世界観とキャラの心情が理解できず……
今回、最も厳しい批判を浴びているのが脚本だが、現役の脚本家たちの見方はどうか。アニメシリーズや深夜ドラマを手掛ける女性脚本家・C氏は嘆く。
「ストーリーライン自体は見やすかった反面、とにかく世界観とキャラクターの心情が分かりづらかったです。まず、異世界の説明がなさすぎるうえに、難解でストーリーに没入することができませんでした。
また、スカーレットの感情の変化も理解に苦しむところが多く、感情移入がしづらかった。現代からやって来た心優しき看護師の青年・聖をはじめとした他のキャラクターたちの行動原理についても深く説明されておらず、物語に置いていかれる瞬間が前半は多かった印象です」
こうした分かりづらさは、尺の制約によるクライマックスの強引さにあるのではないかとC氏は言う。
「壮大なストーリーを110分という尺に収めようとした結果、物語がスピーディーになりすぎており、深掘りされるべきキャラクターの背景や結びつきが削られてしまっていたことも問題だと感じました。クライマックスに起きる、とある展開は「安直すぎる」「無理やり」と言わざるを得なかった。物語の収束が強引に感じられたため、感情的なカタルシスを全く感じることができなかったです。
その一方で、キャラクターたちが軽々しく心情を吐露してしまうシーンもあり、非常に粗い脚本だと思ってしまいました。こういった核となる心情の変化や気づきは、アニメーションの機微や少ないセリフで表現されるべき。細田守さんの脚本力に疑問を感じた瞬間でした」