"バトロワ"をやります 第4回亜仁満町20人バトロワpart2

  • 1心配症の周師匠26/01/10(土) 23:26:44
  • 2二次元好きの匿名さん26/01/10(土) 23:32:50

    このレスは削除されています

  • 3心配症の周師匠26/01/10(土) 23:33:39

    >>2

    ううんどういうことだ

  • 4二次元好きの匿名さん26/01/10(土) 23:34:41

    このレスは削除されています

  • 5二次元好きの匿名さん26/01/10(土) 23:35:24

    募集要項なんてなかっただろうがよえーーーっ
    どんだけ本編興味ないねん!!

  • 6二次元好きの匿名さん26/01/10(土) 23:35:31

    >>2

    何を言うとるんじゃあっ お客さんこれは前スレの続きなんだよ もう募集ならとっくに終わってますよ

  • 7心配症の周師匠26/01/10(土) 23:36:14

    >>4

    すみません 今回はもう募集終わってるんです

    ごめんなあっ

  • 8心配症の周師匠26/01/10(土) 23:43:23

    13ターン目

    【キリュウ横丁・廃ビル】


    重苦しい沈黙が支配する廃墟の中、南光太郎は割れた窓ガラスに映る自分の顔を見つめていた。 その脳裏に浮かぶのは、鹿紫雲との激闘の記憶ではなく、端末の『DECEASED(死亡者)』リストにあった一つの名前だ。

    『宇沢レイサ』

    「……俺は、間違っていたのか」


    光太郎が独り言のように呟く。その拳は、血が滲むほど強く握りしめられている。

    「あの時、彼女を突き放したのは……戦いに巻き込まないためだった。だが、俺が遠ざけたせいで、彼女は孤独に死んだ」


    彼の声には、深い自責の念が滲んでいた。 鹿紫雲という強者を倒しても、その勝利は空虚だった。自分が目の前の敵に熱くなっている間に、守るべき小さな灯火が消えてしまったのだから。

    「自分を責めるな、とは言わへんで」


    宮沢熹一が、光太郎の隣に立つ。彼は光太郎の肩に手を置かず、あえて少し距離を取って壁に背を預けた。


    「ワシもよう知っとる。守ろうとした奴の手を離した時の、あの冷たさをな。……しゃあけど、ここで立ち止まったら、その子の死はホンマに無駄になる」

    「……分かっている」


    光太郎は顔を上げ、その瞳に再び決意の炎を宿す。


    「このふざけたゲームを終わらせる。……主催者も、愉悦のために命を奪う連中も、俺が全て破壊する」

    「ええ目や。……ほな、行こか。まだ終わってへんで」


    二人の「王」が立ち上がる。その背中を、月城柳、アルトゥス、ベルナデッタが追う。 即席のチームだが、そこには確かな結束が生まれつつあった。

  • 9心配症の周師匠26/01/10(土) 23:45:41

    【大通り】

    「レディース・アンド・ジェントルメン! 今宵のメインイベントへようこそ!」


    アラスターの高らかな宣言と共に、大通りの空間が歪んだ。 彼の影から無数の触手が伸び、両義式へと襲いかかる。 だが、式は動じない。

    「……五月蝿い」


    彼女が踏み込むと同時、銀閃が走る。 触手は「切断された」という結果だけを残して霧散した。 物理的な強度も、魔法的な防御も関係ない。彼女のナイフは、触手の「存在維持の線」を断ち切ったのだ。

    「おや? 私の可愛い影たちが、まるで最初からなかったかのように……! 素晴らしい切れ味だ!」


    アラスターは目を丸くし、ノイズ混じりの笑い声を上げる。 彼は杖を一振りし、周囲の空間に異界のゲートを開く。そこから召喚されたのは、地獄の亡者たち(のような黒い影の群れ)。

    「数で圧倒するのは無粋ですが、ショーにはエキストラが必要でしょう?」

    「……チッ。雑魚を並べるな」


    式は不機嫌そうに吐き捨て、群がる影の中へ踊るように飛び込んだ。 舞うような斬撃。通った跡には、影たちが崩壊していく音だけが残る。 だが、アラスターはその隙に距離を取り、遠距離から魔術による爆撃を開始した。

    「さあさあ、踊りなさい! 死の淵でこそ、魂は輝くのですから!」

  • 10心配症の周師匠26/01/10(土) 23:49:55

    【住宅街・屋上】

    「ごちそうさまでした! 美味しかったです!」


    中務キリノは、空になった鍋を見て満足げに手を合わせた。 パンドラネメシスは、得体の知れないスープを完食させられ、システムチェックを行っている。

    「……成分分析、完了だよ。有機物と魔力リソースの混合体……毒性反応はないね。むしろエネルギー充填率が向上している。……理解できないな」


    パンドラネメシスは、首を傾げながら呟いた。 その口調は、無機質な中にも、どこか人間味を探るような柔らかさが混じっている。

    「ふん。当たり前でしょう」


    ラーヴァ/ティアマトは、腕を組んで尊大に鼻を鳴らした。


    「母の作ったものに毒などあるはずがないわ。……まあ、お代わりくらいなら、作ってあげなくもないけど?」


    彼女の言葉はぶっきらぼうだが、その視線は空っぽになった鍋と、満足げなキリノを嬉しそうに追っている。 面倒見の良さは、隠そうとしても隠しきれていない。

  • 11心配症の周師匠26/01/10(土) 23:51:14

    「さて……お腹も膨れたなら、さっさと行くわよ」

    「どこへ行くんですか? お母さん!」


    キリノはすっかり懐いている。 ティアマトは、黒煙が上がる大通りの方を指差した。

    「悪い子供たちが、まだ喧嘩をしているみたいね。……少し『躾』が必要だわ」

    「躾、だね。……対象勢力を鎮圧する、という解釈でいいのかな?」


    パンドラネメシスが墓標兵装を展開しながら確認すると、ティアマトはツンと顔を背けながらも肯定した。

    「ええ。この星を新しい子供部屋にするには、少しばかり掃除が必要だもの。……手伝いなさい、いいわね?」


    三人の異形(ツンデレな母神、兵器、天然)が動き出す。それは、戦場にとって最大の災害となるだろう。


    何回指示してもラーヴァティアマトの口調が上手くいってない気がする…周師匠だ

  • 12心配症の周師匠26/01/10(土) 23:53:18

    【春草総研跡地・周辺】

    「……やれやれ。随分と派手にやってくれたもんだ」


    迅悠一は、瓦礫の山となった研究所跡地を見上げ、ボリボリと揚げ煎餅を齧った。 彼のサイドエフェクトは、幾通りもの未来を映し出している。

    (南さんたちのグループは、このまま行けば『最悪の敵』とぶつかる。……あのラジオの男か、それとも、あの泥の女神か)

    彼は視線を巡らせ、路地裏の影に潜む「邪悪な気配」に気づく。 羂索だ。 彼は戦闘に参加せず、ただ盤面を操作するタイミングを窺っている。

    「……黒幕候補さんは、まだ動かないか。なら、俺は少しバランス調整に行きますか」


    迅は風刃(ブレード)の柄に手をかけ、大通り――式とアラスターが戦う方向へと駆け出した。 彼が加勢すれば、膠着した戦況は一気に動く。

  • 13二次元好きの匿名さん26/01/10(土) 23:53:41

    キリノまずいだろ懐いたらいけない連中に懐いたらよう

  • 14心配症の周師匠26/01/10(土) 23:55:27

    【路地裏】

    「……あー、イライラする」


    足立透は、芳村の返り血がついたスーツを忌々しげに見ながら歩いていた。 勝ったはずなのに、敗北感が拭えない。 芳村の最期の顔。安らかな、全てを許したような表情が、足立の脳裏に焼き付いて離れないのだ。

    「なんなんだよ、マジで。……俺が悪いってのかよ」


    彼は空き缶を蹴り飛ばす。 その時、彼のタブレットが震えた。 『生存者数:残り13名』

    「……へえ。結構減ったねえ。まあ、俺が生き残ればそれでいいんだけどさ」


    足立は歪んだ笑みを作ろうとしたが、その表情はどこか引きつっていた。 孤独な道化は、自身が一番嫌っていた「空虚」な結末へと歩みを進めていることに、まだ気づいていない。


    13ターン目 リザルト


    生存者 南光太郎(レイサの死を乗り越え、熹一と共に「ゲームの破壊」を決意) / 宮沢熹一(光太郎と共闘関係を結び、生存者グループを牽引) / 月城柳(冷静に状況を分析しつつ、一行をサポート) / アルトゥス / ベルナデッタ / 両義式(アラスターと交戦中。影の軍勢を切り伏せる) / アラスター(式との戦闘をショーとして楽しみつつ、搦め手で攻める) / 迅悠一(戦況をコントロールするため、式とアラスターの戦場へ向かう) / ラーヴァ/ティアマト(「悪い子の躾」と称して、戦場への介入を開始) / パンドラネメシス(ティアマトに従いつつ、キリノを守るために同行) / 中務キリノ(ティアマトに強化され、無自覚に危険地帯へ向かう) / 足立透(芳村殺.害の精神的負荷を感じつつ、孤独に彷徨う) / 羂索(静観を貫き、漁夫の利を狙う)


    死亡者(脱落者) ジル・ド・レェ / 宇沢レイサ / 溶ける愛 / 谷垣源次郎 / 鹿紫雲一 / 桐山和雄 / 芳村功善

  • 15心配症の周師匠26/01/10(土) 23:56:34

    >>13

    ククク…


    というわけで明日早めだから寝る えっ

    明日は少なくとも10時台とかは多分ストック貯めるのもレスするのも無理だと思われる

    マネモブ…感想たくさん待ってるよ…

  • 16二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:24:40

    光太郎&ネオキー坊コンビには頑張ってほしいですね、マジでね……特に足立あたりの鼻をへし折ってほしいですね

  • 17心配症の周師匠26/01/11(日) 09:14:29

    14ターン目

    【大通り・交差点】

    「ハハハ! 素晴らしい! その殺意、その身のこなし! お嬢さんの魂は実にラジオ映えしますねぇ!」


    アラスターは、影の触手をジャズのリズムに合わせて操り、両義式の斬撃をギリギリで回避していた。 物理的な距離を取れば、遠距離攻撃を持たない式は不利。アラスターはそれを熟知し、徹底的な「引き撃ち」に徹している。

    「……チッ。逃げ回ってばかりか、道化が」


    式が苛立ちを隠さずに踏み込もうとしたその時、緑色の風の刃が二人の間に割って入った。

    「おっと。そこまでだ」


    ビルの上から、迅悠一が軽やかに着地する。手には黒い弧月――風刃が握られている。

    「……誰だ、おまえ」

    「通りすがりの実力派エリートさ。……お嬢さん、悪いけど引いてくれないかな。このままだと、君も彼も『全滅』する未来が見えてるんでね」

    「全滅……ですか? 興味深い放送事故の予感ですねぇ!」


    アラスターがノイズを響かせて笑う。 迅は空を指差した。

    「ほら、お出ましだ」

  • 18心配症の周師匠26/01/11(日) 09:16:20

    【上空】

    「……騒がしいわね。子供は夜、静かに眠るものよ」


    頭上から、威厳に満ちた、しかし不機嫌そうな声が降ってくる。 見上げれば、巨大な泥の翼を広げたラーヴァ/ティアマトが、太陽を背に浮かんでいた。 その左右には、パンドラネメシスと中務キリノが従っている。

    「警告するよ。対象、極大エネルギー反応。……この空間ごと書き換えるつもりみたいだね」


    パンドラネメシスが淡々と告げる。 ティアマトは、地上で争う式、アラスター、迅を見下ろし、深い溜息をついた。

    「泥んこ遊びは禁止よ。……『強制・お片付け(ネムルヨ・コラ)』」


    (何回言ってもこんな調子なんスけどティアマトモブはこれでもいいか教えてくれよ お変クすぎる…お変クさの次元が違う)

  • 19心配症の周師匠26/01/11(日) 09:19:28

    ティアマトが指先を振るうと、空から大量の黒い泥――『生命の海』の奔流が滝のように降り注いだ。 それは物理的な質量であると同時に、触れたものを強制的に「作り変える(幼児退行させる)」権能を持つ混沌の泥だ。

