もしもサトシの精神性が無印1話からDP~XYだったら 作:夕虹▼Pokémon
「…zzz……
……っは!?おてんと…さん!?」
ある朝。
マサラタウンの10歳の少年、サトシは目を覚ました。
今日は、彼がようやくポケモンをもらって、ポケモントレーナーとして旅立てる日のはず。
……なのに、とっくに日は昇っていた。
…………寝坊したということに、サトシは遅ればせながらも気づいた。
「行ってきまぁす!!」
「そんな格好でどこ行くn」
風を切るように走るサトシは、母であるハナコの言葉を皆まで聞かずに家を出た。
サトシがオーキド研究所に着くと、そこはシゲルの取り巻きでいっぱいだった。
「「「いいぞーいいぞーシーゲール!」」」
その内の1人とぶつかり、サトシは転んでしまう。
「ごめんなさいっ」
謝りながらもイテッ、とサトシが呟くと、痛いのはこっちだよ、とその人は言い返した。
彼はーー
「シゲル!?」
「シゲル“くん”だよ」
そう、彼こそオーキド博士の孫、シゲルだ。
「はいはい、シゲルくん、ここで何をしてるんだ?」彼は嫌味たらしく微笑みながらそう問う。
シゲルは一瞬むっとしたが、すぐに彼ご自慢の髪を撫でてふっと笑った。
「もちろん、ポケモンを貰いに来たんだよ。4番目のサァトシくんとは違って、1番目にね」
「俺はただ寝坊しただけだ。シゲルだって寝坊することくらいあるだろう?」
「なんだって! そんなことあるわけないだろっ」
「まあ、シゲルはあのオーキド博士の孫だからな、きっと豪華な時計でも持ってるんだろうな」
サトシとシゲルが言い合いを始めると、1人柱からひょっこりと顔を出す人がいた。
「呼んだか?」
「あっ、オーキド博士!」
サトシは彼、オーキド博士の姿を見るなりあることを頼んだ。
「あの、俺もポケモンが欲しいんですけど、もらえませんか?」
オーキド博士はううむと唸った。
「だがサトシ君、4番目に到着した君に、4匹目のポケモンがいると思うか?」
「でも……俺、ずっと相棒と旅をするのを楽しみにしてて……」
サトシが必死に説得しようと試みると、オーキド博士は心を動かされたようだった。
研究所を見て、「ついてこい」と一言サトシに言った。
「ふぅん…“4番目”の君の相棒、楽しみにしてるよ」
シゲルが嫌味を言うと、サトシは彼に背中を向けながら答えた。
「俺もシゲルの相棒が見られるのを、楽しみにしてるよ」
◆•◆•◆
「見ろ。ここにフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメのモンスターボールがある」
「ホントはゼニガメにしたかったけど……全員いないんですよね」
「そうじゃ。10歳なのに物分かりが良いな」
「いえ、それほどでも」
オーキド博士は、視線を目の前のマシンに戻した。
「それは兎に角、この真ん中に穴があるじゃろ?」
ありますね、とサトシが相槌を打つ。
「このボタンを押すと、そこからモンスターボールが出てくる」
「おおっ、科学の力ってすげー!」
目を輝かせるサトシの横で、オーキド博士はフフッと笑った。
「じつはこれを作ったのは……まあいい」何か言いかけ、そしてその口を一旦つぐみ、また開いた。「このモンスターボールに入っているのはアイツだ……」
「アイツ……? 兎に角開けてみてもいいですか?」
「む? ああ…良いが、」
「俺のポケモンはキミに決めた!」
オーキド博士の声を遮るようにして、サトシはそのモンスターボールを上に投げた。よっぽどパートナーが欲しかったのだろう。
そして中から出てきたのは——
「ぴかちゅうッ」
「ピカチュウじゃ」
サトシは目を輝かせ、そのネズミのようなポケットモンスター——ピカチュウに手を伸ばした。
「可愛いじゃないですか!」
