学生にお勧めしたい金融の新書
私自身が学生にお勧めしたい新書について少しエピソードを交えてメモを記載しておきます。私は金融機関や役所も経験しているということから、学生からキャリアについての相談を受けることもかなり多いです。必要に応じて加筆・修正します。
はじめての日本国債(服部孝洋)
これは私が書いた書籍になるのですが、金融に関心がある、あるいは、金融業界を考えている学生にはぜひ読んでいただきたいです。金利はすべての基本ですし、本書を読むと証券会社や日銀、財務省についての理解も高まります。最近分かったのですが、東大で、外資系金融機関や日銀を受ける学生は「はじめての日本国債」をかなり読んでくれているようです(今年の東大の本郷の生協では経済分野で1番売れました)。それは証券会社と日銀についてかなり具体的に書いているからだとおもいますが、この本は、銀行や生保のビジネスモデルについても説明しているので、ひとまずこれを最初に読んでもらうのがいいのでは、と思います。
現代の金融入門(池尾和人)
良く学生にお勧めしているのは池尾先生の「現代の金融入門」です。私は慶應時代、池尾ゼミだったのですが、この書籍を読んだことが池尾先生のゼミに入ったきっかけの一つです。今思うと、私が記載している一連の「入門シリーズ」は池尾先生の「現代の金融入門」の影響を受けているかもしれません。私が大学に就職した年に、亡くなってしまい、大変ショックでした。
この本はそれほど簡単に書いてないので、たぶん、学部1-2年だと、スラスラとは読めない可能性があるのですが、この書籍が説明する金融の構造が分かっていると、学生が金融業界を見る上でも役に立つため、妥協せずに読むとよいと思います。読んでみて難しかったら、ひとまず他の書籍を読んで、数か月置いて読み返すと、徐々にわかるようになるという体験ができると思います。「はじめての日本国債」も、池尾先生の影響を受けているので、ひとまず「はじめての日本国債」を読んでから読むといいと思います。
ちなみに、当時の慶應では、池尾先生は金融論の講義はされていませんでした(「日本経済システム論」という講義を担当されており、実は私は数年引き継いだ後、白塚先生が今は担当しているはずです)。
生命保険のカラクリ(岩瀬大輔)
この本もSNSで良く紹介していますが、ライフネットを作った岩瀬さんの生保の書籍です。外資系コンサルなどで様々な経験をされた著者が生保を作り、その中で経験したものをベースに書籍を作っています。本書は様々な観点で生保が独特な業界であることを議論していますが、今でもそう感じます。
私個人の体験をいうと、経歴も頭もよい知人が、生保についてはセールスの影響で、簡単に生保を買っていく(私からみると深く考えずに買っていく)ことを何度も見てきました。その意味で、生保は、金融分野で一番勉強する価値があるものの一つだと思います(金融で妥協せずに勉強する価値がある分野の一つです)。
最近、金融教育はちょっとバブル気味な気もしていますが、金融における勉強時間のウェイトは、自分が支出する金額に応じてとるべきだともいえます。もし生保を買うなら、(不動産についで)人生で2番目に大きな買い物になると思うので、生保の本はいくつも読んでよいと思いますが、下記の書籍は1冊目に読む本としては良いと思います。
藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義(藤巻健史)
今では好き嫌いがはっきり分かれるようになってしまった藤巻さんですが、この書籍は私の周りはみんな読んでおり、評判が高かったです。ちょっと記載が古いのですが、説明の仕方は秀逸ですね(「はじめての日本国債」とセットで読めば今の情報もアップデイトできます)。
為替から入るところが独特です。章ごとに独立に読めるので、好きなところから読んで問題ないように作られています。藤巻さんが少し苦手な人もこの本は楽しく読めると思います。一橋での講義を活字化しているものであり、講義形式の書籍です。私は繰り返し読みました。
ちなみに、私が学生のころ、藤巻さんはものすごい円安論者で、「1ドル200円で日本経済の夜は明ける」という本も書いていたのですが、どのタイミングで円安に警鐘を鳴らすようになったのでしょうか。
金融工学、こんなに面白い(野口悠紀雄)
こないだ大学時代の友達(外資系金融機関勤務)と飲んだのですが、ファイナンスの理論で何が一番面白いか、影響を受けたかという議論をした際、CAPMということで一致しました。そして、CAPMについてどこで私が最初に触れたのだろうと考えたとき、野口悠紀雄さんが書いた「金融工学: ポートフォリオ選択と派生資産の経済分析」を学部2-3年で読み、そして、「金融工学、こんなに面白い」を続けて読んだことがきっかけです。こちらの新書では、金融工学が面白いということをいろいろなエピソードで記載されていき、私自身が金融工学にはまっていくきっかけになった気がします。
私が学生のころは、リーマンショック前であり、金融業界が華々しい時代でした。学生のころは、数理ファイナンスやオプションの勉強をかなりしたのですが、その後、デリバティブ・ビジネスの実体を知ってしまい、私自身は急速にこの分野に興味を失いました(この点は別の機会に記載しますが、今の学生も、数理ファイナンスを勉強したいというニーズは相当程度に落ちたという印象です)。
ちなみに、野口悠紀雄さんの本は私は相当よみました。白川さんの書籍(中央銀行: セントラルバンカーの経験した39年)の中にも「戦後日本経済史」が引用されており、名著が多いと思います(最近、野口さんはちょっと本を出しすぎな気もしていますが)。
これ以外も思いつけば随時追記しますが、本棚をみたのですが、学生に強く薦められるというと、やはりその時の話題に左右されない、賞味期限が長い書籍になります。私も、書籍を書く場合、10年後も読まれる本という点を軸にしています。
私が好きな番組に「積読ちゃんねる」というのが媒体があるのですが、その影響により、書籍を語る場合、自分の体験に重ね合わせてその本の良さを書くというのが良いと感じます。そのため、本について記載する際はそういうことも試みてみようと思います。
また、下記は新書ではないですが上記を御覧の方は下記もご参照ください。



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