【挿絵表示】
かなりおまたせしました!
藤音やすくら様よりコタツで戯れるサレンちゃんとモブくんをいただきました!
いやあなごむなぁ
仲良しですね
【挿絵表示】
朽木様より、ただの同僚との日常をいただきました
ただのどうりょうですよ、ほんとうですよ(棒)
「ぐ、げ……」
石畳の上で呻くシャカバジの人。
確かケンドとか言われてた。
ちっさい人の動きをゆっくりみながら、疑問。
「なんで受け身もしないのぉ?」
受けた角度、目線の動き、姿勢、どれも文字通り棒立ちだった。
てっきり当たっても効かないぐらいに頑丈かなって思ったけど、そのまま吹き飛んだ。
大怪我させたくなかったから、徹すのに大きめの、見せてもいい型でやったのに。
風も詠めてない。
反射で反応もしてなかった。
「くそ、が」
あ、起き上がった。
さすがにちゃんと鍛えてる。
でも遅い。
「うちのみんなだったら、とっくに起きてるよぉ?」
倒れたままの状態なんて死に体だ。
体力が尽きて、出血とかで意識混濁でもなければ即座に跳ね起きる。
最悪でも転がって場所を移動するように叩き込んでる。
そうじゃないと危ないのに、なんでしないんだろう?
「ふざ、けやがって……恥知らずが!」
「はじ?」
「リアルダメージだと! きたねえ真似しやがって!!」
「? 自分でもやってるのに」
「闇のカードはそういう力があるからいいんだよ! だがそうでもない奴で出すのは卑怯だろうが!」
?
……?
なにいってるんだろう。
「なにいってるのぉ?」
「くそ、くそ、いてえ。殺してやる、殺してやるからな!」
ブツブツ言ってる。
怖い。
だから目線を変えて、するべき手順を意識する。
手札を見る。
盤面を見る。
残ったデッキの中身を思い出す。
我はあまり頭がいいほうじゃないから丁寧にやらないとだめなんだ。
「プレイを続けるよぉ。<気雲転命>を起動、使い終わった土地を1枚「功」に変更するよ。土地から1コスト出して、クリーチャー<地脈の整備士>を召喚してたーんえんど!」
一枚ずつ処理をする。
うん、これでいいはず。
「俺のターン! ドロー!!」
ケンドが口から泡を飛ばしながら、ドローする。
加えた手札を見て、音を立てながら並べ替える。
あまりよくない音だ。
「それ、もっとカード大事にしたほうがいいよぉ?」
「黙れ! テメエらみてえな生ぬるいやり方じゃあ、ファイトは強くなれねえんだよ!」
パチパチとカードをぶつけ合う音が響く。
嫌な音。
「痛めつけられたくなかったらもっと力を出せ! もっといいカードを引かせろ、そうやって教育してやらねえとこいつらはすぐにサボりやがるからな!!」
「強いカードデッキに入れればいいのに」
「――コロス」
なんか怒っちゃった。
「土地をセット! 墓地でくたばってやがるクリーチャーを2体除外し、2コストで<轟天雷砲>を発動する。これは使い終わったら除外される」
あ、その動き知ってる。
「墓地発動可能でぇー、墓地に眠ってる<轟天雷砲>の数+2だけ火力が出るんだよね」
その上で今場に出ている<軸星の砲手>も、墓地に落ちてる間は<轟天雷砲>としてカウントする。
フツ兄が組んでた梁山泊の改造デッキで見たなぁ。
あれにボッカンボッカンバーンで焼き殺されちゃったっけ。
確かそのギミックとバーン系、墓地に送ってすぐに溜めていくデッキで……【洛星炎上】とかって名付けてたっけ。
「<軸星の砲手>の誘発とセットで、お前に3点ダメージだ!」
あれ? <地脈の整備士>狙わないんだ。
「クリーチャーまだいるのに」
「ひっかかるかよ! 0/1の雑魚、破壊されたら「功」になるやつだろ!」
こちらのカード、やっぱり何枚か知ってるぽいや。
正確には起動して生贄に捧げないといけないから今倒せば使えないのに。
飛来してきた火力を部分展開した命衣流で受け止めて捌く。
ライフデッキはこぼれ落ちるけど、肉体に対するダメージは軽減出来る。
掌から腕まで広がる命衣流――まだ全部は纏えない、
真なる合一を果たした時、初めて纏えるっていってた命衣流。
これに届くにはまだ功夫が足りていない。
落ちたライフカードを確認する。
「んーいい感じ。呪言<気流の構え>をプレイするよ、ライフを1点回復し、功を積む」
3枚目の構えで永続の功が3枚揃った。
あと<気雲転命>ので変化させる奴で4枚
これで必要分は揃った。
けどこんな一気に仕留めるわけでもないテンポでダメージ重ねちゃってなにか狙いがあるのかな?