そしてピカチュウの手を握る——
[ビビビビビビビビッッッッ]
「うわああぁぁぁぁ」
するとサトシの体は電気に包まれ、彼の骨が一瞬姿を現した。
その隣でオーキド博士が淡々と続ける。
「別名、でんきネズミ。恥ずかしやの癖に人に慣れにくく、下手に触るとそうなる」
体を固まらせながらサトシは「もう少し早く言って欲しかった…」と呟くが、オーキド博士は「言い終わる前に触ったのはそっちじゃぞ」と言い返した。
「まあ、俺が悪かったですよね……ピカチュウごめんな」
サトシが自分の非礼を詫びると、ピカチュウはそっぽを向いた。
そんなこんなでサトシたちはオーキド研究所の外に出てきた。
「あっ、ママ」
と、サトシが声を上げたのには訳がある。言わずもがな、母が見送りに来ていたからだ。
「もう、そんな格好で旅立つつもりなの?」
「っ……急いでただけだよ」
「もう…ほら、リュックとか用意したからね。あと非常食用に取っておいたパン、着替え、歯磨き用の歯ブラシ、ゴム手袋にーー」
サトシは自分の手の上に積み重なっていくものをあっけらかんと見ていたが、やがて母親に背中を向けながらリュックに荷物を全て仕舞った。
「もう、大袈裟だなあ。でも、ありがとう」
「…最後の最後まで心配かけるんだから……」
ハナコが洟をすすり、目を拭った。すると、彼女の後ろで、サトシの見送りに来ていた人々も俯いた。
サトシは、確かにこの人々と同じ町に住む仲間であり、彼らの希望なのだ。
そしてハナコはふとサトシの足元にいるピカチュウに気がついた。
「この子がサトシの相棒なのね。でも、ポケモンは普通モンスターボールに入っているものよ」
「そうだね……さ、ピカチュウ、モンスターボールに戻るんだ」
サトシはモンスターボールをピカチュウに優しく投げた。
しかしピカチュウはボールを睨みながら尻尾で打ち返した。
「戻らないのかよ?」
サトシがそれをキャッチしてもう一度ボールを投げると、ピカチュウは今度は手で押し返した。
サトシはむっとし、少し強めにボールを投げる。
ピカチュウはそれを尻尾で打ち返す。
彼はそのボールをキャッチした。
「なんか入りたくないみたい」
首を傾げながら彼がそう言うと、
「変なポケモンね」
直接的にハナコは言った。
サトシは嫌な予感がした。
「ぴっ」
そう、ふと漏らしたハナコのその言葉は、プライドの高いらしい彼にとって禁句だったのだ。
ピカチュウ「ぴーかぁーー」
[ビビビビビビビビッッッッ]
「「「「「あばばばばばばばばば」」」」」周りにいた人たちも巻き込まれる羽目になった。
◆•◆•◆
ある坂道。
サトシは、ピカチュウにグルグルと巻いた紐を、ゴム手袋を付けた手で持ち、ピカチュウを引きずっていた。
だが、やがて罪悪感に勝てずに足を止めた。
これしか方法は無いと思ったけど……そんなことないよな。
「ごめんな、ピカチュウ」
サトシはピカチュウに巻かれた紐を解いた。
「オーキド博士にゴム手袋は電気に強いって言われて付けてたけど、これもやめだ!」
彼は自身の手に付けていた手袋を取り、リュックに詰め込んだ。
それからしゃがみ込んで、ピカチュウと目線を合わせようと試みる。
「俺はピカチュウと友達になりたいんだ」
「ぴっ」
一方のピカチュウは馴れ合うつもりは無いらしく、ふい、とそっぽを向いた。
「引きずって悪かったよ。でもそうでもしないとついてきてくれなかっただろ?」
ついていっている訳ではない、連れてこらされただけだという風にピカチュウは再度「ぴっ」と鳴いた。
「少しは俺の話を、俺の目を見て聞いてみてくれよ」
サトシがピカチュウの目を見ると、ピカチュウは目を閉じたままあんぐりと口を開けた。
「歯はある…歯無しじゃない……まさか、話したくないってことか?」
