翌日
風紀委員のメンバーは本部に集められていた。
「今年もあのバカ騒ぎの一週間がやってきた」
今日はクラブ活動の新入生に対する勧誘日だ。
各クラブ同士で争うことも珍しくない野蛮な日。
俺と達也の初の仕事がこれだ。
「今年は幸い、卒業生の補充が間に合った。紹介しよう、立て。1-Aの神崎慎也と1-Eの司波達也だ」
「役に立つんですか?」
「ああ。心配するな。どちらもこの目で見ている」
そして、委員長の出動という合図と共に、風紀委員は一斉に立ち上がり、本部から出ていった。
俺と達也は委員長から軽い説明を受けてから行く事になった。
「どする〜?」
「俺はエリカと待ち合わせているが、お前も来るか?」
「めんどいからパース。まあ俺は適当に仕事してるふりでもしておくよ」
「初日からサボる宣言かよ」
別にサボるつもりはない。
見えた違反者は捕まえるし、魔法の撃ち合いになりそうなら止める。
だけど、真面目に働くほど良い子ではないんだよな。
「じゃ、また後でな」
「ああ」
そうして俺と達也は別れた。
さてと、俺はどうしよっかな。
適当に色々なクラブでも見て回るか。
別に事件がなければ、俺も普通に見て回るだけになるだろう。
どうせ、事件があれば達也が飛んでいくだろうし、俺はのんびり過ごさせてもらいますか。
そんな感じに歩いていると、見知った顔があることに気がついた。
「おっすレオ」
「慎也じゃねえか。風紀委員だっけか?」
「そうだな。早速こき使われてるよ。そういうレオは確か山岳部だったか?」
「おう」
レオは山岳部か。
似合いすぎだろ。
「サバイバルとかに力を入れてるらしくてな、今から楽しみだぜ」
「そりゃよかったな」
「慎也は風紀委員どうなんだ?」
「ぶっちゃけ面倒なところはあるな。まあ、推薦を断らなかった俺に問題があるんだけどな」
「慎也なら滅茶苦茶活躍できそうじゃねえか」
「目の前で事件が起きたらほどほどにやるさ」
それから少しの会話だけしてレオとは別れた。
向こうもクラブの見学をするらしいし、俺も他のクラブを見てみたいしな。
そうして、移動のために人通りのないところを俺は歩いていた。
その時の俺は完全に油断していた。
別に油断していることが悪いことだとは思っていない。
常に警戒していたら疲れるからだ。
だから、別に今油断しているのも当然だった。
そのせいで、俺の命を狙う一太刀への反応が遅れたのだ。
「!」
急いで距離をとる。
左腕から血が流れる。
奇襲にはギリギリで反応できたため、致命傷には至っていない。
だが、誰だ?
原作にはこんな奴はいなかったはずだ。
フードを深く被り、顔は見えない。
右手には俺の腕を斬った刀を持っている。
「誰だ」
「っち。これで殺しておきたかったんだけどな」
男の声。
懐から拳銃型のCADを取り出す。
「何者だ」
生徒か?
外部からの侵入者か?
俺は別に恨まれるような覚えはないんだけどな。
敵は何も答えない。
まあ、答えてくれるはずないか。
敵は剣を構える。
そして次の瞬間には敵は俺の懐にいた。
俺はなんとか拳銃型のCADでガードをする。
そして、加速系の魔法で強化した蹴りで攻撃するが、一瞬で距離を取られ、避けられた。
なんだ今の動き?
自己加速術式を使っていたか?
いや、使っているようには見えなかった。
じゃあ、ただの身体能力?
ありえない。
魔法を使わずに身体能力だけで俺の反応を超える動きができる人間などいてたまるか。
『リミットオペレーション』発動 身体能力向上
『リミットオペレーション』発動 反応速度向上
『リミットオペレーション』発動 動体視力向上
敵は再度切りかかってくる。
今度は先ほどとは比べ物にならないほどの強化を施しているため、反応はできた。
だが、男は俺をさらに超える身体能力であった。
今回もCADでガードするが、今回はCADが切り飛ばされてしまった。
また、下がって距離を取る。
本当に何者だ?
自己加速術式を使わずに、ドーピングをした俺よりも身体能力が高いなんて。
改造か薬物でも使った人間か?
「あーくっそ!なんで避けれるんだよ。マジでさっさと死ねよ」
男は急に感情を露わにする。
情緒不安定か?
「俺は襲われる理由が分からないんだが」
そう言いながら腰から警棒型の武装一体型CADを取り出す。
「そりゃ分かんないだろうな!所詮てめえは周りを見てないもんな!」
「意味が分からないな。少なくとも君を害したことがないことだけは確かだな」
周りを見ていないと言われてもな。
もし沖縄での敵兵とかだったら何かしていた可能性はあるけど。
原作ではブランシュの活動があった時期だ。
だが、ブランシュにここまでの強者がいるのであれば、何かしら物語に関わってくるはずだ。
男はまた刀で斬りかかってくる。
この男は身体能力は化け物なのだが、技術は対してない。
剣を力任せに振るうことしかできていない。
その力任せが強いのだけど。
振動系統 高周波ブレード
素早く振動した警棒が男の刀とぶつかる。
そして、その刀は俺の警棒に切り裂かれた。
俺は追撃しようと、距離を詰めるが、一瞬で距離を取られた。
「っち。なんでそんなに反応できるんだよ!」
だが、その瞬間に第三者の声がした。
「お前たち!何をしているんだ!」
その声を発した人物は風紀委員のメンバーだった。
「ここまでか。クソが」
男がそう言う。
「おい!神崎慎也。次は討論会の後でな。もし逃げたり達也を連れて来たりしたら、お前の大事な人を順に殺してやるからな」
そして、男は消えた。
肩が震える。
俺の名前を知っていることもそうだが、問題は討論会というところだ。
原作での公開討論会は学内の有志が立てこもりを起こした事によって起きたものだ。
つまり、この世界の人間は討論会のあることを知らない。
要するに…..
「転生者、だと」
原作から外れたことをしたかった
多分賛否両論なんだろうなこういうの