ここまでのダメージでも順調にこっちの土地が溜まっちゃってるけど。
「バトルをせずに、3コストで秘宝<静寂の関門>をセット! 2コスト支払い、徴税カウンターを乗せて起動! これは次の俺のアップキープまで続く」
秘宝?
「
「つまり、クリーチャーで攻撃するには今回は2コストいるんだね」
クリーチャーの攻撃妨害。
ロックか。
でもそれぐらいなら、気で召喚コストを踏み倒せる我のデッキを止められない。
そう考えているとケンドという人はかっこよくない笑みを浮かべた。
「そしてくたばれ。2コストで通常魔法<活殺陣>を発動、
「えっ」
その瞬間、我の場に置かれた4枚の功、全てがひっくり返った。
◆
「すぅ」
息を吸う、腕を下げる。
「ふぅ」
息を吐く、腕を上げる。
套路を流す。
その流す動作一つ一つは集中しながらやらなければいけない。
しかし、握る砲丸や動きを全部頭で考えなければ出来ないのではずっと未熟のままだ。
武術の動き、技、型、流れを最初は考えてなぞって、やがて考えずに出来るようになる。
身体に覚え込ませる。
カードゲームも同じだ。
一つのデッキを殆ど手なりで回せるようになるまで使い倒して、その上で相手の動き、盤面、自分の手札から見て、どう動くか、どの選択肢を選ぶか考える。
人間の思考リソースは有限だ。
考えながらやらないと身につかないけれど、考えながらでしか出来ないといつまでたってもその先に進めない。
習得というのは出来なかったことが出来るようになることなんだと思う。
「ふぅう」
少し集中が乱れてる、いや、どっちかというと慣れてきたから思考に余裕が出来てきたか?
疲れは溜まってきたが、肉じゃなくて骨で支えられるようになってからがくんと楽になってきた。
砲丸を握る手の角度、動きに間違いないのを確認しながら少し考える。
考えることといったらやっぱりデッキの草案のことだ。
水滸伝デッキ、あれかなり面白いんだよな。
108の水滸伝の英傑たちをモチーフにしたテーマ。
まあそんな種類のクリーチャーはまだ出てない、この世界だと精々37種類ぐらいだっけか? 前世でも確か65……70はいってなかったはず?
あれはクリーチャーそれぞれに別々の能力を乗せた効果クリーチャーとしてのデザインを強めたテーマだ。
ぶっちゃけ
関連魔法や、呪言、魔石もあるが、ぶっちゃけあれらは他のテーマと混ぜての運用で純水滸伝デッキにするならフルクリで組むのが楽しい。
最近、積功関係のカード目的で買ったボックスに入ってて思い出したテーマだ。
低コストでかつレアリティが低めの【地星】
高コストでかつレアリティが高い【天星】
この二種類に分けられているのが水滸伝の
豊富な能力とシナジーを考えやすい代わりにステータスが低めなのが地星で、シンプルな能力だけど高いステータスと相まって一騎当千の性能を誇るのが天星。
大体
地が8で、天が1~2ぐらいの比率だったかな。
水滸伝の英傑たちを呼び集めるショタ英傑<魁星の慈雨>、気を操り気導使いデッキにも使われるイケメン英傑<間星の雲龍>、トークンを生み出して並べてくる双撃のセクシー美女<天威の呼延>、そして制限指定から出てこれない殺戮ロボの<天殺の黒旋風>。
他にも天星はあるが、大体メインになったのがこの4体。
そしてもっともカスだったのが黒旋風。
クリーチャーを殺せば殺すほど性能が上がってくる殺戮ロボな上に、デッキから味方をサーチして並べてくる魁星とのシナジーもあってパワーアップが容易い【マーダー水滸伝】 通称。水滸伝連続殺人事件。
呼延で呼んだトークンをコロコロして怒るくせに、戦場で維持するのに毎ターン味方を生贄に捧げないといけない黒旋風のシナジーでの【殺戮鉄風】
基本ステータスも普通に高いくせに、
本当に本当に
なんだよ、打ち消せない、手札から召喚成功するとクリーチャー1体破壊、速攻・機先でステータス4/3って許されねえだろ。
しかも維持生贄でも
なんでこいつに機先なんてつけちゃったの? 速攻も? 加減しろバカ!