「ぴか」
ピカチュウは頷いた。サトシの言った通りの意味らしい。
「じゃあ、せめて握手だけでも……」
そうダメ元で聞くが、ピカチュウは差し出されたサトシの指を噛んだ。
「イテテテ…だめかあ」サトシは眉を八の字にしてそう呟いた。
「ぴか」当たり前だよとピカチュウは頷いた。
はあとため息をついて、ふとサトシが木の方を見ると、そこには何かポケモンがいた。
「あれは……?」
サトシが出したポケモン図鑑はこう喋った。
『ポッポ、ことりポケモン。鳥ポケモンの中で1番気性が穏やか。初心者トレーナーが最初に捕獲する相手におすすめ』
「そうか。えぇと、ゲットするには……兎に角ボールを投げよう。いけっ」
サトシの投げたボールはポッポに当たり、ことりポケモンはボールに吸い込まれていった。
[クルン…クルン…]
[ポンッ]
しかしポッポはボールに入ることは無かった。出てきたポッポはのんびりと草をついばんでいる。
落胆するサトシのポケットで、『ポケモンを捕まえるにはまずポケモンバトルを仕掛けるのが基本』とポケモン図鑑が喋った。
「た、確かにそうだった……ピカチュウ、頼むよ」
サトシが隣にいるピカチュウにそう言うが、ピカチュウは無視して木の上に登る。
暫し彼は、驚いて沈黙した。
「…分かったよ、そっちがその気なら良いさ!」
彼はピカチュウにそう言い放ち、緑色のリュックを何故か探り始めた。
「ええと……あった、これだ」
サトシは鞄から離れ、手に青い物を持ってポッポに近づく。
その手に握られているのは——
「えいっ」
そしてサトシはそれを投げた——
「ぽぽ?」
ポッポはツンツンとその桃色の物を突いた後、それを嘴に咥えた。
そう、これはモモンの実だ。
よし、上手くいった。ポケモンって思ったよりきのみが好きなんだな……。
彼はその隙を逃さず、モンスターボールを投げた。
「ごめんなポッポ!」
ポッポはボールの中に吸い込まれる。
サトシは勝ちを確信するが、ボールが揺れているのを見て、それは間違いであることを知った。
[クルン…クルン……ポンッ]
案の定ポッポはボールから出てしまう。
サトシ「もう、なんだよ……まあ、ピカチュウが戦ってくれないなら仕方ない。もう一回だ」
サトシは愚痴をこぼしながらもう一度モモンの実を投げた。
[コツンッ]
しかしそれは別の鳥ポケモンの、よりによって頭に当たってしまった。
やべ、と思わず呟くサトシ。
きのみを投げつけられたポケモンはタンコブを膨らませ、サトシをギロリとにらんだ——ように見えた。
なんだあいつは、と呟くサトシにポケモン図鑑は説明する。
ポケモン図鑑『オニスズメ、ことりポケモン。鳥ポケモンの中で1番気性が荒く、一度怒らせると簡単には怒りを収められない』
「え……」
——今…………怒らせなかったか?
サトシが呆然としながらそう思っている間に、オニスズメはピカチュウのことをしっかり視界に入れながら近くの木に潜っていった。
「あ、でも、木の茂みの中に入ったぞ」
サトシは少し安心する。しかし後にその気持ちは上書きされた。
オニスズメがその木から出てきたのだ——
——仲間の大群を連れて。
「おいおい……やっぱり怒られてたか、そうだよなぁ……。っピカチュウ逃げるぞ!」
そう声をかけられる彼だが、ピカチュウは咄嗟に木から降りて、自身の身を案ずるサトシの横を通り過ぎて走っていった。
「……」
「「「きーーー」」」オニスズメ達は威嚇するように鳴いた。
「いや、兎に角逃げよう、そうだ逃げなきゃ!」
しかし、オニスズメ達は逃げるサトシの後ろを追うのではなく、そんな彼の前を目指している。
なんでだ、と当然サトシは疑問を呈した。
いや、待てよ。俺の先を走ってるのって——ピカチュウだ。あいつらはピカチュウを狙ってるんだ!!