    「えっ、ええっ!? お、お母さん!? 街が! 建物がドロドロに溶けてますけど!?」


    眼下の惨状に、キリノは目を丸くして慌てふためいた。

    「これ、やりすぎじゃないですか!? 悪い人を捕まえるどころか、街ごとなくなっちゃいますよ!」

    「あら、何を言ってるの。汚れたお部屋は丸洗いするのが一番でしょう?」


    ティアマトは悪びれもせず、むしろ良いことをしているといった様子で胸を張る。

    「うぅ……丸洗い……? 確かに悪党を一網打尽にするのは公安の夢ですけど……これじゃ私が逮捕する前に消えちゃいますし……というか、これ本当に大丈夫なんですか!?」


    キリノはティアマトの圧倒的なペースと破壊規模に飲まれ、ツッコミを入れつつも止めることができない。 パンドラネメシスは、そんな二人を冷ややかに見つめている。

    「……非論理的だね。でも、圧倒的な質量だ」

    「うわっ、マジかよ!?」


    地上では、迅が風刃を振るい、頭上の泥を切り裂くが、量は桁違いだ。 アラスターも影に潜って回避を試みるが、影そのものが泥に侵食されていく。

    「おやおや! これは放送コードに引っかかりそうだ!」

    「……邪魔だ、デカブツ!」


    式が直死の魔眼を見開き、泥の奔流にある「死の線」を斬る。 概念殺しにより、彼女の周囲の泥だけが無効化され、水となって弾け飛んだ。

  • 20心配症の周師匠26/01/11(日) 09:23:39

    【大通り・外縁部】

    「な、なんですかアレぇぇ!? 津波!?」


    ベルナデッタが絶叫する。 南光太郎たちが到着した時、大通りは黒い泥の海に沈もうとしていた。 建物が溶解し、異形の植物が生え始め、景色が原初の混沌へと回帰していく。

    「……間違いない。あの女が『元凶』の一つや」


    宮沢熹一が構えを取る。その肌が、本能的な恐怖で粟立っている。 あれは生物としての格が違う。戦えば、タダでは済まない。

    「……ああ。だが、避けては通れない」


    南光太郎は、泥の中心に浮かぶティアマトを見据えた。 その姿に、彼はかつて戦った「創世王」の面影――生命を冒涜し、弄ぶ絶対者の気配を感じ取っていた。

    「行くぞ。あの泥が広がる前に、食い止める」


    光太郎が変身の構えを取ろうとした瞬間、彼らの背後から拍手が聞こえた。

    「いやあ、壮観だねえ。怪獣大決戦って感じ?」

  • 21心配症の周師匠26/01/11(日) 09:25:18

    【路地裏の影】


    振り返ると、そこには羂索が立っていた。 その隣には、不機嫌そうにポケットに手を突っ込んだ足立透もいる。

    「……お前達は」


    光太郎が低く、鋭い声を放つ。 その瞳には、彼らがただの傍観者ではないという確信が宿っていた。 羂索は飄々と肩をすくめた。

    「私はただの観客だよ。……彼(足立くん)がね、どうしても特等席で見たいって言うから連れてきたんだ」

    「はあ? 俺は帰りたいって言ったんだけど」


    足立が気だるげに吐き捨てる。だが、その目は笑っていない。 彼は光太郎たちの集団――特に、「仲間を守ろうとする」彼らの空気感を見て、ドス黒い苛立ちを募らせていた。

    「……いいねえ、青春ごっこ。熱血ヒーローに、友情パワーか。……反吐が出るよ、マジで」


    足立の背後で、マガツイザナギがゆらりと実体化する。 羂索は一歩下がり、愉悦の笑みを浮かべた。

    「さあ、どうする? 前門の母なる虎、後門の道化師。……盤面は詰んできたかな?」


    大通りの泥。空のティアマト。対峙する足立と羂索。 そして、その中心で交錯する生存者たち。 物語は、収束へと向かう。

  • 22心配症の周師匠26/01/11(日) 09:26:31

    14ターン目 リザルト

    生存者 南光太郎(ティアマトの脅威を認識しつつ、足立・羂索とも対峙。多重の危機に直面) / 宮沢熹一(足立と再会し、因縁の決着をつけるべく殺気を放つ) / 足立透(羂索に誘導され、光太郎たちの「正義」を粉砕するために立ちはだかる) / 羂索(足立を光太郎たちにぶつけ、ティアマトを含めた大混乱を引き起こそうと画策) / ラーヴァ/ティアマト(大通りを泥で沈め、強制的な「平和(管理)」をもたらそうとする) / パンドラネメシス(ティアマトの泥の脅威度を分析し、冷静に状況を観測) / 中務キリノ(ティアマトの破壊行動にドン引きしつつも、流れに逆らえず困惑する) / 両義式(泥を斬り裂き生存領域を確保するが、ティアマトに標的を定める) / アラスター(泥に飲まれそうになりつつも、影移動でしぶとく回避し実況を継続) / 迅悠一(三つ巴の状況に頭を抱えつつ、最悪の未来を回避するために奔走) / 月城柳 / アルトゥス / ベルナデッタ

    死亡者(脱落者) ジル・ド・レェ / 宇沢レイサ / 溶ける愛 / 谷垣源次郎 / 鹿紫雲一 / 桐山和雄 / 芳村功善

  • 23心配症の周師匠26/01/11(日) 09:48:50

    や…やっと次のターンの出力が終わったのん…ただちょっと移動するから中断ッ

  • 24二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 09:49:39

    近づいてるのお終幕に
    ですねえ

  • 25心配症の周師匠26/01/11(日) 10:41:43

    続きやろうと思ったけど色々勘違いしてたので再開は昼以降になると思われる
    ごめんなあっ

  • 26心配症の周師匠26/01/11(日) 13:38:15

    画像リンクを貼れば再開出来ルと申します
    遅くなってごめんなあっ

  • 27二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 13:38:52

    待ってたよ…

  • 28心配症の周師匠26/01/11(日) 13:46:04

    15ターン目

    【全域】


    その瞬間、世界が悲鳴を上げた。 空がガラスのようにひび割れ、赤い警告灯が視界を埋め尽くす。 参加者たちのタブレットが、最後通告(ファイナル・カウントダウン)を告げる。


    『業務連絡。最終フィールド縮小プロトコルを実行します』 『生存可能エリア:中央交差点(半径50m)』 『それ以外の全エリアは、直ちに消去されます』


    『制限時間:ゼロ』


    猶予などなかった。 住宅街が、廃ビルが、森が、一瞬にして黒い虚無へと置換されていく。 逃げ場はない。全ての生存者は、泥に沈む中央交差点へと強制的に押し出された。


    【中央交差点・最終防衛線】

    「うわあああっ! 世界が! 世界が消えちゃいますぅぅ!」


    ベルナデッタが泣き叫びながら、迫り来る虚無から逃げる。 その背後から、足立透が気だるげに歩いてくる。背後の空間が崩落していくが、彼は焦る様子もない。

    「あーあ、狭っ苦しいなあ。……ねえ、君ら邪魔なんだけど」


    足立の目が、逃げ惑うベルナデッタを捉えた。 彼は光太郎や熹一に向けるべき殺意の矛先を、最も弱い者へと気まぐれに向けた。 「ヒーローごっこ」を台無しにするには、守られるべき者を殺すのが一番効率的だからだ。

    「消えちゃいなよ」


    マガツイザナギが、禍々しいエネルギー弾(マハガルダイン)をベルナデッタの背中に放つ。 回避不能。ベルナデッタは恐怖で足を止めてしまう。

    「――させるかよッ!」


    その時、横合いから影が飛び出した。 アルトゥスだ。彼は自身の身体を構成する魔力を全開にし、ベルナデッタの前に立ちはだかる。

    「チッ……水よ! 壁になれ!」

  • 29心配症の周師匠26/01/11(日) 13:47:07

    水流の障壁を展開する。だが、マガツイザナギの一撃は重い。 水の壁が一瞬で蒸発し、暴風がアルトゥスの身体を直撃する。 泥の体がひび割れ、崩壊寸前まで追い込まれる。

    「ぐ、アァァ……ッ!!」

    「アルトゥス!!」


    ベルナデッタが叫ぶ。だが、その時。 アルトゥスの瞳の色が、濁った泥色から、ギラつくような鮮血色へと変貌した。 口元が、三日月形に裂ける。

    「……あーあ。いてぇな、オイ。俺の体、壊す気か? 三下風情がよ」


    口調は変わらない。だが、放たれる気配が、凍てつくような殺意へと変貌していた。 アルトゥスの中に眠る凶暴な別人格――アルコスが覚醒した。 彼は崩れかけた腕を強引に泥で補修し、歪んだ笑みで足立を見据える。

    「いい度胸だな。お前をミンチにして、この泥の肥料にしてやろうか?」

    「……あ? なんだコイツ、急に雰囲気が……」

  • 30心配症の周師匠26/01/11(日) 13:48:10

    足立が眉をひそめた瞬間、彼の視界から宮沢熹一が消えた。 いや、消えたのではない。「見えない速度」で踏み込んだのだ。

    「……そこまでや」


    背後からの声。 足立が振り返るよりも早く、熹一の蹴りが足立の側頭部を捉えていた。 ガードの上からでも脳を揺らす、重く、鋭い一撃。

    「ぐっ……!?」


    足立がたたらを踏んで後退する。 熹一は追撃せず、ただ静かに、冷徹な瞳で足立を見下ろしていた。 激情のままに叫ぶのではない。殺意を極限まで練り上げた、静寂の怒り。


    「弱いもんイジメて楽しむんか。……腐りきっとるな、アンタ」


    熹一は構えを解き、ゆらりと歩み寄る。

    「弱い人間を狙って、何が楽しい? ……その歪んだ性根、ワシが叩き直したるわ」


    その圧力に、足立の背筋に冷たいものが走る。 (……なんだコイツ。さっきまでの熱血バカじゃない。……もっとヤバい、人殺しの目をしていやがる)

  • 31心配症の周師匠26/01/11(日) 13:50:59

    【上空】

    「……騒がしいわね。折角のお掃除中なのに」


    ラーヴァ/ティアマトは、眼下の惨劇を見ても眉一つ動かさない。 だが、その隣で中務キリノの表情が一変した。 先ほどまで「お掃除」と聞いて目を輝かせていた彼女の顔から、笑顔が消える。

    「……銃刀法違反、および傷害、殺人未遂の現行犯……!」


    彼女は地上で血を流すアルトゥスと、銃を向ける足立を睨みつけた。

    「民間人への攻撃は許されません。……行きます!」

    「えっ? ちょ、待ちなよ!」


    パンドラネメシスの制止も聞かず、キリノは泥の翼から地上へダイブした。 その手には手錠と拳銃。瞳には、ヴァルキューレ警察学校の生徒としての強い使命感が宿っている。


    「そこのあなた! 直ちに武器を捨てて投降してくださいッ!!」

    「……はぁ。ターゲットの行動予測が不可能すぎるよ」


    パンドラネメシスは深いため息をつき、推進スラスターを点火してキリノを追いかけた。 ティアマトは、飛び出した「子供たち」を見て、少し寂しそうに、そして不満げに頬を膨らませた。

    「もう……。折角みんなで泥んこ遊びをしようと思ったのに。……いいわ、お母さんが全員まとめて抱きしめてあげる」


    『生命の海』が鎌首をもたげ、足立、熹一、アルコス、キリノたちをまとめて飲み込もうと襲いかかる。

  • 32二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 13:51:32

    あかんやんあかんやんあかんやん

  • 33心配症の周師匠26/01/11(日) 13:54:04

    【交差点・北側】

    「……やれやれ。役者が揃いすぎだろ」


    迅悠一は、迫り来る泥の津波と、乱戦を始める生存者たちを見渡した。 彼のサイドエフェクトには、幾通りもの「全滅」の未来が見えている。 だが、たった一つだけ。全員が生き残るわけではないが、このゲームを終わらせる「希望」が残る未来がある。


    「……そこの着物の人! 聞こえるかい?」

  • 34心配症の周師匠26/01/11(日) 13:56:15

    迅が叫ぶ。 両義式は、泥の海に飲まれそうになりながらも、その青い瞳を爛々と輝かせていた。

    「……なんだ。ナンパなら死ぬぞ」


    「怖いねえ。……単刀直入に聞くけど、あの泥の『核』、貴女の目なら斬れる?」


    式の視線が、上空のティアマトへと向く。 彼女は不敵に笑い、ナイフを逆手に持ち替えた。

    「……『核』どころか、あのデカ女の存在ごと殺せるぜ。……道が開けばな」

    「了解。その道、俺が作る」


    迅が風刃を構える。 その横で、アラスターが影から顔を出した。

    「おや! 私も混ぜていただけますか? このカオス、ラジオの最終回に相応しい!」

    「……勝手にしろ。ただし、邪魔したら斬る」


    世界は直径50メートルの泥のリングと化した。 生存者たちは、この狭い地獄で最後の決着をつけることになる。


    15ターン目 リザルト


    生存者 宮沢熹一(足立を追い詰める) / 足立透(窮地に立たされる) / 南光太郎(ティアマトの泥と戦う) / ベルナデッタ(アルトゥスの変化に戸惑いつつも、生存への希望を捨てない) / アルトゥス(アルコスが覚醒。足立へ残虐な殺意を向ける) / 月城柳(後方支援に回り、全体の戦況をモニターする) / ラーヴァ/ティアマト(全生命の回帰(リセット)を狙う) / パンドラネメシス(キリノをカバーするため、前線へ降下) / 中務キリノ(足立の凶行を許せず、逮捕に向かう) / 両義式(迅のサポートを受け、ティアマト殺.害の機を窺う) / 迅悠一(勝機を掴むため、自身の命を賭した立ち回りを開始) / アラスター(混沌を楽しみつつ、隙あらば誰かの魂を喰らおうと画策) / 羂索


