【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.24(建て直し2)

  • 1ホットドリンク大好き25/12/21(日) 11:41:35

    弾薬が尽きた。 ・・・どうする?


    >「CQC(殴る)」

    >「CQC(殴る)」

    >「CQC(殴る)」

  • 2ホットドリンク大好き25/12/21(日) 11:43:00

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    (|) < 「ミヤコさん、CQC(近接戦闘)です。
        CQCを鍛えましょう。
        CQCは全てを解決します。」

    ミヤコ:「えっと・・・?」

  • 3ホットドリンク大好き25/12/21(日) 11:44:58
  • 4ホットドリンク大好き25/12/21(日) 11:47:12
  • 5ホットドリンク大好き25/12/21(日) 11:50:20
  • 6ホットドリンク大好き25/12/21(日) 11:58:16
  • 7ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:03:44
  • 8ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:07:29
  • 9ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:13:45
  • 10ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:36:22
  • 11ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:43:19

    ミヤコ:
    「─── 最後に・・・作戦中 弾薬が尽きた場合は このハンドサインを出します。
    このハンドサインは、総員CQC戦 移行の合図になります。(拳を掌で包む仕草をする)」

    サキ:
    「ミヤコ・・・お前いよいよカヤ先輩みたいになってきたな・・・。」

    ミヤコ:
    「・・・心外です。」

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

  • 12ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:46:02

    ────────────────────

    ???:
    「わぁ・・・ここが至聖所(バシリカ)ですか?
    まるで宇宙みたいにキラキラしていて・・・とっても綺麗ですね。」

    ───── ピタリ

    不意に場違いで暢気な声が聞こえ、ミヤコとサキ、化け物は当時に動きを止める。
    見れば、秘密の地下回廊への出入り口が開け放たれ、中から化け物にとって見覚えのない生徒が覗いていた。

    ???:
    「・・・いや、私も至聖所について詳しく知っているワケではないが、少なくとも こんな景色はアリウスには存在していなかったはずだよ。」

    虚無の執念:
    【・・・!】

    化け物は、見覚えのある生徒にピクリと反応した。
    忘れるはずもない その顔は、彼女がミューズとして見ていたアリウススクワッドの一人、白洲アズサだった。

  • 13ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:49:22

    ミヤコ:
    (彼女達がいるということは・・・。)

    補習授業部と面識のあったミヤコは、彼女達と行動を共にしているはずの人物を目で探す。



    ”間に合ったかな。”



    ミヤコ:
    「─── 『先生』!」

    虚無の執念:
    【!!】

    その呼び名を聞いた途端、化け物はミヤコを完全に視界から外して その大人を凝視した。
    そして一目で理解した。
    この大人こそ、見逃していた『自分達』の天敵であると。
    それを理解した瞬間、反射的に銃口を向けようとし───

  • 14ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:51:15

    ───── バキッッッ

    ミヤコ:
    「・・・何、しようとしているんですか?」

    ミヤコに殴り飛ばされた。
    明らかな体躯差があるにも関わらず、まるで それを無視した膂力によって化け物は宙を舞う。
    空中で一回転した上で地面に着地した。

    ───── ズザザッ・・・

    殴り飛ばされた勢いをころす為に、両足と片手で至聖所の床に爪痕を残す。

    ミヤコ:
    「先生に銃口は ” 二度と ” 向けさせません。
    どうしてもというなら、まず私を倒すことです。
    ・・・それとも、貴方では私を倒すことも出来ませんか?」

    ミヤコは化け物の前に、別種の化け物の気迫を持って立ちはだかった。
    それは正に、人外の力を持った化け物をして恐ろしいと感じる『守護者』の気迫だった。

    ────────────────────

  • 15ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:53:04

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ナギサ:
    「・・・なんだか・・・凄いことになっていますね・・・。(宙を舞って朱い熱線を吐く白竜を遠目に見ながら)」

    サクラコ:
    「そうですね・・・。」

    二人は音もなく、ティーカップを口に運び、紅茶を啜って、再びティーカップを手元に置き直した。

    ミネ:
    「紅茶を嗜んでいる場合ですか!
    今、前線では我々の味方が戦っているのですよ!?」

    ミネがテーブルを強く叩いた。
    ナギサとサクラコの二人は手元の紅茶が零れないようにティーカップを軽く持ち上げて避難させる。

    今現在の最高責任者にあたる3人は、味方陣地の後方・・・簡易的に設けられた軍用テントの中で待機していた。
    否、待機を強いられていたという方が正しい。

  • 16ホットドリンク大好き25/12/21(日) 12:55:20

    ナギサ:
    「先程も説明したと思いますが・・・。」

    サクラコ:
    「ミネ団長は お忙しい方ですから、きっと聞き逃してしまったのでしょう。
    ・・・もう一度 ご説明して差し上げた方が宜しいのではないですか?」
    (親切心で、もう一度 説明した方が良いのではないかと提案をしている)

    ミネ:
    「・・・サクラコさん、それは どういった意味でしょう?」

    サクラコ:
    「・・・それは貴方が一番 理解しているのでは?」
    (え?貴方 分かってなかったですよね?・・・の意)

    ナギサ:
    「お二人とも・・・言い争いは全てが終わってからにしてください。
    ・・・ミネ団長、もう一度 説明しますから ” 良く ” 聞いて下さいね?」

    サクラコ:
    「えっ・・・?」
    (私も悪いんですか?・・・の意)

  • 17ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:00:42

    ミネ:
    「そんな時間は───」

    ナギサ:
    「・・・聞きなさい。
    これはティーパーティー、ホスト代行としての正式な命令です。(ヤケクソ)」

    ミネ:
    「・・・分かりました、聞きましょう。」

    ナギサ:
    「(なぜ話を聞いて貰うだけで正式な命令が必要になってくるのでしょう・・・。)
    いいですか?
    我々は主だった派閥が合流し戦力が戻ったように見えますが、正確に言えば大きく戦力を減らしています。
    救護騎士団の功績で あの朱い結晶に閉じ込められた生徒達が救助可能ということは分かりましたが、それでも一人一人の救助には時間が掛かり、元の戦力に戻るまでには それこそ数日単位の時間が必要だという試算も出ています。
    ・・・ここまでは分かりますか?」

    ミネ:
    「はい、だからこそ───」

    ナギサ:
    「─── だからこそ、救護騎士団には自由に動いて頂き、一刻も早い我が学園の生徒達の救出を急がせています。
    ですが・・・いえ、だからこそ貴方に ここを動いて貰うわけにはいかないのですよ。」

  • 18ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:02:44

    ミネ:
    「なぜですか!!」

    ナギサ:
    「貴方が動いたら収拾が付かないからですよ!!」

    サクラコ:
    「・・・。」

    ナギサ:
    「今、我々は前線で戦っている正義実現委員会のメンバーと接触して!
    我々が前線に介入するタイミングを秘密裏に連絡している最中なんですよ!!
    それなのに貴方が突撃してしまっては!
    奇襲の効果が最大限発揮できなくなってしまうではありませんか!!」

    ミネ:
    「・・・。」

    ナギサ:
    「ふーっ・・・ふーっ・・・。
    ・・・いいですか?
    ここで最も効果的な『救護』は、この戦争を早期に終わらせることです。
    そうすれば、我々は そのマンパワーを未だ あの謎の朱い結晶に囚われている生徒達に回すことが出来ます。
    だから、貴方は私がヨシと言うまで ここで待機することです。
    ・・・それが最も多くの人間を『救護』することに繋がります。」

  • 19ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:04:41

    少しの間 瞑想するように目を閉じていたミネだったが、やがて納得したらしく、しかし渋々といった様子で席についた。

    ミネ:
    「・・・・・・分かりました。
    それが、『救護』の道に繋がるのでしたら・・・。」

    ナギサ:
    「えぇ・・・その選択が より多くの人を『救護』することに繋がるでしょう。(主に私達のことですが・・・)」

    サクラコ:
    「そうですね・・・。(ミネ団長を抑える為の人員は・・・解散させても良さそうですね・・・。)」

    サクラコは軽く手を叩いた。
    すると、簡易テントの周りで待機していたシスターフッド生徒達が音もなく解散していく。
    そして代わりに、淹れたての紅茶と茶菓子の入ったワゴンを引いたトリニティ生徒が簡易テントの中に入ってきた。

    ナギサ:
    「作戦は既に準備が完了しています。
    つまり今の我々の仕事は、『慌てず待機する』ことに尽きるんです。
    もし今、慌てた伝令が飛んできたとしても『・・・どうかしましたか?』と紅茶を嗜みながら呑気な返事が出来るくらいが、味方全体の安心に繋がりますから。」

  • 20ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:06:35

    ミネ:
    「そういうものでしょうか・・・。」

    サクラコ:
    「常に前線で指揮を執るミネ団長には実感があまりないかもしれませんが、後方で指揮を執る司令官は虚勢を張るのが仕事のようなものなのですよ。」

    ───── フワッ

    3人は紅茶の香りを楽しむフリをした。
    しかしよく見ると、指で机を叩いていたり、目が明らかにリラックスしていなかったり、テーブルの下では苛立つように足先が地面を叩いていたりする。
    全員が内心、『早く報告が来ないか』と考えているのは明らかだった。



    ───── バッ

    そこに、誰かが矢のように簡易テントの中に飛び込んで来る。

  • 21ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:08:17

    伝令:
    「─── 失礼します! ただ今 通信が入りまして・・・。」

    伝令の生徒は簡易テントの中の、厳粛(のように見える)空気に気圧されて その場で軽く身なりを整えた。
    場に、落ち着きが戻る。



    ナギサ:
    「・・・どうか、しましたか?」



    ナギサは自然に見えて、その実 何度も脳内で反復練習したセリフを口にした。

    ────────────────────

  • 22ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:10:16

    ────────────────────
    ─────
    ───

    アズサ:
    「サオリ、6時の方角に敵影が見えた。」

    サオリ:
    「了解。 ・・・そちらは右手だ。」

    アズサ:
    「分かった。」



    化け物は どうしようもない違和感に襲われていた。
    盤面は自らが出した『簡易複製(リダクション)』による影法師で圧倒的 有利に運んでいる。
    ・・・運んでいるはずだった。

  • 23ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:15:00

    ハナコ:
    「ヒフミちゃん、4時の方向に進んでください!
    コハルちゃんは そのまま前進! 3秒後にグレネードの投擲を!!」

    ヒフミ:  コハル:
    「はい!」 「え!? 3秒後っていつ!? 今!?」



    ・・・まただ。
    まるで分かっているかのように、化け物にとって一番イヤなタイミングで的確な攻撃を仕掛けてくる。
    今だって、畳みかける為に用意していた影法師の部隊が、コハルが慌てて投げた手榴弾で光に呑まれた。

    ・・・。

    ・・・まさか、そんなことが有り得るのか。
    化け物は違和感の正体を悟った。
    しかし、それは有り得ない・・・否、有り得てはいけない正体だった。

    化け物は試しに、今まで誰にも見せていない隠し玉を繰り出すことにした。
    これに限っては繰り出せる条件が厳しい為に、ベアトリーチェは勿論カヤにも見せたことがない、『誰も知らない、対処のしようがない』文字通り必殺技のはずだった。

  • 24ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:16:25

    化け物は手を宙に翳す。
    すると化け物の頭上に満点の星空が広がった。
    それはワームホール・・・3次元空間を貫通する4次元の穴だ。

    そこに、化け物は重力を加える。
    大質量の暗黒物質が、スペースデブリを捉え、また光輝く程の加速と熱を与える。

    ─── それは正に流星群。
    聖園ミカの神秘から着想を得た模倣技だった。



    ” みんな、中央ポイントから離れて。”

    ” 大丈夫、見た目ほど威力はないから。”



    ・・・やはり。
    化け物は確信を得た。

  • 25ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:17:57

    ずっと感じていた違和感は、『色彩』という外なる者と繋がりを持っているからこそ感じることが出来る超常的なもの。
    それも、サイコキネシスやテレポートなんかの ちゃちなものではない。

    ─── この大人は、時間を巻き戻している。

    この大人だけが、記憶を保持したまま時空連続体を移動している。
    それも、本を読む読者のように自由に。

    化け物が、カヤが、そして あの連邦生徒会長ですら自由に出来なかった領域。
    『物語を、望む結末に収束させる力』を、この大人は持っている。

    ・・・なぜ、どうやって。
    どういう理屈で、どういう作用で、どういう機構で、どういう意味の連なりで、どういうエネルギーの流れで、どういう言葉で、どういう熱の移動で、どういう力場で、どういう力で、どういう根拠で、どういう進歩で、どういう───