なんでかこの世界だと天星系幾つか見つからなかったからプロキシで代用して回してみたけど、やっぱり強すぎて駄目だった。
老師は楽しいから使いてえなっていったけど、すいません、それあんたの娘をしばいて、こ、こんなのが英傑でいいの?! って叫ばせたデッキです。
まあフルクリはクセがあるけど、クリーチャーメタされなければ魔法打ち消しとか、全てスルー出来るし、たまに回すならめっちゃ楽しいんだよな。
ある程度マリカのデッキ調整ついでに前世でそこそこ有名だったパターン4つぐらい組んでぶつけてたけど、んーこう考えるとまた試したいコンボが出てくるなぁ。
また帰ったらデッキ弄るかなぁ。
ナイトテイルもまだまだ弄れる余地あるから完成ってわけじゃないし。
「ふぅ」
息を吐く。
少し乱れた足幅を修正する。
うーん、やっぱりまだ無意識には全部なぞらえられないな。
朝起きた時と寝る前のストレッチでやってるんだけど、細かいズレというか憶え間違いはある。
老師からの指摘は受けて直ってるんだけどやっぱり週一だからな。
いや護身術ぐらいでそこまできっちり全て出来るなんておごがましいんだが、毎日だらだらじゃなくて週一っていう限られた時間だからしっかり憶えたい。
「よし」
今の動きはよかった。
なんというかカチってハマったみたいな修整が出来た、これでいくか。
そこだけを意識しつつ、次に考えたのはデッキの改良だった。
積功デッキ、どうやればもっと強くなるか。
造ってぶつけた水滸伝デッキから見えたウィークポイントを改めて思い浮かべる。
だけどあれはこの世界だとレガシーとかいうプレミアムカード扱いで一枚しかなく、出来れば二枚。三枚は重すぎるから無用なカードだ。
出れば能力もあって場持ちもいいし、手札や場が良ければそのままフィニッシュまで持ち込める強いカードだ。
ストレートに強すぎて、気導使い関係の場合必需品になってる。
入れない理由がない。クリーチャーいれたくないとか、関門とか橋とかでロック掛ける場合ぐらいか? いやそれでも入れてもじゃまにならんだろ。
逆を言えば大体のデッキにはアレが入っている推定が出来る。
場に並べようとする功の数で出るタイミング、あるいは持っているかもっていないかも慣れてないと影響が出る。
仮組みした”秘虎”(プロキシ版)入り積功デッキでさっくりマリカとテーブルプレイして、大体勝率6割はキープしてる。それ以外の亜種、サイドで動き変えた【土地壊し】【防衛ロック】【バーン功】だと7・4・5ぐらいの勝率だ。
ただしこれは”秘虎”が二枚あるか、一枚だけだったかの差がでかかった。
だってタイミング分かればハンデスとか、追放でさようならするし。
クリ指定じゃなくて、オブジェクト指定のなら消し飛ばせるしな、あれ。
共鳴率とかでいつでも引けるといっても引ける枚数とデッキの枚数は変わらない。
引きが強いというのはデッキ圧縮の必要性がないアドがあるだけで、
秘虎使い倒すなら一枚は囮で相手にリソース吐き出させて、二枚目を無傷に君臨させるぐらいがいい。
もう一枚どっかにない? っていわれたら師範に呆れられたんだっけ。
マリカも「もう一枚欲しいよぉ、大陸とかいって探したら見つからない?」「オークションとかで探すかぁ?」みたいな会話もしてたなぁ。
ともかくだ。
大事なのは秘虎を使えば強いけど、秘虎を使わなくても戦えるデッキでなければいけない。
これにひと味隠し味でいれるとうお、強いぜ! っていう奴だ。
一枚しかいれてないカードに全部依存?
死ぬのか……?
う、突然の禁止指定! キーカードさよなら! デッキコンセプトの崩壊の思い出ががが。
許してくれ!
これエニグマのメジャーコードなんです、大事なパーツなんです! ああ! 人でなし!