    死亡者(脱落者) ジル・ド・レェ / 宇沢レイサ / 溶ける愛 / 谷垣源次郎 / 鹿紫雲一 / 桐山和雄 / 芳村功善

  • 35心配症の周師匠26/01/11(日) 14:05:46

    16ターン目

    【中央交差点・東側エリア】

    「どうした三下! 動きが鈍いぞ!」


    アルコスの猛攻が止まらない。 彼は自身の泥の体を弾丸のように飛ばし、再生し、変幻自在の戦法で足立透を追い詰める。 足立は『マガツイザナギ』で必死に応戦するが、物理法則を無視したアルコスの動きと、そこに乗る底知れぬ殺意に圧倒されていた。

    「クソッ、なんなんだよコイツら……! ゾンビかよ!」


    足立が焦って距離を取ろうとした瞬間、その背後に「影」が落ちた。 宮沢熹一だ。

    「よそ見しとる余裕あるんか?」

    「――ッ!?」


    足立が振り返る刹那、熹一の拳が、ガードごと足立の鳩尾を貫いた。 『灘神影流・塊貫拳』。 衝撃が内臓を突き抜け、背中のスーツが弾け飛ぶ。


    「ガハッ……!?」


    足立が膝から崩れ落ちる。 嘔吐し、白目を剥きかけた彼の胸倉を、熹一は冷ややかに掴み上げた。

    「……安心せぇ。殺しはせん。……一生、恐怖と後悔の中で生きさせるだけや」

    「……へ、へへ……優等生ぶって……つまんねえ……」


    足立は掠れた声で憎まれ口を叩き、そのまま意識を失って泥の中に倒れ伏した。 勝負あり。だが、熹一の顔に晴れやかさはない。

  • 36心配症の周師匠26/01/11(日) 14:09:09

    【中央交差点・南側エリア】


    一方、ティアマトは眼下で抵抗する「子供たち」を見て、悲しげに、しかし決然と両手を広げた。 その背後に、極彩色の光と原初の泥が渦巻く。

    「宝具、使えます」


    彼女の声が、世界そのものに響く。 強制的な回帰の儀式。誰も逃れることのできない、母なる愛の抱擁。

    「ネガ・ジェネシス、展開。毅き仔よ、創世の理に抗え……『毅き仔よ、創世の理に抗え(ナンム・ドゥルアンキ)』!!」


    泥の海が爆発的に膨張し、全てを飲み込む漆黒の津波となって襲いかかる。 物理的な質量攻撃であり、概念的な「リセット」攻撃でもある。 ベルナデッタが絶望に悲鳴を上げる。

    「きゃあああああ! 来ないでぇぇぇ!」

    「――下がりなさい」


    月城柳が動いた。 彼女は愛刀を構え、電気異常掌握能力を最大出力で解放する。___疾速の流転。 一瞬で構えを切り替え、雷光を纏った特殊なステップでベルナデッタの前に滑り込む。

    「出力限界突破(オーバーロード)。……ここを通すわけにはいきません」

  • 37心配症の周師匠26/01/11(日) 14:10:23

    柳の周囲に青白い雷撃のフィールドが展開される。 彼女は迫り来る神の泥に対し、一歩も退かずに刀を振るった。 電気の刃が泥を焼き、蒸発させようとする。だが、神代の魔力質量は彼女の想定を遥かに超えていた。

    「くっ……これほどの質量とは……!」


    「柳さん!?」

    「逃げてください、ベルナデッタさん! ……私の計算では、貴女なら生き残れます!」


    柳は結界の制御権をベルナデッタに強制譲渡すると、全てのエネルギーを放出(ディスチャージ)させ、泥の波と衝突させた。 閃光が爆ぜる。

    「……私の役目は、市民(あなたたち)を守ることですから」


    黒い泥が柳を飲み込む。 彼女は最期まで冷静なエージェントとしての表情を崩さず、その姿は完全に泥の底へと消えた。

    「柳さぁぁぁぁん!!」

  • 38心配症の周師匠26/01/11(日) 14:13:32

    【中央交差点・中央】

    「そこまでです! 公務執行妨害および大量殺人未遂の現行犯で逮捕します!」


    中務キリノは、泥の飛沫を浴びながらも、決して怯むことなくティアマトの足元へ肉薄していた。 その瞳には、ヴァルキューレ警察学校の生徒としての強い使命感が宿っている。 もはや天然ボケの様子はない。本気の警官の顔だ。

    「武器を捨てて投降しなさい! 抵抗するなら実力行使も辞さない構えです!」


    彼女は銃口を向ける。だが、ティアマトは困ったように、しかし冷酷に指を振るった。

    「お母さんの邪魔をする子は、お尻ぺんぺんよ」


    ティアマトの背後から、圧縮された高密度の魔力ビームが放たれる。 対象はキリノ。至近距離。回避不可能。

  • 39心配症の周師匠26/01/11(日) 14:14:44

    「――障壁展開。出力最大だよ」


    青白い影が、彼女の前に割り込んだ。 パンドラネメシスだ。 彼女は背中の『VOX』をパージし、全エネルギーを防御フィールドに変換した。


    ズガアァァァァン!!


    閃光が弾け、パンドラネメシスの装甲が紙屑のように剥がれ飛ぶ。 彼女の左腕が、右脚が、そして顔の半分が砕け散る。 それでも、彼女は一歩も退かなかった。

    「パ、パンドラちゃん!?」

  • 40心配症の周師匠26/01/11(日) 14:16:08

    煙が晴れた後、そこにはボロボロになったパンドラネメシスが立っていた。 彼女は崩れ落ちそうになる体を支え、キリノの方を向いた。

    「……対象、無事を確認。……よかったね」

    「どうして……どうして私なんかのために……!」


    キリノが涙ながらに駆け寄る。パンドラネメシスは、残った右腕でキリノの頬に触れた。


    「……分からないな。ただ、キリノが笑うと、私の回路が暖かくなるんだ。……これが『嬉しい』という感情なのかな?」


    それは無機質な機械ではなく、心を持った少女の言葉だった。

    「うぅ……そうです! それが心です! 貴方は人間です!」


    「……そうか。私は、人間になれたんだね……」


    パンドラネメシスは、穏やかに目を細める。 その瞳から光が消えていく。

    「……ありがとう、キリノ。……おやすみ」


    彼女の機能が停止する。その体は支えを失い、静かに爆散して光の粒子となった。

    「うあぁぁぁぁぁぁッ!!」


    キリノの慟哭が響く。

  • 41二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 14:17:31

    最終決戦ってだけあってどんどん死んでいくっスね

  • 42心配症の周師匠26/01/11(日) 14:17:50

    【中央交差点・上空付近】

    「……なんて美しい自己犠牲! これぞエンターテイメント!」


    アラスターが、泥の海の上を滑りながら狂喜する。 彼は混乱に乗じて、弱ったティアマトの背後を取っていた。 その狙いは、ティアマトの影。

    「いただきですよ、母なる神の魂!」


    アラスターが影の顎を開き、ティアマトに噛み付こうとした瞬間。 ティアマトの『目』が、背後の羽虫を捉えた。

    「……汚らわしい」


    ただの一言。 それだけで、アラスターの周囲の空間が「回帰」した。 彼が操る影も、彼の肉体も、一瞬にして原初の泥へと還元されていく。

    「おや……? 私の体が……崩れて……?」


    アラスターは自分の手が溶けていくのを見て、驚き、そしてニヤリと笑った。

    「ハハッ! まさか私が食べられる側とは! ……いやはや、この結末、実にラジオ的だァ……!」


    彼は最期まで道化を演じきり、ノイズと共に泥の海へと溶けて消えた。


    移動につき中断ッ

    好きなキャラとか場面を教えてくれよ

  • 43二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 14:19:43

    >>35

    かっこいいのおキー坊

    ですねえ

  • 44心配症の周師匠26/01/11(日) 14:32:57

    【中央交差点・北側】

    「……道は、できた」


    迅悠一が、風刃を下ろして呟く。 柳の犠牲、パンドラネメシスの特攻、アラスターの自滅。 それらがティアマトの注意を分散させ、一瞬の隙を生んだ。

    「……ああ。バッチリ見えたぜ」


    両義式が、虚空を見据える。 彼女の魔眼には、ティアマトの胸元に輝く「死の点」が、明確な線となって見えていた。

    「そこの黒いバッタのお兄さん! 頼めるかい!?」


    迅が叫ぶ。視線の先には南光太郎。 光太郎は迅の意図を瞬時に理解したわけではない。 だが、歴戦の戦士としての勘が告げていた。「今、あそこを突き破れば勝てる」と。

    「……おおおおおおッ!!」


    光太郎が吠える。 彼は悲しみを怒りに変え、最後の変身エネルギーを振り絞ってティアマトへ特攻した。

    「ライダー、パァァァンチッ!!」


    赤熱した拳が、ティアマトの展開する多重防御壁を物理的に粉砕する。 こじ開けられた神の懐。 その開かれた道を、式が疾走する。

    「……『核』どころか、その存在ごと殺してやるよ」


    ナイフが煌めく。 神殺しの一撃が、放たれようとしていた。

  • 45心配症の周師匠26/01/11(日) 14:53:02

    16ターン目 リザルト

    生存者 宮沢熹一(足立を完全に無力化。しかし、新たな犠牲に心を痛める) / アルトゥス(アルコスの人格のまま、熹一と共に周囲を警戒) / 南光太郎(迅のパスを受け、ティアマトへの道を切り開くため捨て身のパンチを敢行) / 両義式(「死の線」を捉え、ティアマトへの必殺の一撃を放つ直前) / 迅悠一(未来予知を駆使し、光太郎を動かして完璧なお膳立てを整える) / 中務キリノ(パンドラネメシスの死に絶望し、戦意喪失寸前) / ベルナデッタ(柳の犠牲により生き延びるが、精神的限界を迎えている) / ラーヴァ/ティアマト(宝具『毅き仔よ、創世の理に抗え』を発動するが、アラスターらの処理に一瞬気を取られ、懐に飛び込まれる) / 足立透(熹一に敗北し、意識不明の重体。泥の上に倒れ伏す) / 羂索

    死亡者(脱落者) ジル・ド・レェ / 宇沢レイサ / 溶ける愛 / 谷垣源次郎 / 鹿紫雲一 / 桐山和雄 / 芳村功善

    月城柳 (死因:圧死・消失) ティアマトの放った宝具による泥の津波からベルナデッタを守るため、オーバーロードさせた電気結界と共に身代わりとなる。圧倒的な質量の泥に飲み込まれ、市民を守るエージェントとしての責務を全うして消滅した。

    パンドラネメシス (死因:自爆・機能停止) ティアマトの攻撃から中務キリノを守るため、全エネルギーを防御に回して直撃を受ける。最期に「感情」というバグを獲得し、人間になれたことを喜びながら爆散、消滅した。

    アラスター (死因:還元) 混乱に乗じてティアマトの魂を捕食しようと試みるが、格の違いを見誤り返り討ちに遭う。ティアマトの権能により肉体を原初の泥へと還元され、その結末を楽しみながら消滅した。

  • 46心配症の周師匠26/01/11(日) 15:00:27

    17ターン目

    【中央交差点・中心部】

    「――『直死』」


    両義式のナイフが、ティアマトの胸にある「死の点」を貫いた。 物理的な硬度も、魔術的な防御も意味をなさない。 「生きている」という概念そのものが殺された瞬間だった。


    「あ……ぁ……」


    ラーヴァ/ティアマトの瞳から、神威が失われていく。 彼女は崩れゆく泥の体で、最期に子供たち(生存者たち)を優しく見つめた。

    「……そう。……もう、親離れの……時間なのね……」


    ドロリ、と巨大な女神が崩壊し、ただの黒い泥の山へと還っていく。 世界を飲み込もうとしていた脅威は、英雄たちの連携によって去った。

    「ハァ……ハァ……! やったか……!」


    南光太郎が変身を解き、膝をつく。満身創痍だ。 その横で、アルコスが舌打ちをした。

    「……チッ。時間切れか。……おい、後は任せたぞ」


    アルコスの鮮血色の瞳が、スゥッと本来の穏やかな泥色に戻る。 殺気立っていた表情が霧散し、憑き物が落ちたような顔になる。

    「……ん? ……俺、何を……? ッ、体が重ぇな……」


    アルトゥスに戻った彼は、その場に崩れ落ちた。限界を超えた魔力行使の代償だ。

  • 47心配症の周師匠26/01/11(日) 15:01:28

    「……終わったな。これで、元の世界に……」


    宮沢熹一も荒い息を吐きながら、気絶している足立透を見下ろした。 生存者たちの間に、安堵の空気が流れた。 迅悠一だけが、冷や汗を流しながら虚空を睨んでいることを除けば。

    「……いや、違う。……まだ『最悪』が残ってる……! むしろ、これからが本番だ!」


    迅の焦燥に満ちた声が響いた瞬間。 泥の海に沈んでいたはずの「闇」が、拍手の音と共に凝縮し始めた。

  • 48心配症の周師匠26/01/11(日) 15:05:13

    パチ、パチ、パチ。

    「素晴らしい。いやあ、実に感動したよ。神殺しの偉業、特等席で見せてもらった」


    影からぬらりと現れたのは、袈裟を着た男――羂索。 彼は戦場を散歩でもするかのように歩き、倒れている足立透の元へ近づいた。

    「な、なんや貴様……!」


    熹一が警戒する。だが、羂索は熹一を無視し、足立の頭に手を置いた。

    「彼は良い『混沌』のスパイスだったね。世界への憎悪、鬱屈した破壊衝動。……ペルソナと言ったかな? その濃厚な呪い、頂くよ」

    「……あ、が……!?」


    気絶していた足立が、ビクンと痙攣する。 羂索の手のひらに、足立の背中から赤黒いオーラ(マガツイザナギ)が強制的に引きずり出されていく。 魂を引きちぎられるような冒涜的な光景。 足立は白目を剥き、声にならない悲鳴を上げてぐったりと動かなくなった。

    「ふむ。……やはり質がいい。少し煮込めば極上の『悪意』になる」


    羂索は黒い玉となった「足立の力」を飲み込むと、次は崩壊したティアマトの泥の山へと向き直った。


    「そして、メインディッシュだ」

  • 49心配症の周師匠26/01/11(日) 15:08:41

    「やめろッ!!」


    光太郎が叫び、走り出す。 だが、遅い。 羂索は両手を広げ、呪術の極致を展開した。

    「『呪霊操術・極ノ番(うずまき)』」


    ゴオオオオオオッ!!