サトシは思わず叫んだ。「ピカチュウ! 危ない!!」
「ぴか?」
そこでようやくピカチュウは、サトシではなく自分が追われていることに気がついた。
「ぴか~!?」
「でもなんでピカチュウがっ?」
走りながらサトシがそう呟くと、彼のポケットから音声が流れてくる。
『野生のポケモンは、トレーナーにゲットされているポケモンに敵意を持ちやすい』
「そんな!」
サトシは更にスピードを上げる。
どんなに理不尽でも、それは変えようのない習性なのだろう。
だから、今は自分の愚痴を抑え込んだ。そしてオニスズメに攻撃されているピカチュウにようやく追いつく。
サトシは彼らにつつかれながらもピカチュウを抱えた。
「ぴ……か…」
本来ならサトシに抱かれるのを嫌がった筈なのに、ピカチュウは彼の腕の中で大人しくしていた。それほど、今のピカチュウには余裕が無い。
それを感じて、サトシはオニスズメとの距離を離そうと走る足を速めた。
「ピカチュウ、大丈夫だ。安心しろよ」
「ぴ……」
ピカチュウは強がって無理に動こうとするが、体は動かない。
「大丈夫だから……」
だが、そう伝えるサトシも足が重くなってきた。
でも、大丈夫……まだいける。
「っ!?」
サトシは驚いた。
なぜなら、そう、目の前は行き止まりだったからだ。
崖の下を見ると、割と近いところで川が流れている。
——くっ……どうする?
サトシがそう悩む内にも、オニスズメたちはすぐ側に近づいてきている。
「…………」
行くしかない、と呟いてサトシは帽子を回した。
「ピカチュウ、悪いっ」そうピカチュウに告げて、彼は川に飛び込んだ。
「…ぐっ」
/|/|/|/|/|
川のほとりで、10歳ほどの少女が釣竿を手に悩ましげな表情をしていた。
「あーあ、天気も悪くなりそうだし、そろそろ帰ろうかなあ——」
その時だった。
彼女の持つ竿がぴくっと揺れた。そして大きくしなる。
「これって……大物じゃない!? ぐぬぬ…!」
そして、彼女がなんとか持ち上げた釣竿の先が視界に映る――
「ぐふっ……」
「…???」
少女は口をあんぐりと開けた。
だって、今釣竿にかかって私が釣り上げたのは人間だったから――
「ピカチュウ…平気か?」
そして少女は、彼がポケモンを抱えていることに今更ながら気がついた。
「あのー…」
「あ、釣ってくれてありがと」
彼に微笑みかけられる少女だが、少し反応に困る。
それからふと彼に抱えられたポケモンを見て、はっとした。
[――パチン!]
何故か、乾いた音が突然辺りに響いた。同時にサトシの頬にもヒリヒリとした痛みが走る。
これはつまり――
「なんで急にはたくんだ!」
そう、彼の頬が彼女にはたかれたことを示す。
少女は頬を押さえるサトシに疑問で返した。
「なんでこんなになるまで放っておいたの!!」
サトシは、何故彼女がそう思ったのかすぐに分かった。彼女が目にしたピカチュウは身体中傷だらけで弱っているからだ、と。
「いや、そのぅ…」
「ここから1番近いのはトキワシティのポケモンセンター……早く連れて行かなきゃ!」
「…トキワシティか」
サトシは見知らぬ女に勘違いをされてもやっとしたが、今考えるべきはそのことじゃないと気持ちを切り替えた。
「この自転車借りてくぜっ」そう言って彼は、彼女の近くに停められた自転車に跨った。
「えっ、なんであんたに貸さなきゃいけないのよ?」
「本当に頼むよ、これは緊急事態なんだ」サトシは少女の目を見ながら、自転車のカゴにピカチュウを入れる。
少女は、必死な表情でそう頼む彼に思わず頷いた。
「い、いいけど……でもそんな状況にしたのは――」
「ありがと!」
サトシは少女の言葉を皆まで聞かずに自転車を漕ぎ出した。
「もう、自分勝手なのね……」
しかし、腰に手を当てる彼女の頭上を大量のオニスズメが一気に通り過ぎた。それを見て少女は“緊急事態”という彼の言い回しが腑に落ちた。