    頭が焼けるようだった。
    どうしようもない、燃えるような憧憬と嫉妬で。

    そんな力があっていいはずがない。
    だって、そんな力は───

    ─── 神の権能に他ならないではないか。

  • 26ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:22:14

    【───── !!】

    化け物は否定するように、あるいは その権能を奪い取ろうとするかのように、シャーレの先生に銃口を向けた。

    ヒナタ:
    「いけません!!」

    ───── パァンッ

    その瞬間、鋭い銃声が鳴り響いた。
    化け物の手から銃が弾き飛ばされる。

    しかし化け物は それだけでは諦めず、まるで先生しか目に入っていないかのように、その獣染みた翼で強く大気を叩いて先生に迫った。
    その手が、シャーレの先生の目前まで迫る。

  • 27ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:23:42

    ─── しかし、その手が先生と その権能を掴むことは無かった。



    ミヤコ:
    「・・・言ったはずです。
    先生に銃口を向けるなら、まず私を倒すようにと。」



    僅かに光を帯びた幾つもの弾丸が尾を引いて、まるで光のカッターのように化け物の翼を切断した。
    化け物は、まるで太陽に近づきすぎたイカロスのように地面に落下していく。

    ───── バキッ

    そして、何の因果か化け物の落下地点に丁度 亀裂が入った。
    地の底まで続くようなその亀裂は、確かに化け物を呑み込む。

    その様子は正に、影の化け物が本来の居場所である黒い世界に堕ちていくかのようだった。

    ────────────────────

  • 28ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:24:57

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    (少し前・・・)

    モエ:
    「あ~・・・『配達人』?
    悪いんだけど、もう少し待ってくれない?
    あと少しで こっちのマシンも動くと思うから。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



    セイア:
    「・・・3分間だけ待ってあげよう。
    残念だが、それ以上は待てない。
    ・・・結末が変わってしまう予感がするからね。」

    セイアは罠に掛かり足の部分が砕けた結晶体の上に腰掛けながら言った。
    足下の結晶体には幾つものプラスチック爆弾が取り付けられており、爆破によって完全に破砕させる準備が万端なのは一目瞭然だった。



    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 29ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:26:33

    モエ:
    「OK、3分ね!」

    モエは通信機を叩き付けるようにして置いた。

    モエ:
    「どう!? 動きそ!?」

    ヴィルトゥオーソ:
    「口を動かす暇があるのなら、手を動かしてくれないかい?」

    ヴィルトゥオーソは次元転換装置を通常とは逆位置に配置しながら半ギレで言った。
    様子からして、進捗が順調とは言い難かった。

    モエ:
    「え~と、どこが問題なワケ?」

    ヴィルトゥオーソ:
    「本来、局所時空座標系における連続的な歪曲は、臨界点を超えると指数関数的な収縮または膨張を引き起こすはずだ。しかしこのアンカーは、非線形テンソル場の変位を局所的に打ち消すように、自己整合的な位相反転フィードバックを発生させて───」

    モエ:
    「・・・つまり?」

    ヴィルトゥオーソ:
    「よく分からないが動かない。
    理論上は動くはずなんだが・・・。」

  • 30ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:27:56

    モエ:
    「でも・・・実際は動いてないよ?」

    ヴィルトゥオーソ:
    「仮説だが、アンカー内部には高次元位相の“折り返し構造”が存在している可能性がある。 通常、空間の伸縮は三次元的な応力分布に従うが、こいつはどうやら、四次元以上のトポロジカルな拘束を受けている。つまり、我々の知覚する空間が変形しようとするたびに、上位次元から“形状記憶的”な反発が返ってくるんだ。 しかも厄介なことに、その反発はエネルギーではなく、構造そのものの再定義として現れ───」

    モエ:
    「・・・。」



    ───── ガンッ

    モエは強く空間アンカー(ダークエネルギーの消失による急激な空間収縮を防ぐ装置)を叩いた。



    ヴィルトゥオーソ:
    「あぁっ! 何をするんだ!! 下手に衝撃を与えると核融合を───」



    ───── ゴォォォォォォォ・・・



    ヴィルトゥオーソの悲痛な叫びとは対象的に、空間アンカーは元気よく動き出した。

  • 31ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:29:12

    ヴィルトゥオーソ:
    「・・・なるほど。 ・・・斜め45度の角度で?」

    モエ:
    「そ。 ウチでも偶にやるけど、なぜか直るの。」

    ヴィルトゥオーソ:
    「古の知恵だね。 実に、神秘的だ。」

    ヴィルトゥオーソはこれ幸いと動き始めた空間アンカーに最後の仕上げを施した。

    モエ:
    「『配達人』!? やっちゃって!!」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    セイア:
    「─── 2分49秒だよ。 もう少し余裕が欲しかったものだね。」

    セイアは少し離れた瓦礫の影から、プラスチック爆弾の起爆ボタンを押した。
    衝撃で結晶体は崩れ、それによって『色彩』からのエネルギーの流入が止まり、ダークエネルギーの異常集中も急速に元のエネルギー濃度に戻ろうとする。

    その過程で、空間アンカーの効果範囲に入っていなかった地下空間の歪みによって『奈落へと続くかのような巨大な裂け目』が出来たが、幸いにして ” 味方 ” は誰も巻き込まれなかった。

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

  • 32ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:30:15

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ───── ピタリッ

    暴れ回っていた白竜の動きが、突然 止まった。

    ベアトリーチェ:
    【・・・至聖所(バシリカ)が やられましたか。】

    白竜は その巨体で、カヤと正義実現委員会のメンバーを睥睨する。

    ベアトリーチェ:
    【─── しかし、あと一歩 遅かったようですね。】

    白竜は自らの爪で その胸部をなぞった。

    ベアトリーチェ:
    【この程度は 想定の範囲内です。
    既に、十分なエネルギーを色彩から得ることが出来ました。
    ・・・その過程で少し醜態を晒すことになりましたが、まぁいいでしょう。】

    白竜の胸の中では、朱く輝く結晶が脈打っていた。

  • 33ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:32:16

    ベアトリーチェ:
    【この輝きが見えますか?
    これは高効率のエネルギー生成炉です。
    これによって、出力の限界こそありますが、私は ほぼ無限のエネルギーを手にしたと言えます。】

    朱い結晶から生み出されたエネルギーは、白竜の全身に張り巡らされた脈を通って その全身を赤熱させる。
    白竜の身体が、また一つ大きくなった。

    ベアトリーチェ:
    【─── チェックメイトです、不知火カヤ。 中々 愉しい対局でしたよ。】

    白竜の頭部が裂け、まるで花弁のように開いた。
    そして その内部から、赤黒い閃光が走る。
    それはやがてプラズマのように弾け、そして次に雫のような形に纏まっていった。

    正に それは、先程トリニティの軍勢を壊滅させかけた一撃。
    否、それ以上のモノだった。

  • 34ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:34:04

    カヤ:
    「そうですね、今回は私の敗北です。」



    ───── ドォンッ



    ベアトリーチェ:
    【・・・。】

    重い破裂音の後、赤黒い雫はレンジで加熱し過ぎた卵のように弾けた。

    カヤ:
    「ですが、貴方はまだ シャーレの先生には勝っていない。
    ・・・どうぞ席にお着き下さい。 私はクイーンの駒に堕ちます。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 35ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:35:41

    ハスミ:
    「・・・お見事です。
    弾丸は確かに目標を排除しました。」



    マシロ:
    「いえ、ハスミ先輩のサポートがあってこそです。
    私だけでは、流石に一発で目標に命中させるのは難しかったと思います。」

    観測手としてマシロの横でスコープを覗いていたハスミは、役目を終えたスコープを片付けながらマシロに微笑んだ。

    ハスミ:
    「ともかく無事で良かったです。
    貴方の姿を見れば、きっとツルギも安心するでしょう。」

    マシロ:
    「ご心配をお掛けしました。
    ・・・次は こんな醜態は晒しません。」

    自身を誘拐したというヴェルギリアに敵愾心を抱くマシロとは対象的に、ハスミは どこか遠くを見るような仕草を見せた。

    ハスミ:
    (彼女は・・・約束を守ったのでしょうか。)

    ハスミの脳裏に、自身を殺せたらマシロを解放してやると啖呵を切った少女の姿がよぎる。
    あれだけ憎かったはずの仇の姿が、今は酷く幼い子供のように感じた。

    ────────────────────

  • 36ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:39:33

    ────────────────────
    ─────
    ───

    ミヤコ:
    「・・・やりましたか。」

    ミヤコは”あの子”が落ちていった裂け目を覗き込んだ。
    そこには真っ黒な空間が続いていて、光の加減もあって一寸先も見通すことが出来ない。

    サキ:
    「あのタフさなら・・・まぁ、死なないだろ。」

    サキは疲れた様子で近くの瓦礫の上に座り込んだ。
    一番近くで”化け物”と対峙し続けたサキからすれば、この程度で あの化け物が死ぬとは思えなかった。

    サオリ:
    「・・・確認はしたのか?」

    化け物が消えた裂け目の近くでたむろしていた二人に、サオリは話掛けた。

    ミヤコ:
    「・・・いえ、この暗闇ですから。 ・・・それが?」

    サオリ:
    「確認した方が良い。
    経験上、レディは見失った方が危険だ。」

    サキ:
    「何を言ってるんだ。 ・・・この高さだぞ?」

  • 37ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:40:51

    サキは裂け目に瓦礫の欠片を投げ入れた。
    すると10秒以上してから音が反響して返ってきた。
    推定でも500m以上は高さがある。

    サオリ:
    「それで あのバカが大人しくなると?」

    ミヤコ:
    「・・・。」

    サキ:
    「・・・。」

    あのアホみたいなタフさを経験した後だと、確証が持てなかった。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ヴィルトゥオーソ:
    「私は別に何でも屋ではないんだがね。」

    モエ:
    「まぁまぁ。 戻ったら何か奢ってあげるからさ。」

    ヴィルトゥオーソ:
    「そうかい。
    じゃあ、このボディの新調に掛かる代金を負担してくれないか?」

  • 38ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:42:35

    モエ:
    「う”・・・。 流石にそれは・・・。」

    ヒナタ:
    「オーソ(ヴィルトゥオーソの愛称)様・・・。」

    ヴィルトゥオーソ:
    「冗句だよ、ヒナタ。
    この私が一学生に数百万の借金を背負わせると思うのかい?
    ・・・紅茶を一杯奢ってくれれば良いよ。」

    モエ:
    「パックので良い?」

    ヴィルトゥオーソ:
    「・・・茶菓子がつけば。」

    そんなことを言いながら、ヴィルトゥオーソは瓦礫を分解してロープ状の繊維束を生成する。
    それはやがて500mを超える長さに到達した。

  • 39ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:44:02

    ミヤコ:
    「これなら問題ありませんね。」

    ミヤコはロープ状の繊維束を引っ張って強度を確認すると、満足気に頷いた。

    サキ:
    「まぁ・・・得体が知れないことを除けばな。」

    ミユ:
    「もし これが千切れたら・・・。」

    セイア:
    「大丈夫、千切れはしないさ。 保証してあげよう。」

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    サオリ:
    「・・・。」

    サオリは遠巻きに、ヴェルギリアの捜索に精を出す先生達を眺めていた。

    サオリ:
    (・・・今なら行けるな。)

    そう考えたサオリは、ひっそりと至聖所(バシリカ)の地下回廊へと消えた。

    ────────────────────

  • 40ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:45:49

    ────────────────────


    <至聖所への地下回廊>


    ???:

    「やっぱり。」


    サオリ:

    「!!」


    サオリは咄嗟にアサルトライフルを構えて振り返った。

    回廊の影から、人影が姿を見せる。


    ミサキ:

    「姉さんなら そうすると思った。」


    サオリ:

    「・・・ミサキ。」


    サオリはミサキだと分かっても銃口を下ろさなかった。

    ミサキの目的は、サオリには苦しいほど良く分かっていた。

  • 41ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:47:16

    サオリ:
    「・・・止めても無駄だ。 私は行く。」

    ミサキ:
    「・・・それで納得すると思ってる?」

    サオリ:
    「・・・。」

    ───── カチャリ

    ロケットランチャーの砲身が、サオリの方を向いた。

    ミサキ:
    「殺す気だ、マダムを。」

    サオリ:
    「・・・あぁ。」

    ミサキ:
    「・・・そんなことをする必要はないはず。
    あの大人に姉さんが そこまでしなくても、私達は幸せになれる。」

  • 42ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:48:18

    サオリ:
    「・・・不可能だ。」

    ミサキ:
    「アズサが日の光の差す世界に進んで行けたように、きっと私達も───」

    サオリ:
    「─── 無理だ!!」

    ほとんど悲鳴のような叫びが、地下回廊に木霊した。

    サオリ:
    「・・・無理なんだ、ミサキ。 ・・・無理なんだ。」

    ミサキ:
    「・・・。」

    サオリの構える銃口の先は、もはやミサキを捉えていなかった。
    それほどまでに常軌を逸し、また何かを酷く恐れている。
    ミサキは これほどまでに弱った姉の姿を初めて見た。