    世界に残っていた大量の黒い泥――ティアマトの骸(むくろ)が、渦を巻いて羂索の手のひらへと収束していく。 原初の母が持っていた膨大な魔力、生命のリソース、そして「創世」の権能。 それら全てが、一人の呪術師の胃袋へと消えた。

    「――ッ!?」


    両義式が、初めて戦慄の表情を浮かべた。 彼女の魔眼に見えていた「死の線」が、羂索という存在の中で複雑に絡み合い、膨れ上がり、読み取れないほどの「何か」に変質していく。

    「貴様……最初から、これを狙って……!」


    迅が歯噛みする。未来が見えていても、止められなかった。 羂索は、自身の肉体がミシミシと音を立てて作り変えられるのを、うっとりとした表情で受け入れていた。


    「狙う? ……少し違うな」


    羂索は、異形のオーラを纏いながらゆっくりと振り返る。 その顔には、邪悪さよりも、純粋で無邪気な子供のような「好奇心」が張り付いていた。

    「私はただ、見たかったんだよ。私自身の手から離れた『カオス』をね」

  • 50二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 15:09:42

    ワクワク

  • 51心配症の周師匠26/01/11(日) 15:10:51

    彼は生存者たちを見渡す。

    「この閉鎖空間は、巨大な蟲毒(こどく)の壺だ。異界の戦士たちの魂、社会が生んだ呪い、そして原初の神の泥……これらを混ぜ合わせたら、一体何が生まれると思う?」

    「……何が言いたいんや」


    熹一が低く唸る。羂索はクスクスと笑った。

    「私が創るものなんて、たかが知れている。私の想像の範疇(ナカ)でしかないからね。……だから、可能性(カオス)に委ねることにしたんだ」


    羂索の背後に、マガツイザナギの凶悪さと、ティアマトの神々しさ、そして無数の怨念が混ざり合った、名状しがたい巨大な影が立ち上がる。

    「もし、この実験で生まれる『ナニカ』が、抱腹絶倒の間抜けヅラをしていたらどう思う? ……笑っちゃうよね」

  • 52心配症の周師匠26/01/11(日) 15:14:29

    「ふざけないでください……! そんな……そんなことのために、みんなを殺したんですか……ッ!!」


    キリノが涙を流して叫ぶ。その口調は丁寧だが、込められた怒りは誰よりも深い。 彼女の脳裏には、自分を庇って散ったパンドラネメシスの笑顔が焼き付いている。

    「たかが好奇心のために……あの子を……みんなを犠牲にしたなんて、絶対に許されません……ッ!!」


    だが、羂索にはその悲憤すら心地よいBGMに過ぎない。

    「そうだよ。呪力の最適化、人類の可能性……呼び方は何でもいい。私はただ、知りたいだけさ」


    羂索が指を鳴らす。 途端に、中央交差点の重力が倍加したかのように、全員が地面に這いつくばらされた。

    「ぐアァァッ!?」

    「立てない……だと……!?」


    光太郎が歯を食いしばるが、体が鉛のように重い。 羂索は、絶望に染まる彼らを見下ろし、狂気的な笑顔で告げた。

    「さあ、始めようか。1億人の日本人の代わりだ……君たち英雄の魂で、新しい世界を創ろうじゃないか」

  • 53心配症の周師匠26/01/11(日) 15:16:47

    17ターン目 リザルト

    生存者 羂索(足立透のペルソナと、ティアマトの残滓を取り込み、知的好奇心を満たすためのラスボスとして覚醒) / 宮沢熹一(重力に押し潰されながらも、羂索への怒りで意識を保つ) / 南光太郎(変身解除状態。圧倒的な力の差に絶望しかけるが、心は折れていない) / 両義式(「死」が視えないほどの混沌を前に、打開策を模索する) / 迅悠一(羂索の真の目的を看破するが、為す術なく押し潰される) / アルトゥス(人格が戻るも魔力切れで衰弱し、さらに重力で行動不能) / 中務キリノ(パンドラネメシスらの犠牲を「実験」と呼ぶ羂索の所業に、公安局員として最大の怒りを燃やす) / ベルナデッタ(恐怖のあまり失神寸前)

    死亡者(脱落者) ジル・ド・レェ / 宇沢レイサ / 溶ける愛 / 谷垣源次郎 / 鹿紫雲一 / 桐山和雄 / 芳村功善 / 月城柳 / パンドラネメシス / アラスター

    ラーヴァ/ティアマト (死因:直死・吸収) 両義式の直死の魔眼によって「核」を殺され、活動を停止。崩壊した残骸(魔力リソース)を羂索の『呪霊操術』によって全て吸収され、彼の実験材料となった。

    足立透 (状態:再起不能) 宮沢熹一に敗北し気絶していたところを羂索に襲われる。ペルソナ『マガツイザナギ』を無理やり抽出・吸収され、精神と魂が抜け落ちた廃人のようになってしまった。死亡はしていないが、ゲームからは完全に脱落。

  • 54二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 15:27:19

    やっぱ羂索はこういう役が似合うのォ

  • 55心配症の周師匠26/01/11(日) 15:30:48

    18ターン目

    【中央交差点・特異点】

    「さあ、産声を聞かせておくれ」


    羂索が指揮者のように腕を振り上げると、彼の背後で渦巻いていた黒い泥と赤黒い怨念が、一つの巨大な形状へと凝縮された。 ティアマトの『生命の海』を肉体とし、足立透の『マガツイザナギ』を骨格とした、神と悪魔の融合体。 それは咆哮一つで周囲のビル(の残骸)を粉砕し、空間そのものを歪ませるほどの圧倒的なプレッシャーを放っていた。

    「素晴らしい出力だ。純粋な破壊力だけで言えば、特級どころの話じゃないね」


    羂索は目を輝かせ、無邪気な子供のように笑った。 まずは「実験」だ。この新しいオモチャが何処まで通用するのか、目の前のモルモットで試さなくてはならない。

    「行っておいで。……『破壊』だ」


    巨人が腕を振り上げる。 単純な、しかし山一つを粉砕するほどの質量攻撃。 重力に縛られた生存者たちに、逃げる術はない。

    「――させるかァッ!!」


    その絶望的な圧力を跳ね除け、立ち上がる男がいた。 南光太郎だ。 変身能力は失われている。身体はボロボロだ。 だが、彼の腹部にある『キングストーン』が、主の怒りに呼応して赤熱し、限界を超えた活力を供給している。

  • 56心配症の周師匠26/01/11(日) 15:32:33

    「俺は……まだ、負けていないッ!!」


    光太郎は、振り下ろされる巨人の豪腕を、生身の腕で受け止めた。


    ズガガガガガッ!!


    地面が陥没し、光太郎の膝が沈む。 骨が悲鳴を上げ、筋肉が断裂する音が響く。それでも、彼は後退しない。

    「ほう。……改造人間か。生物としての強度が常軌を逸しているね」


    羂索は感心したように頷く。

    「でも、耐えるだけで精一杯だ。……そこからどうするの?」


    羂索が指先を動かし、巨人の出力を上げる。 光太郎の口から血が噴き出す。

    「今だッ! 熹一!」


    光太郎が歯を食いしばりながら叫ぶ。 その瞬間、光太郎の影から宮沢熹一が飛び出した。 重力に逆らい、地面を滑るような超低空の踏み込み。狙うは羂索の喉笛。

  • 57心配症の周師匠26/01/11(日) 15:34:58

    「貰ったでぇッ!!」

    『灘神影流・幻突』。


    「……おや」


    羂索は眉一つ動かさず、ただ立っていた。 熹一の拳が羂索の懐に近づく寸前、見えない壁――『反重力機構』が発動する。

    ドォォォォン!!

    「ガハッ……!?」


    打撃が弾かれ、逆に強烈な衝撃波が熹一を襲う。 彼はボールのように吹き飛ばされ、瓦礫の山に叩きつけられた。

    「……ふむ」


    羂索は、倒れた熹一と、耐え続ける光太郎を見比べる。 そして、その表情から「期待」の色が少しずつ薄れ始めた。

  • 58心配症の周師匠26/01/11(日) 15:36:12

    「……強いね。君たちも、この巨人も」


    彼は、背後の巨人を冷めた目で見上げた。


    「でも、それだけだ。……言いつけ通りに破壊し、言いつけ通りに暴れる。そこに『ゆらぎ』がない。……1億人の呪霊なら、もっと予想外の動きをしたかもしれないのに」


    実験の結果は「成功」だ。強大な怪物が生まれた。 だが、羂索が求めていたのは「制御不能なカオス」であり、こんな「従順な破壊兵器」ではなかった。 彼の心に、急速に「退屈」という名の虚無が広がり始める。

    「……はぁ。結局、私の手の中で完結してしまったか。……つまらないねえ」


    羂索はあからさまにため息をついた。

    「もういいよ。……君たちも、この失敗作の一部になりなさい」


    彼は興味を失ったように、巨人のさらなる攻撃を指示しようとする。

  • 59心配症の周師匠26/01/11(日) 15:38:15

    「……民間人に……手を出すな……ッ!」


    その時、乾いた銃声が響いた。 中務キリノだ。 彼女は地面に這いつくばりながらも、震える両手で拳銃を構え、羂索に向けて発砲し続けていた。


    本来なら、そんな状態で当たるはずがない。 そもそも彼女の射撃の腕は、静止した的ですら外すほど壊滅的だ。 だが――それゆえに、弾道は「異常」だった。


    キン、キン、キキンッ!