「今オニスズメが向かったのは……まさか、追われてるの……?」
「ピカチュウ、大丈夫だからな」
「ぴか……」
「あと少しだから、頑張ってくれ……はぁ、はぁっ」
「ぴ…」
サトシはただ自転車を漕ぐ。後ろから迫ってくるオニスズメたちに追いつかれる前に、ポケモンセンターに連れて行かなきゃ、と思いながら。
ポケモンセンターという単語は、初心者トレーナーであるサトシも知っていた。
それが存在しなければ、ポケモンを連れて長旅などとても無理だということも。
そこに連れていけば、ピカチュウはきっと……。
「っうゎ!?」
しかし、良くも悪くも前しか見ていなかったサトシは、地面の段差に対応しきれずに転んでしまった。
彼らの体は地面に投げ出されてしまう。
オニスズメは近づいてくる。
雨がサトシに打ちつける。
その中でも、サトシはピカチュウを気にかけていた。
「ピカチュウ……」
「ぴぃ…ぴ、」
ピカチュウは辛そうだった。全身が傷だらけだ。
「…そんなのありかよ……っ」
サトシは、歯を食いしばりながらも、ポケットから雷マークがついたモンスターボールを取り出す。
「ピカチュウ、これに入れ。
ボールに入るのが嫌いなのはわかってる。でもこの中にいればお前、助かるかもしれないんだっ」
彼は必死に手を伸ばし、ボールをピカチュウに向けて転がした。
「ぴ、か…」ピカチュウの手前でボールは止まる。
「さぁ入ってくれ…! あとは俺に任せろ……!!」
サトシは、そう告げてから力を振り絞って立ち上がった。
オニスズメはサトシに襲い掛かろうとする。
しかしサトシは声を上げた。
「すぅ…」
「お前ら! 俺をなんだと思ってんだ!」
「マサラタウンのサトシっ……俺は世界一のポケモンマスターになるんだ…! お前らなんかに負けない!」
「みんなまとめて、ゲットしてやるぜ!!」
サトシは、両手を広げてピカチュウを庇うようにして立っていた。
そうして睨みつけるのはオニスズメ――
――対するオニスズメは、「何やってんだこいつ」と呆れているのだろうか。ただ喋るサトシを見ているだけで動かない。
そしてサトシは吐き捨てるように言う。
「ピカチュウ! 入れ、モンスターボールに……」
ピカチュウは弱々しい目でボールとサトシを見比べる。
「さぁ来い、オニスズメ……!」
そんな彼らの近くに雷が落ちる。
オニスズメ達は、サトシに飛び掛かろうとする――。
ピカチュウは、決意した。
「ぁっ、ピカチュウ――!」
なんとピカチュウが、サトシの肩に飛び乗り、そのまま彼の肩を蹴ってオニスズメと対峙したのだ。
サトシが驚く間もなく、ピカチュウは雷を受けて力を放つ――
「ぴーかーぁぢゅーう!!!!!」
先程まで黒い雲がひしめいていた空から、光が差した。
「んっ……」
鳥ポケモンの囀りで、サトシは目を覚ます。
「ぴか…ぴ」
「俺……だな…」
「ぴか……」ピカチュウは、こくりと頷いた。
サトシとピカチュウは、何故だろうか、向き合いながら地面に倒れていた。
そんな2人は目を合わせ、言葉を交わす。
ふとサトシとピカチュウが空を見上げると、そこには虹と、鳥のような見た目をしたポケモンが飛んでいた。
サトシがそのポケモンに見惚れながら「あれは…?」と呟くと、いつの間にかポケットから落ちていた図鑑が答えてくれた。
『データなし。この世界には、まだ知られざるポケモンがいる』
そのポケモンは、虹の向こうへと飛んでいき、消えてしまった。
//////////
ボロボロのサトシとピカチュウは、なんとか森を抜けた。
目の前に広がる街に、サトシは顔を輝かせる。
「ピカチュウ、あともうちょっとだぞ」
「ぴか…!」
サトシはピカチュウを抱えながら、ゆっくりと街に向かって歩いて行った――。
ところで自転車は、黒焦げのまま先程の場所に置いてきてしまったようだ……。
全体的に設定はアニポケと同じです。違うのはサトシの精神面ですね。