第251話 人生逆転 重版記念SS「七夕」

※web版最新話のネタバレが含まれますのでご注意ください。みなさまのおかげで、2巻の重版が決まり、3巻が制作できるようになりました! 本当にありがとうございます。


 七夕デートをしたい。

 愛さんがそう言った。たしかに、ロマンチックなイベントだから、たまには特別な場所に遊びに行こうと思って、俺たちは学校帰りに電車に乗って、首都の象徴である東京タワーへとやってきた。


 彼女が手配してくれた近くの貸衣装屋で、浴衣を借りる。

 愛さんは、白を基調とした浴衣で、アジサイがアクセントとして描かれているものを選んだ。


「この前のアジサイデートが楽しかったから、これにしました」

 そう照れる彼女をずっと見ていたいと思う。髪を後ろでまとめて、浴衣に合わせて青い髪飾りをつけている愛さんは、透明感で吸い込まれそうになるくらいだ。


 そして、日が落ちたタイミングでメインデッキへと向かった。

 メインデッキはいちめんの幻想的な世界が広がっている。

 丸の内方面の高層ビルをのぞむ夜景と天井を美しく彩る青のイルミネーション。時折、流れ星が降ってくる演出まであって、時間経過によってイルミネーションの色も変わっていく。


「おとぎ話の世界みたいですね」

 嬉しそうに笑う彼女は、俺の手を強く引いた。もう、どこかに遊びに行くときは、自然と手を握ることに違和感がなくなったことにどこか嬉しくて、どこか恥ずかしい気分になりながら、俺も彼女についていく。


「きれい」

 愛さんは、よく笑うようになった。心の底から彼女が楽しんでいるのがわかる。


「まるで、異世界みたいだね」

 都会とおとぎ話の融合した世界。この場所に来ることができたことを感謝した。


「せっかくだから、短冊も書いていきましょう」

 俺たちは用意された台でペンを走らせた。同じ願いを書いてお互いに笑いあう。


「織姫と彦星に嫉妬されちゃいますね、これじゃあ」

 愛さんは幸せそうに笑った。


「二人みたいにならないようにしなくちゃね」

 俺たちは、短冊を笹につけて愛しそうにお互いを見つめあった。


『この幸せがずっと続きますように』

 二人の短冊には、そう書かれていた。

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