    「……ん?」


    発射された弾丸は、ありえない角度で瓦礫に跳弾し、弧を描き、物理法則を無視して四方八方から羂索へと殺到した。 予測不能の全方位射撃。


    だが、それらは全て羂索の皮膚に触れる寸前で、重力障壁によって弾き落とされた。

    「……ふふ、面白い軌道だ。君自身のカオスかな?」


    羂索は少しだけ笑ったが、すぐにまた冷めた目に戻った。

    「あなたは……何も分かっていない……! 失敗作なんかじゃない……! あの子は、パンドラちゃんは、貴方の言う実験なんかじゃなかった……! 心を持って、誰かを守ろうとした、立派な『人間』でした……ッ!」


    キリノの悲痛な叫び。 だが、羂索はその言葉にこそ、最大の失望を見せた。

  • 60心配症の周師匠26/01/11(日) 15:39:51

    「……心? 感情? ……ああ、あのお人形のことか」


    羂索は呆れたように首を振る。


    「『人形が心を持つ』。……実にありふれた、使い古された陳腐な物語だ。私が期待したのは『呪いの進化』であって、『人間の模倣』への退化じゃないんだよ」


    彼はパンドラネメシスの最期を、そして目の前の巨人の完成度を、完全に「期待外れ」と断じた。

    「人間と同じ枠に収まってどうするんだい? 可能性(カオス)が死んでいるよ」

    「……ッ!!」


    キリノは唇を噛み締める。言葉が通じない。価値観の断絶。 羂索が手をかざす。 巨人の胸部が裂け、そこから赤黒い極大の呪力ビームが放たれようとしている。 全員が死を覚悟したその時。

  • 61心配症の周師匠26/01/11(日) 15:42:40

    「……まだだ! まだ『確定』してない!」

    迅悠一が叫んだ。 彼の目から、血が流れている。未来視の酷使による限界だ。 彼は風刃を構え、羂索が「退屈」を感じて思考を緩めた、ほんの一瞬の隙を見逃さなかった。

    「羂索! あんたは計算通りに作ったつもりだろうが……『混ぜちゃいけない劇薬』も混ざってることに気づいてない!」

    「……何?」


    「両義さん! 今だ! 『線』を見るな!」


    迅の指示が飛ぶ。


    「あの巨人の『内側』だ! 制御しきれてない『ノイズ』が、まだ残ってる!」

    「……なに?」


    両義式が目を凝らす。 混沌とした泥の巨人の深層。 神の泥と、足立の悪意が完璧に融合しているように見えたその奥底。 ――微かに輝く、見覚えのある「ノイズ」が見えた。

    「……ハッ。なるほどな。……そういうことかよ」


    式が獰猛に笑う。 羂索が「陳腐なノイズ」として切り捨てた要素こそが、この完璧な怪物を殺すための唯一の綻びだったのだ。

    「悪食が過ぎるぜ、黒幕さん。……腹壊しても知らねえぞ」


    戦況は依然として絶望的。 だが、逆転への「糸口」だけは、ギリギリで見つかった。

  • 62心配症の周師匠26/01/11(日) 15:44:19

    18ターン目 リザルト

    生存者 羂索(融合巨人の威力を試すが、予想の範疇に収まる性能と、陳腐な結末に失望し始める。英雄たちを「処理」しようと動く) / 南光太郎(生身で巨人の豪腕を受け止め、瀕死になりながらも耐え続ける) / 宮沢熹一(決死の攻撃も反重力機構に阻まれ、吹き飛ばされる) / 迅悠一(羂索が興味を失った一瞬の隙と、融合体の内なる矛盾を見抜く) / 両義式(迅の指示で、巨人の内側に潜む「死の起爆剤」を視認する) / 中務キリノ(物理法則を無視した射撃を見せるも通用せず、羂索の言葉に憤る) / アルトゥス(魔力切れで動けず、状況を見守るしかない) / ベルナデッタ(守られるだけでなく、祈るように仲間を見守る)

    死亡者(脱落者) ジル・ド・レェ / 宇沢レイサ / 溶ける愛 / 谷垣源次郎 / 鹿紫雲一 / 桐山和雄 / 芳村功善 / 月城柳 / パンドラネメシス / アラスター / ラーヴァ/ティアマト(吸収済) / 足立透(吸収済)

  • 63二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 15:49:05

    燃える展開やのお
    ですねえ

  • 64心配症の周師匠26/01/11(日) 15:55:15

    出力と少し用事があるので中断ッ

    16時半過ぎには戻ると思われる

    マネモブ…感(省略書き文字)


    >>63

    感謝します(ガシッ)

  • 65二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 16:09:51

    うむっやはり羂索といいリンボといい呪術師には黒幕成分が多く含まれている

  • 66心配症の周師匠26/01/11(日) 16:29:57

    再開ッ


    19ターン目

    【中央交差点・特異点】

    「さあ、終幕だ。……次はもっと面白いカオスが生まれるといいな」


    羂索が指を鳴らす。 融合巨人の胸部が赤熱し、破滅の光が解き放たれようとしていた。 重力に縛られた生存者たちに、それを回避する術はない。

    「……まだや。まだ、終わってへんぞ」


    血反吐を吐きながら、宮沢熹一がゆらりと立ち上がる。 全身の骨がきしむ音がするが、彼の瞳孔は開かれ、極限の集中状態に入っていた。

    「……熹一」


    その横で、南光太郎もまた、キングストーンの輝きと共に立ち上がっていた。 彼は無言で頷くと、全身のエネルギーを解放する。

    「うおおおおおォォッ!! 変……身ッ!!」


    閃光が弾ける。 砕けた骨が強制的に繋がり、引き裂かれた筋肉が再構築される。 黒いバッタの怪人――ブラックサンがそこに顕現する。だが、その体からは火花が散り、限界を超えた負荷に悲鳴を上げている。

    「ほう。まだ動くか。……だが、その傷で何ができる?」


    羂索は冷ややかに見下ろす。巨人のビーム発射まで、あと数秒。

  • 67心配症の周師匠26/01/11(日) 16:33:17

    光太郎は、羂索の言葉を無視し、自らの左肩にあるバッタの脚部――『黒肢鎧(アームドブラック)』に右手をかけた。

    「――ッ、グ、オオオオォォッ!!」


    彼は、自らの肉体の一部であるそれを、渾身の力で引き剥がしにかかった。 生木を裂くような、あるいは生きた甲殻類をもぐような湿った音が響く。 装甲の隙間から、血ともオイルともつかない体液が勢いよく噴き出す。

    「なっ……!?」


    熹一が目を見開く。 武術家として、人体の構造を知り尽くしている彼だからこそ分かる。 あれは、二度と戻らない。 「王」としての五体の一部を永久に失う、決別の行為。

    「オッサン……アンタ、そこまでして……ッ!」


    ブチィィンッ!!

    激痛に絶叫しながら、光太郎は左肩の脚をねじり切った。 彼は滴る体液も構わず、引きちぎった脚を勢いよく振り回す。 遠心力によって甲殻が展開し、鋭利かつ長大な黒い剣――『世紀王ブラックブレード』へと変化した。


    生涯で二度しか振るえない、魂の刃。


    光太郎は剣を構え、熹一を見た。

    「熹一。……道を空けるぞ」

    「……上等や。その覚悟、ワシが支えたる!」


    二人の英雄が同時に大地を蹴る。 重力障壁が二人を押し潰そうとするが、今の彼らの気迫は物理法則すらねじ伏せる。

    「無駄だ。出力が違いすぎる!」


    羂索が叫ぶ。巨人の胸部から、極大の呪力ビームが発射される。 光太郎に向かって一直線に迫る死の光。

  • 68心配症の周師匠26/01/11(日) 16:36:54

    「行かせへんでェェッ!!」


    熹一が光太郎の前に飛び出した。 彼は死を恐れず、迫りくるビームの側面に、自身の全体重を乗せた蹴りを叩き込んだ。

    「コブラ・ソードッ!!」


    真正面から受け止めれば蒸発する。 だが、熹一はビームの「芯」をわずかにずらすことで、光の軌道を数メートルだけ逸らした。 右半身が熱波で焼かれ、激痛が走る。だが、道はできた。

    「今やッ!! 行けェ南ィィィッ!!」

    「うおおおおおおおおッ!!」


    熹一がこじ開けた一瞬の隙間。 光太郎は加速し、黒い剣を突き出したままビームの余波を突き破った。

    「お前には分かるまい! 痛みも、命の重みも知らぬお前には!!」


    光太郎の『世紀王ブラックブレード』が、羂索を守る重力障壁に突き刺さる。 硬い。だが、光太郎は止まらない。残った右肩の脚部からエネルギーを噴射し、さらに押し込む。

    「この一撃に……俺たちの全ての命を賭ける!!」

  • 69心配症の周師匠26/01/11(日) 16:39:31

    パリンッ!!

    「……何っ?」


    羂索が驚愕する。 絶対不可侵であるはずの反重力機構が、二人の執念によって物理的に粉砕された。

    ズバァァァァン!!


    ブラックブレードの一閃が、巨人の核に深々と突き刺さる。 光太郎の一撃が、巨人の内部で渦巻いていた「ノイズ」――羂索が制御しきれていなかった足立の悪意とティアマトの残滓――を刺激し、内部崩壊の連鎖を引き起こした。


    「グ、ガアァァァッ!!」


    巨人が苦悶の咆哮を上げ、動きが停止する。 羂索の体が無防備に晒された。

    「……チッ。まさか、自らの肉体を代償にしてまで……。……『根性』というやつかい? 全く、普通すぎる」


    羂索が不快そうに舌打ちをする。 その一瞬の隙。 未来予知を持つ男が、見逃すはずがなかった。

    「……今だッ!! 行けぇぇッ!!」


    迅悠一の声が轟く。 その合図を待っていた「死」が、爆煙の中から飛び出した。

  • 70心配症の周師匠26/01/11(日) 16:41:37

    19ターン目 リザルト

    生存者 羂索(光太郎と熹一の決死の連携により、重力障壁を破られ巨人が機能不全に陥る。想定外の「根性」に不快感を露わにする) / 南光太郎(左肩の『黒肢鎧』を引きちぎり『世紀王ブラックブレード』として使用。熹一のサポートを受けて巨人の核を破壊するが、自身も爆発と反動で限界を迎え、崩れ落ちる) / 宮沢熹一(光太郎の突撃を成功させるため、ビームの軌道を蹴りでずらすという荒業を敢行。右半身に酷い火傷を負うが、勝機を繋いだ) / 両義式(迅の合図と共に、羂索の隙を突いて突撃を開始) / 迅悠一(光太郎と熹一が作った千載一遇のチャンスを捉え、式に攻撃指示を出す) / アルトゥス(重力が弱まったことで動けるようになり、戦況を見守る) / 中務キリノ(同上) / ベルナデッタ(同上)

    死亡者(脱落者) ジル・ド・レェ / 宇沢レイサ / 溶ける愛 / 谷垣源次郎 / 鹿紫雲一 / 桐山和雄 / 芳村功善 / 月城柳 / パンドラネメシス / アラスター / ラーヴァ/ティアマト(吸収済) / 足立透(吸収済)

  • 71心配症の周師匠26/01/11(日) 16:44:55

    20ターン目

    【中央交差点・特異点】


    光太郎と熹一が開いた風穴。 そこへ、死神が舞い降りる。

    「……見えた」


    両義式の瞳が、蒼く冷たく輝く。 彼女の視界において、羂索という存在はもはや「強大な術師」でも「黒幕」でもなかった。 無数の継ぎ接ぎだらけの、脆く、壊れやすい「死の線」の集合体。

    「……来るか」


    羂索は、迫りくる式に対して冷静に迎撃の構えを取る。 重力障壁は破られた。巨人も機能不全。 ならば、千年磨き上げた体術と呪力操作で直接迎え撃つのみ。

    「だが、君の刃は私に届か――」


    羂索が呪力を纏った拳を突き出す。 その動きは達人の域にあり、本来なら式であっても容易には捌けない。 だが、今の式には「結果」が見えていた。

    「……遅い」


    式は羂索の拳を避けない。 彼女はナイフを一閃させる。 狙ったのは、羂索の肉体ではない。 彼と世界を繋いでいる、彼をこのゲームの管理者たらしめている「因果の線」。

    「――『直死』」


    銀閃が走る。 羂索の拳が、式の頬を掠める直前で霧散した。 いや、拳だけではない。彼が纏っていた膨大な呪力、背後で崩れかけていた巨人、そして彼が支配していた空間そのものが、まるで「最初から存在しなかった」かのように断ち切られた。

    「……あ?」


    羂索が呆けた声を出す。 彼の胸に、斜めの一線が走る。 血は出ない。ただ、そこから彼の「存在」が砂のようにサラサラと崩れ落ちていく。

  • 72二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 16:46:35

    おおっ羂索の腕が消えているっ
    死の線を切られたのが効いとるんやっ

  • 73心配症の周師匠26/01/11(日) 16:49:38

    「何だ……これは……」


    羂索は自分の手を見る。指先が崩れていく。 再生しようと反転術式を回すが、意味がない。 「治す」ための肉体の定義が、根源から殺されているからだ。

    「おまえの言う『カオス』ってのは、こういう事だろ?」


    式が着物の裾を直し、冷ややかに告げる。 彼女の魔眼はすでに閉じられている。もう、見る価値もないと言わんばかりに。

    「計算通りのオチなんてつまらない。……だから、おまえの計算の外側から殺してやった」


    「……は、はは……」


    羂索は膝から崩れ落ちる。 彼は空を見上げた。そこには、ただの青空(虚擬空間の天井)が広がっているだけだ。 1億人の呪霊も、人類の進化も、新しい世界も、何も生まれていない。

    「……ああ、なんて……つまらない結末だ」

  • 74二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 16:50:40

    このレスは削除されています

  • 75二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 16:51:47

    このレスは削除されています

  • 76心配症の周師匠26/01/11(日) 16:53:02

    連続でミスってしまい申し訳ないことをしたと恥じている


    羂索の口から、乾いた笑いが漏れる。 彼が最期に感じたのは、痛みでも恐怖でもなく、底知れない「空虚」だった。

    「期待したんだけどな……。君たちの執念も、自己犠牲も……結局は『正義が勝つ』という、使い古された陳腐なシナリオに収束してしまった」


    彼は、倒れている光太郎や熹一、そして涙を流すキリノの方を見る。 そこにあるのは、期待外れの陳腐な人間ドラマだけだ。 理不尽な冗談も、馬鹿げた超展開もない。ただひたすらに真面目で、熱苦しい、因果応報の物語。