  • 43ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:49:28

    サオリ:
    「例えどれだけ逃げようと、マダムの眼からは逃れられない・・・。
    頼む、分かってくれ・・・。 私が お前達にしてやれることは、もうこれしか ───」

    ミサキ:
    「─── いい加減にして!!」

    思わずミサキはロケットランチャーを投げ出して、サオリの胸倉に掴み掛かっていた。
    サオリは もはや それにすら対応できないほどボロボロだった。

    ミサキ:
    「ふざけないでよ!
    私には いつもいつも 無理やり前を向かせてたクセに!
    私から死(救い)を取り上げ続けたクセに!
    自分の番になったら直ぐに諦めて!!」

    サオリ:
    「なら代案を出してみろ!!
    お前に出来るのか!
    あのマダムを欺き続けることが!
    家族の安全を保証し続けることが出来るのか!!」

    二人は地下回廊の床に倒れ込んだ。
    ミサキが馬乗りになったかと思うと、次の瞬間にはサオリが上になっていた。

  • 44ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:51:01

    ミサキ:
    「・・・。」

    サオリ:
    「・・・ホラな、何もないだろう?」

    今度はサオリが倒れ込んだミサキの胸倉を掴んだ。

    サオリ:
    「『Vanitas vanitatum et omnia vanitas(全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。)』」

    ミサキ:
    「・・・っ!」

    サオリ:
    「・・・マダムが歪めた この金言の意味に、お前は誰よりも理解を示していたはずだ。」

    サオリはミサキの首に手を回した。
    咄嗟に その手を撥ね除けようとするミサキだったが、膝蹴りで肺腑を突かれて動きを止めてしまう。

  • 45ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:56:29

    サオリ:
    「安心しろ、気絶させるだけだ。」

    ミサキ:
    「・・・! ・・・!」

    藻掻くミサキだったが、タガが外れた膂力を発揮しているサオリの手から逃れることは叶わない。
    ミサキの動きは、段々と弱くなっていった。

    サオリ:
    「・・・虚しいな、ミサキ。 本当に、虚しい。」

    ミサキ:
    「・・・。」

    そうして擦れきったサオリの暗い瞳を見つめ返しながら、ゆっくりと意識が暗転していき───



    ───── バコッッ



    突然、ミサキが背をつけていた地面が裂けた。

  • 46ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:58:51

    地の底まで続いているかのような裂け目に、ミサキと その愛銃のロケットランチャーが呑み込まれていく。

    サオリ:
    「─── ミサキッ!」

    落ちていく中 ミサキは、こちらに手を伸ばしているサオリの姿を見た。
    人は、咄嗟の反応に本性が出る。
    そして それは確かに、ミサキが良く知る優しい姉としてのサオリの姿だった。

    ────────────────────

  • 47ホットドリンク大好き25/12/21(日) 13:59:56

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    <かつてのアリウス某所>


    ミサキ:

    「う・・・。」


    ヴェルギリア:

    「あ”? ・・・なんだ、まだ生きてたのか。」


    ヴェルギリアは残念そうに担いでいたミサキを投げ捨てた。


    ミサキ:

    「・・・ぐっ!」


    ヴェルギリア:

    「浴槽の中で血みどろになってるから、てっきり やっと くたばったかと思ったのによぉ・・・。」


    ヴェルギリアはミサキを踏み付けて押さえつけながら、その手首を引っ張り出した。


    ヴェルギリア:

    「・・・チッ、血が固まってやがる。」


    ミサキ:

    「・・・。」


    ミサキの手首には刃物で斬りつけたであろう傷が幾筋も入っていたが、その全てが塞がり始めていた。

  • 48ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:01:29

    ヴェルギリア:
    「運が良いヤツめ。 ・・・いや、お前からすれば運が悪いのか?」

    ミサキ:
    「・・・。」

    ミサキは何も言わない。
    目も虚ろで、全くと言って良いほど生きる気力を感じられない。

    ヴェルギリア:
    「・・・なんで、お前みたいなヤツに限って生き延びるんだろうな。」

    ミサキ:
    「・・・。」

    ヴェルギリア:
    「まぁ、私に見つかったのは不幸中の幸いだ。
    私はお前の家族でも、サオリでも、『あの時のアツコ』でもない。」

    ミサキ:
    「・・・?」

    ヴェルギリアは懐からナイフを取り出してミサキに握らせた。

    ヴェルギリア:
    「さ、続きをしようぜ。
    ” やり方 ” は分かってるだろ?」

  • 49ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:03:08

    ミサキ:
    「・・・。」

    ミサキは静かに頷くと、ナイフを腕の動脈に当てた。

    ヴェルギリア:
    「分かるさ、首は怖いよな。
    例え痛みを感じても、死ぬなら ゆっくりの方が良い。
    全身の血が抜けていく感覚を味わいながら、朦朧とした意識の中で死にたいよな。」

    ミサキ:
    「・・・。」

    ヴェルギリアはミサキの顔に ゆっくりと手を這わせる。

    ヴェルギリア:
    「さぁ、刺せ。
    もう お前の命は弱り切っている。
    ヘイローの護りも、もはや死(救い)を拒めまい。」

  • 50ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:21:46

    ミサキ:
    「・・・!」

    ミサキは邪悪な誘いのままに腕の動脈にナイフを突き立てようとし───



    サオリ:
    「─── ミサキッ!」



    ビクリッ。
    聞き覚えのある声が響き、ミサキは その手からナイフを落とした。

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

  • 51ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:23:00

    ────────────────────


    <裂け目の底>


    ミサキ:

    (・・・夢か。)


    ミサキは暗闇の中で目を覚ました。


    ミサキ:

    (全身が、痛い・・・。)


    どうやら落ちる過程で何度も打撲を負ったらしく、全身がズキズキと痛んだ。

    しかし、幸いなことに身体は まだ動く。


    ???:

    「なんだ、まだいきてたのか。」


    ミサキ:

    「!?」


    暗闇の中に、誰かがいた。

    ミサキは懐から、電池が切れかけの懐中電灯を取り出す。

  • 52ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:24:48

    ミサキ:
    「・・・貴方は。」

    そこには、ボロボロの子供がいた。
    年は初等部の上級生くらいであろうか。
    綺麗だったであろう黒色のドレスは襤褸切れのようになり、その身体は血に塗れている。
    肌は赤く、所々ウロコのようなものが生えており、髪は獣染みたクセ毛、頭には狼のソレのような獣の耳が生えている。
    そして何より特徴的なのは、四肢の下端を覆う雛鳥のようなモコモコの毛と、そこから はみ出した熊のような鋭い爪だった。

    ミサキ:
    「・・・ヴェルギリア。」

    良く知る17~18才くらいの外見とは掛け離れた幼い姿だったが、ミサキには不思議と その正体が分かった。

    ヴェルギリア:
    「よぅ・・・■■。」

    ナチュラルにFワードが飛び出す。
    そんなワードセンスの持ち主が、ヴェルギリア以外にいては たまったものではない。

    ミサキ:
    「・・・それが、貴方の本当の姿?」

    ヴェルギリア:
    「まぁな・・・。」

    ミサキは地の底で岩肌に背を預けるヴェルギリアの近くに座って話を始めた。
    もはやヴェルギリアには、暴れることが出来るほどの力は残っていなかった。

  • 53ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:26:14

    ミサキ:
    「・・・年は?」

    ヴェルギリア:
    「・・・ことし で11。」

    ミサキは酷く驚いた。
    今までずっと、ヴェルギリアは年上だと思っていたから。
    それがまさか、5つも年が下だったとは。

    ヴェルギリア:
    「まさか、最期に あうのが おまえ とはな。 マジでサイアクの きぶんだ。」

    ミサキ:
    「・・・自業自得でしょ。」

    ヴェルギリア:
    「まぁ、そうだな。」

    ミサキ:
    「・・・。」

    ヴェルギリア:
    「・・・。」

    ・・・不思議な気分だった。
    思えば こうして落ち着いて話すのは初めてな気がする。
    両者ともに、どうしようもない嫌悪感から真面に顔を突き合せてこなかった。

  • 54ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:29:58

    ヴェルギリア:
    「なぁ・・・おまえに ずっと ききたいことが あったんだ。」

    ミサキ:
    「・・・何?」

    ヴェルギリア:
    「おまえは・・・ワタシが ほしいモノを ぜんぶ もってるのに、いったい なにが ふまんなんだ?」

    ミサキ:
    「・・・。」

    心底 純粋に疑問に思っている様子に、ミサキは虚を突かれて言葉が出て来なかった。

    ヴェルギリア:
    「おまえは じぶんのむれを・・・あたたかいカゾクをもっている。
    わたしの クソみたいな むれとは ちがう、ほんとうに うつくしいものだ。
    ・・・それなのに、なぜ それを きょうじゅ することを こばむ?
    それだけ あれば じゅうぶん なことは、おまえが いちばん わかってるはずだろう?」

    ミサキ:
    「・・・私が羨ましかったの?」

    ヴェルギリア:
    「あぁ・・・しんそこ、うらやましかった。 ・・・ねたましかった。」

    ミサキ:
    「・・・そっか。」

  • 55ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:31:33

    今までずっと、ヴェルギリアが自身を執拗に虐げる理由が理解できなかった。
    だが、ここに来てようやく理解できた気がした。
    それはきっと、幼い子供の癇癪のようなものだったのだ。
    それも、割と理解できる不満から来る類いの。

    ヴェルギリア:
    「わたしが・・・けっかんひん だってことは りかいしてる。
    じぶんが なにを ほしがっているかも よくりかいできない。
    たにんを こうげき しないと みたされない、しはい しないと マンゾクできない。
    そして、大悪党(ヴィラン)に成ることも、勝つことも できなかった。
    ・・・なにも、できなかった。 ・・・・・・もう、つかれた。」

    ミサキ:
    「・・・。」

    ヴェルギリア:
    「・・・” やり方 ” は、わかってるだろ?」

    暗闇の中を手で探ると、覚えのある感触が返ってきた。
    愛用武器のロケットランチャー『セイントプレデター』をミサキは掴み、杖代わりにして立ち上がった。

    ヴェルギリア:
    「どんな てを つかっても いい。
    ヘイローの たいきゅう をこえた ダメージを あたえつづけろ。
    そうすれば ヘイローは くだけ・・・つまり死にいたる。
    ・・・・・・おまえは わたしと おなじように、それを よく しっているはずだ。」

  • 56ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:32:52

    ミサキ:
    「・・・。」

    ミサキはヴェルギリアへと手を伸ばす。

    ヴェルギリア:
    「さぁ、殺れ。 おまえに そのけんりは ある。」

    ミサキ:
    「・・・要らない、そんなの。」

    ミサキはヴェルギリアを抱き上げた。

    ヴェルギリア:
    「・・・なんだ、テメェ。」

    ミサキ:
    「・・・私は姉さん達とは違う。
    死が貴方にとって救いになってしまうことを理解している。
    ・・・だからこそ、私は貴方を生かす。 私は、貴方が嫌いだから。」

    ヴェルギリア:
    「■■■■、■■■■。」

    ミサキ:
    「・・・何とでも言えば良い。」

    ミサキはヴェルギリアの小さな身体を、体温が伝わる距離までギュッと抱きしめた。
    ヴェルギリアの身体は冷たく、そして震えていた。

  • 57ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:34:18

    ミサキ:
    「・・・さっきの質問の答えだけど。」

    ヴェルギリア:
    「・・・。」

    初めて感じるような暖かな体温に包まれて、うつらうつらと眠気に襲われているヴェルギリアに対して、ミサキは独り言のように語りかけ始めた。

    ミサキ:
    「家族に、サオリ姉さんに不満なんて無かった。
    ただ、この虚ろな世界が嫌いだった。
    いつか家族を、大切なもの全てを失う可能性の大きさに、私は耐えられなかった。
    弱くて出来損ないの自分が、誰かの足を引っ張って死なせてしまうのが怖かった。
    ・・・だから、誰よりも早く消えたかった。 ・・・今 思えば、自分勝手だったね。」

