昨年の紅白歌合戦に特別企画で13年ぶり3回目の出演をした矢沢永吉(76)。東京タワーの夜景をバックに新曲「真実」を歌唱し、珠玉のバラードを大人のムードたっぷりに歌い上げました。歌唱を終えた後、次の歌手の出番か…と思わせておいて、矢沢本人がメイン会場のNHKホールにサプライズで登場。これに会場はどよめきました。

事前収録の映像を最初にオンエアをしてその後にリアルなナマ歌唱へ。これは1年前にB’zがやった手法と同じです。

ホールの観客は予想をしていなかった矢沢の登場に大興奮。スタンディングで迎え、審査員の三浦知良は“YAZAWAタオル”をグルグルと振り回します。熱気に応えるかのように、矢沢は「止まらないHa~Ha」を歌唱しながらスタンドマイクを振り回して「ロックンロールッ」と絶叫。その後に「トラベリン・バス」を続けて、再び「ロックンロールッ」と叫んで右手でガッツポーズを作ってみせました。「紅白歌合戦。出させていただいてありがとうございます」と感謝の言葉も。これには三浦も「永ちゃん、最高!」。満面の笑みでした。

25年は矢沢にとってソロ50周年の節目の年。最高の形でフィナーレを飾ったと思います。

矢沢はこれまでに09年と12年の2回、紅白にゲスト出演しています。09年は本番当日まで出演を明かさない完全サプライズ。放送中に突然、NHKホールの通路に現れ、そこからステージに上がるまでをカメラが中継しました。「カモンッ」と自らに気合を入れた矢沢は代表曲「時間よ止まれ」と当時の新曲「コバルトの空」をシャウト。歌唱を終えると、速攻でNHKを後にしました。今回と一緒です。

実は09年の時、記者は通路で取材をしていて、近くにあったテレビ映像に矢沢が急に現れたので驚きました。通路を見ると数メートル先に矢沢が立っていました。まるでリングに上がる直前のボクサーみたいにアドレナリン全開で目の前を通っていったのです。16年前のことですが、還暦を迎えた矢沢のステップを踏むような足取りと興奮した表情は今でもハッキリと覚えています。

16年前の矢沢の様子は過去の記事を読めば誰でも知識として知ることができます。でも、当時のリアルな空気感や矢沢の“体温”はその場にいないと分かりません。生成AIが進歩し、ネットで何でも知ることのできる時代だからこそ、現場にこだわって、その場にいないと分からないナマの汗臭さみたいなものを伝えることにこだわりたい。そこにはお金を払ってでも知りたい“需要”があると思いたいのです。2026年も現場のリアルを読者に伝えていきます。【松本久】