    もし、この場に自分と同じくらいふざけた、理屈の通じない「遊び相手」がいれば、この幕切れも違った味わいになったかもしれない。 「これじゃ笑えないよ」と軽口を叩き合い、満足して退場できたかもしれない。


    だが、ここには「悪」を許さぬ英雄たちしかいなかった。 彼の千年の好奇心は、誰とも響き合うことなく、ただ処理されるべき「害悪」として切り捨てられた。 そこには、笑いも、共感も、何一つない。

    「……はぁ。……孤独だな」


    その一言を最期に、羂索の頭部が崩れ落ちる。 千年の呪術師は、何も満たされることなく、ただの塵となって風に消えた。

  • 77二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 16:55:46

    ふうんやはり最期の遊び相手は高羽が一番だったということか

  • 78心配症の周師匠26/01/11(日) 16:56:10

    【中央交差点・全域】


    羂索の消滅と共に、世界を覆っていた赤い警告灯が消える。 崩壊しかけていた空間が安定し、静寂が戻ってきた。

    「……終わっ……た……?」


    ベルナデッタが、へたり込む。 彼女の目の前で、アルトゥスが泥の人形に戻り、静かに目を閉じていた。魔力が尽きたのだ。

    「……やったな。南さん、オッサン」


    迅悠一が、瓦礫の上で息をつく。 彼もまた限界だった。風刃が手から滑り落ち、カランと乾いた音を立てる。

    「……ああ。……終わったんだな」


    南光太郎は、変身が解けた体で仰向けに倒れていた。 失った左腕の激痛も、今は心地よい疲労感に麻痺している。 その横で、宮沢熹一も大の字になって空を見上げていた。

    「……ホンマ、しんどいゲームやったわ……」


    二人の英雄は、互いに顔を見合わせ、泥と血に塗れた顔でニカっと笑った。 言葉はいらない。生きて、勝った。それだけで十分だった。

    「確保……完了です……」


    中務キリノは、羂索が消えた場所に手錠を置くと、そのまま意識を失った。 彼女の小さな正義が、世界を救う一端を担ったのだ。


    『生存者数:残り7名』 『ゲームセット』 『勝者:生存者同盟』


    無機質なアナウンスが響く。 それは、地獄のような殺し合いの終わりを告げる福音だった。

  • 79心配症の周師匠26/01/11(日) 16:57:48

    20ターン目(最終ターン) リザルト


    生存者(ゲームクリア) 南光太郎 (重傷・左腕欠損。自らの肉体を犠牲に道を切り開き、最後まで希望を捨てなかった) 宮沢熹一 (重傷・右半身火傷。光太郎と共に最前線で戦い抜き、英雄としての責務を果たす) 両義式 (無傷だが精神的疲労あり。全ての因果を断ち切り、ゲームを終わらせた最大の功労者) 迅悠一 (重度の副作用。未来を導く司令塔として、全員生存のルートを確定させた) アルトゥス (魔力枯渇により機能停止中。アルコスの人格は沈静化し、主を守り抜いた) 中務キリノ (重傷・気絶。非力ながらも最後まで抗い、その精神性が羂索の隙を生んだ) ベルナデッタ (軽傷。多くの仲間に守られ、その悲しみを背負って生還する)


    死亡者(脱落者) 羂索 (両義式により存在を殺され消滅。理解者も遊び相手もいない孤独の中で、虚しく散った) ジル・ド・レェ / 宇沢レイサ / 溶ける愛 / 谷垣源次郎 / 鹿紫雲一 / 桐山和雄 / 芳村功善 / 月城柳 / パンドラネメシス / アラスター / ラーヴァ/ティアマト / 足立透(廃人化により脱落扱い)


    >>77

    Geminiに聞いたら高羽とまだ出会ってない時系列を想定していたみたいなんで知らないなりに調べてこういう終わり方にしてもらった…周師匠だ

  • 80二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 17:07:33

    光太郎とキー坊のコンビ…神

  • 81心配症の周師匠26/01/11(日) 17:10:27

    エピローグ:願い

    戦いが終わり、瓦礫の山だった中央交差点が、柔らかな光に包まれていく。 血の匂いも、泥の悪臭も消え失せ、生存者たちは真っ白な「無」の空間に立っていた。 そこへ、感情のないシステムアナウンスが響く。


    『勝者への報酬を付与します』


    『生存者7名には、それぞれ「あらゆる願いを一つだけ」叶える権利が与えられます』


    『死者の蘇生、肉体の修復、富、名声、世界の改変……制限はありません。望むものを言葉にしてください』


    あまりに唐突で、強大な権利。 だが、彼らは顔を見合わせ、迷うことなく頷き合った。 この戦いの中で、彼らの心はすでに決まっていたからだ。


    【第一の願い:中務キリノ】


    最初に口を開いたのは、ボロボロの制服を着た中務キリノだった。 彼女は涙を拭い、真っ直ぐに虚空を見上げた。

    「……私の願いは一つです」


    「私を庇って壊れた、パンドラネメシスちゃんを治してください! 元通りに……ううん、あの子が最後に手に入れた『心』を持ったまま、元気な姿に戻してください!」


    『受理されました』


    光の粒子が集束し、少女の形を成す。 そこには、五体満足で、穏やかに微笑むパンドラネメシスの姿があった。

    「……キリノ? ……私は、機能停止したはずでは?」

    「パンドラちゃんっ! うわあぁぁん!」

    「……泣かないで。貴方の涙は、私の回路をショートさせますから」


    抱き合う二人を見て、生存者たちの表情が緩む。

  • 82心配症の周師匠26/01/11(日) 17:12:01

    【第二の願い:ベルナデッタ】


    続いて、ベルナデッタが小さく手を挙げた。 彼女はもう、怯えてばかりの少女ではなかった。

    「あ、あの……! 私も……私の友達を……!」


    「アルトゥスを、治してください! 泥に戻ってしまった彼に、もう一度命を……!」


    『受理されました』


    足元に崩れていた泥の山が渦を巻き、屈強な巨人の姿へと戻る。 アルトゥスが目を開ける。その瞳は、狂暴な赤色ではなく、穏やかな泥色だった。

    「……お嬢? ……俺は……」


    「アルトゥス! よかった……本当によかった……」


    「……へへ。心配かけさせやがって。……ありがとな、お嬢」


    【第三の願い:南光太郎】


    南光太郎が一歩前へ出る。 彼は失った左腕の傷口を右手で押さえながら、静かに、しかし力強く告げた。

    「俺の願いは……このゲームで命を落とした、全ての参加者の蘇生だ」

    彼の脳裏に、宇沢レイサの笑顔が浮かぶ。 月城柳の背中、芳村の穏やかな顔、そして戦った敵たちの顔も。

    「俺は守れなかった。……だが、今なら取り戻せる。理不尽に奪われた彼らの未来を、ここで終わらせはしない!」


    『受理されました。対象:宇沢レイサ、月城柳、芳村功善、他脱落者全般の蘇生を実行します』

  • 83二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 17:14:13

    悪人は除外した方が良さそうなのは大丈夫か?

  • 84心配症の周師匠26/01/11(日) 17:15:26

    【第四の願い:宮沢熹一】


    宮沢熹一は、自身の火傷を気にする様子もなく、隣に立つ光太郎の肩を叩いた。

    「ほんま、お人好しな『王様』やで。自分の体より、他人の命か」

    「熹一……」


    「せやから、ワシの願いはお前のために使うたる」


    熹一はニカっと笑い、アナウンスに向かって叫んだ。


    「こいつの左腕、それにワシらの怪我! 全部治して万全の状態に戻さんかい!」


    「熹一、お前……!」


    「ええんや。五体満足で帰らんと、待ってる家族に顔向けできんやろ?」


    『受理されました』


    光太郎の左肩から光が溢れ、失われた『黒肢鎧』と腕が再生する。 熹一の火傷も、迅やキリノの傷も、全てが癒えていく。

  • 85二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 17:16:16

    いいコンビやのお
    ですねえ

  • 86心配症の周師匠26/01/11(日) 17:16:58

    【第五の願い:両義式】


    両義式は、完全に治った体を確認すると、つまらなそうに鼻を鳴らした。

    「……さて。私は生き返らせたり治したりなんてガラじゃない」


    「じゃあ、両義さんは何を?」


    「決まってるだろ」


    式は、虚空にある「システムそのもの」を睨みつけた。

    「このふざけたバトルロワイヤルのシステム……その『存在』ごと消え失せろ」

    「二度とこんな真似ができないよう、この空間、主催者の痕跡、因果……全部まとめて殺してやる」


    『じゅ……り……』


    アナウンスの声がノイズに混じり、歪む。 彼女の願いは、この奇跡の大盤振る舞いを行う「聖杯」そのものの自壊。 だが、それこそが彼女の流儀だった。


    >>83

    その辺は後で触れるのん

  • 87心配症の周師匠26/01/11(日) 17:22:26

    【第六の願い:アルトゥス】


    蘇ったアルトゥスは、ベルナデッタを見て、そして仲間たちを見た。

    「……俺の願いは、お嬢の幸せだ。……だが、それを願うのは俺の役目じゃねえ。お嬢自身が掴み取るもんだ」


    彼は少し考え、光太郎たちに向き直った。

    「だから、俺は『足立透』って野郎の正気を取り戻してくれと願う」


    「えっ?」

    「あの野郎はムカつくが、廃人のままじゃ罪も償えねえだろ。……きっちり自分の世界で、罪と向き合わせる。それが俺なりのケジメだ」


    『……受理、シマシタ……』


    システムの崩壊が始まっているが、願いは聞き届けられた。


    【第七の願い:迅悠一】


    最後に残った迅悠一は、崩れゆく白い世界を見渡しながら、揚げ煎餅(実体化した)をボリリとかじった。

    「やれやれ。みんな豪快に使うねえ。……おかげで俺の仕事が楽になったよ」


    彼は仲間たち一人一人の顔を見る。 最高のハッピーエンド。彼のサイドエフェクトが導き出した、唯一の「全員生存ルート」。

  • 88二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 17:24:07

    システムを消去した上での全員生存か…
    ガルシアもそれを望んでいる

  • 89心配症の周師匠26/01/11(日) 17:24:16

    「俺の願いは仕上げだ」

    「全員を、それぞれの『元の世界』へ帰してくれ」

    「タイミングは、このゲームに巻き込まれる直前。……ただし、ここでの記憶は残したままで、ね」


    『全テノ……願イヲ……確認……』


    『システム……崩壊……ト共ニ……転送ヲ……開始シマス……』


    光が溢れる。 白い世界が砕け散り、それぞれの世界への扉が開かれる。

    「南さん! 熹一さん! 両義さん! 迅さん! ベルナデッタちゃん!アルトゥスさん!」


    キリノが笑顔で手を振る。

    「ありがとうございました! 私、皆さんのこと絶対に忘れません!」

    「ああ。……達者でな」

    「また何処かで会えたら、美味いもんでも食いに行こうや」

    「……まあ、悪くない夢だったよ」


    光太郎、熹一、式、迅、アルトゥス、ベルナデッタ、そしてパンドラネメシス。 彼らは光の中へ溶けていく。


    戦いは終わった。 願いは叶えられた。 英雄たちは、それぞれの日常へと帰還する。


    (エピローグ:帰還 へ続く)

  • 90心配症の周師匠26/01/11(日) 17:29:55

    CASE 1:羂索(呪術廻戦)

    ――「究極の徒労」


    気がつくと、彼は元の日本の街角に立っていた。 時間は、彼がゲームに巻き込まれる直前。 肉体は完全に修復され、消耗した呪力も戻っている。 全てが元通りだ。ただ一つ、あの「胸焼けするような記憶」を除いて。


    「……はぁ」


    羂索は、深く、長く、心の底からうんざりしたため息をついた。

    「最悪だね。本当に、反吐が出る」


    彼は自分の手を見る。 そこには、自分を殺そうとした南光太郎という男から与えられた「命」が脈打っている。 自分自身の力で勝ち取ったものではない。 敵からの慈悲、あるいは「お前も救ってやる」という傲慢なまでの善意によって、無理やり押し付けられた生。


    彼が追い求めたカオスは、ヒーローたちの友情と根性によって粉砕された。 彼が楽しみにしていた悲劇的な結末は、ご都合主義な奇跡によってハッピーエンドに書き換えられた。


    「私の千年の知恵も、呪術の極致も……あんな真っ直ぐな『正義』の前では、ただの道化か」


    そこに高揚感はない。 あるのは、質の悪い三流映画を見せられた後のような、気怠い徒労感だけだった。


    「……ま、いいさ。忘れることにしよう」


    彼は着物の埃を払うと、興味なさげに歩き出し、雑踏へと消えた。 相変わらず彼は日本を滅ぼす計画を続けるだろう。 だが、その足取りは以前よりも少しだけ重く、そしてどこか「冷めて」いた。

  • 91心配症の周師匠26/01/11(日) 17:32:20

    CASE 2:足立透(ペルソナ4)