    ヴェルギリア:
    「そうか・・・。」

    ミサキはヴェルギリアを抱えて、前に進んだ。
    ミヤコ達が、ヴェルギリアの気絶を確かめる為に探索を進めているであろう方向へと。

  • 58ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:35:58

    ヴェルギリア:
    「わたしも・・・。」

    ミサキ:
    「・・・?」

    ヴェルギリア:
    「わたしも・・・この せかい が きらいだ。」

    ミサキ:
    「・・・そう。」

    思わぬ共通点に、目を瞬く。
    記憶にあるヴェルギリアは、いつも愉しそうだった。
    それがまさか、本当は自分と同じような気質の持ち主だったとは。

    ヴェルギリア:
    「いつか・・・すきに なれると おもうか?」

    ミサキ:
    「・・・私は、思わない。」

    ミサキは安易な励ましの言葉を口にしなかった。
    それが今 必要とされていないことを、誰よりも理解していた。

    ヴェルギリア:
    「わかる。」

    そして それは、ヴェルギリアも同じだった。
    ────────────────────

  • 59ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:37:01

    ────────────────────

    ─────

    ───


    <至聖所への地下回廊>


    サオリ:

    「はぁ・・・はぁ・・・っ!」


    ───── (銃声)


    サオリ:

    「クソッ・・・まだ追ってくるのか・・・!」


    聖徒会の複製(ミメシス):

    『・・・。』


    サオリは至聖所(バシリカ)へと向かう地下回廊を、逆向きに走っていた。

    その後を、地下回廊を彷徨っていた大量のミメシスが追う。

  • 60ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:39:16

    サオリ:
    (ミサキ・・・死にはしないだろうが・・・。)

    サオリはミメシスに追われながらも、しかしミサキのことを考え続けていた。
    キヴォトスの人間は、容易なことでは死なない。
    分かっていても、感情では どうしても心配をしてしまう。

    サオリ:
    (もし・・・高速で岩肌に叩き付けられ続ければ・・・。
    もし・・・裂け目の底に毒素が充満していたり、溶岩溜まりがあれば───)



    ───── (破砕音)



    サオリ:
    「っ!?」

    道々と巡り続ける思考に呑まれていると、不意に地下回廊の柱が破砕音と共に崩れた。
    柱は天井等を巻き込んで、地下回廊を塞ぐように崩壊していく。
    サオリは転がり込むようにして慌てて その場から回避する。


    ───── ガラガラッ・・・


    土煙と共に、次の瞬間には柱の倒壊に巻き込まれた地下回廊の瓦礫で道が塞がれた。

  • 61ホットドリンク大好き25/12/21(日) 14:41:09

    聖徒会の複製(ミメシス):
    『・・・。』

    ───── コツ・・・コツ・・・

    サオリの後を追い掛けていたミメシスが、追跡を諦めてバラバラに散っていく足音が聞こえる。

    サオリ:
    「一体何が・・・───」










    ミカ:
    「─── サオリ?」



    サオリ:
    「・・・お前は。」

    倒壊した柱の向こう側で、サオリは キョトンとした様子のミカと目が合った。

    ────────────────────

  • 62二次元好きの匿名さん25/12/21(日) 22:30:49

    保守

  • 63二次元好きの匿名さん25/12/22(月) 07:18:57

    保守

  • 64二次元好きの匿名さん25/12/22(月) 12:52:25

    保守

  • 65二次元好きの匿名さん25/12/22(月) 20:34:37

    保守

  • 66二次元好きの匿名さん25/12/22(月) 23:19:29

    保守

  • 67ホットドリンク大好き25/12/22(月) 23:45:00

    ────────────────────

    ───── (銃撃音)

    ミカ:
    「・・・なんで貴方が ここにいるかなぁ。」

    サオリ:
    「それは こちらのセリフだ。」

    ミカとサオリは、至聖所(バシリカ)へと続く至聖所の入り口で、外から雪崩れ込んでくる複製(ミメシス)達を相手にしていた。

    ───── (銃の連射音)

    ミカが弾倉分の弾を撃ち終わってリロードに入ると、入れ替わるようにサオリが障害物から身を乗り出してアサルトライフルの照準を向ける。
    入り口に入り込んできたミメシスに銃弾を叩き込んだ。

    ミカ:
    「私?
    私はね、セイアちゃんから この子達の足止めを お願いされてね。
    でもまぁ、この数だから押し込まれちゃって・・・閉所戦に持ち込んでるってワケ。」

    サオリ:
    「セイア?
    百合園セイアのことか?」

    サオリは ふと、後から合流し、先生達の輪にシレッと混ざっていた高貴そうな生徒のことを思い出した。
    流石に、最初から殺す気はなかったとはいえ、暗殺対象の顔と名前を忘れるはずもない。
    見間違いでもないだろう。

  • 68ホットドリンク大好き25/12/22(月) 23:46:54

    ミカ:
    「うん、そうだよ。
    貴方達が殺そうとした百合園セイア・・・ね。」

    サオリ:
    「それなら、先程 見たぞ。」

    ミカ:
    「へ?」

    ───── (爆発音)

    入り口に、グレネードが投げられた。
    爆風で土煙が上がる。
    ミカとサオリは一斉に障害物から身を乗り出し、土煙の向こう側、亡霊達の影に向かって斉射した。

    ミカ:
    「み、見たって・・・。」

    サオリ:
    「シャーレの先生の一団に混ざっているのを見た。
    殺そうとした相手を見間違えるはずもない。」

  • 69ホットドリンク大好き25/12/22(月) 23:57:40

    あのとき、アズサに渡した『ヘイローを破壊する爆弾』は偽物だった。
    だからサオリ達に殺意は無かったと反論することも出来るのだが、サオリは敢えてそれをしなかった。
    裏の思惑はどうあれ、ミカを欺いて形上『殺した』ことになった時期があったのは確かだったからだ。

    ミカ:
    「・・・。」

    サオリ:
    「・・・合流したらどうだ?
    あちらの戦闘は一段落ついたところで、人員と物資に余裕もある。
    敵を引き付けてしまう危険性があるのは分かるが、弾薬は心許ないだろう?」

    ミカは次の弾倉をリロードする。
    確かに手持ちの弾倉の在庫は心許なかった。

    ────────────────────

  • 70二次元好きの匿名さん25/12/23(火) 07:19:05

    保守

  • 71二次元好きの匿名さん25/12/23(火) 16:31:17

    このレスは削除されています

  • 72二次元好きの匿名さん25/12/23(火) 23:30:10

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん25/12/24(水) 08:00:54

    保守

  • 74ホットドリンク大好き25/12/24(水) 10:18:14

    ────────────────────

    ミカ:
    「・・・うん、そうだね。
    ─── じゃあ、一緒に行こっか?」

    サオリ:
    「・・・。」

    サオリはピクリと動きを止めた。
    それは あまりに分かり易い拒絶の反応だった。

    ミカ:
    「うん?
    ・・・もしかして、はぐれちゃったワケじゃないのかな。
    例えば・・・そう、” 自分から一人になった ”・・・とか?」

    サオリ:
    「・・・。」

    ミカ:
    「・・・あはっ、なにその顔。
    私だって もうちょっと隠し事は得意だよ?」

    分かり易く図星といった様子のサオリを見て、ミカはクスクスと笑った。

  • 75ホットドリンク大好き25/12/24(水) 10:22:06

    ミカ:
    「貴方こそ、戻って先生達と合流するべきなんじゃないかな。
    ・・・うん、それが良いよ。
    貴方が戻って私のことを知らせてくれれば、少なくとも先生とセイアちゃんは私を助けに来てくれると思う。
    そうすれば私が敵を引き付けちゃう心配もないよね。」

    少しの間サオリは沈黙していたが、やがて申し訳なさそうに首を振った。

    サオリ:
    「・・・悪いが、断る。」

    ミカ:
    「う~ん・・・そうだよね。
    私が そうだったもん、分かるよ。」

    サオリ:
    「・・・。」

    ミカはサオリの眼前まで、ずぃっと顔を寄せた。
    ミカの瞳一杯に、硬い表情をしたサオリの顔が映る。

    ミカ:
    「─── やるべきことが、あるんだよね?」

    サオリ:
    「・・・そうだ。 やるべきことが、ある。」

    サオリは目を逸らさなかった。
    なんだか " 自分自身 " に問い掛けられているような気がして、ここで目を逸らしてはいけないと思った。
    自分自身から目を逸らすことは、きっと その覚悟に嘘を付くようなものだから。

  • 76ホットドリンク大好き25/12/24(水) 10:23:20

    ミカ:
    「・・・じゃあ、しょうがないよね。
    うん、貴方のプランで行こっか。
    私はセイアちゃんのところに文字通り邪魔しに行くから、貴方は やるべきことをやりに行って。」

    サオリ:
    「・・・いいのか?」

    ミカ:
    「止めても止まるものじゃないことは、私が一番 分かってるつもりだよ?」

    ミカは自身の事を思い出す。
    " 責任をとる ” そう決めた あの時は、きっと先生の言葉でも止まれなかっただろう。
    自分が止まれたのは思いがけない幸運の連続だった。

    ミカ:
    「・・・でも、最後まで希望は捨てないでね。
    私が言うのもなんだけど、意外と何とかなると思うから。」

    まるで自分自身に言い聞かせるように優しく諭すミカに対して、サオリは思わずといった様子で尋ねた。

    サオリ:
    「・・・お前は・・・私達を、いや私を恨んでいるんじゃないのか?」

  • 77ホットドリンク大好き25/12/24(水) 10:24:33

    ミカ:
    「うん?」

    ミカは思いもよらないようなことを言われたかのように目を瞬かせた。

    サオリ:
    「私は・・・お前を この地獄に引きずり込んだんだぞ? ・・・私自身の目的の為に。」

    ミカ:
    「あー・・・言われてみれば そう・・・かも?」

    ミカはサオリとのやり取りを思い出す。
    確かに、考えてみれば全ての元凶は目の前のサオリとも言えなくもない。

    ミカ:
    「でも、それって私にも言えることじゃない?
    私だって目的をもって貴方に近づいたし、それで今 貴方は苦しんでる。
    ・・・うん、ここは両成敗ってことで。」

    サオリ:
    「だが・・・───」

    ミカは納得いってない様子のサオリの手を、そっと握った。

    ミカ:
    「─── 貴方は私だよ、サオリ。
    私達は互いに馬鹿なことをして、一緒に苦しんだ。
    ・・・もう互いを・・・『自分自身』を許しても良いと思わない?」

  • 78ホットドリンク大好き25/12/24(水) 10:25:38

    サオリ:
    「・・・。」

    ミカ:
    「約束して、サオリ。
    最後まで希望は捨てないって。
    ・・・そうしたらきっと、私達は もう一度、改めて友達になれると思うから。」

    サオリ:
    「・・・。」

    サオリは暫く、ミカと睨み合うようにしていたが、やがて諦めたように深い溜息をついた。

    サオリ:
    「・・・善処はしよう。」

    ミカ:
    「うん、今は それで良いかな。」

    ミカは嬉しそうにニッコリと笑うと、後ろに忍び寄ってきていた複製(ミメシス)を回し蹴りの要領で蹴り飛ばした。
    そして そのまま後続のミメシスとの銃撃戦に移行する。

    ミカ:
    「─── 今だよ!」

    サオリ:
    「!!」

    その合図で、サオリは地下回廊の出口へと滑り込んだ。
    ────────────────────

  • 79二次元好きの匿名さん25/12/24(水) 18:23:36

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん25/12/24(水) 22:03:36

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん25/12/25(木) 07:01:24

    保守

  • 82二次元好きの匿名さん25/12/25(木) 16:02:51

    保守

  • 83二次元好きの匿名さん25/12/25(木) 21:11:12

    保守

  • 84二次元好きの匿名さん25/12/25(木) 23:43:14

    ────────────────────


    ・・・

    ・・・・・・

    ・・・・・・・・・


    <小一時間後・・・>


    セイア:

    「・・・ふむ、何か嫌な予感がする。」


    ハナコ:

    「あら? 近くに敵影は確認できませんが・・・。」


    セイア:

    「いや、そういう嫌な予感ではなくてだね。

    なんというか・・・こう、気の合わない友人に この後 絡まれる時の感覚に似ている・・・。」


    ハナコ:

    「・・・それでしたら心当たりがあるのでは?」


    セイア:

    「・・・敢えて考えないようにしていたが、やはりそうかな。」


    近くの瓦礫に腰掛け、ハナコと何でも無いことで談笑していたセイアだったが、それを切り上げ、しかし かなり面倒臭そうに近くにいたアズサに声を掛けた。

  • 85二次元好きの匿名さん25/12/25(木) 23:48:30

    セイア:
    「アズサ、すまないが今 良いかい?」

    アズサ:
    「うん・・・だけど───」

    何かを言いかけたアズサだったが、それをセイアは敢えて遮った。

    セイア:
    「・・・分かっているとも。
    今回も私達は共犯だ。
    もっとも、今度の私は君の考えを否定しないがね。」

    アズサ:
    「・・・分かった。
    それで・・・何?」

    セイア:
    「君は対集団戦を想定した陣地構築が得意だったね。
    悪いが急いでその業を見せて欲しい。 具体的には・・・5分以内に。」

    アズサ:
    「・・・どこから来る?」

    セイア:
    「まず間違い無く地下回廊からだろうね。」

    アズサ:
    「そう、分かった。」

  • 86二次元好きの匿名さん25/12/25(木) 23:49:33

    アズサは隣のヒフミに声を掛けた。

    アズサ:
    「ヒフミ、手伝って欲しい。
    これから急ピッチで地下回廊の出入り口を固めなくてはいけなくなった。」

    ヒフミ:
    「えっ、いいですけど───」

    アズサは補習授業部の皆を集めて地下回廊への出入り口を固めに行った。



    セイア:
    「さて・・・先生。
    これから質の悪い友人が、私を頼って この至聖所(バシリカ)の跡地を訪れるだろう。
    すまないが どうか私の手助けをしてくれないかい?」

    ────────────────────

  • 87二次元好きの匿名さん25/12/26(金) 07:11:22

    保守

  • 88二次元好きの匿名さん25/12/26(金) 16:00:48

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん25/12/26(金) 23:23:38

    保守

  • 90ホットドリンク大好き25/12/26(金) 23:46:09

    ────────────────────

    ─────

    ───


    <至聖所(バシリカ)の裂け目・内部>


    サキ:

    「あー・・・どのくらい降りた?」


    ミヤコ:

    「そうですね・・・ざっと200mほどではないでしょうか?」


    ミユ:

    「少なく見積もっても後300mはある・・・。」


    ライトで足元と手元を照らしながら、3人は慎重に裂け目の内部を降下していく。


    モエ:

    『───! (ザーッ)───!!』


    ミヤコ:

    「・・・通信機の調子が悪いですね。

    この近くに鉄鉱脈でもあるのかもしれません。」


    サキ:

    「ハハッ、掘り当てられたら大金持ちになれるかもな。」


    ミユ:

    「でも・・・掘れる機材がないよ?」

  • 91ホットドリンク大好き25/12/26(金) 23:48:28

    ミヤコ:
    「その辺りは・・・カヤ先輩辺りが持ってそうですね・・・。」

    サキ:
    「・・・おい、やめろ。
    あの先輩を引っ張り出したら嫌でも大事になるだろう。
    言っておいて何だが、別に私に大金を渡されても困るだけだぞ。」

    ミヤコ:
    「それについては私も同感です。 ・・・ミユはどうですか?」

    ミユ:
    「・・・。(無言で首を振る)」

    ミヤコ:
    「・・・となると、モエに全額が回ることになりますが・・・。」

    サキ:
    「おいバカ止めろ。
    そんなことをしたら あのバカ、使う予定もないのに巡航ミサイルでも買いかねないぞ。」

    ミヤコ:
    「冗談ですよ。」

  • 92ホットドリンク大好き25/12/26(金) 23:49:47

    サキ:
    「冗談って───」



    モエ:
    『ご───(ザーッ)! ロ─────!!』



    ミヤコ:
    「そんなことより通信が回復してきたようです。 ・・・はい、こちらRABBIT1。」

    サキ:
    「・・・まぁいい。 こちらRABBIT2、RABBIT3現状を報告してくれ。」



    モエ:
    『あー・・・─── 聞こえ───? (ザーッ)悪いん───ロープが─────!』



    不吉な単語に、3人は顔を見合わせた。

  • 93ホットドリンク大好き25/12/26(金) 23:50:57

    サキ:
    「おい、今ロープって・・・。」

    ミヤコ:
    「・・・落ち着きましょう、セイアさんの直感によると『ロープが切れること』は無いはずです。」

    ミユ:
    「あの・・・ずっと考えてたんだけど・・・。」

    二人はミユの方に視線を向けた。

    ミユ:
    「───『ロープが自然に切れる』ことは無くても・・・『ロープが外的要因で切れる』ことは想定されてないんじゃないかって・・・。」

    サキ:
    「・・・。」

    ミヤコ:
    「・・・。」

  • 94ホットドリンク大好き25/12/26(金) 23:52:20

    ───── ザザッ

    そのタイミングで通信が復調した。



    モエ:
    『(銃声) 敵の銃弾でロープをやられた! もうすぐ切れるよ!!』



    ミヤコ:
    「─── サキ!」

    サキ:
    「─── 分かってる!」

    ミヤコは近くにいたミユを咄嗟に抱きかかえると、ロープに預けていた体重をボルダリングの要領で支える体勢に入る。
    サキもまた、少し遅れて近くの岩肌の突起を強く掴んだ。

    ───── (風切り音)

    次の瞬間、銃撃戦によって千切れたロープがミヤコ達の背後を落下していった。
    少し遅れて、200m弱のロープの重さによる衝撃が、岩肌に突き刺した足先と指先に掛かる。

  • 95ホットドリンク大好き25/12/26(金) 23:53:37

    ミヤコ:
    「くっ・・・私の背に回って下さい、モエ。 その方が楽なので・・・。」

    モエ:
    「わ、分かった。」

    サキ:
    「ぐぐっ・・・おい、ミヤコ。 ここから どうするんだ?」

    ミヤコ:
    「上の様子が気になりますが・・・ここは一度 下に降りましょう。
    ・・・きっと、登るよりは降りる方が楽なはず・・・です。」

    サキ:
    「・・・・・・・・・そうか?」

    ミヤコ:
    「・・・。」

    二人は黙って300mの断崖絶壁をボルダリングした。

    ────────────────────

  • 96二次元好きの匿名さん25/12/27(土) 07:58:21

    保守

  • 97二次元好きの匿名さん25/12/27(土) 13:41:22

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん25/12/27(土) 22:01:01

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん25/12/28(日) 04:42:59

    ────────────────────

    ・・・
    ・・・・・・
    ・・・・・・・・・

    サキ:
    「ぜぇ・・・はぁ・・・。
    ・・・ようやく、ついた・・・。」

    ミヤコ:
    「はぁ・・・はぁ・・・。」

    ミユ:
    「だ、大丈夫・・・二人とも・・・?」

    二人は ようやく裂け目の底に着くと、四つん這いになって肩で息をし始めた。
    ミヤコに背負われていたことで体力に余裕のあるミユが周囲の警戒をしながら二人に声を掛ける。

    ミヤコ:
    「大丈夫です・・・。
    ・・・ですが、流石に ここまで身体を酷使したのは久しぶりかもしれません。」

    サキ:
    「そうだな・・・。
    ・・・もっと普段のトレーニングの負荷を上げるか?」

    ミヤコ:
    「・・・そうですね。
    今回の件が終わったら、ボルダリング関係を重点的に鍛えましょうか。」

  • 100二次元好きの匿名さん25/12/28(日) 04:45:05

    ───── ザッ・・・ザッ・・・

    そんな話をしていると、不意に暗闇の中から足音が響き始める。

    ミヤコ:
    「・・・ミユ。」

    ミユ:
    「うん・・・。」

    ミユは狙撃銃を構えながらもスコープを覗かず、裸眼で周囲の警戒を続ける。
    そうして突然の遭遇に備えながら、ミヤコとサキの二人も ゆっくりと回復体勢から警戒体勢に移っていく。

    ───── ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・

    3人で銃を構えながら足音の主が視界に入るのを待っていると、やがて暗闇の中から見覚えのある人影が姿を現わした。

    ミヤコ:
    「・・・貴方は。」



    ミサキ:
    「─── ・・・助けて欲しかったんだけど、難しそうだね。」

    地上で待機していたはずのミサキは、特に失望した様子もなく そう言った。

    ────────────────────

  • 101二次元好きの匿名さん25/12/28(日) 13:02:38

    保守

  • 102二次元好きの匿名さん25/12/28(日) 21:40:08

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん25/12/29(月) 03:00:42

    保守

  • 104二次元好きの匿名さん25/12/29(月) 09:23:28

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん25/12/29(月) 17:48:17

    保守

  • 106ホットドリンク大好き25/12/29(月) 17:59:53

    ────────────────────

    ・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。

    ミサキ:
    「・・・困ったことになったね。」

    ミサキ:
    「えぇ・・・。」

    サキ:
    「何だか、すまない・・・。」

    ミユ:
    「ごめんなさい・・・。」

    ミヤコ達は、ミサキと膝を突き合せて現状を報告しあった。
    その結果、現状 この場からの脱出は難しいという話になった。

    ミヤコ:
    「私とサキが一人ずつ背負って登るとしても・・・。」

    サキ:
    「・・・流石に500mの登攀は難しいぞ。
    無理をすればいけるかもしれないが、そんな危険を冒すような状況か?」

  • 107ホットドリンク大好き25/12/29(月) 18:01:21

    ミユ:
    「あの・・・私、500m多分ムリ───」

    ミサキ:
    「・・・早ければ早いほど良いね。
    私は、リーダーを人殺しにはしたくない。」

    ミヤコ:
    「そうですよね・・・。」



    ミユ:
    「うぅ・・・。」

    サキ:
    「ん? どうした、ミユ。」

    ミユ:
    「・・・なんでもないです。」

  • 108ホットドリンク大好き25/12/29(月) 18:02:58

    サキ:
    「? それなら良いんだが・・・。」



    ミヤコ:
    「それなら・・・───」

    ミヤコは、ミサキの横でミサキのジャケットに包まれて横になっている幼子に目を向けた。

    ミヤコ:
    「・・・彼女の協力を仰ぐというのは どうでしょうか?」

    ミサキ:
    「・・・。」

    ミサキは露骨に嫌そうな顔をした。
    その横では、話題に上げられたヴェルギリアが年相応にウトウトと夢の世界に旅立とうとしていた。

    ────────────────────

  • 109二次元好きの匿名さん25/12/30(火) 03:01:49

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/12/30(火) 12:19:45

    保守

  • 111二次元好きの匿名さん25/12/30(火) 18:27:37

    ────────────────────

    ミサキ:
    「・・・。(苦悶の表情)」

    ミヤコ:
    「・・・。(困惑の表情)」

    よほどヴェルギリアを頼るのが嫌らしく、ミサキは彼女の家族も驚くほどの百面相を見せていた。
    暫く その様子を困惑と共に窺っていたミヤコだったが、やがて痺れを切らして口を開いた。

    ミヤコ:
    「あの・・・いけませんか?」

    ミサキ:
    「・・・そんなことはないけど・・・。」

    「コレに頼るのか・・・」とミサキは零した。
    どうやら よほどヴェルギリアを頼るのが嫌らしい。

    ヴェルギリア:
    「・・・。」

    肝心のヴェルギリアは今にも夢の世界に旅立ちそうになっている。
    早く話掛けないと本格的に寝てしまいそうだ。

  • 112二次元好きの匿名さん25/12/30(火) 18:31:11

    ミヤコ:
    「・・・交渉は私がしますから・・・。」

    ミサキ:
    「・・・仕方が無い。」

    個人的感情はどうあれ、この事態を挽回できる能力を持っているのはヴェルギリアだけだ。
    ミサキはヴェルギリアに対する嫌悪感を、一度隅に置くことにした。

    ミヤコ:
    「あの・・・。」

    ヴェルギリア:
    「・・・んぅ?」

    ヴェルギリアが寝ぼけ眼をミヤコの方に向けた。
    もはや真面に話を聞いているのかも怪しいが、ミヤコは一応 交渉を試みる。

    ミヤコ:
    「貴方は・・・私達を地上に・・・その、ワープ? させることは出来ますか?」

  • 113ホットドリンク大好き25/12/30(火) 18:33:38

    ヴェルギリア:
    「・・・ん。」

    ヴェルギリアは確かに頷いた。
    どうやら出来るには出来るらしい。

    ミヤコ:
    「・・・それを お願いしても?」

    ヴェルギリア:
    「・・・。」

    ヴェルギリアは考えるように目を瞑った。
    そしてやがて、身を包んでいるジャケットから腕を出す。

    ───── ピッ

    そして、ミヤコに向かって中指を立てた。

    ────────────────────

  • 114二次元好きの匿名さん25/12/31(水) 00:27:09

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん25/12/31(水) 07:04:36

    保守します。

  • 116二次元好きの匿名さん25/12/31(水) 15:21:54

    保守

  • 117ホットドリンク大好き25/12/31(水) 20:50:43

    ────────────────────

    ミヤコ:
    「・・・そうですか。 それなら、仕方ありませんね。」

    ミヤコは中指を立てられたことに怒るでもなく、当たり前の答えを聞いたかのように あっさり引き下がった。

    サキ:
    「おい・・・もういいのか?」

    ミヤコ:
    「・・・短い付き合いですが、一度『互いの心を覗き合った』仲です。
    これ以上の交渉は無駄だということはハッキリ分かりました。
    ・・・そんな無駄な時間を費やすより、次善策を打つ方が建設的でしょう?」

