいハメてるか?
シャッフル共々珍しい。
この世界だとテーブルファイトの場合、ざっくりシャッフルはするんだが、お互いのデッキ交換シャッフルはしない。
イカサマが可能になってしまう気がするんだが、代わりにきちんと相手に見せながらのシャッフルがマナーとなっている。
そして、テーブルに置いてあるマシンにセット。
自動的にシャッフルされたのを流れるように取り出して、メインデッキ、ライフデッキと配置を行う。
マシンがない場合は、最後に相手に見せながら3~4度のカットを行うのがマナーだったか。
「では始める、準備は?」
「あ、大丈夫です」
「では己のターン、スタート、ドロー、ライフカードを二枚引かせてもらう」
丁寧な宣言と共にスカーがファイトを始める。
店長もそれに合わせて、テーブルで手札を見えないように構えて、ファイトを始める。
うん、なんだろう。
なんだこれ?
いやファイトなんだが、うん。
絵面がこう、おかしいような。
「土地をセット。プレイ、クリーチャーを召喚する」
「――<Si☆STAR サクラ舞うスール>を場に出す」
「は???」
それ! アイドルカードじゃねえか!!?
初めての新生活
全く知らない場所
桜舞うあの場所でわたしは出会ったの
煌めく新星・カゥラ(<Si☆STAR サクラ舞うスール>より)