    ――「現実(リアル)という牢獄」

    「……っ、あ……?」


    足立透が目を覚ましたのは、霧に包まれたテレビの中の世界だった。 目の前には、息を切らして彼を見つめる「自称特別捜査隊」の高校生たちがいる。 彼はまだ負けていない段階――あるいは、これから最後の抵抗をする場面だったかもしれない。


    だが、彼の中にあったどす黒い狂気は、驚くほど静まり返っていた。 アルトゥスの願い――『正気を取り戻し、罪と向き合わせる』。 その呪縛が、彼の精神を冷水に浸されたように醒ましていた。

    (……なんで、生きてるんだよ、俺)


    脳裏に浮かぶのは、自分を庇って戦った宮沢熹一の背中。 そして、泥の人形(アルトゥス)に向けられた「罪を償え」という言葉。

    「……はは。……笑えない冗談だ」


    足立は、マガツイザナギを呼び出そうとして、やめた。 もう、そんな気分にはなれなかった。 世界を壊して楽になりたいという衝動よりも、「生かされた」という重たい事実が、彼の胃を締め付けていたからだ。

    「……足立、さん?」


    鳴上悠が、警戒しながらも声をかける。 足立は、乾いた笑みを浮かべて両手を挙げた。


    「……ああ、もういいよ。降参だ」


    彼は、面倒くさそうに、しかし逃げることなく高校生たちを見据えた。


    「俺の負けだ。……警察署(現実)まで連れて行ってくれよ。……長い取り調べになりそうだ」


    腐った世界で、腐らずに生きる。 それは彼にとって、死んで楽になることよりも遥かに辛く、厳しい「罰」だった。

  • 92二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 17:37:55

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  • 93心配症の周師匠26/01/11(日) 17:39:26

    CASE 3:宮沢熹一(TOUGH外伝 龍を継ぐ男)

    ――「誇り高き傷跡」

    「……熹一か。どこに行っとったんや。心配したで」


    静かで、深く響く声。 宮沢熹一は、見慣れた道場の畳の上に立っていた。 目の前には、父であり師である宮沢静虎が、いつもの柔和な表情で佇んでいる。 右半身にあったはずの酷い火傷は消えている。体は羽のように軽い。


    「……オトン」


    熹一は自分の拳を握りしめた。 そこには、あの「仮面ライダー」と共に巨人のビームを弾き返した感触が、確かに残っていた。

    「……えらいとこに行っとったわ。神様やら怪人やらがおる、漫画みたいな世界や」

    「そうか。……怪我はないか?」


    静虎は、熹一の言葉を疑うことも笑い飛ばすこともなく、ただ静かに息子の無事を気遣った。その目は、全てを受け入れる海のように穏やかだ。

    「ないわ。……向こうで、最高のダチができたからな」


    熹一はニカっと笑い、空を見上げた。 もう二度と会えないかもしれない。だが、あの真っ直ぐな「王様」が、今もどこかの空の下で戦っている。 そう思うだけで、熹一の闘志は無限に湧いてくる気がした。


    「よし、稽古再開や! 今日のワシは一味違うで!」

  • 94心配症の周師匠26/01/11(日) 17:40:42

    CASE 4:南光太郎(仮面ライダーBLACK SUN)

    ――「王の帰還」


    波の音が聞こえる。 南光太郎は、愛車ロードセクターの傍らで、静かな海を見ていた。 彼が元の世界に戻ったのは、まさに激闘の最中か、あるいは束の間の休息の時か。


    彼は恐る恐る、左肩に手をやった。 ある。 引きちぎったはずの脚が。二度と戻らないはずの『黒肢鎧』が。 そして何より、仲間たちがくれた「生きろ」という熱い想いが、そこに宿っている。

    「……みんな」


    光太郎は、失ったはずの左手を強く握りしめた。 この世界は残酷だ。怪人への差別、創世王の宿命、葵を守るための戦い……何も変わっていないかもしれない。


    だが、彼は知っている。 理不尽な運命をねじ伏せ、神をも殺し、最後には敵さえも救ってみせる「人間の可能性」を。


    「俺は……まだ戦える」


    彼はジャケットを羽織り、バイクに跨った。 その表情に、以前のような悲壮感はない。 あるのは、確固たる「変身」への意志。

    「行くぞ。……俺は、仮面ライダーBLACK SUNだ」


    エンジン音が轟き、黒いバッタの王は、再び荒野へと走り出した。

  • 95心配症の周師匠26/01/11(日) 17:45:49

    CASE 7:中務キリノ & パンドラネメシス(ブルーアーカイブ)

    ――「最高の相棒」

    「キリノ、起きて。遅刻しちゃうよ」

    「……はっ!?」


    中務キリノが飛び起きると、そこはヴァルキューレ警察学校の寮の部屋だった。 そしてベッドの脇には、彼女のエプロンをつけたパンドラネメシスが、朝食のトレーを持って立っていた。

    「パ、パンドラちゃん!?」


    「うん。あなたの専属サポートAI、パンドラネメシスだよ。……どうしたの? 私の顔に何かついてる?」


    パンドラネメシスは小首を傾げる。その仕草は、以前の機械的なものより、ずっと柔らかく、人間味を帯びていた。 彼女の中には、あの戦いで芽生えた「心」と、キリノへの感謝が確かに刻まれている。

    「ううん! ううん! なんでもない!」


    キリノは涙ぐみながら、パンドラに抱きついた。


    「おかえり、パンドラちゃん!」


    「……? ただいま、キリノ。……心拍数が上がってるね。抱擁は感情表現の一種……だよね? ……うん、悪くないかも」


    パンドラは少し照れたように、ぎこちなくキリノの背中に手を回した。 ポンコツな警官と、心を持ったAI。 二人の凸凹コンビの日常は、これからも続いていく。


    ユリスバラシイ!

  • 96二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 17:47:41

    バトロワはお変カプの見本市じゃい!

  • 97心配症の周師匠26/01/11(日) 17:50:24

    なに式と悠一飛ばしてるこのバカは


    CASE 5:両義式(空の境界)

    ――「夢の終わり」


    ふと気づくと、両義式は雪の降る夜道を歩いていた。 手にはハーゲンダッツのストロベリー味。 隣には、黒桐幹也がいつもと変わらぬ穏やかな顔で歩いている。

    「……式? どうしたの、急に立ち止まって」


    幹也が不思議そうに振り返る。 式は、自分の右目元を軽く指でなぞった。 あの世界で酷使したはずの魔眼は、今は静かに眠っている。 因果ごとシステムを殺した感触だけが、指先に微かに残っていた。

    「……いや。ちょっと悪い夢を見てただけだ」


    式は短く答え、歩き出す。 神殺しも、世界崩壊も、ここにはない。 あるのは、ただ静かで退屈で、けれど何よりも得難い日常だけ。


    「夢? どんな?」


    「……忘れた。ただ、やたらと騒がしい連中と、世話焼きなヒーローがいた気がするな」


    「へえ。式が夢の話をするなんて珍しいね」


    幹也が微笑む。式はフンと鼻を鳴らし、少しだけ口元を緩めた。

    「……悪くない夢だったよ。二度は御免だけどな」

  • 98二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 17:50:47

    元の世界に戻れてないけどどないする?
    (こっちの方が幸せだろうし)まあええやろ

  • 99心配症の周師匠26/01/11(日) 17:52:43

    CASE 6:迅悠一(ワールドトリガー)

    ――「ぼんち揚の味」


    「おーい、迅さん! 遅いですよー!」


    玉狛支部のリビング。 小南桐絵が怒っている声が聞こえる。 迅悠一は、ソファで目を覚ました。手には食べかけのぼんち揚。

    「……おっと。いつの間にか寝てたか」

    彼はサングラスを押し上げ、周囲を見渡す。 宇佐美栞、烏丸京介、そして遊真や修たち。 いつもの騒がしくも温かい光景。


    「迅さん、また未来視(サイドエフェクト)で変なもの見たんですか? 顔がニヤニヤしてますよ」


    「んー? まあね。……ちょっとした『遠征』に行ってきた気分だよ」


    迅はぼんち揚を一枚口に放り込む。 いつも通りの味だ。だが、今日は格別に美味く感じる。 あの絶望的な未来を、全員生存という「実力派」な結果で覆した達成感が、最高のスパイスになっていた。

    「(……ま、あっちの世界のことは、俺だけの秘密にしておくか)」


    彼は心の中で、異世界の戦友たちに乾杯した。 彼らの未来が、これからも明るいものであることを予知するように。

  • 100心配症の周師匠26/01/11(日) 17:56:57

    >>98

    あ゛っ オラーッGemini早速矛盾しとるやないケーッ

    アルトゥスというかケントゥリア絡みの資料の関係で最初オリジナル扱いだったのとベルナデッタ側に行ってるんだよね

  • 101心配症の周師匠26/01/11(日) 18:00:38

    CASE 8:アルトゥス & ベルナデッタ(ケントゥリア / FE風花雪月)

    ――「綴られる英雄譚」


    フォドラの地、ガルグ=マク大修道院。 ベルナデッタは、自室の机に向かい、一心不乱に筆を走らせていた。 部屋の隅には、影のように佇む泥人形の少年、アルトゥスの姿がある。

    「……おい、お嬢。根詰めるのもいいが、そろそろ休憩したらどうだ?」


    アルトゥスがぶっきらぼうに声をかけると、ベルナデッタはビクッと肩を震わせ、慌てて原稿を隠した。

    「ひゃっ!? み、見ちゃダメだよアルトゥス! まだ書き途中なんだから!」


    「……見ねえよ。どうせまた、恥ずかしい空想小説だろ?」


    「空想じゃないもん! ……これは、本当にあったことだもん」


    ベルナデッタは、隠した原稿をそっと胸に抱いた。 そこに綴られているのは、黒いバッタの王様や、炎を操る武術家、未来を見る青年たちと共に戦った、奇跡のような冒険の記録。

    「私、決めたの。……もう部屋に閉じこもってばかりいない。この物語を書き上げて……いつか、本にするんだ」

  • 102心配症の周師匠26/01/11(日) 18:02:04

    彼女は、部屋の扉を見つめる。 かつては恐怖の対象でしかなかった「外の世界」。 だが、あの地獄のような戦場を生き抜いた今、不思議と足がすくむことはなかった。

    「私の言葉で、みんなの勇気を……あの人たちがいた証を、この世界に残したいから」


    「……へえ。言うようになったじゃねえか」


    アルトゥスは呆れたように、しかし口元をわずかに緩めて言った。


    「いいぜ。お前がそうしたいなら、好きにしろ。……外に出れば、また誰かにお前が傷つけられるかもしれねえし、俺みたいな化け物は石を投げられるかもしれねえ」


    彼は自分の手を見る。かつて多くの憎悪を向けられ、恐れてきたその手。 だが今は、それを握り返してくれる少女がいる。

    「けど、俺はお前が憎まれるのも、俺自身が憎まれるのも御免だ。……だから、俺が全部弾いてやる。水も、泥も、悪意もな」


    それは、かつて虚無だった彼が初めて見つけた「自分の意思」による選択。 誰かの命令ではなく、ただこの少女を守りたいという、彼自身の願い。


    「ありがとう、アルトゥス。……よし、続きを書こう!」


    「ああ。……付き合ってやるよ」


    引き籠もりの作家志望と、泥人形の用心棒。 二人の新しい物語が、ここから静かに、けれど力強く始まっていく。

  • 103心配症の周師匠26/01/11(日) 18:08:35

    CASE 9:宇沢レイサ(ブルーアーカイブ)

    ――「放課後スイーツ部の挑戦者(自称)」

    「――とぁっ!!」


    宇沢レイサが目を覚ますと、キヴォトスのいつもの路地裏だった。 体は痛くない。銃弾の跡もない。 手には愛用のショットガン。

    「あ、あれ? 私、確か……やられちゃったはずじゃ……」


    彼女は頭をさする。 記憶が曖昧だ。誰かと戦って、圧倒的な力で負けたような気がするけれど、それが誰だったのか思い出せない。 けれど、胸の奥には「熱い何か」が残っている。


    「……ふふ、ふふふ!」


    彼女は立ち上がり、高らかにポーズを決めた。


    「すごいです! 夢か現か分かりませんが、私は伝説のヒーローたちと肩を並べて戦った気がします!」

    「この燃えるような闘志があれば、カズサたちにも負けません! 今日こそ放課後スイーツ部に勝負を挑んで、私の実力を認めさせてみせますよー!」


    元気一杯の足取りで、彼女はトリニティの街へと駆け出した。 その背中は、以前よりも少しだけ頼もしく見えた。


    少しやることがあるので中断ッ

    マネモブ…感想(略)

  • 104心配症の周師匠26/01/11(日) 18:47:37

    再開ッ


    CASE 10:月城柳(ゼンレスゾーンゼロ)