    ミヤコは そう言うと、千切れて地面に落ちていたロープを屈んで掴んだ。
    そして、それを身体に括り付け始める。

    ミヤコ:
    「さぁ、サキ。
    分かったら私に この子を括り付けて下さい。
    貴方はミサキさんを宜しくお願いします。」

    まるで頭痛にでも悩まされているあのように顔を歪ませたサキは、ミヤコからロープを受け取る。

    サキ:
    「・・・まぁ、やれないことはないだろうが・・・。」

  • 118ホットドリンク大好き25/12/31(水) 20:52:14

    ミユ:
    「あの・・・私、500mのボルダリングは・・・───」

    ミヤコは、何かを言いかけたミユの肩をガッチリと掴んだ。

    ミヤコ:
    「─── 大丈夫です、ミユ。
    私達も実は200m以上に挑戦したことがありません。
    ・・・だから、条件は同じですよ?」

    ミユ:
    「・・・そ、そうかな・・・そうかも・・・。」

    サキ:
    「・・・。」

    サキは詐欺師もかくやといった様子でミユを騙しにかかるミヤコを見て見ぬふりをして、ロープを片手にヴェルギリアをミヤコの背中に括り付ける作業に入り始めた。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • 119ホットドリンク大好き25/12/31(水) 21:13:17

    ミサキ:
    (・・・何か、おかしい。)

    その状況で、ミサキだけが違和感に気付いていた。
    腐っても長年ヴェルギリアと接してきたミサキだからこそ気付く違和感。
    心の奥底を直接覗いたミヤコだからこそ気付けない、普段の『取り繕った表向きのヴェルギリア』と現在の素直なヴェルギリアの態度の齟齬。

    ミサキ:
    (・・・レディが、勝者の望みを無下にするはずがない。)

    そう、ヴェルギリアは昔から勝者に甘かった。
    嗜虐趣味の反動とでもいうべきか、ヴェルギリアは模擬戦などで勝利を収めた隊に、望みの菓子や雑誌などの嗜好品をベアトリーチェに無断でプレゼントすることがあったくらいだ。

    それが今、勝者であるはずのミヤコに中指を立てている。

    ミサキ:
    (そこまで月雪ミヤコが嫌い・・・?
    ・・・いや、むしろ月雪ミヤコはヴェルギリアが敬意を払うタイプのはず。 それなら どうして・・・。)

    そこでふと、ミサキは ある可能性が脳裏に浮かんだ。

    ミサキ:
    (・・・いや、でも、そんなまさか・・・。)

    しかし それは 有り得ない可能性のはずだった。
    『取り繕った表向きのヴェルギリア』しか見てこなかったミサキでは想像もつかない、しかし僅かながらでも先程ヴェルギリアの本心に触れたミサキだからこそ思い至った可能性。

  • 120ホットドリンク大好き25/12/31(水) 21:14:49

    ミサキ:
    「・・・。」

    ミサキは、ミヤコの背に括り付けられようとしているグッタリとしたヴェルギリアに近付くと、その耳元で『とある情報』を囁いた。

    ミサキ:
    (─────。)

    ヴェルギリア:
    「・・・!」

    ヴェルギリアはミサキの予想通り、確かにピクリと その獣耳を動かした。

    ミサキ:
    「(・・・コイツ、やっぱり・・・。)
    ・・・分かったら、素直に私達を上に送って。」

    ヴェルギリア:
    「・・・。」

    ───── ドプンッ

    ヴェルギリアは一瞬だけ鋭い目付きでミサキを睨み付けたが、次の瞬間 自分ごとミヤコ達を影の中に引き摺り込んだ。

    ────────────────────

  • 121二次元好きの匿名さん26/01/01(木) 06:07:41

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん26/01/01(木) 14:38:46

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん26/01/01(木) 22:09:04

    保守

  • 124二次元好きの匿名さん26/01/02(金) 02:08:33

    保守

  • 125ホットドリンク大好き26/01/02(金) 10:39:59

    ────────────────────

    ─────

    ───


    <至聖所・跡地>


    セイア:

    「まったく・・・君は本当に間が悪いね。

    私が予め備えていなければ、それなりに被害を被るところだった。」


    ミカ:

    「えー・・・命懸けの囮をした友達に その塩対応は無いんじゃないかなぁ。

    ・・・まぁ、確かに ちょっぴり間が悪かったのは確かみたいだけどさ・・・。」


    ミカは亀裂の底に向かってダラリと伸びたロープを、気まずそうに掌で弄んだ。


    セイア:

    「いや、それについては問題ないよ。」


    ミカ:

    「うん?」

  • 126ホットドリンク大好き26/01/02(金) 10:43:37

    セイア:
    「こんなこともあろうかと、裂け目の中で何が起きようと対応できるであろう人選で送り込んでおいた。
    ・・・もっとも、『外的要因でロープが切れる』ことは私も予知できなかったが・・・。」

    ミカ:
    「セイアちゃん?」

    セイア:
    「・・・ともかく、君が無事で良かった。
    友人として、これ以上 喜ばしいことはない。」

    ミカ:
    「・・・えっと、セイアちゃん?
    私が言うのも何だけど、そういうのはちゃんと謝った方が良いと思うな・・・。」

    セイア:
    「・・・・・・そうだね。」



    ───── ザッパァンッ



    そんな話をしていると、不意に瓦礫の影の中から突然ミヤコ達が現われた。

    ────────────────────

  • 127二次元好きの匿名さん26/01/02(金) 18:32:32

    保守

  • 128二次元好きの匿名さん26/01/02(金) 23:58:14

    保守

  • 129二次元好きの匿名さん26/01/03(土) 01:34:17

    保守

  • 130二次元好きの匿名さん26/01/03(土) 10:23:07

    保守

  • 131ホットドリンク大好き26/01/03(土) 10:26:28

    ────────────────────

    ミヤコ:
    「う・・・ここは・・・。」

    大波に打ち上げられるようにして地上に一瞬で戻って来たミヤコは、強く打ち付けた身体を摩りながらゆっくりと 起き上がった。

    ” 大丈夫? ミヤコ。”

    すると、いつの間にか近くにいた先生と目が合った。

    ミヤコ:
    「せ、先生!? ・・・ということは ここは・・・。」

    ミヤコは先生に差し伸べられた手を取って立ち上がる。


    ミサキ:
    「・・・ありがと。」

    アズサ:
    「・・・別に。」

    ミサキはアズサの手を取って立ち上がっていた。


    ミヤコ:
    「っ! そうでした、先生! サオリさんのことで急ぎ話し合うことが───」

    ” 分かってる。 大丈夫だから、落ち着いて。 ”

  • 132ホットドリンク大好き26/01/03(土) 10:27:59

    先生はミヤコの肩に手を置く。
    不思議と気持ちが落ち着いていくのをミヤコは感じた。

    ミヤコ:
    「・・・失礼しました。
    しかし、疑問があります。 分かっているというのは どういうことですか?」

    落ち着いたミヤコは一転して事情の把握に努めることにした。
    そこに、セイアとアズサが歩み寄ってくる。

    セイア:
    「私が、先生とアズサに告げたのだよ。」

    アズサ:
    「・・・。」

    ミヤコ:
    「・・・また、勘ですか?」

    セイア:
    「いや、今回のものは明確な予知だ。
    己の神聖を再定義し、預言者とは異なる道を歩み始めた私への餞別ともいえる、最後の預言だね。」

    そうしてセイアは、ミヤコ達にも予知の内容を聞かせ始めた。

  • 133ホットドリンク大好き26/01/03(土) 10:32:29

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    <アリウスの■■■>


    ベアトリーチェ:

    「・・・全く、忌々しい。

    まさか最期は・・・飼い犬に噛み殺されることになるとは。」


    サオリ:

    「・・・。」


    サオリとベアトリーチェが、同じ血溜まりの中に倒れ込んでいた。

    二人の血が混ざり合い、血の染みが地面に悍ましい勢いで広がっていく。

    ベアトリーチェの無数にある瞳が次々と光を失っていく中、最後の瞳がサオリの方へと向いた。


    ベアトリーチェ:

    「本当に、貴方は愚かです。

    私に従っていれば、私のような偉大な大人になり得たものを。」


    サオリの瞳もまた、ベアトリーチェの方を向いた。

    その瞳は、ベアトリーチェの瞳と同じように侮蔑で冷め切っていた。


    サオリ:

    「・・・貴様の、どこが、偉大なんだ。」


    二人は、全く同じように死んだ。

    まるで それが運命であったかのように。


    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    ────────────────────

  • 134二次元好きの匿名さん26/01/03(土) 18:00:46

    保守

  • 135二次元好きの匿名さん26/01/03(土) 23:33:16

    保守

  • 136二次元好きの匿名さん26/01/04(日) 08:01:18

    保守

  • 137ホットドリンク大好き26/01/04(日) 12:58:32

    ────────────────────

    ───── ズルッズルッ・・・

    小さな異形の子供 ─── ヴェルギリアが、自身を包み込んでいたジャケットから這い出て、近くに座っていた機械仕掛けの生徒 ─── ヴィルトゥオーソの元へと辿り着いた。

    ───── ガシッ

    そして、気の合わない同志の肩に縋るように手を伸ばす。

    ヴェルギリア:
    「・・・おい、イカレアマ。
    お前、例のヤク持ってんだろ・・・寄越せ・・・。」

    ヴィルトゥオーソ:
    「人聞きの悪いことを言わないで欲しいね。
    これは生徒用の急性運動賦活刺激薬だよ。
    循環系の機能を増強すると共に、脳内でアドレナリンを───」

    ヴェルギリア:
    「アイス(覚醒剤)みたいなもんだろ。 ほら、さっさと寄越せ。」

    ヴェルギリアはヴィルトゥオーソの胴体から隠しポケットを引っ張り出すと、その中から金属製の注射針を取りだした。

  • 138ホットドリンク大好き26/01/04(日) 13:00:11

    ヴェルギリア:
    「あぁ・・・あったあった。」

    ヴィルトゥオーソ:
    「・・・分かっているだろうが、それは劇薬だ。
    一時的に無茶な戦闘にも耐えうる活力を与えるが、後日 強烈な副作用・・・耐え難い苦痛がやってくるよ?」

    ヴェルギリア:
    「知ったことか。」

    ヴェルギリアは躊躇うことなく自身に注射を打ち込んだ。

    ───── カランッカランッ

    空になった注射器を投げ捨て、ヴェルギリアはヴィルトゥオーソの横に座る。

    ヴィルトゥオーソ:
    「・・・友よ、互いに上手くいかないものだね。」

    ヴェルギリア:
    「あ”? 誰が お前の友達だって? 妄想も大概にしろよ。」

    苛立った様子を見せるヴェルギリアだったが、上手くいっていないことは否定しなかった。

  • 139ホットドリンク大好き26/01/04(日) 13:01:21

    ヴィルトゥオーソ:
    「私達は永い時間、ある時は争い、ある時は共に戦ってきた。 それを友達と言わず、君は何というんだい?」

    ヴェルギリア:
    「友達っていうのは、同じ群れの仲間だ。
    私は お前と同じ社会に属しても、お前と同じ群れにはいたくない。 だから、良くて腐れ縁だ。」

    ヴィルトゥオーソ:
    「ふむ、君らしい原始的な考えだね。」

    ヴェルギリア:
    「お前が上位存在的 思考過ぎるんだよ、クソッタレ・・・。」

    ───── バクンッバクンッ

    そうこうしている間に、ヴェルギリアの心臓が まるでカフェインを過剰摂取した時のように激しくリズムを刻み始める。

    ヴェルギリア:
    「う”・・・あ”ぁ”・・・。」

    ヴェルギリアは何かに引き摺られるようにして立ち上がった。
    そして手近にあった自身の愛銃である大型のショットガンを手に取る。

    ヴィルトゥオーソ:
    「・・・幸運を祈るよ。」

    機械仕掛けの四肢の殆どをもがれたヴィルトゥオーソは、しかし それ以上に内側からボロボロのヴェルギリア─── 腐れ縁の為に祈った。

    ────────────────────

  • 140二次元好きの匿名さん26/01/04(日) 15:05:12
  • 141二次元好きの匿名さん26/01/04(日) 21:39:21

    保守

  • 142二次元好きの匿名さん26/01/05(月) 06:00:55

    保守

  • 143ホットドリンク大好き26/01/05(月) 07:32:15

    ────────────────────

    ─────

    ───


    <アリウス・某所>


    カヤ:

    「これでチェックメイトです、ベアトリーチェ。」


    ツルギ:

    「・・・終わりだ。」


    それらの言葉が聞こえたと同時に、胸郭が光の筋に貫かれ、頭部が散弾で弾けた。


    ・・・。

    ・・・・・。

    ・・・・・・・・。


    ベアトリーチェ:

    「─── ・・・やってくれましたね。」


    頸と心臓を失った白竜の中から、生えるようにしてベアトリーチェ本体が姿を現わす。

    墜落した白竜の巨体の衝撃により周囲の地盤が崩落し、周囲は渓谷のような地形になっていた。

    おかげで幸いなことに追手が来るまでに時間が掛かりそうだった。


    ベアトリーチェ:

    (複製(ミメシス)能力は未だ健在ですが・・・これは もう現段階で挽回は不可能でしょう。)


    敗北の屈辱から頭が沸騰しそうになるベアトリーチェだったが、その中でも冷静な部分が現実を囁く。

    長く不知火カヤと争い続けた結果、勝負の引き際というのを見極めるのが随分上手くなっていた。

  • 144ホットドリンク大好き26/01/05(月) 07:34:04

    ベアトリーチェ:
    (アリウスという領土を失うのは痛手ですが、ここは一度引いて策を練り直しますか・・・。)

    そうして、ベアトリーチェは影に消えようとし───



    ───── (銃声)



    ベアトリーチェ:
    「・・・。」

    一発の銃弾によって、そのプロトコルを妨げられた。
    そして、その殺意には身に覚えがあった。

    ベアトリーチェ:
    「・・・何の用ですか? サオリ。」

    サオリ:
    「・・・分かっているはずだ。」

    サオリは殺意を撒き散らすベアトリーチェの前に、同じような しかしより研ぎ澄まされた殺意と覚悟を持って立った。

  • 145ホットドリンク大好き26/01/05(月) 07:35:17

    サオリ:
    「貴様を・・・貴様だけを殺しに来た。」

    ベアトリーチェ:
    「愚かな・・・。」



    ───── ベキッボキッッ



    ベアトリーチェの姿が変質していく。
    より大きく、より悍ましく。
    枯木に一輪の巨大な華が咲いたような その怪物は、追い詰められながらも しかし それを一切感じさせない迫力を持ってサオリを睥睨する。

    ベアトリーチェ:
    【死ぬのは貴方です、サオリ。
    主人の手を噛んだ飼い犬の末路を、私自ら教えて差し上げます。 ・・・光栄に思いなさい。】

    サオリ:
    「・・・やれるものなら やってみるがいい。」

    サオリが駆け出す。
    それに対してベアトリーチェは、掌から朱い閃光を放って応対する。

    二人は、最後の殺し合いを始めた。

    ────────────────────

  • 146二次元好きの匿名さん26/01/05(月) 15:41:58

    このベアト、原作より怖いことになってそう

  • 147二次元好きの匿名さん26/01/05(月) 23:16:47

    保守

  • 148二次元好きの匿名さん26/01/06(火) 08:01:46

    保守

  • 149ホットドリンク大好き26/01/06(火) 12:22:06

    ────────────────────
    ・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。

    サオリ:
    「ぐっ・・・。」

    ベアトリーチェ:
    【呆気ないものですね、サオリ。
    ・・・誰が誰を殺すのでしたか?】

    激しい攻防の末、サオリはベアトリーチェに捕らえられた。
    セイアの時と同じように、首を掴み、抵抗できないように空中に持ち上げる。

    ベアトリーチェ:
    【・・・気に入りませんね、その目。】

    サオリ:
    「・・・。」

    しかし そこまでしても、サオリの目は強い光を放っていた。
    殺意と侮蔑に満ちた目。
    アリウスに相応しい、好ましいはずの その目が、今は酷く不快に思えた。

    どうにかして その心を折ってやりたい。
    そんな耐え難い欲望が、この緊急事態にベアトリーチェの心を支配する。
    さっさと この出来の悪い猟犬を仕留めて逃げろと頭の冷静な部分が囁くが、ドロドロとして情念を合わさって、その欲望を止めることは出来なかった。

  • 150ホットドリンク大好き26/01/06(火) 12:23:27

    ベアトリーチェ:
    【・・・そうですね。
    ここで遭遇したのも何かの縁です。
    この先、私に隷属するというのであれば他のアリウススクワッド・・・。
    ・・・貴方の家族のことは無かったものとして扱って構いませんよ?】

    サオリ:
    「・・・!!」

    ベアトリーチェ:
    【前々から貴方には素質があると思っていたのです。
    貴方は、私の元でこそ偉大な大人に成ることが出来る。
    ・・・どうです? 悪い話ではないと思いますが。】

    半分 嘘で、半分 本音だった。
    他のアリウススクワッドの事を無かったものとして扱う気など さらさら無い。
    不知火カヤの甘言に唆されて自身の下を去ったアリウス生徒同様、必ず処分するつもりでいる。

    しかし同時に、そんな嘘を付いてまで欲しいと思えるほどサオリに価値を感じているのも事実だった。
    腐っても自身と同じ血を引く生徒を育て上げた経験から分かる。
    認めがたいが、サオリは自身より偉大な大人になることが出来るだろう。
    『我々』のような不良品とは違い、ベアトリーチェから見てサオリの精神性は極めて完璧に近い。

    感覚としては、教育という名の彫刻を施している途中の芸術作品を惜しむ感覚に近かった。
    ヴェルギリアとかいう、彫れば彫るほど自身の欠陥を見せつけられる作品とは違い、サオリは磨けば磨くだけ自身の求める輝きを宿す傑作だ。

  • 151ホットドリンク大好き26/01/06(火) 12:25:12

    ベアトリーチェ:
    【貴方を ここで殺してしまうのは・・・惜しい。】

    形こそ説得の体をしているが、それは懇願に近かった。
    あるいはマエストロ・・・あのデクノボウであれば理解を示しただろうか。
    時に芸術家は、自身の命よりも作品の無事を優先する。

    ─── だからこそ、ベアトリーチェは危機を察知することが出来なかった。

    サオリ:
    「・・・っ、断る。」

    サオリは懐から何かを取り出した。
    それはベアトリーチェにとって、極めて見覚えのあるものだった。

    ベアトリーチェ:
    (!? 『ヘイローを破壊する爆弾』!!?)

    それを認識した瞬間、咄嗟にサオリを投げ飛ばそうとするが、その動作をサオリに利用され、逆に肩付近に取り付かれてしまう。

  • 152ホットドリンク大好き26/01/06(火) 12:26:15

    サオリ:
    「・・・今の貴様になら、良く効くだろう?」

    耳元から、死神のような低い声が響く。
    今のベアトリーチェの背後には、確かに生徒のヘイローと良く似た朱い光輪があった。
    それは生徒より単純だが、しかし だからこそ『ヘイローを破壊する爆弾』のテクストは致命的になる。

    ─── 万事休す(チェックメイト)だった。

    ベアトリーチェ:
    【貴様・・・! 貴様如きに・・・!!】

    頭の冷静な部分が終わりを悟ると、心の醜い部分が恨み言を口にし始める。
    ここから どう足掻いても結末は変わらないことを理解しているからこそ、手ではなく口が動いた。

    サオリ:
    「・・・。」

    それに対して、サオリは酷く穏やかだった。
    自身の役目は終わったとで言わんばかりに、『ヘイローを破壊する爆弾』を抱えて目を閉じる。

    サオリ:
    (これで・・・皆が、陽の光の差す世界へと・・・───)

    ────────────────────

  • 153二次元好きの匿名さん26/01/06(火) 21:00:38

    保守

  • 154二次元好きの匿名さん26/01/07(水) 05:13:21

    保守

  • 155ホットドリンク大好き26/01/07(水) 11:52:03

    ────────────────────

    ???:
    「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!」

    サオリ & ベアトリーチェ:
    「!?」

    今にも爆弾のタイマーが0になろうかという瞬間、獣染みた絶叫と共に黒い影がサオリに衝突し、ベアトリーチェから引き剥がした。

    サオリ:
    「─── レディ!!?」

    姿形が随分と幼くなっていたが、その気迫からサオリは直ぐにヴェルギリアだと気が付いた。

    ヴェルギリア:
    「よこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

    ヴェルギリアは地面に身体を打ち付けながら、しかし一切怯むことなくサオリの腕に取り付いた。

    サオリ:
    「くっ・・・!」

  • 156ホットドリンク大好き26/01/07(水) 11:55:10

    咄嗟に取り付いてくるヴェルギリアから爆弾を遠ざけようとするサオリだったが、常軌を逸した俊敏性を発揮しているヴェルギリアから逃れることは叶わず、そのまま爆弾に噛み付かれてしまう。



    ───── シャクッッ



    爆弾から鳴るはずのない軽快な音が響いたかと思うと、サオリの手の中の爆弾だけが綺麗に食い尽くされていた。

    ───── バッ

    ───── クチャクチャクチャ・・・

    サオリから離れたヴェルギリアは、ガムでも噛んでいるかのような音を響かせながら何かを咀嚼する動作を見せる。

    ───── ペッッ

    そして、部品だけでなく 内包されたテクストまで分解された、無残な姿の『ヘイローを破壊する爆弾』が吐き出された。

    ヴェルギリア:
    「・・・まずいまずいまずいぃぃぃぃ!!!
    ふざけやがって! 〇してやる!! 〇してやるぞ、サオリぃぃ!!!」

    明らかに正気ではない様子のヴェルギリアが、自ら咀嚼したはずの爆弾の味についてキレる。
    投与した薬によって、完全にハイになっていた。

  • 157ホットドリンク大好き26/01/07(水) 11:56:30

    サオリ:
    「・・・なぜだ、ヴェルギリア。
    貴様はマダムを疎んでいたはず。 それなのに、なぜ・・・───」

    サオリの記憶にあるヴェルギリアは、常にベアトリーチェに悪態をついていた。
    むしろ、互いに殺意を剥き出しにして争っていたような最悪の関係だったはずだ。
    それがなぜ、今になってベアトリーチェを守ろうとするのか。

    ヴェルギリア:
    「うるせぇぇ!!
    どんなにクソッタレでも!
    私の『家族』は このクソババアだけなんだよ!!」

    ヴェルギリアは自らの身長ほどもある大型のショットガンを構えて、ベアトリーチェを守るようにサオリとの間に立った。

    サオリ:
    「・・・。」

    ────────────────────

  • 158二次元好きの匿名さん26/01/07(水) 19:44:24

    保守

  • 159二次元好きの匿名さん26/01/07(水) 22:55:33

    保守

  • 160二次元好きの匿名さん26/01/08(木) 07:01:23

    保守

  • 161ホットドリンク大好き26/01/08(木) 13:33:28

    ────────────────────


    <アリウス・崩壊した地盤地帯への入り口>


    アズサ:

    「・・・ミサキ、少し良いかな?」


    ミサキ:

    「・・・何?」


    ヴェルギリアの神秘を利用してベアトリーチェと不知火カヤ達が戦闘していた地帯まで、文字通り飛んできた所で、アズサがミサキに疑問を口にした。

    今は、サオリが向かったであろう崩壊地帯の底まで、急峻な斜面を自らの足で移動している最中だった。


    アズサ:

    「どうして今のレディは あれほど協力的なんだ?

