中学時代の球速に「今と変わらんやん」
森木は超早熟の野球選手だったのだろうか。中学時代に150キロを出したことで、「スーパー中学生」と私のような立場の人間が囃し立てる。そうした早すぎた評価が、彼自身の野球人生に重荷になっても不思議ではない。
「確かに、プロに入ってからも先輩にいじられたりしましたよ。『お前の中学時代のMAXは何キロ? 今と変わらんやん』って(笑)。でも明らかに、トレーニングを積んできた最新の自分が投手として圧倒的に優れているはずなんです。野球人生で過去の自分を追い求めるようなことはなかった」
育成契約となった昨オフに憧れていた藤川が監督に就任すると、秋季キャンプでこう声をかけられた。
「絶対に良くなるから信じてやり抜け」
森木は言う。
「僕が結果を残せていないのは当然、ご存じでしたが、その言葉は本当に嬉しかったですし、自分もその言葉を信じてこの1年を過ごしました」
しかし、支配下に復帰することはできず、阪神を去ることになった。
(前編了、後編へ続く)
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)