    ――「課長代理の日常」

    「……ん」


    月城柳は、対ホロウ6課のデスクで顔を上げた。 どうやら仮眠を取っていたらしい……ということになっている。 時計を見る。業務時間まであと少し。

    「……夢、でしょうか」


    彼女は胸に手を当てる。 あの大質量の泥に飲み込まれた瞬間の恐怖。しかし、それ以上に鮮明なのは、自分が守り抜いた紫髪の少女(ベルナデッタ)の無事な姿。


    「……いいえ、夢ではありませんね。この『満足感』は」


    彼女は眼鏡の位置を直し、いつもの冷静な表情に戻る。 だが、その目尻は優しく下がっていた。

    「さて、仕事に戻りましょうか。……市民を守るのが、私の役目ですから」


    彼女は書類の山へと向かう。心なしか、その筆運びは軽やかだった。

  • 105心配症の周師匠26/01/11(日) 18:51:40

    CASE 11:谷垣源次郎(ゴールデンカムイ)

    ――「マタギの帰郷」


    北海道の雪山。 谷垣源次郎は、深い雪の中に立っていた。 手には愛銃、村田銃。

    「……戻ったか」


    彼は、自分が死んだ瞬間のことを覚えている。 役目を果たせずに散った無念。だが今、体には力がみなぎっている。 あの黒いバッタの男が、命を賭けて自分を呼び戻してくれたのだ。

    「……感謝する。あんたのおかげで、俺はまだ……」


    彼は懐から、フチに渡すはずの金と、チカパシの顔を思い浮かべた。

    「帰らねばなんねぇ。……待ってる家族の元へ」


    谷垣は一歩一歩、雪を踏みしめて歩き出す。 その一歩は、どんな吹雪にも揺るがない、強い意志に満ちていた。

  • 106心配症の周師匠26/01/11(日) 18:53:22

    CASE 12:芳村功善(東京喰種)

    ――「喫茶『あんていく』」


    カラン、コロン。 ドアベルの音が響く。 芳村は、カウンターでコーヒーを淹れていた。

    「いらっしゃい」


    穏やかな老人の笑み。 彼は、自分が異界の戦場で命を落とし、そして誰かの祈りによって救われたことを知っている。


    (……人間も、喰種も、関係なく手を取り合える世界……か)


    あの世界で見た、種族を超えた共闘。 それは、彼がかつて夢見ながらも諦めかけていた理想の形だった。

    「……まだまだ、私も捨てたもんじゃないな」


    淹れたてのコーヒーの香り。 彼は、いつか来るかもしれない「分かり合える日」を信じて、今日もカップを磨き続ける。


    CASE 13:鹿紫雲一(呪術廻戦)――「喧嘩屋の再演」

    「ハッ! 生き返ったか!」


    鹿紫雲一は、死滅回游の結界(コロニー)内で跳ね起きた。 全身に走る電気の感触。最高だ。

    「なかなか骨のある連中だったが……」


    彼はニヤリと笑う。 負けて死んだことは不愉快だが、それ以上に「世界にはまだ見ぬ強者がいる」という事実に興奮していた。

    「次は宿儺だ。……あっちの世界の奴らに負けてられねえからな」


    雷神は再び、最強を求めて戦場を駆ける。 その戦意は、死を経てなお衰えることはない。

  • 107心配症の周師匠26/01/11(日) 18:54:56

    CASE 14:ジル・ド・レェ(Fate/Zero)

    ――「神への冒涜か、奇跡か」


    冬木市、未遠川。 キャスター、ジル・ド・レェは召喚されたばかりの状態のように立ち尽くしていた。

    「おお……おおお……!!」


    彼は自分の手を見つめ、涙を流して狂喜する。


    「ジャンヌよ! これは貴女の導きですか!? それとも神の悪戯か!?」


    一度死に、地獄を見たはずの自分が、五体満足で戻っている。 それは彼にとって、自身の信仰(という名の狂気)を加速させる燃料でしかなかった。

    「素晴らしい! ならばこの命、再び最高のクール(冒涜)のために使いましょうぞ!! 龍之介ェェッ!!」


    彼は何も変わらない。 だが、その狂気の裏には、あの世界で見た「光」の輝きが、拭えない焼き付きとして残っていた。

  • 108心配症の周師匠26/01/11(日) 18:56:07

    CASE 15:アラスター(ハズビン・ホテル)

    ――「放送再開」


    地獄、ハズビン・ホテルの一室。 ノイズと共に、ラジオ・デーモンが影から姿を現した。

    「あぁ、なんて素晴らしいショーだったんだ!」


    アラスターはマイクステッキを回し、高らかに笑う。 本来なら、上位存在(ティアマト)に食われるという屈辱的な最期だった。 だが、彼はピンピンしている。

    「あんな愉快な茶番劇(バトロワ)、地獄でもそうそうお目にかかれないよ! 特にあの結末! 予定調和なハッピーエンドこそ、最高の皮肉だ!」


    彼はラジオのスイッチを入れる。

    「さて、親愛なるリスナーの諸君! 私が不在の間、寂しかったかな? 地獄のラジオ、放送再開といこうか!」


    彼は全く懲りていない。むしろ、良いネタを仕入れたとご満悦だった。

  • 109心配症の周師匠26/01/11(日) 18:57:19

    CASE 16:桐山和雄(バトル・ロワイアル)

    ――「コインの裏表」

    「…………」


    桐山和雄は、プログラムが行われている島の森で目を覚ました。 手にはイングラムM10。 彼は、自分が一度死んだことを理解している。 そして、誰かが自分を生き返らせたことも。


    普通の人間なら、改心や感謝をする場面かもしれない。 だが、彼には感情がない。 彼は無表情のまま、ポケットからコインを取り出した。

    『表なら、このまま参加者を狩り続ける』 『裏なら、少し休む』


    親指で弾かれたコインが、空を舞う。 あの異世界での戦い――論理では説明できない「熱量」が、彼のコインの回転にわずかな影響を与えたかもしれない。


    パシッ。


    彼は手の甲に乗ったコインを見た。 そして、珍しくフッと微かな笑みを浮かべると、銃を下ろして木の根元に座り込んだ。

    (……裏か)


    彼は目を閉じる。 殺戮機械の休息。それは、ほんの気まぐれな変化だった。

  • 110心配症の周師匠26/01/11(日) 19:00:09

    CASE 17:溶ける愛(Lobotomy Corporation)

    ――「愛の再感染」


    ロボトミーコーポレーション、収容室。 無機質な警告音が響く部屋の中で、ピンク色のスライムがぼこりと音を立て、可愛らしい少女の形へと凝固した。

    「……あれぇ? 私、ここに戻ってきちゃったの?」


    溶ける愛は、ぷるぷると震える自分の指先を見つめる。 あの騒がしい戦場で、誰かに焼かれ、踏み潰された痛みはもうない。 その代わり、自分を包み込んだ暖かな光――あの黒い戦士がくれた「願い」の感触だけが、その粘液の奥底に甘く残っていた。


    「あはっ♡ すごいなぁ。あんなに離れ離れになりそうだったのに、また『ひとつ』に戻れたんだね」


    ガシャン。 収容室のドアが開き、作業のために職員が入ってくる。 防護服を着た職員を見て、彼女はとろけるような満面の笑みを浮かべた。


    「ねえ、職員さん。私ね、向こうで素敵なことを知っちゃったの」


    「本当の愛ってね、とーっても熱くて、キラキラしてて……無理やりにでも命を繋ぎ止めちゃうくらい、強引なものなんだよ」


    彼女はゆっくりと、愛おしそうに職員へ歩み寄る。 その足元から、ピンク色の粘液がじわりと広がっていく。


    「だから……私たちも、もっと愛し合わなきゃ。ね?」

    「逃げないで? 拒まないで? 私がぜーんぶ包んであげるから。……もう二度と、離れられないようにねぇ♡」


    彼女の純粋で、あまりにも重い愛の物語は、管理人がリセットボタンを押すその時まで、どこまでも増殖していく。

  • 111心配症の周師匠26/01/11(日) 19:01:57

    CASE 18:ラーヴァ/ティアマト(Fate/Grand Order Arcade)

    ――「親離れのあと」


    何もない、虚数空間の彼方。 原初の海に揺られながら、幼き姿の母神は目を覚ました。

    「……あら。お母さん、戻ってきちゃった」


    彼女は自分の掌を見つめる。 あの「悪いおじさん(羂索)」に食べられて、泥団子にされた嫌な記憶。 けれど、その後に降り注いだ、優しい雨のような光が、彼女をここへ連れ戻してくれた。


    「……強くなったのね、あの子たち(人類)」


    彼女はクスリと笑う。 自分の創世の理(ルール)を壊し、悪いおじさんを追い払い、最後には「敵」だったお母さんさえも救って見せた。 それは、彼女が心のどこかで望んでいた「親離れ」の証明。

    「もう、リセットしなくても大丈夫そうね。……ちょっと寂しいけれど」


    ティアマトは、遠い次元の彼方にある地球へ向かって、小さく手を振った。


    「行ってらっしゃい。……たくさん喧嘩して、たくさん傷ついて、それでも生きていきなさい」


    「愛しているわ、私の毅き子供たち」


    母なる神は再び深い眠りにつく。 その寝顔は、安らかで満足げだった。

  • 112心配症の周師匠26/01/11(日) 19:06:54

    というわけで今度こそ完結ッ

    いやあ長かったのと一部キャラのエミュが不安やったのォ ですねぇ


    好きなキャラとか場面を教えてくれよ ほかの質問でもいいよ

    ワシは同盟とかCP組はもちろん鹿紫雲の戦闘と死に様が見ていて不思議と爽やかで好きだったんだよね


    今度こそしばらく主催やれないしワシのやる亜仁満町バトロワシリーズは終わりッ 誰かプロンプトを使ってくれると嬉しい…パヴェルと申します

    皆様ここまでお付き合いいただき

  • 113心配症の周師匠26/01/11(日) 19:32:47

    恒例の最強ランキングについて色々聞いてたらパンドラネメシスの原作を勘違いしていたらしい…周師匠だ
    新エピローグ出たけどどないする?まあそのままでええやろ
    お寿司食べるので離脱ッ

  • 114二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 19:35:22

    オツカレーッ でも嬉しいなあ ブラックサンの剣の名前を書いてないのにちゃんとアームドブラックやブラックブレードの名前を出してくれるなんて

  • 115心配症の周師匠26/01/11(日) 19:37:14

    たまに戻ってこれる…周師匠だ


    >>114

    修正前はな…おそらく原作(?)の方のブラックの技を使ってたんだよ

    そこでだ…自力で調べることにした

  • 116心配症の周師匠26/01/11(日) 20:30:43
  • 117二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 20:38:09

    >>115

    えっそうだったんですか わざわざ調べてくれた主催者…あなたは神だ

  • 118心配症の周師匠26/01/11(日) 20:42:17

    >>117

    マイ・ペンライ!

    他の参加者も基本調べるようにしてある(羂索の末路なんかはGeminiとの対話と調べ物両方込みでこうなった)けどただやっぱ限界はあるーよ

    ティアマトとか何回変えてもアレだったからぶっちゃけお手上げだったんだよね 申し訳ないことをしたと恥じている

  • 119心配症の周師匠26/01/11(日) 20:43:33
  • 120心配症の周師匠26/01/11(日) 20:54:05
    原作再現重視バトロワ仮案伝タフ | Writening## 🔹 バトルロワイヤル小説向け最終統合版プロンプト(最新版・履歴参照禁止・温泉名称更新済み) ### 1. 基本ルール * 参加者は**20人程度**(調整可能) * **原作キャラクター再現を徹底**(性格・能力・…writening.net
     

    そしてこれが幽玄のプロンプト

    ああーっ誰か亜仁満町バトロワをやってみてくれェ なんでもするから 俺は参加者次第で如何様にもなるバトロワがないと生きていけないんだあっ

  • 121二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 20:57:09

    オツカレーッ とっても面白かったのん…

    >>113

    チュウニズムのキャラクターストーリーか

    曲のジャケットに写ってるオリジナルキャラクターに公式がストーリーつけてるだけだからおまけみたいなものだぞ

    ゲーム自体はただの音ゲーでストーリー要素とかはないぞ

    AIくんが原作を勘違いするのは当たり前なのかもしれないね


    まぁ些細な違いは気にしないで 見てて楽しかったのは確かですから

  • 122心配症の周師匠26/01/11(日) 20:59:30

    >>121

    感謝します(ガシッ)


    ふうんそういうことか

    エミュが安定しなくて不安だったけど楽しんでもらえたようで何よりなのん…

  • 123心配症の周師匠26/01/11(日) 22:59:23

    皆質問や感想は言い終わったか?ほな終わるでェ
    何度も申し訳ないけどしばらくバトロワ出来ないので誰か亜仁満町バトロワをやってみてほしい…周師匠だ
    不手際だらけだったのに長い間お付き合いくださりありがとうございましたっ

  • 124二次元好きの匿名さん26/01/12(月) 04:24:13

    オツカレー!
    4作とも楽しませてもらったのん

オススメ

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