    私の知る限り、レディは もっと意地が悪かったと思うけど・・・。」


    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    ヴェルギリア:

    「いいか、テメェら・・・。

    私は・・・お前達を、近くに飛ばしてから・・・速攻で あのクソババアの所に行く・・・。

    サオリの奴がいたらブッ殺してやるが・・・正直、今の私だとサオリ相手は時間稼ぎが せいぜいだろう。

    うぇ・・・ハァ・・・だから・・・こんなことは言いたくないが、早く私を助けに来い・・・。

    おぇ・・・手遅れになっても知らんからな・・・。」


    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

  • 162ホットドリンク大好き26/01/08(木) 13:34:34

    無理やり活力を絞り出すのに使った薬物の副作用で気持ち悪そうにしながら放った一言は、アズサの記憶にあるヴェルギリアからは想像もつかないような弱気な言葉だった。

    それに、心なしかミサキに対して変に砕けた感じになっていたのも気になった。
    昔から互いに嫌悪し合っていた仲だったのが、まるで突然 魂を通じ合わせたかのような・・・。

    ミサキ:
    「・・・私は、とある情報を吹き込んだ だけ。」

    アズサ:
    「どんな情報?」

    ミサキ:
    「『サオリがマダムを殺しに向かった』・・・そう言った。」

    アズサ:
    「・・・その情報でレディが? にわかには信じられない。」

    アズサにとってベアトリーチェとヴェルギリアは、憎悪の象徴のような関係だった。
    それが、ベアトリーチェの危機と聞いて あそこまで協力的になるとは。

    ミサキ:
    「私も、思い付いた瞬間は信じられなかった。
    でも考えてみれば、あの女はマダムに反抗することはあっても、裏切ることは無かった。」

    アズサ:
    「・・・。」

  • 163ホットドリンク大好き26/01/08(木) 13:35:55

    確かにそうだった。
    自分達に比べれば遥かに多くの自由を与えられていたはずのヴェルギリアは、その気になれば簡単にベアトリーチェの下から離れることが出来たはずだった。
    ベアトリーチェが追手を絶えず繰り出し続けようとも、逃げ続けられる頭脳と実力を曲がりなりにもヴェルギリアは持っている。

    それなのに、ヴェルギリアはベアトリーチェの下から離れることは無かった。
    結果はともかく どんなに遠くへ行く任務でも必ず帰ってきたし、ワガママで作戦を台無しにすることはあっても ベアトリーチェの戦略を誰よりも理解していたのは常にヴェルギリアだった。

    ベアトリーチェがアリウスを支配下に置く ずっと前から、ヴェルギリアはベアトリーチェの唯一の味方だった。

    ミサキ:
    「あの女は、マダムを ─── 自分の母親を、愛している。
    私達が『家族』を愛するのと同じように、形こそ違っても。」

    「だから、今だけは信じても良いと思う」。
    ミサキはアズサの質問に、そう答えた。

    ────────────────────

  • 164二次元好きの匿名さん26/01/08(木) 21:12:10

    保守

  • 165二次元好きの匿名さん26/01/08(木) 23:50:07

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん26/01/09(金) 07:07:49

    保守

  • 167ホットドリンク大好き26/01/09(金) 15:49:58

    ────────────────────
    ・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。

    サオリ:
    「私の、邪魔を、するな! レディ!!」

    ヴェルギリア:
    「するに決まってんだろ、バカが!!」

    『ヘイローを破壊する爆弾』が破壊されてなお、ベアトリーチェに向かおうとするサオリを、ヴェルギリアが何とか押し留めていた。
    組み付いたところを銃床で強打されて吹き飛ぶが、同時に空中で散弾を放つことでサオリも吹き飛ばす。

    サオリ:
    「ぐっ・・・!」



    ───── ボッッッ



    そうして吹き飛んだサオリが立っていた場所に、赤黒い閃光が走った。
    ヴェルギリアは、下手人に対して目を血走らせて吠える。

  • 168ホットドリンク大好き26/01/09(金) 15:51:34

    ヴェルギリア:
    「おい、クソババア!!
    さっさと尻尾巻いて逃げろってんだよ!!! 私の負担が増えるだろうが!!!」

    ベアトリーチェ:
    【黙りなさい、ヴェルギリア。
    口を動かす余裕があるのなら、1秒でも早く その駄犬を始末することです。】

    未だ怪物の状態を維持しているベアトリーチェは、淡々とした口調でヴェルギリアに言い放った。
    この状況に似付かわしくない冷静な物言いが、かえって深い怒りを感じさせた。

    ヴェルギリア:
    (・・・ダメだ、完全に頭に血が上ってやがる。)

    先程、あと一歩というところまでサオリに殺されかけたのが余程 頭にきたらしく、ベアトリーチェは既に撤退の意思を無くしていた。
    否、もしかすると冷静な部分は未だ警鐘を鳴らしているのかもしれないが、それでも怒りによって それを完全に無視していることは確かだった。

    ヴェルギリア:
    「あぁ、クソッ! どいつも こいつも ふざけやがって!!」

    これ以上 時間を掛けると、『自分達』が逃げるタイミングが無くなることを理解しているヴェルギリアは、怪物と化しているベアトリーチェを背後にサオリに襲い掛かった。
    その思考は既にミサキ達との取引を忘れ、殺すか殺されるかの野生のモノに堕ちつつあった。

    そうしなければ『自分達』が殺されかねないほど、今のサオリは常軌を逸した迫力と執念を宿していた。

    ────────────────────

  • 169二次元好きの匿名さん26/01/09(金) 21:55:29

    保守

  • 170二次元好きの匿名さん26/01/10(土) 07:07:34

    保守

  • 171ホットドリンク大好き26/01/10(土) 07:32:38

    ────────────────────
    ・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。

    ヴェルギリア:
    「─── ぅう・・・あぁ・・・クソッ。
    意識飛んだ・・・今、どこだ? どれだけ時間が経った?」

    岩肌に叩き付けられていたヴェルギリアは、数拍の間 意識を失っていた。
    心なしか視界が霞んでいる。
    それでも何とか周囲を見渡すと、未だに殺し合いを続けているサオリとベアトリーチェの姿が目に入った。

    サオリ:
    「■ね! マダム!!
    貴様は存在そのものが害悪に過ぎる!!」

    ベアトリーチェ:
    【貴方が■になさい!
    使いっ走りも満足に出来ない駄犬風情が、何を分かったような口を!!】

    銃弾と朱い閃光、そして時折 格闘。
    傍目から見ても無駄にハイレベルな戦闘が、目の前で繰り広げられていた。

    ヴェルギリア:
    (バカが・・・このまま殺し合い続けて何になる・・・。
    サオリの奴はともかく、クソババアは分かってるはずだろ・・・。)

  • 172ホットドリンク大好き26/01/10(土) 07:34:03

    既に戦略は敗れた。
    挽回も、現在の戦力では不可能だ。
    大体 同じ思考回路を持っていることを腐るほど経験しているヴェルギリアからすれば、今のベアトリーチェは完全に正気を失っているとしか言えなかった。

    それに、サオリの方も おかしい。
    いくらベアトリーチェを野放しにすると遠からず彼女の家族に魔の手が伸びることが確かだとしても、『今』に拘る必要もないはずだ。
    アリウスを放棄した後のベアトリーチェなら、流石に今ほどの絶好のタイミングは無いだろうが、それでもアリウスを支配していた頃よりは ずっと隙を窺いやすくなるだろう。

    ヴェルギリア:
    (このまま殺し合い続ければ、間違いなく『共倒れ』になるぞ・・・。)

    本来の実力であればベアトリーチェの圧勝で終わるはずが、どいうワケか今のサオリとの勝負は拮抗状態にあった。
    このままでは この戦争が終息するよりも先に、二人は致命傷を与え合って■ぬだろう。
    生来の神秘ゆえか、ヴェルギリアは■の匂い・・・ないし予感には敏感であった。

    ヴェルギリア:
    「あ”ぁ”・・・クソッタレ・・・!
    あのクソババア・・・■ぬなら勝手に■ねば良いものを・・・!!」

    勝手に自滅するならまだしも、どうにも目の前で死にかけられると説明し難い感情に襲われるヴェルギリアは、自分でも良く分からないまま再び愛銃に手を伸ばす。

  • 173ホットドリンク大好き26/01/10(土) 07:35:36

    ヴェルギリア:
    (視界が悪い・・・耳も、片方 聞こえない・・・。
    全身が、鉛のように重い・・・片腕の、感覚がない。
    足の感覚が、鈍い・・・・・・左足、これ折れてるか・・・?)

    銃を杖代わりに起き上がり、鈍い頭で左足を前に出した瞬間、鋭い痛みが脳髄に走り思わず倒れこんだ。

    ヴェルギリア:
    「う・・・ぐぅ・・・。」

    神秘や薬で誤魔化し続けていたが、流石に限界が来た。
    もはやヴェルギリアは壊れた人形のように倒れ伏すことしか出来ない。

    ヴェルギリア:
    (・・・終わりか。)

    地に堕ちて、ヴェルギリアは自らの終わりを悟った。

    ヴェルギリア:
    (まぁ・・・戦いの中で■ねるなら本望か・・・。)

    そう納得して瞼を閉じようとした、その瞬間───



    ───── グイッ



    誰かに、引っ張り起こされた。

  • 174ホットドリンク大好き26/01/10(土) 07:36:41

    そして、こんなことをする人間に、ヴェルギリアは心当たりがあった。

    ヴェルギリア:
    「・・・なんだ、クソッタレ。
    私は今、名誉の戦死を遂げようとしていたところなんだぞ?」



    ミサキ:
    「そう、良かった。
    私は貴方が嫌いだから、名誉の戦死なんてされたら困るし。」

    目を開けると、そこには心なしか いつもより温かい表情をしたミサキの顔があった。
    冷め切った、心底こちらを憎悪した、あるいは世界に絶望した表情しか知らないヴェルギリアにとっては新鮮な表情だった。

    ミサキ:
    「まぁでも、約束を守ってくれたことは評価しても良いかもね。」

    ヴェルギリア:
    「・・・あぁ。」

    ヴェルギリアは曖昧に相槌を打って、目線を逸らした。
    約束なんて完全に忘れて、純粋にサオリと殺し合って負けただけとは、流石に格好が付かなくて言えなかった。

    ────────────────────

  • 175二次元好きの匿名さん26/01/10(土) 14:25:10

    保守

  • 176二次元好きの匿名さん26/01/10(土) 20:36:37

    保守

  • 177二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:20:41
  • 178二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:22:11

    続きからや

    bbs.animanch.com

    スレ主のおっさんの話をしないと。あの人すねるんや

    スレ主のおっさんが自閉症疑惑でも激怒や

    詰んでるレスやで。ウケるんや

  • 179二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:22:27

    お前もしかしてスレ画にピンク系統の色あったらなんでもええんか?
    アズサ、コユキときて今度はカヤかよ

  • 180二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:23:47
    bbs.animanch.com

    ただ自分語りしてかまって欲しいスレや

    小難しいこと考える必要ないんや?

    bbs.animanch.com

    お早いお眠りやね

  • 181二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:25:15

    もはや反応でもない独り言になってるから
    普通に荒らしだな

  • 182二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:25:57

    >>179

    面白い法則発見やね

    賞賛したいんや

    でも。私何も考えてないよ

  • 183二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:26:08

    >>181

    関係ないスレに他スレの話持ち込んできてる時点で独り言じゃなくても荒らしだよ!

  • 184二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:26:29

    >>181

    もはやも何も最初からずっとそうだぞ

  • 185二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:27:12

    >>182

    無自覚、無意識ってそれ……

    いや、何でもない

    さようなら

  • 186二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:33:15
    bbs.animanch.com

    切実。急にどしたん?話聞こうか?(聞かないんや)

    でも。スレ主のおっさんもまともに聞かないやで

  • 187二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:34:17

    >>181

    荒らしは許せないんや

  • 188二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:35:18
    bbs.animanch.com

    マイペースやね

    キッッッッッッッッショ

  • 189二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:36:24

    >>183

    そう。カテチキショスレは荒らしやね

  • 190二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:38:13
    bbs.animanch.com

    今さらカテ替えの話になるのが不思議や

    なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?や

  • 191二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:39:26

    >>184

    私に今レスしてる人達は何かの自覚あるんや?

    わからないんや~

  • 192二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:40:37

    >>185

    また来週や~

  • 193二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:42:07

    あー、反応してる人達やめとけ
    多分思ってる以上にこいつの障は重いから話が通じん

    重度の持ってた同級生がこんな感じだった

  • 194二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:43:38

    このレスは削除されています

  • 195二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:45:46

    2、3週前の土曜夜にキショスレを見ていった時は何も言われなかったんや
    今夜はどしてギャラリーがやって来てるんや?
    ま。きっとたまたまやね

  • 196二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:46:21

    >>194

    Writeningのタイトルが紛らわしい事に気付いたので修正

    【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 スレリンク | WriteningPart.24(建て直し2) https://bbs.animanch.com/board/6034223/ Part25writening.net

    次スレを辿れるように

    次スレが確認されたら追記します


    スレ主、邪魔だったら後で消してください

    10レスまでの保守用に過去スレを載せてるようなので

    このWriteningに過去スレはまだ纏めてません

  • 197二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:47:04

    >>193

    唐突に自分の経験語りや

    色々重いんやね~

  • 198二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:47:35

    >>197

    >>195

    ブーメラン乙

  • 199二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:48:35

    >>196

    こんな夜中におつかれさんや

    キショスレ主のおっさんより夜更かしして偉いんや

  • 200二次元好きの匿名さん26/01/11(日) 02:49:31

    >>193

    話しかけるより通報ボタンを押しまくって回線を使えなくする方が有益なんだっけ

スレッドは1/11 04:49頃に落ちます

オススメ

レス数が200を超えているためこのスレッドには書き込めません