水戸地方裁判所 令和7年(ワ)第520号
損害賠償請求事件についての事案概要
兵庫県議会議員の丸尾まき氏(以下「被告」)に対する上記事件番号の民事訴訟は、私が行った政治的意見表明に対し、公職者である被告が、私の投稿を元投稿とする投稿を引用したうえで、X上において「法的措置を示唆する趣旨の投稿」を行ったことを含む一連の言動について、その法的評価を司法に委ねるために提起された訴訟です。
私は、被告の個人的な思想や立場そのものを問題としているわけではなく、問題となっているのは、
「公職者という立場にある人物が、 自身に向けられた批判的言動に対し、 SNSという公開性・拡散性の高い場において、 法的措置を示唆する表現を用いた場合、 それがどのような意味を持ち得るのか」
という点です。
◆事案の経過・経緯
私は、被告に関わる政治資金収支報告書に関する事柄について、政治的意見・評価としての投稿を行いました。
これに対し、被告は当該投稿を引用する形で、SNS上において、弁護士への相談や法的対応を想起させる表現を含む投稿を行いました。
被告の投稿は、「特定の私人による意見表明を引用したうえで発信」されており、「その発信主体が公職者である」こと、また、SNSという媒体の性質上、「不特定多数の第三者が閲覧し得る状況」に置かれていました。
私は、こうした一連の経過を前提とし、その表現が、
「一般の読者にどのように受け取られ得るのか」
また、その受け止め方が、
「個人の社会的評価や、市民による政治的批判のあり方にどのような影響を及ぼし得るのか」
について、司法の判断を求めるに至りました。
◆請求原因事実の位置づけ
本件訴訟における請求原因は、単に「法的措置を示唆した」という一点にあるのではありません。
私が問題としているのは、
「そのような表現がどのような文脈で用いられたのか」
「発信者が公職者であることがその受け止め方にどのような影響を与え得るのか」
「SNSの特性(拡散性・即時性)を踏まえた場合、一般の読者がその投稿をどのように理解し得るのか」
といった点を総合的に考慮したうえで、
「民法上の不法行為に該当するか否かが問題となるのか」 という構造です。
私は、被告の投稿が直ちに違法であると断定する立場をとっているわけではなく、あくまで、
「法的措置をうかがわせる表現が、 文脈や発信者の立場と相まって、 特定の私人の社会的評価や、 市民による政治的言論のあり方に 影響を与え得る性質を有しているかどうか」
という点について、裁判所の評価を求めています。
◆司法に判断を求めている内容
本件において、私が司法に判断を求めているのは、主に次の点です。
「公職者によるSNS上の表現について、一般の私人による表現と同様に扱われるのか、それとも、その立場や影響力を踏まえた評価が必要となり得るのか」
「法的措置を示唆する表現が、批判的言動を行った私人に対し、一般の読者にどのような印象を与え得るのか」
憲法上、特に重視される政治的言論の自由を前提とした場合、「私法上(民事上)の違法性判断において、どのような考慮が求められ得るのか」であります。
これらは、単にこの事件の当事者間の問題にとどまらず、SNSが政治的議論の主要な場となっている現在の状況に照らしても、今後も繰り返し生じ得る問題です。
私は、これらの点について、「特定の結論を前提」とするのではなく、「具体的事実関係に即した判断」を裁判所に示していただくこと自体に意義があると考えています。
◆本件訴訟の位置づけ
本件訴訟は、高額な賠償を求めるものでも、勝ち負けや金銭的利得を主目的とするものでもありません。
私が求めているのは、 「公職者によるSNS上の表現と、市民による政治的批判との関係について、司法がどのような評価軸を示すのか」 その一点です。
最終的な判断は、あくまで裁判所に委ねられるべきものであり、私は、その判断を受け止める覚悟をもって、本件訴訟を提起しています。
◆概要のまとめ
この訴訟は、上記でご説明させていただいた通り、
「公職者によるSNS上の表現が、市民の政治的言論とどのように交錯し得るのか」
について、具体的事案を通じて、司法の評価を求めるためのものです。
今後の事件の経緯を見守っていただけますと幸甚です。