そんな、ちょっと二枚ぐらいで安定してループコンボの始動になって再現度が高いだけで殺されるんか! 駄目なんか! 駄目なんだろうなぁ。そんな嘆きと共に崩れ落ちていたいい歳したおっさんの悲鳴を思い出す。
結果、メジャーからマイナーどころか廃盤行きになったコンボと葬り去られたデッキがあったもんだ。
二度と戻ってくんじゃねえぞ。
昨日までの相棒に中指を立ててさよならする仕草もよくある話だった。
いやまあそれって大体
そういう意味では前世のちょっと一昔前と違って、秘虎は制限指定されてなくてよかったと思う。
積功デッキというか気導使いのデッキ、秘虎の制限指定でめっちゃ弱体化してたからな。
長らく制限指定されてたけど、俺が死ぬちょっと前ぐらいから気関係の新しいカード摺りで準制限指定になってようやく復権したからなあ。
ワンショットロマン砲使いのあのアホとかも喜んでたっけ。
まあ反射一発で即死は変わらなかったけど、あのワンパンマン。
顔メタはしたくないけど、お前相手にはせざるをえない。
――愛してるんだぁあああ浪漫をぉおおお! だから妨害しろ! それを切り抜けて貫く、それこそが我が愛の証明!
――だからちょっとお前手札事故してもいいぞ、気持ちよく浪漫させてくれ。むしろしろ! ナチュラルに。
――手加減してるとかそういうの感じさせない演技で負けてくれ! 死ね!! 殺す!!
――てめえが死ね!
……どうでもいいアホのことをなんか思い出してしまった。
それはともかく、制限、準制限指定ないとしてもネックなのが枚数だ。
秘虎、もう一枚欲しいんだよな。
マジお互い知ってると秘虎なんて一匹殺されるのが当たり前だし、頓死させられてからが本番っていうか。
墓地肥やしでうっかり落ちた時、おら、出せよ二枚。もってんのか? いつ出すんだ? ああん? ってジリジリ探り合うのが熱かった。
出せればラッキーぐらいだよねってことで一枚しかいれてなくて、それ以外のプランで普通に殴り合うことのほうが圧倒的多かったけど。
そういう意味では功を積むカード、特に損にならない<気流の構え>とか、それ以外の<構え>を何枚デッキにいれるかが焦点になったんだよな。
◆
ひっくり返った功は4枚。
「<活殺陣>の効果ぁ! これは裏向きになっていた功を全て表面表示に変える! それだけだが、てめえの3枚のカードは呪言! それには場に残る効果はない!」
「功になってたカードは表向きの、土地に戻るよぉ」
「それ以外は墓地送りだ、消えろ!」
そうしてかき消える三枚の呪言。
これで功、つまり気を使うパワーソースは激減した。
単純計算でいえば土地が六枚分消し飛んだのに等しい。
気導使いは、その召喚コスト及び能力の作用にもとにかく気がいる。
つまり練り出す功だ。
それがなければステータスと比べてもかなり重いコストで構築されている。
そこから出すとなれば間違いなくクリーチャーの攻め手は制限される。
軽いクリーチャーを出してすぐに攻撃するか、重いクリーチャーを出して1ターン待つか。
速度は緩む。
過去に見た妖怪爺のデッキ、気導使いは疾駆召喚。
追加コストを払って速攻を付けて、さらに気によるバンプアップや魔法による強化をつぎ込んでの削りが多かった。
これを抑制するだけでもこちらが有利。
メタビード道場に安くない金を払って研究させた気導使いデッキ対策に改良させたデッキがこれだ。
残り金は結果次第で払う契約だ。
闇のカードの栄誉ある実験台としてなぁ。
「ターンエンドだぁ!!」
次のターンに、これさえ出せば負けはない。
<十絶陣>
――
ああ、デッキが脈動している。
未だに痛む腹と共に目の前の小娘から奪った共鳴力がグツグツと煮えたぎってくるのを感じる。
手札のシャッフルで鳴らす音が、あの若い肌にこれから打ち付ける肉の音めいて高ぶってくる。
さあ、どうしてやろうか。
あの小娘のでけえ乳と尻をどうやって嬲ってやろうか。
この調子なら質のいいカードを存分に吐き出してくれるだろう。
「我のたーん」
偉そうな官軍気取りに、正しき報復を
「レディ、あっぷきーぷ、ドロー。んー、
ぶちこんでやる!
「土地を7枚起動してぇ、7
ッ、7コスト?
まさか!
「これは
風が吹いた。
嫌な風が吹き付けてきた。
色がついた緑色の風が、小娘の周りからなびいて。
「いと高き角よ、その偉大なる姿に我らは敬意を示す。天よあれ、地よあれ、人はここに」
渦巻く。
「全ての災いを祓わん」
「きやがったか!!」
「――
――”秘虎”ぁ!!
何もかもが解け落ちる。
擦り切れる。
まるで眠るように。
それに抗うことなどは出来やしない、
――<還元>